『対処』の意味を解説!例文や似た言葉との違いも!
ふだん何気なく使っている『対処』という言葉。あらためてその意味を理解し、さまざまなシーンで正しく使えるようになりましょう。読み方はもちろん、例文や使い方をご紹介しながら、類語や言い換え語の意味や『対処』との違いについても解説。英語での表現も見ていきます。
目次
『対処』の意味を知っていますか?
『対処』という言葉の意味をご存知ですか?
日常生活やビジネスシーンにも頻繁に登場し、あまり意識せずに使っている言葉だからこそ、正しく意味を理解し適切な使い方ができているのか、あらためて考えると自信がなくなるものです。
この記事では、『対処』の本来の意味や定義、読み方を確認し、例文や使い方についてわかりやすくご紹介していきます。また、『対策』や『対応』などの類語や言い換え語との違いと意味、いくつかの英語での表現法とそれぞれの意味についても見ていきたいと思います。
『対処』の意味を紹介!定義は?
まずは、『対処』という言葉の定義を解説いたします。意味、読み方のご紹介と合わせて、英語でどのように表現するのかもそれぞれの意味合いとともに見ていきます。
言葉というものは、状況や個人の使い方によって意味合いやニュアンスが変わってくることがあります。言葉が持つ本来の意味、定義をしっかりとおさえておくことで、その状況に応じて適切な使い方をすることができ、また、その言葉を使った相手の意図を正しく理解することができます。
『対処』の言葉の定義とは?
『対処』の意味、定義は辞書にはこうあります。
[名](スル)ある事柄・状況に合わせて適当な処置をとること。
では、「処置」とはどういう意味でしょうか?
[名](スル) その場や状況に応じた判断をし手だてを講じて、物事に始末をつけること。
つまり、『対処』とは、「ある事柄、状況や情勢変化に合わせて、適切な判断をくだし、手だてを講じ、その始末をつけること」という意味を持つことがわかります。
また、「対」という漢字には「こたえる」「応じる」「向き合う」という意味があり、「処」という漢字には「一定の場所に落ち着く」「とりさばく」「しかるべき場所」などの意味があります。漢字それぞれの意味を見ると『対処』の意味、定義がより分かりやすくなりますね。
『対処』の読み方は?
『対処』の読み方は「たいしょ」です。
「対」は「たい」という読み方以外に「つい」、「処」は「しょ」という読み方以外に「そ」という音読みがあります。間違っても『対処』を「たいそ」や「ついしょ」と読まないようにしましょう。
また、「処」を「ところ」と読む場合があります。これはふだん使う「所」と同じ意味で使われますが、「処」を「ところ」と読む読み方は常用漢字表にはないため、公文書には使えませんので注意しましょう。
『対処』を英語で言うと?
英語と日本語は異なる言語のため、日本語の言葉に対して、意味もニュアンスも使い方もすべてが一致する英語があるとは限りません。
日本語の『対処』『対処する』という言葉も、英語で伝える際には、状況や伝えたいニュアンスによってさまざまな表現を選択し使っていくことになります。
下記に『対処』『対処する』に対応する英単語、熟語をご紹介します。
give a reaction
cope with
address
handle
take up
work through
work around
stickhandle
deal with
たくさんの言葉、熟語表現がありますね。
同じ『対処する』という意味を持つ英語でも、ニュアンスはそれぞれ少しずつ異なります。また、その表現を使うシチュエーションによっても意味合いは変わってきます。
例えば、”handle" という言葉ですが、これには「上手く取り扱う」というニュアンスが含まれることが多いのが特徴です。
例) He can handle a lot of alcohol. (彼はたくさんのアルコールを(上手く)対処できる。→彼はアルコールに強い。)
また、"cope with" は、 困難や問題に「立ち向かう」という意味合いを持っています。
例)How do you cope with difficult situations?(あなたは困難な状況をどのように対処しますか(立ち向かいますか)? )
"deal with" は、「解決しようとする」「折り合いをつける」状況のときに使われます。
例)I'm trying to deal with the noisy neighbors.(うるさいご近所さんをなんとか対処しようと(折り合いをつけようと)しているよ。)
"give a reaction" に関しては、ほとんどどのような場面でも「対応する」「応じる」「反応する」などの意味合いで使うことができます。
日本語の文脈によっては、直接『対処する』という表現を使わなくても 、ほかの表現を使い『対処する』という意味をより詳しく表現することもできます。
例えば、I'm taking care of this crying baby.(この泣いている赤ちゃんの面倒を見ている(対処している)。)というように、「⾯倒を⾒る」「気にかける」を表す "take care of" を使って『対処する』という意味をより詳しく表現することもできます。
このように、英語で『対処する』ことを伝えたいときは、状況やニュアンスをよく考え、より近い意味を持つ表現を選ぶことが大切です。
『対処』の使い方を例文と共に紹介!
では、次に『対処』の使い方を例文をあげながらご紹介していきます。
・消防職員は、どんなときでも緊急事態に対処できるよう準備を整えている。
・この案件は少々込み入っているので、新入社員には対処しきれないだろう。
・風邪は万病のもとになるので、早めに対処しなければならない。
先にご説明したように、「ある事柄、状況や情勢変化に合わせて、適切な判断をくだし、手だてを講じ、その始末をつけること」が『対処』という言葉の意味だと考えると、上の例文はとても理解しやすくなりますね。
『対処』の類語や別の言葉で言い換えると?
ここまでご紹介してきたように、『対処』は「ある事柄、状況や情勢変化に合わせて、適切な判断をくだし、手だてを講じ、その始末をつけること」という意味を持つため、さまざまな状況で使われる言葉だということがわかりました。
そのため『対処』という言葉は、たくさんの類語を持ち、別の言葉で言い換えることもできます。
下にいくつかの類語や言い換え語の例をあげたいと思います。意味合いによって類語や言い換えができる表現も変わる場合がありますので注意しましょう。
【人や物の管理の意味で使う場合】
取り回し
取り扱い
扱い
もてなし
あしらい
処置
【その任にある、それとして動く、処理するの意味で使う場合】
取りあつかう
取り回す
もて扱う
切り回す
くり回す
切り盛り
とり仕切る
扱う
処する
取り扱う
とり捌く
【折り合うの意味で使う場合】
処理
状況や伝えたい意味合いによって、必ずしも上の言葉すべてが代わりに使えるというわけではありませんので、言い換える場合は、それぞれの言葉の意味をきちんと考えて使うようにしましょう。
『対処』と『対策』の違いとは?
類語、言い換え語のリストにもある『対策』という言葉の定義、意味と『対処』との違いについて見ていきましょう。
『対策』の意味について、辞書にはこのようにあります。
相手の態度や事件の状況に対応するための方法・手段。
次に例文を見てみましょう。
・人手不足の対策を立てる。
・来年度の資金対策を練る。
『対策』は「相手の態度や事柄の状況に対応するための方法、手段」という意味を持ちます。対して『対処』は前述した通り「ある事柄、状況や情勢変化に合わせて、適切な判断をくだし、手だてを講じ、その始末をつけること」という意味です。『対策』は「起こりうる問題に対してあらかじめ解決の方法を考えて準備しておくこと」、『対処』は「問題が起こった時に状況に合わせて判断して解決策を実施すること」というニュアンスの違いがあります。
『対処』と『対応』の違いとは?
では、もう一つ『対処』と混同しやすい類語『対応』という言葉の定義、意味と『対処』との違いについて見ていきましょう。
『対応』には、「互いに向かい合っていること」「 二つの物事が互いに一定の関係にあること」 「互いに釣り合うこと」という意味もありますが、『対処』と近い意味としては下記のようなものがあります。
[名](スル) 周囲の状況などに合わせて事をすること。
次に例文を見てみましょう。
・顧客からの要望に対応する。
・「予約の変更について、柔軟にご対応いただきありがとうございました。」
『対応』は「相手や状況に合わせた行動」という意味を持ち、対して『対処』は前述の通り「ある事柄、状況や情勢変化に合わせて、適切な判断をくだし、手だてを講じ、その始末をつけること」という意味です。『対応』は「その場その場で臨機応変に相手に合わせる」、『対処』は「相手の望んでいるものを判断し、適切に実施し、解決する」というニュアンスの違いがあります。
対処の正しい意味を理解して使おう!
知っているようで知らない『対処』という言葉の定義、意味を類語、言い換え語や例文をあげながら、その使い方を解説してきました。
『対処』『対処する』という言葉は、「状況に合わせて、適切に判断し、解決する」という意味を持っているということをしっかりと理解し、普段の生活やお仕事の現場で、正しい使い方を意識できるようにしましょう。