『いぶし銀』の意味や由来とは?いぶし銀な人の特徴5選も!
「いぶし銀」という言葉を聞いたことはありますか?「いぶし銀」とはダンディーなおじ様、というイメージがありますが、実際にはどういう意味なのでしょうか。意味や由来、語源からどんな人を「いぶし銀」と呼ぶのかを考えていきましょう。
目次
『いぶし銀』の意味とは?
いぶし銀とは、年齢を重ねて経験を積んだベテランの男性のことを指します。
由来・語源でも書きますが、銀は経年変化によって色に深みが増していくので、銀の経年変化をかけて、深みのあるベテランの男性を指す言葉だとされています。女性ではなく男性に使うことが多く、使い方としては野球選手に使ったりします。
『いぶし銀』の由来と語源は?
いぶし銀の語源は、その名のとおり「いぶした銀」のことで、キラキラした金属の感じではなく、いぶした銀のように渋く深みのあるきらめきがある人という意味の使い方をします。
いぶし銀の由来や語源は、銀の化学反応の様子をもとにしています。銀は化学反応によって色が変わっていきます。黄色から茶褐色。茶褐色→黒と段々と深みが増していきます。それが人間の経年変化と重ねて言われたことが、由来・語源となっています。また、いぶし銀は短い期間にできるものではなく、長い期間を経てできるものです。長い経験期間と重ねて使う、使い方をします。
『いぶし銀』の正しい使い方を紹介!
普段私たちが使うことは少ないだろう「いぶし銀」という言葉。使い方を知らない人もいるかもしれません。
野球をしている人や、野球ファンの人ならば今でも聞いたことがあるかもしれませんね。プロ野球の野球解説などで「この選手はいぶし銀の選手ですね。」という言葉を聞いたことがあるでしょう。このような使い方の時には「一見地味だが、堅実な魅力的な選手」という意味で用いられています。若手の野球選手に使うことは少ないですが、ベテランの特に野球では守備やバントなどで堅実にチームに貢献している人に使います。
『いぶし銀』の類語・対義語を紹介
「いぶし銀」と同じような意味である類語、または正反対の意味である対義語をご紹介します。日本語とは難しいもので、同じような意味でも、見方を変えれば違う意味になったりと、様々な言葉があります。英語ほど単語の意味が明確ではないので、おもしろくもあり、難しくもあります。
『いぶし銀』の類語とは
「いぶし銀」と同様に渋みのある魅力的な人という意味で使われている類語はあるのでしょうか。
日本語は英語圏などの人が難しいと感じるほど、さまざまな言い回しがあります。「いぶし銀」もそのひとつです。同義語のように全く同じ意味の言葉はありませんが、いくつか類語を紹介します。
- 類語①含蓄のある言葉…優雅で品のある言葉や言い回しのこと
- 類語②良い味が出ている…個性的で好ましいさま
- 類語③人生の機微に通じた…人生においてまま生じる、表立って扱われることの少ない微妙な類語④趣や人情などを、よく知っているさま
- 類語⑤色艶がある…話や態度に感じられる愛想。
『いぶし銀』の対義語とは
「いぶし銀」は渋みのある縁の下の力持ち、ベテラン、という意味があります。
ぴったりの対義語というものはありませんでしたが、愚か・能がないという言葉が対義語として似ているので、紹介します。
- 対義語①空き樽は音が高い…おしゃべりな者は軽薄であるということ。
- 対義語②芋の煮えたも御存じない…世間知らずでおっとりした人を、あざけっていうことば。
- 対義語③株を守りて兎を待つ…古い習慣や過去に偶然成功した経験にこだわり、いつまでも進歩がなかったり融通がきかないことのたとえ。
など、様々な意味の言葉があります。
人に対する『いぶし銀』の条件とは?
いぶした銀の人の条件というのは明確にあるわけではありません。ですが、実力がある・経験豊富・年齢が高い、などのイメージがありますね。使い方を間違えないためにも、語源や意味から条件を考えていきましょう。
前へ率先して何かをやるという人ではなく、影で支える縁の下の力持ち・脇役。冷静に状況を判断して物事を考えられる人。寡黙な職人気質。自分のことを差し置いてでも相手のために尽くすことができる。
外見だと、派手な人というよりは地味であまりしゃべらないタイプの人、というかんじですね。
『いぶし銀』な人の特徴5選
①目立たない人
「いぶし銀」な人の特徴のひとつは、派手なことを好まない地味な人です。要するに目立たない人ですね。いくら経験豊富なベテランな人であっても、目立ちたがり屋の人には「いぶし銀」という意味の言葉は当てはまりません。派手なことを好まず、褒められても調子にのることなく、冷静を保てる人です。
②縁の下の力持ちタイプの人
「いぶし銀」な人の特徴の二つ目は、縁の下の力持ちタイプの人です。縁の下の力持ちの意味は「人の目につかないところで、他人のために支える苦労や努力をすること。 また、そのような人。」という意味です。目立たない人の特徴とも類似します。やはり、率先して何かをやるリーダータイプというよりも、リーダーを影で支える参謀タイプ。影の実力者のような存在です。
③自己アピールをしない人
「いぶし銀」な人の特徴の三つめは、自己アピールをしない人です。
何か得意なことがあったりしても、過剰に自己アピールをしている人のことを「いぶし銀」の人とは言いません。目立たない人、縁の下の力持ちタイプの人、両方にも当てはまりますね。
④自身の仕事に誇りを持つものの自慢しない人
「いぶし銀」な人の特徴の四つ目は、自身の仕事に誇りを持つものの自慢しない人です。
自分の仕事に誇りを持つことはとてもいいことですし、大事なことだと思います。誇りを持たないと、仕事もはかどらないし、仕事をする意味がなくなってしまいます。しかし、それを自慢して周りに吹聴してまわるのでは、「いぶし銀」とはいえませんよね。「いぶし銀」の人はどんな仕事でも自分の与えられた仕事に誇りを持ち、自慢などしない人です。
⑤クールな負けず嫌い
「いぶし銀」な人の特徴の五つ目は、クールな負けず嫌い。ここまで、①目立たない人②縁の下の力持ちタイプの人③自己アピールをしない人④自身の仕事に誇りを持つものの自慢しない人、ということですが、これだけ見ていると、気弱な人ともとられかねません。
クールな負けず嫌い、という特徴にあるように、内に秘めたる情熱を持っているんです。見た目では平常心を装っているけれど、気持ちでは情熱を持っていて踏ん張るというかんじですね。
『いぶし銀』はどんな人に対してよく使われる表現なの?
「いぶし銀」を一般の人に使うことはあまりないですよね。筆者も「いぶし銀」な人に今まで出会ったことはありません。「いぶし銀」に当てはまる人は、ベテランの寡黙な俳優さんであるとか、ベテランの守備などの野球選手、職人肌の昔気質の職人さん、といったイメージです。ベテラン・寡黙ということから、最近の俳優さんではなく、昔の銀幕スターといったイメージがあります。野球選手だと今でも職人気質なプレーをする人もいるかもしれませんね。
『いぶし銀』は女性にはあまり使われない?
いぶし銀という言葉は、本来女性には使いません。女性に使うのであれば「色艶がある」という言葉を使うと、「いぶし銀」と同じような意味になります。
年齢を重ね、経験豊富なベテランの男性という意味なのであまり女性に当てはまる感じではないですね。
絶対に使ってはいけない、ということではありませんが、「あなたはいぶし銀ですね」とベテランのの女性に対して言っても、とても喜ぶ女性は少ないでしょう。喜ぶ女性は少数派です。あまり女性には使わないようにしましょう。
『いぶし銀』を英語で表記すると?
英語で直訳すると「oxidized silver」となるようですが、これだと英語圏の人には通じません。単に英語で「くすんだ銀色・いぶした銀色」という意味になるそうです。本当は「あなたはいぶし銀ですね」と言いたいところが、「oxidized silver」を使って英語で表現すると「あなたはくすんだ銀色ですね」となります。全然ほめてませんね。むしろ英語で聞くと意味のわからない言葉になります。
いぶし銀の意味から考えると、「sophisticated…洗練された」「masterfully…優れた技量・知能」となります。明確に「これ」というものはありませんので、その時にぴったりの英語の単語を選ばれると良いでしょう。いぶし銀は日本由来の言葉なので「ibushigin」で通じるようになればいいですね。
『いぶし銀』は渋くて味わいあるベテランへの褒め言葉!
「いぶし銀」は経験豊富なベテラン男性への最上の褒め言葉ですね。「いぶし銀ですね」といわれて、嫌な顔をする男性は少ないでしょう。
しかし、意味や由来、使い方を知らずに、若い人に使ったり、おしゃべりな人に使ってしまうと、「いぶし銀」という言葉には当てはまらなくなります。「いぶし銀」の語源・由来・意味から上記の特徴をふまえ、改めて周りに「いぶし銀」に当てはまる人はいないか探してみましょう。