学力が世界一のフィンランドと日本の教育方法や能力の違いとは?

学力が世界トップであるフィンランドでは、どのような教育が実施されているのでしょうか。日本も学力が高い国の1つですが、世界トップの学力を誇るフィンランドとは、内容が少し違うのかもしれません。フィンランドと日本の教育方法や能力の違いを徹底解説していきます。

学力が世界一のフィンランドと日本の教育方法や能力の違いとは?のイメージ

目次

  1. 1フィンランドの学力はトップクラス!
  2. 2フィンランドはどんな国?
  3. 3フィンランドの教育の特徴7選!
  4. 4フィンランドと日本の教育の違いはこれ!
  5. 5フィンランドと日本の教師の違いは?
  6. 6フィンランドの教育が日本で勘違いされている事2つ!
  7. 7フィンランドの教育の要素を家庭でも取り入れてみよう!

フィンランドの学力はトップクラス!

フィンランド

フィンランドの学力レベルが、世界のトップレベルで高いことはよく知られています。先進国の学生を対象に行われる学力調査において、フィンランドは常に上位にランクインしています。フィンランドのレベルが高い秘密はどこにあるのでしょうか。日本の教育とどのような違いがあるか、フィンランドの特徴を詳しく見ていきましょう。

フィンランドはどんな国?

学習到達度調査で常に上位

女の子

OECD加盟国の15~16歳の生徒を対象に行われるPISAと呼ばれる学習到達度調査において、フィンランドは常に上位にランクインしています。PISAは、読解力・数学知識・科学知識・問題解決などの学習達成度を調査するものです。この学力調査は2000年から始まり、項目や内容を変えながら3年に1度行われています。

水と森が豊か

フィンランド

フィンランドは、水と森が豊かであるのが特徴的な国です。あらゆるところに森や湖が見られます。国連が行った水質調査でフィンランドは1位になったことがあり、水道水の質が非常に高い国です。ヨーロッパ諸国の中でも自然が豊かな国であり、国の陸地の86%を森が占めています。自然のあるところへアクセスしやすく、フィンランド国民にとって森は身近なものであるといえます。

冬が長いが四季がある

雪景色

フィンランドをはじめとする北欧では、冬が長いという四季的特徴があります。フィンランドの冬は日照時間が短く、フィンランドの北部ではほとんど日が昇らず1日中暗いこともあります。雪も多く、気温はマイナス20度まで下がります。しかしフィンランドの乾燥した大陸性気候では、それほど寒さを感じません。

実は新しい国

フィンランド国旗

あまり知られていませんが、フィンランドは比較的新しい国です。2017年に独立100周年を迎えたばかりの国です。フィンランドという国ができたのは、第一次世界大戦直後の1917年12月です。以前はロシア帝国の自治領であったり、スウェーデンの一部でもありました。北欧の国中ではアイスランドに次いで、新しい独立国家なのです。

学力だけでなく世界幸福度もトップ!

子供達

フィンランドは、学力だけでなく世界幸福度もトップであるのが特徴です。国連が156カ国を対象に行う調査で、健康と寿命・自由・所得・社会支援・寛容さ・信頼などの項目についての回答を元にしています。この調査でフィンランドは1位にランクインしたため、学力だけでなく世界幸福度もトップである国という実態が世界中に広まりました。

フィンランドの教育の特徴7選!

1. 小学校から大学までの学費が無料

ユーロ札

フィンランドには小学校から大学または専門学校までの学費が無料であるという、理想的な教育対策があります。フィンランドでは、子供達を人財と考えているのが特徴的で、国をあげて子供達の教育を手厚く保護しています。小学校から大学または専門学校までの授業料を無料にすることで、全ての子供の学力レベルに差が出ないよう支援しています。

2. 授業日数が少ない

カレンダー

フィンランドの学校では、授業日数が少ないことが特徴の1つです。年間授業日数は約190日しかありません。OECD加盟国34か国の中では最少であり、日本と比べると約40日少ないといえます。フィンランドの小学生は宿題やテストもほとんどなく日本の様に塾もないため、勉強時間も他国と比べると少なめです。しかし学力に問題はなく、世界トップレべルの学力をキープしていることが特徴的であるといえます。

3. やる気が重要視されている

女の子達

フィンランドの教育では、やる気が重要視されています。幼い年齢のうちから自分の考えと向き合うことを教え、自分で決めた目的のために勉強するのだということを認識させるようにしています。フィンランドでは、このような自主性が学力アップにもつながっていくと考えられています。ただ知識を詰め込んで学力をアップさせるのではなく、学習に対する考え方から改善して学力を向上させます。

4. 進級に厳しい

フィンランドでは、日本とは違って小学生でも留年があります。学力が十分でないと判断された子供は学力が乏しいのではありません。学力を身につけるのに、時間がかかる子供であるというのがフィンランド的考え方です。子供の個性に応じて学力を上げていくのがフィンランドの教育なので、留年をして専門の教師と共に学力向上を目指していきます。

5. IT教育が進んでいる

パソコンと子供達

学力が世界でもトップレベルのフィンランドでは、IT教育が進んでいます。今後さらにITの発展が予想されるので、子供達はソフトウエアの基礎を学ぶことが必要であるというのが、フィンランド教育の考え方です。2016年には、小学生のプログラミングの授業が必修になりました。小学校では学級担任の教師がプログラミングを教え、中学校では数学の教師が教えています。

6. 英語教育のレベルが高い

棚

フィンランドは総合的学力が高い上に、英語教育のレベルが高い国でもあります。小学3年生から英語の授業が行われており、英語の教師が生徒を映画館に連れて行き、フィンランド語字幕付きの英語の映画を見ることもあるそうです。フィンランドでは、テレビで放映される英語圏の番組や映画を吹き替えずに英語のまま見るので、自然に英語が身につく環境も整っているといえます。

7. 読書量が多い

本

フィンランド人は、読書量が多い国民です。読解力と学力は密接に関わっていると考えられており、子供のうちからたくさん本を読むよう教育されます。フィンランドでは「勉強する」という言葉の代わりに、「本を読む」と表現するほどです。日本とは違い休みがたくさんあるので、読書する時間も多く確保できます。

フィンランドと日本の教育の違いはこれ!

日本は受動的な授業が多い

日本

日本では教師が教え生徒が知識を受け取るという、受動的な授業が多いのが特徴的です。考えることを面倒に感じるため、自分の考えを生み出すことが苦手なようです。得た知識を回答するだけで評価される日本の教育のテストは、受動的な教育の表れです。生徒が自発的に考える能力が劣っているといえるでしょう。

日本の学校は「教」よりも「育」の割合が高い

学校は学力を上げる場であると考えているフィンランド人と違い、日本では教師に勉強以外の生活態度指導なども求めがちであるという教育的特徴があります。フィンランドでは、教師はあくまで教師であることに徹するので、生徒の生活態度指導まで関与する日本の教師とは違い、教師としての質を上げることに集中できます。

日本のテストは暗記中心

テスト

日本のテストは暗記中心ですが、フィンランドのテストは論理的です。日本の学校のテストのように穴埋め式ではなく、論文を書くのがフィンランド教育のテストの内容です。思ったことを綴る感想文などの作文ではなく、起承転結のある論理的な作文を書くというレベルの高いテストです。しかし、制限時間が決められていないので、納得がいく論文を書くことができます。

フィンランドと日本の教師の違いは?

教員養成は5年かかる

本とノート

日本では4年制の大学に進学し、教育実習を経験した後に教員採用試験に合格することで、教員免許を習得することができます。フィンランドで教師になるには、大学で3年間と大学院で2年間、教育について学ぶことが義務付けられています。

大学修士号を取得した人のみがなれる

キャップ

フィンランドでは、大学修士号を取得した学力の高い人のみが教師になることができます。フィンランドの子供達にとってはなりたい職業ナンバー1であるといわれています。フィンランドの学校ではクラブ活動などがなく、教師は勉強を教えることだけに専念できる環境です。

勤務時間が短い

フィンランドの教師は、日本の教師と比べると勤務時間が短いです。2ヶ月ある夏休みの他に祝日・秋休み・クリスマス休暇・冬休みなどがあるため、勤務時間が短い職業であるといえます。

フィンランドの教育が日本で勘違いされている事2つ!

宿題が無いはウソ!

男の子

フィンランドの学校では宿題がないといわれていますが、それは事実ではありません。フィンランドの学校でも宿題はあります。英語・国語・理科・算数など宿題の種類も豊富です。宿題の量は学校によって様々ですが、宿題が全くないわけではありません。夏休みなどの長期休暇の際には、宿題がないことがほとんどです。

テストが無いはウソ!

テストが無いといわれているフィンランドの学校ですが、テストはあります。しかしテストの内容が日本の学校のテストとは全く違います。先にも述べましたが、穴埋め式のテストの日本に対し、フィンランドでは時間無制限の論文形式のテストです。

フィンランドの教育の要素を家庭でも取り入れてみよう!

母と娘

学力トップのフィンランドの教育について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。日本と比べて休暇が多く、年間の学習時間が短いフィンランドですが、学習時間の長さと学力は比例しないということがいえます。学力世界トップであるフィンランドの教育内容が、いかにうまくできているかがうかがえます。ご家庭でもフィンランドの教育の要素を、ぜひ取り入れてみてください。

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この記事のライター
02ASC
海外在住です。皆さんに楽しく読んでいただいて、お役に立てれば嬉しいです。

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