『こないだ』の意味や正しい使い方！『このあいだ』とは違うの？

『こないだ』という言葉は全国的に使われていて、日常会話でもよく使われています。改めて疑問に思う言葉ではないのですが、具体的な意味わかりますか？近年の使い方として『こないだ』は「数日前」「先日」などを意味し、今現在よりもそう遠くない過去の日の事を話す時に使います。

『こないだ』の使い方は、ビジネスシーンや目上の人との会話の時や、期間が重要な意味を持つ会話の時以外はあまり気にせず使うことができ、意味も分かりやすく日常で使いやすい言葉です。深く考えずに使っていることが多いと思いますが、具体的に例文を見てみましょう。

以前、対話をした相手と連絡をした時や再会した時に、対話を始める際に使うことも可能です。先日少し話した内容や状態を、もう一度話題にして相手の様子を伺う際に使います。

お世話になったり、嬉しいことをしてもらった後に、その出来事を指定して感謝の気持ちを伝える時に使います。

少し前から継続して、という意味合いで起こっている状態を伝える時に使います。ただし、相手によって「こないだ」の期間のイメージが違う場合があるので、状況や相手によって期間が重要な意味を持つ時は、使用しない方が良いでしょう。

例文④は例文①・②・③と意味合いが少し変わる使い方になります。いわゆる数日前、先日の事ではなく、時間の経過はものすごくあるのですが『こないだ』と思えるくらい最近に感じるという感覚を表現しています。

『こないだ』と似たようなニュアンスで『このあいだ』という言葉もあります。似たようなニュアンス、と言っても人によっては区別せず使っている事もあるのではないでしょうか。『こないだ』と『このあいだ』の意味・漢字表記・類語・発音のそれぞれの違いを調べてみました。

『こないだ』と『このあいだ』に意味の違いはあるのでしょうか？『こないだ』の意味には「近頃」「この頃」「先日」「先頃」というように「数日前」のことを指し示します。『このあいだ』の意味もほぼ『こないだ』と同様に現在より過去の事を指し示しています。ただ、補足すると『このあいだ』に関しては過去には近日中や最近といった、近い将来の事や現在も含んだ最近という意味も含まれた使い方をしていた時代があります。しかし現在は近日中や最近という意味を含めての『このあいだ』を使うことはありませんので、この二つの言葉は、現在はどちらも同じ意味を持つ言葉となります。

『こないだ』は漢字表記にすると「此間」となります。『このあいだ』の漢字表記は「此間」と違って「此」を使いません。「此の間」ではなく「この間」というのが正しい漢字表記となります。漢字表記で書き言葉として「この間」という文字は良く目にしますが「此間」という文字はほぼ見かけることはありません。書き言葉ではない「此間」は使用されることがないからなのです。

『こないだ』の類語は「前の日」「過ぎし日」「少し前」「過日」「以前」などがあります。一方、『このあいだ』の類語は「ある日」「ある時」「以前」「ひと頃」「先頃」などで、どちらも共通しているのは過去のことを意味しています。ただし、『このあいだ』の類語には過去のどこかの時点での「過日」を指し示しています。類語からみる違いを言うならば、『こないだ』より『このあいだ』のほうが、やや過去のことを言っている類語が多く、類語から違いを推測すると、時系列に違いがあると言えるのでしょう。

『こないだ』と『このあいだ』のアクセントや発音は、方言の有無により変化するわけではないので、特に注意して発音を意識しなくて良いでしょう。日常生活で使い後ろに続く言葉によって、会話の中で言い易い言い方で良いのです。ただし、発音が気になる方や、標準の発音が知りたいという方はアクセント辞典などを参考にして見てください。

日本語には、話し言葉と書き言葉が違う表現とされていることがあります。例えば、話し言葉の「この頃」は書き言葉では「最近」「近年」と表現され、「あんまり」は「あまり」、「じゃない」は「ではない」などを使います。『こないだ』は辞書にも掲載されている一般的な日本語ですが、話し言葉なので、基本的に会話の中でしか使われません。『こないだ』と『このあいだ』はどちらが正しい日本語なのかというと『このあいだ』が正しい日本語なのです。

『こないだ』は本来の書き言葉である『このあいだ』を話し言葉にしたものです。話し言葉とは、人と人の対話に使われる言葉で、略語などが用いられます。『こないだ』と『このあいだ』の意味は同じことから『こないだ』は『このあいだ』の略語と言えます。

『こないだ』という言葉が方言なのか、方言ではないのかということを調べてみると、どちらの意見も正しいようです。それは、方言辞典にも、広辞苑にも掲載されているからなのです。

「方言」という語は標準語・共通語とは違う各地方独特の語彙や言い回しのこと、アクセントや発音の違いを指す場合が多く、現在は『こないだ』という言葉は一部の地域で使われている方言というわけではなく、全国的に使われているようです。書籍も内容を更新し増刊されているものと、そうでないものとがあり更新されている書籍には方言としての『こないだ』が掲載されていないものもあります。『こないだ』の方言についての判断は新しい辞書や更新されているものが信ぴょう性が高いと言えます。

ビジネスシーンや目上の人に対して、いつだったかわからない過去の日を会話する際、曖昧な表現であり、尚且つ敬語でもない『こないだ』は使うべきではありません。想像してみて下さい。ビジネスシーンで上司に「こないだは、ありがとうございまいした」などとは、間違っても使えません。では『こないだ』の敬語表現とはどんな言葉でしょうか。

こないだの敬語表現として、『こないだ』を指し示す言葉に『先日』という言葉があります。『先日』の意味は近い過去の日にちを指します。ビジネスシーンや目上の人に『こないだ』と伝えたい場合は『先日』を使い「先日はお時間を頂きありがとうございました」と言い換えると良いでしょう。「こないだはお時間を頂きありがとうございました」とは言いませんよね。

こないだの敬語表現として『過日』という言葉も使われます。『先日』は「近い過去の日」という意味ですが『過日』は全ての過去の日々を表しています。数日前でも、数年前でも『過日』と表現できます。ですが、数日前のことは『先日』という表現のほうが相手に伝わりやすいでしょう。『過日』は話し言葉で使われることはほとんどありません。過去にお世話になった方に対して「過日は大変お世話になりました」という使い方ができます。文書やメールなどに使われる、とても丁寧な表現になるのでビジネス文書などに使用することができます。

こないだの敬語表現として、あまり聞きなれない言葉ですが『先般』という表現もあります。『先般』の意味は「先ごろ」を示し、「さほど遠くない過去の物事、出来事」を表現しています。さほど遠くない過去とは、基本的に数日～数週間ほど前のことで、長くても1ヶ月前のことです。例を挙げると以前にかけてしまった迷惑を謝罪したい場合「先般は大変失礼いたしました」という使い方ができます。

『先日』は近い過去の日にちを意味し、『先般』は近い過去の出来事を意味すると、覚えておくとビジネスシーンにおいても悩まず使えるでしょう。

『こないだ』は話し言葉なので、基本的に書き言葉としては使われません。では、親しい間柄であれば『こないだ』は書き言葉として使っても良いのでしょうか？例えば、LINEなどのソーシャルネットワークでの友達との会話、小説の中での会話など、くだけた表現が、より伝わりやすい場合もあります。ビジネスや目上の人には使えませんが、使う用途を気を付ければ書き言葉として使っても問題ありません。

『こないだ』は広辞苑に掲載されている、日本全国で使われている一般的な言葉なのです。「広辞苑」は1955年に刊行され改訂を重ねながら、今では「国民的辞典」とまで評価されている辞典です。

日本語には同じ意味を持ちながらも、話し言葉と書き言葉があります。詳しく調べてみると『こないだ』は、話し言葉として使うことがほとんどです。確かに口頭で『このあいだ』と言うには、発音しづらいと感じる人もいるのではないでしょうか。意味を正しく理解し、ビジネスや日常で状況に合わせて言葉を使い分けられる大人になりたいですね。