『&(アンパサンド)』の書き方は?使い方や歴史も解説!
日常で目にする機会も多い「&」という記号。正しい書き方をご存知ですか?今回は「&」の意味や読み方、使い方なども含めて解説していきます。その歴史から由来も見てみましょう。「&」の正しい書き順だけでなく、可愛くアレンジした書き方もご紹介します。
目次
よく見るけど意外と知らない『&』とは?
「&」という記号は日常的に目にする機会も多いはずです。社名やショップ名などにもごく普通に使われているため、とりたてて「&」という記号について何か疑問に感じることはないのかもしれません。ただ、「&」の正しい意味や使い方、書き方などについては、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「&」の正しい書き順なども含め、この記号が持つ意味を詳しく解説していきます。カワイイ書き方、省略した書き方など、書き方にも何種類かあるのでご紹介しましょう。「&」の歴史もその由来から見てみると、面白い事実がわかります。ぜひ参考にしてみてください。
『&』の意味とは
では、まずは「&」の意味から説明しましょう。知っていると思う人も多いかもしれませんが、あらためて正しい読み方や使い方など、確認の意味も含めてお話ししていきます。
『&』の読み方
「&」の正式な読み方をご存知ですか?普通の読み方なら「アンド」でしょう。または「アンドマーク」という読み方もあります。ただ、正式な読み方は「アンパサンド」です。「アンパサンド」という読み方は日本では一般的ではないため、かえって通じないかもしれません。英語のスペルは"ampersand"となりますので、頭のどこかに記憶しておくのも良いでしょう。
『&』の意味
あらためて「&」の意味について解説します。一般的に「&」は並立助詞として、"and"を意味する形で使われます。つまり、「AとB」というふうに、2つ以上の言葉を対等の関係で接続表記するときに使用される記号です。したがって、「と」といった意味があります。この意味を考えると、「&」は英語の"and"に交換可能な記号とも言えます。ただ、書き方が「&」と単純化されることで、日本でも一般的に使われやすい記号になりました。
『&』の使い方
「&」は2つ以上の言葉をつなげる役目として使用される記号とお話ししました。使い方としては、「彼と私」の場合は「彼&私」となります。3つ以上を並列表現する使い方として、「彼と私と子供」なら、「彼&私&子供」です。同じ「と」の意味でも、比較の意味で使うというより、並列の意味で用いるのが正しい使い方です。「需要と供給」なら「需要&供給」になります。
『&』の歴史は古い!『&』の由来とは?
さらに詳しく「&」を理解していただくために、その歴史から由来を見てみましょう。意外にも「&」の歴史は古く、紀元1世紀のローマの文献に見られます。ただ、書き方がもう少し角ばっており、現在のような丸まった「&」という書き方ではありませんでした。
理由として、「&」はそもそも言葉の由来がラテン語の"et"から来ているためです。当初の書き方としては、由来の"et"という2つの文字が合体したような形にアレンジされ、角ばった"ε"に似た文字でした。これが長い年月を経て、徐々に丸まった書き方に変化していったとされています。この少し丸みを帯びた書体が、「イタリック」アンパサンドと呼ばれる初期の形ですが、まだ「&」の形ではありませんでした。
8世紀頃、西洋ではカリグラフィーという文字を美しくアレンジした書き方が発展しました。カリグラフィーは時間を要する書き方だったため、"and"を圧縮したアンパサンドが広く使われるようになりました。こうして「イタリック」アンパサンドはさらに丸みを帯びた形にアレンジされ、「&」という書き方も一般的となったのです。この書体は「イタリック」アンパサンドと区別され、「ローマン」アンパサンドと呼ばれることもあります。
以上が「&」の歴史的な由来です。尚、「&」の正式な読み方でもある「アンパサンド」も、ラテン語まじりの英語である"& per se and"(&はそれ自体が"and"を表す)が由来とされています。
そもそも言葉の由来であるラテン語の"et"も"and"を意味します。そのため、たとえば英語でも"etc."(エトセトラ)が"&c."と短縮した書き方がされるのは、この歴史的な由来からです。
こうしてラテン語由来の「&」は、英語に限らず、ラテン語アルファベットの変形文字を使用する多くの言語で使われています。興味深いことに、歴史的に「&」はアルファベットの"Z"に続く27番目の文字とされていた時期もありました。
『&』のアレンジした書き方
「&」をアレンジした書き方には、いくつかの種類があります。日常でも手書きの文章を書くときに、「&」を使うこともあると思います。手書きで書くときのカワイイ書き方や省略した書き方など、いくつかの「&」のアレンジした書き方をご紹介しましょう。
カワイイ『&』の書き方
「&」のカワイイ書き方として、小さめに書くというのがあります。すでにお話ししたように、「&」は2つ以上の言葉を並べてつなげる使い方がされます。「彼&私」などです。その場合の書き方として、「彼」と「私」の文字は普通の大きさで書き、「&」だけ小さめにするという書き方です。そういう書き方をすることで、全体のバランスが整い、可愛らしくも見えます。
また、「&」はもともと丸みを帯びていますが、これをさらに丸くするという書き方もカワイイです。縦長にするのではなく、コロッと丸い感じの書き方を意識すると、可愛さが強調されます。
省略した『&』の書き方
欧米ではよく見られる、手書きの「&」の省略した書き方というのもあります。急いで書きたいときなど、覚えておくと便利な書き方です。省略してアレンジした「&」の書き方としては、数字の「3」の左右を逆向きにしたよう文字の縦中心に線を引くというものがあります。ただ、日本では一般的な書き方ではないため、自分用のメモに使う程度にしておくほうが無難でしょう。
その他の『&』の書き方
「&」を日常的に使うことが多い欧米では、上記のような書き方以外にも、さらに簡略化してアレンジされた手書きの書き方があります。形としては、ひらがなの「す」の上部の横棒をなくしたような書き方です。馴染みのない日本人には「&」とは読めない書き方かもしれません。
尚、ひらがなの「す」の形にたとえましたが、書き順はひらがらの「す」とは異なります。縦に直線を引いた後、その線を少し上になぞって左上にくるっと円を描き、右に抜けるという書き順になります。いわゆるプラスの記号(+)を一筆書き風にアレンジした書き方になります。
『&』はプログラミング言語としても使われる
プログラミングの言語としても「&」は使われます。コンピュータに詳しい人なら知っていると思いますが、Cなどの多数の言語でAND演算子として活用されています。たとえば、C言語で2つ「&」を重ねれば論理ANDを示し、1つであればビットANDを表します。
『&』は正式な文書でも使える?
「&」の意味として、英語の"and"に交換可能な記号というお話をしました。とはいえ、正式な文書での「&」の使用は、できれば避けたほうが良いでしょう。"and"を簡略化した記号ということで、カジュアルな印象を与えてしまうためです。社名などの固有名詞に使われているといった特殊な場合を除き、ビジネスのメールでも使用は控えたほうが無難と考えられます。
『&』の書き方・書き順
ところで、「&」の書き方・書き順をご存知ですか?最近は手書きで文字を書く機会が減り、パソコンやスマホの文字変換で「&」を出すことが多いと思います。正しい書き方・書き順を知らなくても、特に問題はないのかもしれません。ただ、人前で文字を書いたり、子供に質問されたりすることもないとは言えません。ここで正しい「&」の書き方・書き順を説明します。
「&」の書き方として、まず右下から始め、斜め左上に向かって線を描きます。上部で右側に向かって丸く円を描き、左斜め下に線を下ろし、下部で再び円を描いた後、右斜め上に向けて線を終えます。簡単に言い換えると、左上がりの線から、逆S字カーブになる書き方です。これが「&」の正しい書き方・書き順になります。
一方、異なる書き方・書き順をする人も多くいます。たとえば上記とは逆転した書き順で、逆S字カーブから、右下がりの線を書くという書き方をしている人も、少数派ながらいるのです。また、それ以外の独自の書き方・書き順をしてる人もいるようです。身近に目にすることも多い「&」ですが、意外と正しい書き方・書き順にこだわっている人は少ないのかもしれません。あらためて身近な人に「&」の書き方・書き順を聞いてみてはいかがでしょうか。人それぞれ書きやすい書き方があるようなので、ユニークな答えが返ってくる可能性もあります。
日本でも馴染みのある『&』について理解を深めよう!
「&」という記号について、書き方なども含め、様々な角度からお話ししてきました。身近にある文字だからこそ、深く考えずに使っていた人も多いのではないでしょうか。実際、手書きで書こうとすると、少々バランスが取りにくく、美しい形にするのが難しい文字かもしれません。しかし、「&」にはご紹介したようなカワイイ書き方もあります。ちょっとした手書きのメッセージなどに、「&」を美しく心をこめて書くことで、思いが伝わることもあるでしょう。今回の記事が参考になれば幸いです。