トリカブトの花言葉や由来!有毒植物ならではの怖い意味も?
トリカブトは日本全国の山に咲いています。きれいな花を咲かせるため、観賞用としても人気がありますが、実は強い毒を持っているので怖い花言葉がついています。ここではフランスをはじめとする海外でのトリカブトの花言葉の違いやギリシャ神話の由来などにも触れていきます。
目次
トリカブトはどんな花?
きれいな花とは裏腹に、実は怖い花言葉も持っているのがトリカブトです。花言葉の前に、まずはトリカブトはどんな花なのか、というところから紹介していきます。
トリカブトの花の特徴
トリカブトはキンポウゲ科トリカブト属の植物です。低い山や沢などの湿気のあるところを好む植物ですが、かわいらしい外見の花とは裏腹に、強烈な毒を持っていることでも知られています。
トリカブトの概要と花の色
トリカブトは世界で300種類ほどあり、日本でも約30種類あります。山林などに自生しており、栽培も可能です。紫や黄色、ピンクや白など、種類によって花の色は異なりますが、いずれもきれいな花を咲かせます。
トリカブトの名前の由来
トリカブトの名前の由来は、舞楽で用いられる「鳥兜」や「烏帽子(えぼし)」に花の形が似ていることから名付けられました。また鶏のトサカに似ているという説もあります。
トリカブトの英名が「monks hood(修道士の帽子)」と言われており、これも花の形から名前が付けられています。花言葉もその形に由来しています。
トリカブトは猛毒!日本三大有毒植物とも
トリカブトは「ドクゼリ」「ドクウツギ」と並んで、日本三大有毒植物とされています。蜜や花粉にも毒が含まれていますが、特に根っこの部分に強い毒性を持っています。致死量は0.2~1グラムとも言われ、摂取してから数秒で死に至るという怖い猛毒で、解毒剤すら存在しません。
植物界でも最強の毒を持ち、自然界においてもフグ毒に次ぐ強力な毒で、花言葉も猛毒に由来するものがあります。
古くからその毒性は知られており、毒矢にも使われていました。近年では、1986年に「トリカブト保険金殺人事件」、1999年の「本庄保険金殺人事件」でトリカブト毒が犯行に使われ、その強い毒性が広く世間に知られるようになりました。
そんな猛毒のトリカブトですが、漢方としても用いられています。弱毒処理をしたトリカブトは、現在でも漢方薬として「烏頭(うず)」または「附子(ぶし)」の名前で知られています。
トリカブトの花言葉とその由来は?
トリカブトにはいくつかの花言葉があります。どの花言葉も歴史を感じる花言葉だったり、毒から連想される花言葉だったりします。ここからはトリカブトの花言葉と由来についてです。
あなたは私に死を与えた
毒を持っているトリカブトは、その花言葉に「死」という怖いイメージがつきます。医療の場面でトリカブト毒を有効活用する実験なども行われていましたが、その過程で多くの被験者が命を落としたことから『あなたは私に死を与えた』という、怖い花言葉があります。
復讐・敵意
トリカブトには強力な毒があります。その毒にちなんで『復讐』や『敵意』といった怖い花言葉があります。花言葉の通り、トリカブト毒は古くから毒殺などにも使われており、敵意を向けた相手への復讐の手段として用いられたりしました。
現代では毒の検出はできますが、それ以前には検出が難しくて確実に死に至らしめるため、復讐の道具としては絶好の毒でした。多くの人々が、トリカブト毒を使って復讐を遂げたのでしょう。花言葉にもその名残が残っています。
人間嫌い・厭世家
『人間嫌い』という花言葉は「修道士の帽子」という英名から由来しています。外部の人とあまり関わらない修道士の姿から付けられた花言葉です。
花言葉にある『厭世家(えんせいか)』とは、この世のものには価値がないと考えて世の中を嫌う人のことを言います。修行に励む修道士には、どこか厭世家の雰囲気があるのかもしれません。
騎士道・武者修行
かつてヨーロッパには、戦争などで甲冑を身に纏い戦う「騎士」がいました。トリカブトの花は騎士の兜に似ていることから『騎士道』という花言葉があります。彼らは王や王国に仕えたり、傭兵として雇われたりしていました。
また『武者修行』という花言葉もあり、兜を被った騎士の姿に由来しています。当時の人々は、トリカブトの花言葉に騎士の姿を重ねていました。
栄光・美しい輝き
トリカブトには『栄光』『美しい輝き』という花言葉もあります。兜を被って戦場に向かう男性の健闘を祈って、女性がトリカブトを贈ることもあったようです。
帰りを待っている女性は、花言葉に希望を託し、戦場で栄光を掴んで帰ってくるように、トリカブトに込めていたのかもしれません。そんな想いが花言葉として残っています。
トリカブトの海外での花言葉は?
トリカブトは、各国によって花言葉が違います。フランスとイギリスのような近い位置関係にある国同士でも、その差は明らかです。ここからはそんな各国の花言葉の紹介です。
英語圏の花言葉
英語圏において、トリカブトの花言葉は『騎士道』や『栄光』といったポジティブな意味になります。トリカブトは別名「ヘルメットフラワー」と呼ばれており、騎士の兜から名付けられており、花言葉もそのイメージがあります。
フランスの花言葉
フランスでトリカブトは『復讐』『あなたは私に死を与えた』というネガティブな花言葉になります。花言葉の違いには、フランスの歴史が関係しているようです。
英語圏では高貴な存在として見られていたトリカブトですが、フランス革命によって王政を打倒したためなのか、フランスでは『復讐』という花言葉になるなど、捉え方がまるで違っています。
イギリスの花言葉
フランスとは地理的には近いですが、花言葉の意味はまるで違います。イギリスにおいてトリカブトは騎士を表しており、花言葉も『騎士道』や『武者修行』といったものになります。
エリザベス女王をはじめとして、イギリスには現在でも王室が存在します。称号としてナイトが叙勲されるイギリスならではの花言葉と言えます。
トリカブトにまつわるギリシャ神話を紹介!
花言葉として残っているように、古くから知られた存在のトリカブトですが、神話にも取り上げられています。ここからはギリシャ神話のトリカブト誕生を紹介します。
由来はギリシャ神話のケルベロス
トリカブトは昔から存在しているため、ギリシャ神話にも登場します。ギリシャ神話では冥界の女神・ヘカテ―の使い魔であり、ヘカテ―とともに冥府の門を守っていたのが3つの頭を持つ怪物・ケルベロスです。
ギリシャ神話では、ヘカテ―が門を離れている隙に、ヘラクレスによってケルベロスは捕まって地上に連れて行かれます。太陽の光に驚いて吠えた時の唾液からトリカブトが生まれた、という神話があります。
ギリシャ神話の影響のせいか、その毒性の恐ろしさからかトリカブトは「ヘカテ―のようだ」とも言われ、ヨーロッパでは庭先に埋めてはいけないと言い伝えられています。
トリカブトの種類は?14個紹介!
様々な花言葉や歴史のあるトリカブトですが、もちろん日本にも自生しています。ここからは代表的な14種類のトリカブトについて紹介していきます。
ヤマトリカブト
日本の固有種で、山に自生していることから「ヤマトリカブト」と呼ばれています。青や紫色の花をつけます。
ハナトリカブト
青紫色の花をつけるハナトリカブトは、生薬として用いられています。「八味地黄丸」や「真武湯」といった薬に使われています。
オクトリカブト
オクトリカブトは漢字では「奥鳥兜」と書きます。本州の中部から北から北海道に分布し、陸奥(みくのく)地方に特に多いことからその名がつけられました。
他のトリカブトとは異なり、葉の先が尖っていないのが特徴です。
ミヤマトリカブト
北アルプスなどの高山に生えているのがミヤマトリカブトです。ヤマトリカブトに非常に似ているため、生息場所で区別するのが一般的で、標高2000メートルを超えた場所にも咲いています。
ホソバトリカブト
その名の通り、葉が細く切れ込んでいる種類がホソバトリカブトです。南アルプスや八ヶ岳などに分布しています。
葉はヨモギやニリンソウに似ているため、時期になると誤食などによる死亡例が毎年のように報告されます。
ハクサントリカブト
本州中部から東北南部に分布していて、特に石川県と岐阜県にまたがる白山(はくさん)に多く見られることからハクサントリカブトと名付けられています。
タンナトリカブト
タンナトリカブトは、西日本でよく見られる種類で、中国地方や四国、九州に分布しています。漢字では「耽羅」と書き、耽羅とは済州島(さいしゅうとう)の古い呼び方です。「丹那」という漢字があてられることもあります。
オオサワトリカブト
オオサワトリカブトは草地などに生えており、本州、特に富士山付近に分布しています。名前は、富士山の西側にある浸食谷「大沢崩れ」から由来しています。富士山の五合目にある御中道などで見ることができます。
エゾトリカブト
エゾトリカブトはその名の通り、北海道に分布しており、知床などではよく見られます。毒性は非常に強く、アイヌの人々はヒグマやエゾシカを仕留める際に用いました。
ハナトリカブト
茎の先に花が密集して咲くためハナトリカブトと言い、菊に見立てて「カブトギク」とも呼ばれます。
また中国原産の種類のため、日本産のものとは区別して「カラトリカブト」とも呼ばれています。
アズマレイジンソウ
漢字では「東伶人草」と書きます。伶人とは雅楽を演奏する楽人のことで、冠の形が似ていることで名前が付けられました。薄い紫色の花をつけます。
オオレイジンソウ
オオレイジンソウにも「トリカブト」の名前はついていませんがトリカブト属の植物で、猛毒を持っています。オオレイジンソウはアズマレイジンソウとは違い、クリーム色の花を咲かせます。
サンヨウブシ
関東から西に分布する種類で、薄い紫色の花を咲かせます。サイヨウブシは、トリカブト属の中では数少ない無毒の植物です。
キバナトリカブト
キバナトリカブトはその名の通り、黄色い花を咲かせます。開花の時期は他のトリカブトより早く、6~8月に開花します。
トリカブトの開花時期や見頃の季節は?
トリカブトの開花時期は種類によっても異なりますが、7~10月です。特に8~9月は見頃で、低山でのハイキングなどで見かけることもあるようです。
秋になると山菜取りのシーズンとなりますが、その際に山菜と間違えて食べる例も数多く報告されています。きれいでかわいい花ですが、怖い花言葉にもある通り死亡する場合もあるので、注意が必要です。
トリカブトが誕生花となる月日は?
「7/19」「7/25」「7/27」」がトリカブトの誕生花となる月日です。いずれもトリカブトが咲き始めるシーズンの誕生日です。
トリカブトの花言葉や由来を知っていましたか?
トリカブトには高貴なイメージの花言葉から、ちょっと怖い花言葉まであります。どちらの花言葉も特徴的な花の形や、強烈な毒性に由来しています。『復讐』など怖い花言葉を持っていますが、トリカブトは危険な植物ではありません。自宅で栽培も可能で、園芸店でも取り扱っています。
トリカブトという名前ではなく「アコニタム」という学名で販売されていることもあります。きれいな花をつけるため、観賞用としても人気です。夏から秋にかけて山岳地を訪れた際に見つけたら、花言葉やギリシャ神話を思い出してみてください。