『憂慮』の意味や使い方とは?『懸念』や『危惧』との違いも解説!

『憂慮』という言葉をご存知ですか?日常会話ではほとんど使われることのない言葉なので、知らない人も多いかもしれません。懸念や危惧と混同しやすい言葉なので、その意味や使い方を理解することも重要です。今回は『憂慮』について詳しく解説します。

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目次

  1. 1『憂慮』の意味とは?
  2. 2『憂慮』の語源を知ろう!
  3. 3『憂慮』の使い方を例文を使って解説!
  4. 4『憂慮』の類語を5つ紹介!
  5. 5『憂慮』と『懸念』の違いとは?
  6. 6『憂慮』と『危惧』の違いとは?
  7. 7『憂慮』の意味や使い方を理解して使ってみよう!

『憂慮』の意味とは?

『憂慮』の読み方

『憂慮』の読み方は「ゆうりょ」です。一見難しく見える漢字ではありますが、憂鬱の「憂(ゆう)」や、遠慮の「慮(りょ)」が組み合わさった言葉なので、難しく考えずに読みましょう。

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『憂慮』の意味

『憂慮』には「心配する」といった意味があります。このときの心配というのは、強い危機感を感じているということ。オロオロとした不安な状態を表しているのではなく、危機感を持って対応しなければならない状況を表しているのです。

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また、『憂慮』の「心配」というのは、現に起こっている物事や事柄が今後さらに悪い方向へと進むことを恐れること、悩むことも意味しています。

『憂慮』の語源を知ろう!

『憂慮』の語源についてですが、「憂」という字の読み方は「うれい」で、不安に思ったり心を痛めたりする状態を意味しています。「憂」という字は、「頁」と「心」と「夊」を足して作られたのが語源といわれており、これら3つの漢字はそれぞれ「頭」「心」「足」を表しているのです。

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「慮」という字の読み方は「おもんぱかる」で、思いを巡らせるといった意味があります。「慮」という字は、虎の頭を意味する「虍(こ)」と「思」が合わさって作られたのが語源と言われています。

この2つの語源を合わせると、「思いを巡らせて心を痛める」や「思いを巡らせて不安に思う」といった意味になるのです。

『憂慮』の使い方を例文を使って解説!

使い方①「憂慮に堪えない」

『憂慮』の例文1つ目は、「憂慮に堪えない」という使い方です。「〜に堪えない」という言葉は、感情が強く溢れ出してくるような状態を表しているため、「憂慮に堪えない」という例文は不安に感じている気持ちを抑えきれないといった状態を表しているのです。

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使い方②「問題に憂慮する」

『憂慮』の例文2つ目は、「問題に憂慮する」という使い方です。この例文の『憂慮』というのは、その問題が重大な事態であることや、悪影響をもたらす一大事という状況を説明しています。

使い方③「憂慮には及ばない」

『憂慮』の例文3つ目は、「憂慮には及ばない」です。この例文には「心配しなくても大丈夫」といった意味があります。ビジネスシーンでの使い方に適していると言えるでしょう。

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『憂慮』の類語を5つ紹介!

類語①『気がかり』

気がかりの意味

憂慮の類語1つ目は、『気がかり』です。気がかりの意味には、「どうなってしまうのか不安に思い、気になるさま」などがあります。気がかりという言葉には、問題や物事がどうなっているのか気になる様子を表していますが、「その後どうなったのか」まで考えている様子は見受けられません。

『気がかり』の語源

気がかりという字は「気掛かり」や「気懸り」とも書きます。気掛かりの「掛(かける・かかり)」という字は、「手」と「卦(うらかた)」という漢字が組み合わさって作られたのが語源とされています。「卦」という漢字は、かける・つながるといった意味を持つので、「掛」という言葉は「手で物をかける」という意味を持っています。

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また、気懸りの「懸」という字は、大地を覆う木に糸で首を逆さまにかけた様子を表した「縣(あがた)」という漢字に心を足して作られたのが語源と言われています。

類語②『懸念』

『懸念』の意味

憂慮の類語2つ目は、『懸念』です。懸念の読み方は「けねん」で、懸念の意味には「心がとらわれること」や「気にかかって心配になるさま」などがあります。

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『懸念』の語源

懸念の「懸」の読み方は「けん」や「かかる」で、「物に引っかかる」ことを意味しています。語源は気懸りで紹介したのと同じで、「懸」という字は、大地を覆う木に糸で首を逆さまにかけた様子を表した「縣(あがた)」という漢字に心を足して作られたのが語源と言われています。

また、懸念の「念」の読み方は「ねん」や「おもう」で、「思いつめた気持ち」を意味しています。「念」という字は、「今(ふくむ)」という漢字に「心」を足して作られたのが語源といわれています。

類語③『危惧』

『危惧』の意味

憂慮の類語3つ目は、『危惧』です。危惧の読み方は「きぐ」で、危惧の意味には「あやぶみおそれること」などがあります。

『危惧』の語源

危惧の「危」の読み方は「き」や「あぶない」で、「あやぶみ」や「損なう」ことを意味しています。「危」という字は、「厂(かん)」という漢字が崖のように見え、さらにその上下で人がしゃがんでいる様子を表したのが語源と言われています。

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また、危惧の「惧」の読み方は「く」や「おそれる」で、「おそれる」ことを意味しています。「惧」という字は、「具(そなえる)」という漢字に「心」を足して作られたのが語源と言われています。

類語④『憂惧』

『憂惧』の意味

憂慮の類語4つ目は、『憂惧』です。憂惧の読み方は「ゆうぐ」で、憂惧の意味には「心配して恐れること」などがあります。

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『憂惧』の語源

憂惧の語源は憂慮の「憂」と危惧の「惧」で紹介したのと同じで、「憂」という字は、「頁」と「心」と「夊」を足して作られたのが語源といわれています。また、「惧」という字は、「具(そなえる)」という漢字に「心」を足して作られたのが語源と言われています。

類語⑤『心労』

『心労』の意味

憂慮の類語5つ目は、『心労』です。心労の読み方は「しんろう」で、心労の意味には「心配による精神的な疲れ」などがあります。

『心労』の語源

心労の「心」の読み方は「こころ」や「しん」で、「精神的な働きの元」や「中央の部分」といった意味があります。「心」という字は、「凝る(こごる)」といった漢字から作られたという説が多いのですが、現在使われている「心」という字は心臓の形を表していると言われています。

広辞苑

また、「労」の読み方は「ろう」や「ねぎらう」「いたわる」「つかれる」で、「精を尽くして働く」または「精が尽きて疲れる」などといった意味があります。「労」という字は、「勞」という漢字の略字で、「力を燃焼させて疲れ、それをねぎらう」といった語源があります。

『憂慮』と『懸念』の違いとは?

『憂慮』と『懸念』の意味の違い

「こうなってしまったらどうしよう」という危機感を感じる『憂慮』に対し、『懸念』はその物事が気にかかって「不安にに思うこと」を意味しています。どちらも「心配」という意味であることに変わりはありませんが、憂慮は心が痛むほど精神的に心配をしているさまを表しているのです。

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『憂慮』と『懸念』の使い分けを例文を使って紹介!

「遊んでばかりいる息子の将来を憂慮する」という例文のように、『憂慮』という言葉は実際に起きている事態が悪い方向へと進むことを心配している様子が伺えます。このほかにも、憂慮すべき事柄、憂慮に耐えない、憂慮には及ばないなど言い回しがあります。

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一方、「解決しなければならない懸念事項がある」という例文のように、『懸念』という言葉はこの先に起こる事態を心配している様子が伺えます。このほかにも、懸念する、懸念を抱く、懸念が生じる、懸念が残るなどの言い回しがあります。

『憂慮』と『危惧』の違いとは?

『憂慮』と『危惧』の意味の違い

「あんな状況にはなりたくない」といった意味のある『憂慮』に対し、『危惧』は「これから悪い出来事が起きてしまうのではないか」といった意味を表しています。

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どちらもこの先に起こる状況や事柄を恐れて「心配」していることに変わりはないのですが、実際に起きている事柄を気にかけている憂慮に対し、危惧はまだ起きていない事柄の成り行きを気にしています。

『憂慮』と『危惧』の使い分けを例文を使って紹介!

「その事件は一刻も早く片付けなければならない、憂慮すべき状態だ」という例文のように、『憂慮』という言葉は危機的状況を表しています。このほかにも、問題を憂慮する、憂慮すべき状態、行く末を憂慮するなどの使い回しがあります。

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「今回起こった事件の被害者が増えることを危惧する」という例文のように、『危惧』という言葉はまだ起きていない状況で今後の成り行きを心配している様子を表しています。また、懸念よりも具体的な物事に対してこの言葉が使われます。このほかにも、危惧される、危惧の念を抱くといった使い回しがあります。

『憂慮』の意味や使い方を理解して使ってみよう!

『憂慮』という言葉は、気がかりや懸念、危惧、憂惧、心労のほかにも似ている言葉がたくさんあります。難しい日本語なので敬遠されがちですし、日常的な会話で使うこともなかなかありません。また、『憂慮』という言葉をこの先の人生で使うことがなくても困ることはないでしょう。

会議

『憂慮』のように難しい言葉を無理に活用しようとすると、意味がわからなくなってしまうのでおすすめはしません。ですが、せっかくの美しい日本語ですから、どんどん口に出す場が広がっていくと良いですね!まずはビジネスシーンで活用できるよう、『憂慮』の例文を参考に、使い方や意味をしっかりと理解することから始めましょう。

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この記事のライター
aki17

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