『本家』と『分家』の意味や違いとは? どんなトラブルがあるの?
「本家」と「分家」はいったいどのような違いがあるのでしょうか。本家と分家という、よく比べられるこれらの名称について、詳しいご紹介をしていきます。自分の家庭は本家なのか分家なのか分からないという方は、ぜひ参考にしてください!
目次
『本家』と『分家』は何が違う?
本家と分家という言葉の使い方が分からなかったとき、嫁いでから困ってしまうことがあります。また本家と分家の使い方が分からないと、お墓などのトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。
今回は本家と分家の使い方の違いや、例文をご紹介していきます。また、宗家についても知りたい方はぜひご覧ください!
『本家』と『分家』の関係の歴史とは?
本家と分家の歴史は主に明治時代から戦前だと言われています。明治時代に人口が増えた日本では、「誰がそれ以前の墓碑を管理しているか」を国が調査していった結果、管理をしている本家とそれ以外で血縁の分家の関係が生まれました。
また、本家は家長制度で「統率権限」が与えられた戸主のことですが、昭和22年に法改正の結果廃止されました。
『本家』と『分家』の違いをわかりやすく解説
本家とは長男の築く家庭のことです。分家とは次男以降が築く家庭のことです。長男から見て次男以降は分家であり、次男以降から見て長男は本家です。本家は墓や仏壇の管理をしていることが多いのも特徴です。
『本家』の意味とは?
飲食店などでも「本家◯◯」という店名を聞いたことがあるのではないでしょうか?先ほどの「長男の築く家庭」という意味から考えると、この店名は少し不思議に思えます。それでは、「本家」という言葉自体には、いったいどのような意味があるのでしょうか。ここでは「本家」の言葉の意味や、本家の使い方を例文を交えてご紹介していきます。
『本家』の意味
本家は「おおもとの家筋」という意味だと説明されています。また、やはり「分家から見たときのもとの家」も意味しています。つまり飲食店などの店名の場合には、「うちの店がおおもととなって、このメニューを出しました」と主張したいのでしょう。似たような言葉に「元祖」があり、こちらもよく使われています。
『本家』の使い方と例文
本家の使い方や例文をご紹介していきましょう。使い方と例文を見るとさらに本家の意味が分かるでしょう。まず使い方は「うちは本家だからお盆の準備が大変で」という例文から見ていきましょう。これは本家自体が本家なのでもてなす苦労を語っています。墓守りになりやすい本家らしい使い方の例文です。
「本家は堅苦しいから分家で良かった」という礼文は、分家から見た本家を表しています。本家は家長のため厳しい家庭も多いので、この例文のような使い方をされます。
『本家』の役割とは?
本家の役割を考えていきましょう。一般的に本家は墓や仏壇の世話を任されます。それだけではなく、お盆や年末年始は本家に分家や親戚たちが集まって、同じときを過ごします。本家はホストとなって世話をすることが多いですが、トラブルのときに頼られる存在でもあります。
『分家』の意味とは?
本家の意味が分かったところで、分家の意味に付いてもご紹介していきましょう。もちろん分家も使い方を例文を交えていきますのでご安心ください。分家の意味や使い方がいまいちピンとこないな、という方はぜひ参考にしてみてください。思わぬ発見があるでしょう。
『分家』の意味
分家とは、家族の一員が新しく別に築く家庭や、家自体のことを意味しています。本家から離れて、自分たちで築く家庭という意味でもあります。分家は、次男以下が当てはまりますので、お嫁さんを貰って独立した時に「分家」となることがわかります。
『分家』の使い方と例文
それではさっそく、分家の使い方と例文をご紹介していきましょう。最初は「分家は自分たちでお墓を立てるから出費がかさむな」という例文です。本家のお墓には基本的には入らないので、分家の人はこのように使います。また、「うちは大河内家の分家筋だから」という例文では、分家が自分たちの本家がどこなのかを説明するときの使い方が分かります。
『宗家』の意味とは?
それでは、「宗家」という言葉を聞いたことはありますか?本家と分家は分かってきましたが、宗家はいったいどのようなときに使うのでしょうか。「宗家」と聞くのはなんだか堅くて重苦しいイメージがありますが、それらのイメージは正しいのでしょうか。続きましては「宗家」の言葉の意味をご紹介していきます。
『宗家』の意味
「宗家」とは本家と意味が同じだと言っても間違いではありません。しかし違う点もあって、「宗家」は流派の主となる家筋のことを意味します。つまり血がつながった家族でなくても、該当するということです。華道や茶道などの流派で宗家と聞くので、堅いイメージをもたれるのでしょう。
『宗家』の使い方と例文
宗家の使い方を例文をとおして勉強していきましょう。「宗家は次期家元を選出したようだ」という例文では、宗家の代表である「家元」を選出したことが分かります。宗家は流派を守る責任が重大です。家元となる人物の選出も、とても重要な仕事だと言えるでしょう。
『総本家』の意味とは?
「総本家」という店名などを聞いたことや見たことがある方も多いのではないでしょうか?「総本家」は「そうほんけ」と読みます。意味は、おおくの分家が輩出されているおおもとの家という意味です。飲食店のように1つのレシピを弟子をとおして広めていったり、継承して他店を許可した場合に、違いを見せるために名乗ります。
『新家』の意味とは?
それでは「新家」という文字を見たことはありませんか?「新家」とは「しんけ」または「しんや」と読みます。どちらも間違っていませんし、意味も同じです。新家は分家を意味していて、分家が本家から独立して家屋を新しく建てる傾向にあるため「新家」という漢字があてがわれています。
本家と分家のトラブルの具体例3つ
もとは同じ苗字で家族である本家と分家でも、それぞれの立場でしか感じない苦労やストレスもあります。本家には本家の、分家には分家の、ということです。それらがもとでトラブルに発展することも珍しくありません。「苗字は同じなのにこんなに考え方が違うの?」と悲しくもなりますが、今回はよくある本家と分家のトラブルをご紹介していきましょう。本家でも分家でも要注意です!
トラブル①お墓
お墓のトラブルは本家と分家によくあります。本家は実家のお墓に入りますが、分家は入りません。法律的には本家の墓に分家が入っても問題はありませんが、分家はあくまでも独立した家庭なので、入らないことがほとんどです。しかし苗字は同じなので、分家が「一緒が良い」と言う場合もあり、トラブルになることがあります。
トラブル②葬儀
分家と宗家では葬儀のトラブルもたいへん多いです。田舎の方では葬儀に重きを置き、なおかつ本家と分家という立場も重視するので、現代的な考え方になってきている若い本家の喪主と、そうではない分家の叔父や叔母が対立してしまいやすいです。「本家なのにしっかりして」「分家なのに口を挟むな」とトラブルになっていきます。
トラブル③相続・土地争い
本家と分家のトラブルといえば相続や土地争いでしょう。親の老後を共に過ごして墓守りもする本家は、やはり少しでも優遇されたいです。分家は分家で、「同じ兄弟なんだから平等で当然」と意見してきます。
本家は苗字が同じだけで、自分たちのしてきた苦労が横取りされるように感じますし、分家は本家が独り占めするように感じます。難しいトラブルです。しっかりと遺言書を書いてもらいましょう。
本家と分家は苗字が同じなのか?
本家と分家は苗字が同じことがほとんどです。そもそも、分家は次男以降が独立した家庭のことなので、次男以降が婿養子にいってしまった場合は、それは分家とは言えません。なので基本的には本家と分家は苗字が同じです。分家は本家にいたとき、つまり生まれもっての苗字で結婚をして分家となります。
本家が途絶えてしまった後はどうなる?
本家が途絶えてしまった場合は、断絶家となります。少子化も進んでいますので、仕方の無い問題だと言えるでしょう。昔であれば、養子縁組をして本家を存続させていましたが、現代社会では難しいです。
本家が途絶えた時には、分家が墓守りとなりますが、なかには拒否をする分家もありますので、無縁仏が出てきたり墓仕舞いが行なわれています。しっかりと若いうちに老後について計画を立てておきましょう。
本家も分家も良好な関係を築こう!
いかがでしたでしょうか?本家と分家についての知識は深まったでしょうか。本家も分家ももとは同じ家族です。本家と分家という関係性ばかりを意識してしまうと、それぞれのスタンスや考えなどを押し付け合ってしまいますので、1つの家族という意識をもってみてください。
本家には本家の大変さ、分家には分家の苦労がありますので、お互いに歩み寄ることが大切です。いざとなったときには助け合えるように、本家と分家も力を合わせて良好な関係を築きましょう!