着物の虫干しのやり方と注意点!おすすめの時期・湿度・時間も解説!
着物には虫干しが必要不可欠と言えます。それなのに虫干しの正しいやり方を把握している人の数は少なくありません。そこで、着物の虫干しの方法を注意点や最適な時期・湿度・時間などと併せてご紹介します。虫干しへの知識を深め、今よりもさらに着物を楽しみましょう。
目次
大切な着物を長持ちさせる!虫干しの方法を徹底解説!
大切な着物を放置が原因で劣化させてしまったことはないでしょうか。ここからは着物を長持ちさせるカギを握る虫干しについてご紹介します。
そもそも虫干しとは?どんなメリットがあるの?
虫干しの役割は全部で3つです。ここでは虫干しのメリットなどについてご紹介します。
虫干しは衣類や書籍を長持ちさせる!
正しい方法で虫干しをすると衣類や書籍を長持ちさせます。着物を長持ちさせたいときには虫干しが有効的です。
【メリット①】湿気が除去されカビや害虫が防げる
虫干しを行うと着物の湿気が除去されてカビや害虫などの異常を防ぐことが出来ます。きちんとした虫干しを行って湿気やカビや害虫などによるトラブルから大切な着物を守りましょう。
【メリット②】異常が無いか点検出来る
着物の虫干しは点検にとっての好機と言えます。着物の異常を発見出来るからです。点検のときには虫干しを虫干しのときには点検を行いましょう。
着物の虫干しをする3つの時期とは?各時期の目的を解説!
虫干しに最適な時期は1年に3回あります。それぞれの時期の虫干しを理由などとともにご紹介します。
【時期①】7月下旬~8月下旬
ちょうど梅雨の終わった時期に行う虫干しですね。土用干しとも呼ばれる虫干しです。この時期の虫干しは空に入道雲がもくもくと湧き出した頃に行います。梅雨の時期に着物が含んだ湿気を取り払うためです。ただ、1つ、注意点があります。それは虫干しは行う日を適当に選ばないということです。7月下旬~8月下旬はとても湿気の多い時期です。それ故に、特に台風などの雨の日が続いた直後などにはたとえ空がからりと晴れているように思えても虫干しは禁物です。
【時期②】10月下旬~11月下旬
空気の乾燥した晴天続きで暑すぎることも寒すぎることもない時期は虫干しに打って付けです。冬物の着物を着始める前の衣替えの時期に虫干しを忘れず行うようにしましょう。
【時期③】1月下旬~2月下旬
この時期の虫干しは寒干しとも呼ばれます。1年の中でも最も湿度の低い時期に行う虫干しです。気温が低くても、部屋にはちゃんと風を通してカビなどを防止しましょう。
着物の虫干しに適した湿度は?どのくらいの時間干すの?
時間帯や湿度は重要です。虫干しのときに時間帯や湿度などをおざなりにしてしまうと、時期を守っていたとしても思ったような効果が得られないこともあります。ここでは虫干しに適する時間帯や湿度などをご紹介します。時期・時間帯・湿度などをしっかりと把握して正しい虫干しを行いましょう。
着物の虫干しは秋口から冬がおすすめ!
秋口から冬にかけてだけではなくて寒干しや土用干しも重要です。ただ、着物は秋口から冬にかけては虫干しを行う時期にふさわしいと言えます。たとえ年に3回の虫干しを行えない場合でもこの時期には虫干しを行うことをおすすめします。もちろん虫干しを行いながら冬物の和装着物の点検を行っておきましょう。また、正統な虫干しが行えず簡易な虫干しを行う場合もこの時期はおすすめです。簡易な虫干しとは着物を畳んだ状態でたとう紙を開いて風を通したり、タンスの換気を行う虫干しを言います。
よく晴れた日に4~5時間虫干ししよう
虫干しは2、3日は晴れの日が続いてからその翌日に行います。時間帯は午前10時から午後3時が最適です。湿度の高い朝方、夕方や雨の日の翌日は虫干しを控えましょう。長時間の虫干しもホコリ汚れや色焼けなどのトラブルを招く危険性を帯びています。長時間の放置などしないように十分に注意しておくと良いでしょう。
着物の虫干しの方法3ステップ!
着物の虫干しの工程はそれほど難しくありません。ここでは着物の虫干しを3つのステップでご紹介します。
【ステップ①】風通しの良い場所に干す
着物の下に敷紙を敷き、その上でハンガーにかけます。着物をフローリングや畳の上などに直接広げてしまうことは絶対に避けましょう。汚れや傷みの原因になりかねません。このとき使用するハンガーは着物ハンガーがおすすめです。洋服用のハンガーでも大丈夫ですが、着物ハンガーの方が着物の型崩れの防止には効果的と言えます。着物を風通しを良くしておいた部屋の陽の当たらないところで1枚ずつ裏返して着物ハンガーに吊るして干せたら1つめのステップは完了です。
【ステップ②】ブラシをかける
着物を着物ハンガーに吊るしたら着物をより一層美しい状態で保管するためにブラシで可能な限り汚れを落とします。使用するブラシの種類は着物ブラシがおすすめです。
【ステップ③】細かく点検する
虫干しのときの着物の点検はしみ汚れ・カビ汚れ・綻びなどの早期発見を目的に行います。決して疎かにしてはいけないステップです。万が一、点検で自分では対処しきれないカビを発見した際には速やかな専門家への相談が必要となります。カビはそのままの状態で放置しておくと保管場所全体に広がってしまう危険性を秘めているからです。
着物の虫干しをする際の2つの注意点とは?
ここでは着物を虫干しする際に注意すべき点を2つご紹介します。ぜひ参考にして虫干しを失敗させないようにしましょう。
部屋の風通しを良くしておく
虫干しを行うときの1つめの注意点は部屋の風通しを良くしておくことです。風通しの良くない部屋では虫干ししてもしっかりと湿気を取り除けない場合があります。特に現代の日本家屋は昔の日本家屋と比較して湿気がこもりやすいと言われています。風を通さない湿気の多い部屋で虫干しを行わないように気を付けましょう。仮に風通しの悪い部屋などで虫干しを行う場合には扇風機を使うなど工夫が必要です。また、扇風機を使用する際は着物に直接の風を当てないように注意しましょう。
着物は直射日光に当てない
虫干しの原則は影干しです。着物は色焼けしやすい衣類なので太陽光はもちろん室内の蛍光灯の光などにまで注意を払う必要があります。基本的に着物の虫干しは夕方までには完了しているはずですが、万が一に備えて西日のさす部屋での着物の虫干しは控えましょう。
虫干しした着物の正しい保管方法を解説!
虫干しは保管までをきっちりと行いましょう。ここでは虫干しした着物の正しい保管方法をご紹介します。
①着物の収納場所を綺麗にする
着物の保管場所の拭き掃除は乾拭きで使用する道具は掃除機です。一連の作業は虫干しを行っている間に行うのでも構いません。タンスの内部にはカビの胞子などが潜んでいる可能性が高くあります。タンスやタンスの引き出しからはしっかりと湿気を追い遣りましょう。桐箪笥の場合には引き出しの戻す順番を誤らないことも大切です。
②たとう紙に丁寧に包む
虫干しを行った着物はたとう紙に包み直して保管します。仮にたとう紙が湿気・劣化しており、綺麗でない場合は新品のたとう紙に取り替えておいた方が安心感は増しておすすめです。ちなみに、たとう紙は湿気や劣化の具合が軽度な場合には繰り返して使用することが可能です。方法は着物を包んでいたたとう紙を日光に当てて干します。そうすることでたとう紙に含まれていた湿気をある程度は取り除くことが出来ます。その際には陽の当たり過ぎが原因でたとう紙を色焼け・変色させてしまわないように注意しましょう。
③防虫剤・乾燥剤は1種類のみ使う
役割の異なる防虫剤と乾燥剤は併用させることで防虫・防カビの高い効果が得られる場合もあります。けれども、着物における防虫剤や乾燥剤は種類を統一させることで効果を発揮します。それ故に、様々な種類の防虫剤や乾燥剤を混ぜないよう注意しましょう。
【番外編】急ぎで着る着物にカビを発見!正しい除去方法は?
カビは放っておくとあちこちに菌を飛ばして広がります。そのため、早期発見と迅速な応急処置が求められます。ここではカビを発見したときの応急処置の方法などをご紹介します。
着物のカビの応急処置方法を解説!
着物のカビの応急処置の方法は非常にシンプルです。マスクと手袋を着用した状態で部屋を換気するか屋外へと移動します。カビを舞い散らしても平気な場所で使い古しの生地または古いハンカチを用いて目に見えるカビを取り払います。虫干しと同じように影干しをして着物から余計な水分を飛ばします。最後に使用した生地や手袋などを破棄したら完了です。
着物のカビには濡れタオルやアルコールはNG!
濡れタオルやアルコールをカビに使用することは逆効果です。無理な応急処置は却って着物の状態を悪化させます。手に負えないカビ汚れは早急に専門家へと相談しましょう。ちなみに、カビ汚れのおすすめの相談先は着物のクリーニング専門店です。
着用後は専門店にクリーニングを依頼しよう
保管の前にクリーニングしておけばより清潔な状態で着物を保管することが出来ます。たとえ現段階でカビが発生していなくても、目立ちにくい食べ物の食べこぼしや飲み物の飲みこぼしからでも、容易にカビは発生し得ます。安易な放置だけは絶対に避けましょう。
年3回の正しい虫干しで着物は長く愛用出来る!
年に3回の定期的な虫干しを行うことで着物は長く着られます。お手入れの方法を徹底させて大切に着続けましょう。