『エセ(似非)』の意味とは?類語や使い方・注意点も紹介!
『エセ』の意味をご存知でしょうか。「エセ」は、「エセ関西弁」「エセ知識人」のように、物や人をなどの前に付けて使用します。少しネガティブな印象を受ける「エセ」とはどういう意味なのでしょうか。「エセ」の由来や語源、類語を踏まえ、意味や使用時の注意点をご紹介します。
目次
『エセ』ってどんな意味なの?
『エセ』という言葉を聞いたことはありますか?『エセ』は「エセ関西弁」「エセ知識人」のように、「エセ◯◯」などと物の名前や人を表わす言葉の前に付け、その物や人が『エセ』であるということを表現する言葉です。
どちらかというとネガティブな表現であり、あまり良い印象を受ける意味の言葉ではないので、正しい意味を知り、正しい使い方を身につけておく必要があります。
『エセ』にはどういう意味があるのか、漢字表記も踏まえてご紹介していきます。
『エセ』の意味とは
『エセ』とは、どういう意味なのでしょうか。
『エセ』には「うわべは似ているが、実質はあらゆる点で本物に劣ること」という意味があります。「本物に劣る」ということは、どちらかというとネガティブなことを表わす意味の表現です。
したがって「エセ◯◯」とは、◯◯が『エセ』である、すなわち、◯◯と似ているように見せかけて、実は本物よりも劣っているという意味を示しており、否定的な意味を含んでいます。エセを使用した例文については、後ほどご紹介をします。
『エセ』を漢字表記は?
『エセ』というと、ひらがなやカタカナで表記されるイメージを持たれる方が多いと思いますが、実は漢字表記の表現も存在します。実際に、パソコンなどで変換をかけると、漢字表記も出てきます。
漢字を見られると、言葉の意味がより良く理解できるでしょう。漢字表記は2種類ありますので、漢字の意味と共にそれぞれご紹介します。
「似非」
漢字で『似非』と書いて『エセ』と読みます。
「似」とは似る、「非」とはあやまりや欠点を意味し、すなわち『似て非なるもの』という意味を表わしています。ちなみに「似」と「非」の漢字は、通常はそれぞれ「え」や「せ」とは読みません。
「似而非」
『エセ』を表わす漢字には『似而非』という漢字も存在します。
「似非」と同じように「似」と「非」という漢字が使用されていますが、間に「而」という漢字が挟まっています。「而」とは「ジ」と読み、「しかして、しこうして、すなわち」などの意味のある漢字です。
ここでは『「似」似ている+「而」しかし+「非」違う』と逆接の意味を込めて「而」が使用されています。
諸説ある『エセ』の由来や語源を紹介!
『エセ』の由来や語源については、諸説あります。エセは特定の地方の方言ではなく、全国的に使用される標準語の表現であり、古語などを語源とする説があります。
エセの由来や語源として「えせぬ」「おそ(鈍)」「にせ(偽・贋)」などが挙げられます。このように由来や語源を辿っても、ネガティブな表現が含まれたものが挙げられています。これから、由来や語源とされているものを意味と共にひとつずつご紹介していきます。
エセの語源・由来「えせぬ」
エセの語源として「えせぬ」があげられます。えせぬとは「正しいものになれない」という意味のある古語です。
エセの「うわべは似ているが、実質はあらゆる点で本物に劣る」という意味と近いものがあり、「えせぬ」の最初の二文字が「エセ」ですので、語源となっている可能性は高いです。
エセの語源・由来「おそ(鈍)」
「おそ」がエセの語源という説もあります。おそとは「鈍」と書き、「愚かである、遅い、鈍い」という意味を持っています。
エセの語源・由来「にせ(偽・贋)」
エセは「にせ」に由来しているという考えもあります。にせは、漢字で表わすと「偽」もしくは「贋」となり、文字通り「ニセモノである」という意味です。
ちなみに「贋」とは、訓読みでは「にせ」、音読みでは「ガン」と読み、ニセモノという意味の言葉です。
『エセ』の正しい使い方は?例文付きで解説!
『エセ』の正しい使い方を知っておきましょう。エセを使用した表現を2つご紹介します。例文と一緒にご紹介していきます。
エセの使い方「エセ関西弁」
「エセ関西弁」とは「関西弁のように聞こえるが、関西弁ではない」という意味です。
昨今、テレビなどで関西弁を聴く機会が多くなりました。確かに、テレビで活躍されているお笑い芸人の多くは大阪を中心とした関西地方出身の方が多い傾向がありますよね。そのままテレビ番組で会話をする時も関西弁を使われているので、より一般人に関西弁が浸透していったのではないかと考えられます。
使い方の例文もご紹介しておきましょう。関西地方以外の出身者がテレビ番組などの影響を受けて関西弁を使った時に、本物の関西弁を使っている人々から「あれはエセ関西弁や!」と突っ込まれてしまうことがあります。
エセの使い方「エセ知識人」
「エセ知識人」とは「いかにも知識人をよそおった人」のことを言います。すなわち、知識人のように見えるが本物の知識人ではない人という意味です。
そもそも、知識人とは「高い知識や教養のある人」という意味であり、議論などで分析をしたり、批判をしたりしています。
使い方の例文としては、特に教養もない人が議論の最中にあれこれ知識をひけらかしたり批判したりしていると、「よく討論してるのを見かけるけど、あの人はエセ知識人だね」と言われてしまうことがあります。
『エセ』を使う際の注意点!
エセ(似非、似而非)は、文字通り似て非なるものであることを表わせる意味の便利な表現であることがわかりました。しかし、「本物より劣る」という意味が含まれており、使い方を誤ると相手に対して屈辱的に感じさせてしまうことがあるかもしれませんので、注意が必要です。
特に、ビジネスシーンにおいて使用することはふさわしくありませんので、注意しておきましょう。普段の生活においても、使用する際には相手を傷つけることのないよう慎重に利用シーンを選ぶ必要があります。
『エセ』の類語はあるの?
『エセ』にも類語があります。『エセ』のように「似ているが本物とは異なる」ものを表わす類語をいくつかご紹介します。
エセの類語ですので、ネガティブに感じられる表現が多いです。エセの類語に関しても、時と場合によって使い分けをし、相手のことを気づかった使い方を心がけましょう。
エセの類語「偽物」
『エセ』の類語のひとつに「偽物」があります。「にせもの」や「ぎぶつ」と読みますが、一般的には「にせもの」と読まれることがほとんどです。
「本物(ほんもの)」の対義語であり、「他人の名前や地位、職業などを詐称するもの。そのように称されるのは形だけで、本当はその栄誉に値しないこと」という意味があります。
エセの類語「まがい」
『エセ』の類語として「まがい」も挙げられます。漢字では「紛い」と書きます。
「まがい」とは、「本物に似せて作ってあること(もの)」という意味があります。
使い方として「詐欺まがいの商売」「まがい物の指輪」など、ネガティブな表現が多いので、使用する際には相手を不快にさせないように注意が必要です。
エセの類語「まねごと」
「まねごと」も『エセ』の類語であると考えられます。漢字で表記すると「真似事」と書きます。
「まねごと」とは、「何かの真似をすること。形だけは整えているが、どんな点から見ても本格的に行ったものには及ばない」という意味があります。
一生懸命に料理を作ってくれている人に対して「彼女は料理のまねごとをしている」というと冷たい印象になってしまいます。「まねごと」という表現を用いる際も、相手の気持ちを考え使い方に注意してください。
エセの類語「まやかし」
「まやかし」とは、「それらしく見せかけること」という意味があります。
したがって、「似ているが違うもの」という意味を持つ『エセ』の類語と言えます。
エセの類語「もどき」
「もどき」には、「何かに似ていること」という意味があります。
普段の生活において、身近には「がんもどき」という食べ物がありますが、「雁の肉に似せて作った、丸(がん)の形に似せた」などの意味があります。本当は違うが、似ているものを表現するときに「◯◯もどき」という使い方をします。
エセの類語「いんちき」
「いんちき」には、「不正、ごまかし、偽物」という意味があり、『エセ』の類語と言えます。いんちきもネガティブな表現になりますので、使用する際は注意しましょう。
正しく意味を理解して『エセ』を使おう
今回は「エセ」の意味について、ご説明してきました。『エセ』には「うわべは似ているが、実質はあらゆる点で本物に劣ることを表わす」という意味があります。決してポジティブな意味ではなく、どちらかというとネガティブな意味を持つ表現と言えます。そのため、使用する際には相手を不快な思いにさせないように注意しなくてはなりません。
しかし、相手に簡潔に分かりやすく伝えるために、言葉は便利なものです。『エセ』の言葉が持つ正しい意味を理解して、利用できるシーンがあれば便利に使ってみてくださいね。