『ビースト』の意味は？映画ファンタスティック・ビーストの意味も！

「ビースト（beast）」という言葉に、どのようなイメージがあるでしょうか。ビーストといえば、漠然と「動物」や「生き物」の姿が思い浮かぶかもしれませんが、これらの言葉には違いがあるのでしょうか。

英語の「ビースト（beast）」は、日本語では「獣」「野獣」「動物」「けだもの」などの言葉に訳されるようです。それぞれの言葉の意味の違いを確認してみましょう。

「獣（けもの）」は、「全身が毛に覆われていて、四足歩行をする生き物」という意味です。

私たち人間には、髪の毛やうぶ毛が生えていますが、二足歩行をするので「獣」とは違います。また、ヘビやワニなどの爬虫類や、カエルなどの両生類は体毛をもっていませんので、「獣」とは言わないようです。

英語の「ビースト」は、「野獣」とも訳されます。「野獣」は、「野生の獣」を指す言葉です。「獣」のなかでも特に、人間の手に届かないところでたくましく生きている動物のことを意味します。

転じて、攻撃的であったり、乱暴で獰猛（どうもう）な行動をとる人物という意味で、「野獣」という言葉を使うことも。

有名な『美女と野獣』の原題は、“Beauty and the Beast（ビューティ・アンド・ザ・ビースト）”です。

「獣（けもの）」と「けだもの」は類語の関係にある言葉です。意味はほとんど同じなのですが、日常生活ではあまり使わない言葉かもしれません。

「けだもの」も「獣」を意味する言葉なのですが、人間に対して使われる言葉であるというのが特徴です。誰かのことを「けだもの」と言うときには、その人は「冷酷で、人間らしさに欠ける」ということを意味します。特定の誰かに対してこの言葉を使うときは、ポジティブな意味ではなく、非難するような意味になりますね。

「ビースト」の意味である「獣（けもの）」は、「からだに毛が生えていて、四足歩行をする動物」という意味でした。また、「ビースト」は広い意味で「動物」と訳されることもあります。では、「動物」とは、そもそもどういった意味なのでしょうか？　普段から慣れ親しんでいる言葉ですが、あらためて意味を確認してみましょう。

学問の世界で「動物」というと、哺乳類や爬虫類、魚類、貝類、鳥類など、幅広く生物全般を意味します。私たち人間は哺乳類なので、学問的には「動物」ということになります。

ところが、私たちは日常的に、人間以外のものを意味して「動物」という言葉を使うこともあります。「動物園」のオリの中に、人間は入っていませんよね。

「ビースト」は、「獣」や、単に「動物」を意味する言葉であることがわかりました。「ビースト」といえば、「ハリーポッター」シリーズの派生作品「ファンタスティック・ビースト」が思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか。

「ファンタビ」の意味を理解すれば、その世界をより一層楽しむことができます。

「ファンタスティック・ビースト」の「ファンタスティック（fantastic）」は、日本語にすると以下のような意味があります。

• 空想的な
• 異様な
• すばらしい

「ファンタビ」の主人公ニュート・スキャマンダーは、作中に登場する想像を超えるような奇妙な生き物たちを、愛情と敬意をもって飼育する存在として描かれています。ニュートにとっての「魔法動物」は、人知を超えた能力をもつ「すばらしい動物たち」なのです。

では、映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズの英語のタイトルを見てみましょう。

一作目のタイトルは、“Fantastic Beasts and Where to Find Them”（邦題：『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』）。英語の原題は、『幻の動物とその生息地』と訳されます。邦題と原題ではそれぞれ意味するものが異なっていますが、旅行かばんを抱えて世界を飛び回る魔法使い、「ニュート・スキャマンダー」の姿を想起させる、素敵な邦題ですね。

二作目「ファンタビ」のタイトルは、“Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald”（邦題：『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』）。原題を訳すとすれば、「ファンタスティック・ビースト：グリンデルバルドの罪」といったところでしょうか。

グリンデルバルドは、「ハリーポッター」シリーズの登場人物とも深く関わりのあるキャラクターで、物語の鍵をにぎる重要な役どころとなっています。しかし、邦題に彼の名「グリンデルバルド」は入っていないのです。

日本国内で外国映画が公開されるときには「邦題（日本語のタイトル）」がつけられます。邦題は、その作品のイメージを内包しつつも、英語の直訳よりも理解しやすく、より平易な言葉に置き換えられていることがあります。

中には賛否両論を呼ぶようなタイトルもあり、原題と邦題との違いが話題となることもあります。ときには、邦題の意味に違いがあることで、原作のイメージを損ねているといわれることもありますが、映画にとって興行収入はとても大切。この違いについて、あなたはどう思いますか？

映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズのタイトルですが、その由来はどこからきているのでしょうか？

そもそも、映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズは、「ハリーポッター」シリーズに登場するホグワーツ校の指定教科書、『幻の動物とその生息地』という本が原作となっています。英語の原題が“Fantastic Beasts and Where to Find Them”。映画「ファンタビ」一作目のタイトルと同じなのです。

なんとその書籍、『幻の動物とその生息地』の設定上の作者こそ、「ファンタビ」主人公のニュート・スキャマンダー！　少し複雑ですが、実際には「ハリーポッター」シリーズの原作者J・K・ローリングが、チャリティのため「ニュート・スキャマンダーのペンネームで書いた」というスピンオフ作品です。

この『幻の動物とその生息地』の作者とされる「ニュート・スキャマンダー」を主人公とした物語が、映画「ファンタビ」シリーズなのです。「ファンタスティック・ビースト」は、シリーズの原点とされる「魔法動物学の教科書のタイトル」が由来となっているんですね。

「ハリーポッター」シリーズでは、我々「マグル」の世界には存在しない不思議な生物（「魔法動物」）たちがたくさん登場します。魔法動物のせいでハリーたちが危険な目にあうこともあるのですが、魔法動物の力を借りて、困難を切り抜けるような場面もあります。

一方「ファンタビ」の時代は、「ハリポタ」より70年ほどさかのぼった時代であることは冒頭でご紹介しました。その時代の多くの魔法使いは、ハリーたちのように魔法動物と上手に付き合っていく方法を知らず、奇妙な動物たちを愛するニュートは、ある意味で「変わり者」です。

そんな「変わり者」のニュートが、周囲を巻き込みながら魔法動物たちと目覚ましい活躍を繰り広げるのが、「ファンタビ」の見どころであることは間違いありません。

「ファンタビ」の主人公ニュート・スキャマンダーは「魔法生物学」の権威。「魔法生物」は英語で“Magical Creatures（マジカル・クリーチャー）”と称されています。

『幻の動物（ファンタスティック・ビースト）とその生息地』の執筆、そして彼の一連の活躍において、ニュート・スキャマンダーは「魔法生物」を新たな視点で呼称したと考えることはできないでしょうか？　そう考えると、「ファンタスティック・ビースト」と「魔法生物」の違いが見えてくるのではないでしょうか。

最新のVFX技術で描かれた魔法生物は、本物と言われても信じてしまいそうなほどにリアルな出来栄えとなっていて、それだけでも一見の価値あり！　「ハリーポッター」の世界をそのまま受け継いだ上で、新しい要素も加わった意欲作となっています。

また、ノスタルジックな1920年代を背景に「ハリーポッター」シリーズで深く描かれることのなかった「大人の恋愛ストーリー」が楽しめるのも、「ファンタビ」の大きな魅力のひとつとなっています。

今回は、「ビースト」という言葉の意味や、「ファンタスティック・ビースト」シリーズ、そしてその意味について詳しくご説明してきました。いかがでしたか？

「ファンタビ」を観たことがない方はもちろん、一度観たことがある方も、「ビースト」の意味を知った上で「ファンタビ」を楽しみましょう！