「頭が下がります」の意味や使い方とは?正しい敬語表現も解説!
「頭が下がります」という言葉を正しく使えていますか?「頭が下がります」は、使う相手が決められている言葉でもあります。誰に対して「頭が下がります」を使えば良いのか?敬語として適切なのか?という事について深掘りしていく記事です。
目次
「頭が下がります」を正しい使い方を知ろう!
「頭が下がります」という言葉を、何かしらのシーンで使った事がある人も少なくないでしょう。しかし、その使い方は正しいと胸を張って言えますか?今回は、「頭が下がります」という慣用句の正しい使い方や類語について紹介していきます。この記事を読んで、「頭が下がります」の適切な使い方をマスターしましょう。
「頭が下がります」の意味とは?
「頭が下がります」とは、ただお辞儀をする行為を意味するわけではありません。「頭が下がります」には、「素晴らしい」や「尊敬」などの、相手に対する敬服の意味があります。つまり、「頭が下がります」は相手に対する褒め言葉となります。
「頭が下がります」の語源は?
日本人にとって、お辞儀というのはとても身近な文化であります。「頭が下がります」という言葉は、この文化が関係しています。相手への敬服の意味を込めてお辞儀をすると、相手の頭よりも自分の頭が下になります。その様子が由来となり、「頭が下がります」という言葉が生まれました。
「頭が下がります」は敬語として使えるの?
相手に対して敬服の気持ちを表す事を意味する「頭が下がります」は、前向きな意味合いが強い言葉となります。基本的には自分より下の人や同じ立場の人に使う言葉であるため、目上の人に使う敬語としては適していません。
「頭が下がります」の正しい敬語表現とは?
「頭が下がります」は敬語として適していないと上記で紹介しました。目上の人に頭が下がる気持ちを伝えたいのならば、敬語表現にして相手に失礼のないようにする事が大切です。「頭が下がります」の敬語表現について紹介していきますので、しっかりと確認してみて下さい。
敬服する
敬服という言葉を聞きなれない人もいるかもしれませんが、敬服とは、尊敬と感服の気持ちを意味する言葉となります。「感服」や「関心」も敬服の類語となりますが、目上の人に「頭が下がります」という気持ちを敬語として表現するのならば「敬服する」が最も適しています。敬服を含んだ例文は、以下のようになります。
「○○さんのボランティアに対する姿勢に敬服いたしました」
感銘を受ける
「感銘」とは、深く感動する事や、忘れられないほどに強烈な印象が残る事を意味します。「敬服」は人を対象としますが、「感銘」は音楽や本など、人以外に対しても使う事ができる言葉です。自分の心が動かされた事も意味するので、目上の人に対する敬語として適切な表現となります。「感銘を受ける」の例文を確認しましょう。
「○○さんの仕事観に、強く感銘を受けました」
心を打たれる
「心を打たれる」とは、「感銘を受ける」の類語となる言葉です。深い感動を受けて頭が下がる思いの時に、主に使う事が多い敬語表現となります。「心を打たれる」を使った例文を紹介します。
「上司が責任を全て背負って謝罪する姿勢に、心を打たれました」
尊敬する
目上の人に対して尊敬の念をストレートに伝えたい時に「尊敬する」を使います。「敬服」や「感銘を受ける」だと少し遠まわしに感じてしまう事もあるので、尊敬の念を素直に伝えたい時はシンプルに言いましょう。尊敬を使った例文は以下のようになります。
「いつも前向きな性格の○○さんを尊敬しています」
「頭が下がります」を使う際の注意点3つ!覚えておこう!
相手への尊敬の意味を込めて使う「頭が下がります」ですが、決して万能な言葉ではありません。どの言葉にもそれぞれに適したシチュエーションがあり、「頭が下がります」も決して例に漏れる事はありません。「頭が下がります」の使い方の注意点について紹介します。
目上の人に対して使うと失礼に値する
少し触れた内容になりますが、「頭が下がります」という言葉は敬語表現ではありません。この言葉は「感心」や「尊敬」という意味合いを持つために、日本語に精通している人からは、上から目線と捉えられる事もあるでしょう。上司に尊敬の念を伝えるのであれば、上記で紹介したような敬語表現を使いましょう。
第三者に語る際は目上の人に対して使える
目上の人に直接「頭が下がります」というのは失礼にあたりますが、第三者に語る際は正しい使い方となります。同僚同士が自分の先輩や上司について語る時は、頭が下がる気持ちを第三者に向けて話しているため、失礼にはあたりません。
「頭が下がる」という言葉を繰り返さない
「頭が下がります」という言葉で尊敬の気持ちを伝えるのは問題ありません。しかし、何回も「頭が下がります」と繰り返してしまうと、その言葉に真実味がなくなってきます。これは他の言葉にも言える事ですが、同じ言葉を使い続ける事で会話は単調なものになります。類語を使ったり上手い言い回しを考えるなどの工夫が大切です。
「頭が下がります」の使い方&例文3つ!
「頭が下がります」の意味や注意点について説明しましたので、実際に「頭が下がります」を使った例文を紹介していきます。使い方について理解して、自分で使う時の参考にしてみて下さい。
例文①「頭が下がります」
常に全力投球で物事に取り掛かる人に尊敬の念を表す場合の例文です。「どんな事にも一生懸命に取り組む彼の姿勢には、非常に頭が下がります」という言葉となり、「常に全力投球をしている彼の姿勢に尊敬します」という意味となります。
例文②「頭が下がる思いです」
「頭が下がる思い」とは、尊敬や感心などの気持ちを持つ事を意味しています。例文とすると、「○○さんの懐の深さには、非常に頭が下がる思いです」となり、「懐の深さを尊敬しています」という意味の文章です。
例文③「頭が下がりました」
「頭が下がりました」となると、相手の過去の行動に対する感心や尊敬の念を表します。過去に感心した事がある人に対して使って見ましょう。「あの人の善意溢れる行動には、非常に頭が下がりました」というように使います。
「頭が下がります」の類語8つ
「頭が下がります」には、似たような意味を持つ類語が存在します。代表的な類語の意味とシチュエーションについて紹介していきますので、「頭が下がります」と上手く使いこなせられるようになりましょう。微妙に意味の違う言葉を上手く使いこなせるようになれば、「できる人」と周囲に一目置かれるかもしれません。
類語①「一目置く」
「一目置く」の語源は囲碁となります。囲碁の世界では、弱い者が先行となって石を置き始めるのがルールとなっています。つまり、自分より相手が優れている事を認めて、一歩を譲る事を意味しています。表現の幅を大きくする時には、「一目も二目もおく」という使い方をします。ただし、上司に「一目置いているんですよ」というのは失礼にあたりますので、使い方に注意しましょう。
類語②「敬意を表する」
「敬意を表する」とは、心を動かされるような出来事を起こす人や人物に接した時や何かの偉業を耳にした時に、自分自身が感動している事を高らかに表す場合に使います。相手を尊敬して重んじる態度の宣言として、「敬意を表する」を使います。
類語③「感銘を受ける」
「感銘を受ける」は敬語表現としても紹介しましたが、心に強く印象に残るほど感動する事を表します。人生における大きな選択や、人生観を変えるほどの考えにまで影響を及ぼすほど感動するという意味でも使われるので、非常に響きの良い言葉となっています。
類語④「畏敬の念を抱く」
「畏敬(いけい)の念を抱く」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれません。「畏」には、「おそれる」や「かしこまる」という意味があります。つまり、相手の存在や偉大さが畏れ多いと感じ、かしこまるほどに敬服する気持ちを意味しています。この言葉は、自分と同格または目下の人に使う言葉ではなく、目上の人に対して使う言葉となっています。
類語⑤「恐れ入る」
「恐れ入ります」と言った事がある人も多いと思います。相手の行為に対して感謝の気持ちを述べる時や、目上の人に迷惑をかけて申し訳ない気持ちなど、この言葉は様々な意味を持っています。その意味の中には、相手の優れている点に感心する事も含まれており、この意味が「頭が下がります」と類語となります。
類語⑥「尊敬する」
「尊敬する」も、敬語表現で紹介した類語となり、人格や経験などに優れた人の事をうやまう事を意味しています。誰もが知っている言葉なので、相手の事をすごいと思った時にこの言葉を使う人も多いのではないでしょうか。自分の気持ちが素直に表現できる類語となります。
類語⑦「感心する」
「感心」とは、優れた技量や立派な行為に心を動かされたり、心に深く感じる事を意味しています。この類語には少々注意点があり、「感心」という言葉は上から目線を連想させてしまうため、目上の人に使うのはマナー違反となります。「感心する」を使う相手は、目下の人か自分と同等の人だけにしましょう。
類語⑧「脱帽する」
「脱帽する」をそのままの意味で捉えると、ただ単に帽子を脱ぐ事となります。しかしそれでは類語となりません。ここでいう脱帽とは、相手に敬意を示す事を表します。敬意を表す時に帽子を脱ぐ事が、この言葉の由来となっています。
「頭が下がります」の対義語4つ
「頭が下がります」の類語のついて紹介しましたが、次は対義語について紹介します。反対の位置にいる対義語について知る事で、「頭が下がります」の意味がさらに深いものになっていくかもしれません。対義語について見ていきましょう。
対義語①「軽蔑する」
「軽蔑」とは、劣っていたりつまらない気持ちを感じてばかにする事を意味する対義語となります。例えば女遊びが激しすぎるような友達に「軽蔑するわ」というように使います。普段何となく使ってしまいがちな言葉ですが、簡単に使う事はなるべく控えましょう。
対義語②「侮蔑する」
「侮辱」とは相手を軽んじ、見下し、名誉を傷つける事を意味します。例えば、人前で相手の失態を声高らかに発言したり、惨めな思いをさせる事は侮辱に当たります。このような事から「頭が下がります」の対義語となります。
対義語③「軽視する」
物事を軽く見て、その重大さを考えない事や、軽んずる事を「軽視」と言います。つまり、自分の立場もわきまえずに目上の相手にそれ相応の態度を取らない事を意味します。このような事から、「頭が下がります」の対義語となります。
対義語④「見下す」
「軽視する」と似た意味にもなりますが、目上の人であっても自分よりも下に見る事を「見下す」と言います。尊敬すべき相手であれ下に見てしまうので、「頭が下がります」とは反対の意味の対義語と言えるでしょう。
「頭が下がります」と「頭が上がらない」との違いとは?
「頭が下がります」と同様に頭を使った表現に「頭が上がらない」があります。一見似たような意味を持ちそうですが、実は意味は全く違います。「頭が下がります」と「頭が上がらない」の違いについて紹介します。
「頭が上がらない」の意味とは
「頭が上がらない」とは、目上の人であったり、相手に対して借りや弱みがある時などの、対等な立場でない時に使われる言葉です。
「頭が上がらない」の使い方と例文
「頭が上がらない」の意味を説明したので、実際に「頭が上がらない」を使った例文を確認しましょう。「頭が下がります」とは違う使い方となる点にも注意してみて下さい。
「友達にはご飯を奢ってもらう事が多く、頭が上がらない」
「親には借金の連帯保証人になって貰っているため、頭が上がりません」
「頭が下がります」と「頭が上がらない」との違い
「頭が上がらない」を使った例文は上記のようになりますが、「頭が下がります」とは違う使い方である事を理解して頂けたでしょうか。「頭が下がります」は相手に敬服の念を持っていますが、「頭が上がらない」は相手に対する恩や引け目がある事を意味しています。
「頭が下がります」の英語表現
最後に、「頭が下がります」の英語表現について紹介します。グローバルな世の中になっている現代では、英語圏の人と仕事をする事も少なくありません。その人に尊敬の念を伝えたい時のために、「頭が下がります」の英語表現について覚えておきましょう。
「頭が下がります」の英語表現
「頭が下がります」は、「感服」や「尊敬」というニュアンスが含まれているので、英語で表すのならば"admire"や"respect"という動詞を使いましょう。実際の英語の例文は以下のとおりとなります。
"I admire him for his behavior."
この英語を日本語に訳すと「彼の行動に感服する」となります。
「頭が上がらない」の英語表現
「頭が上がらない」とは、相手とは対等な立場でない事を表しているために、"to be no match for"という英語文法を使います。「頭が上がらない」を使った英語表現について確認しましょう。
"He is no match for his wife."
この英語を日本語に訳すと、「彼は奥さんに対して頭が上がらない」となります。
「頭が下がります」の正しい使い方を知ってビジネスシーンで活かそう!
「頭が下がります」の意味や使い方について紹介してきましたが、自分のイメージしていた意味とは合致しましたか?日本語というのは非常に難しく、使い方を少し間違えただけでも相手に失礼となってしまう事があります。しかし言い方を変えれば、日本語は細かな表現に長けている言語と言えるでしょう。だからこそ、日本語は美しいと言われるのかもしれません。
「頭が下がります」や「頭が上がらない」の意味をしっかり理解して頂けたのならば、ぜひともビジネスシーンで活かしましょう。正しい日本語を使うだけでも、相手からは「デキる人だな」と思ってもらえる要因になるかもしれません。