【カクテル言葉】ファジーネーブルに込められた意味や名前の由来・作り方は?
バーや居酒屋で定番のカクテルとして提供されることの多いファジーネーブルですが、意外とその名前の由来や歴史については知られていません。ここでは普段知られていないファジーネーブル誕生の歴史に触れ、興味が新たに増すような情報をご紹介いたします。
目次
ファジーネーブルってどんなお酒?味や度数は?
ファジーネーブルとは桃のリキュールをオレンジジュースで割った、甘めのカクテルです。
桃の甘みにオレンジのさわやかな酸味が加わり、フルーティで飲みやすいのが特徴となっています。
お店によってはカットオレンジやチェリーが添えられていて、そのさっぱりとした飲みやすさと見た目の愛らしさから女性人気も高めです。
アルコール度数は8度以下と低めで、ファジーネーブルはカクテル初心者やお酒が弱い人にも向いているカクテルといえるでしょう。
ファジーネーブルのカクテル言葉は?
ファジーネーブルのカクテル言葉はない!
カクテルには花言葉や宝石言葉と同じように、それぞれのカクテルごとにカクテル言葉というものが存在します。しかしながら、ファジーネーブルについては特定のカクテル言葉がありません。これはファジーネーブルの歴史がまだ浅いことと関係しています。ファジーネーブルに関わらず1980年代以降につくられたカクテルは、新しいものとみなされまだカクテル言葉がついていないものも少なくないようです。
ファジーネーブルは歴史が浅いカクテルだった
オランダのリキュール会社がファジーネーブル誕生のきっかけ
ファジーネーブルは比較的歴史が浅いカクテルです。まず誕生のきっかけとなったのが、オランダのデ・カイバー社(*1)でつくられたピーチツリー(Peachtree)というリキュールです。同社ではピーチツリーを宣伝するため、ピーチツリーをトニックウォーターで割った「ピーチツリー・トニック」というカクテルを先に提案していました。この「ピーチツリー・トニック」が1980年代にアメリカで流行します。
*注1
デ・カイパー社はオランダ・アムステルダムにあるカクテル用のリキュールメーカー。1695年にオランダのロッテルダムで設立されました。ピーチツリーをはじめとする同社のフルーツリキュール商品は世界で高く評価されています。
人気の決め手はオレンジジュース?
ファジーネーブルはピーチツリー・トニックが人気となったのち、アメリカ国内で新たに考案されました。考案者はアメリカのバーテンダー誌の創業者で有名バーデンダ―でもあったRay Foley氏。従来のトニックウォーターの代わりにオレンジジュースで割ったファジーネーブルは、その見た目の良さとオレンジ由来の飲みごこちのよさもあっていつしか本家のピーチツリー・トニックより人気カクテルとなっていったようです。
しかし、意外にもファジーネーブル人気の裏側でデ・カイパー社は複雑な思いを抱いていたようです。ピーチツリーの名がなくなってしまったため、デ・カイパー社の宣伝効果がいまいちに……少々お気の毒です。結果としてオレンジジュースが人気の鍵を握ったようですね。
ファジーネーブルの名前の由来は?
ファジーネーブルは英語で「Fuzzy Navel」と表記します。
名前の由来については諸説ありますが、ここではよく一般的な由来として語られていることをご紹介いたします。
ファジーネーブルは桃とオレンジの造語?
まずファジーネーブルの「Fuzzy」を日本語訳すると「毛羽立った」、「薄毛のような」という意味があり、これは桃の産毛から由来して名づけられたようです。
英語では桃の産毛を「peach fizz」と呼ぶそうなので、ファジーネーブルの材料にちなんだことは間違えなさそうです。
なお「Navel」はここでは「Navel Orange」を表します。(「Navel」単独だとおへそ、果実などの頭頂部という意味もあります。)つまりファジーネーブルは原材料(桃とオレンジ)を表現した造語といえます。
曖昧な(?)味にちなんで命名
一方「Fuzzy」には「よくわからない、曖昧な」という別の意味もありますので、桃とオレンジが混ざり合ったその味から名づけられたんじゃないかという由来だという説も別にあります。直訳すると曖昧なオレンジ、あやふやなオレンジ……なかなか面白いネーミングですね。その名の通りすっきりしない気分の時に、ファジーネーブルを飲むというのもいいかもしれません。
ファジーネーブルの作り方!フルーツの香り漂う!
ファジーネーブルはグラスで直接作れるカクテルで、これからの季節ホームパーティで振る舞うのにも向いています。
ご自宅で簡単に作れる方法をご紹介いたします。
【ファジーネーブルの作り方】
①必要な材料・道具(一人分)
・氷 適量
・ピーチリキュール 30㏄
・オレンジジュース 120-150㏄
・カットオレンジもしくはチェリー(お好みで)
・グラス、マドラー
②作り方
まずグラスに氷を入れたら、ピーチリキュールを注ぎます。
次にオレンジジュースを入れ、軽くかき混ぜます。
お好みでカットオレンジを添えたり、缶詰のチェリーをグラスのなかに入れたら完成です。
ファジーネーブルを作るときの注意点
1. 果汁100%のオレンジジュースがベスト
ファジーネーブルをつくる場合、ピーチリキュールとオレンジジュースの割合はピーチリキュール1に対し、オレンジジュース4ぐらいが一般的です。ただ、お酒が強い方だと多少物足りなさを感じる場合もありますので、好みに応じて調整するのもよいと思います。
オレンジジュースについては、果汁が少ないものだと水っぽくなるので、100%果汁のものがおすすめです。ファジーネーブル特有の甘酸っぱさが引き立てられます。
2. ピーチリキュールによる違い
ファジーネーブルで使うピーチリキュールは基本的にどこのメーカーのものでもOKですが、アルコールの度数が5〜8度くらいの低めのものだと味が薄くなってしまいます。15度から20度位の度数が理想的です。
おすすめはやはりデ・カイパー社のピーチツリー(アルコール度数20度)で、こちら桃の風味をより強く感じると言われています。また、「ロジェ・クレーム・ド・ペシェ」は、桃の香りはピーチツリーより控えめですが黄桃ベースのとろみがあるリキュールで自然な甘みを出すにはおすすめです。どちらも通販ショップですぐに取り寄せができるメジャーな商品のため、急なパーティの際にも入手が可能です。
女性におすすめ!桃の香りが広がるピーチリキュールを使ったカクテル5選!
桃の甘さと芳醇な香りで万人受けのよいピーチリキュールですが、ファジーネーブル以外の様々なカクテルのベースとしても用いらています。ここでは特に女性人気の高いカクテル5選をご紹介いたします。
ピーチフィズ
ピーチリキュールをソーダで割った定番のカクテルです。見た目は透明のものとほんのりピンク色のものがあります。グレナデシロップというザクロの果汁と砂糖からつくられたシロップを使うと、ピンクになります。ファジーネーブルより味、香りともに控えめでシャンパンに似た風味がします。
ちなみに「フィズ」とは英語で炭酸のはじける音を表した擬音語とのこと。日本でいうシュワシュワ=英語圏ではフィズなのでしょうか。いわゆる炭酸割りのカクテルやジュースには最後に「フィズ」がつくものが多いです。
ピーチ・フィズ (Peach Fizz)
【アルコール度数】5〜6% 【口当り】甘口 【TPO】ALL
【材料】 (1)ピーチ・リキュール 45ml
(2)レモン・ジュース 20ml
(3)グレナデン・シロップ 1tsp
(4)ソーダ 適量
【作り方】 1.(1)~(3)をシェイクしてグラスに注ぐ 2.氷を入れる 3.(4)で満たし軽くステア
ピーチグレープフルーツ
こちらは「ファジーネーブル」のグレープフルーツヴァージョンです。グレープフルーツの苦味と桃の甘みが相まって、ファジーネーブルとはまた違う味わいを楽しむことができます。甘すぎるのが苦手という方におすすめです。
作り方はファジーネーブルと同様に、グラスに材料を直接入れて混ぜるだけ♪とっても簡単ですよ。
【アルコール度数】5%
【材料】ピーチリキュール 30〜40ml
グレープフルーツジュース(100%)適量
フラミンゴレディ
本日のドリームカクテル1
— 氷澄🐧(まひるのすがた) (@HisumiSousuke) June 24, 2017
フラミンゴレディ
ウォッカベースカクテル
ウォッカにピーチリキュール、パインジュース、レモンジュース、クレデナンなどでフルーティーに仕上げたカクテル。甘く飲みやすい一品です。
スノースタイルでどうぞ。#ドリクラ #ドリームカクテル #ノコ pic.twitter.com/EqdPWVrgjL
名前の通り、フラミンゴのように色鮮やかな見た目です。
ウォッカがベースとなっていますが、ピーチリキュールとレモンジュース、パインジュースがブレンドされ、甘く爽やかなカクテルです。ファジーネーブルよりアルコール度数が高いので、こちらはお酒強い方向け。お祝いごとなどの特別な日に♪
【アルコール度数】16% ※甘口ですが、アルコール度数が高いので飲みすぎに注意!
【材料】
ウォッカ 20 ml
ピーチ・リキュール 20 ml
パイナップルジュース 20 ml
レモンジュース 10 ml
グレナデン・シロップ 1 tsp
【作り方】
1.グラスの縁にグレナデン・シロップと砂糖をまぶし、スノー状の縁取りをつくる。
2.その他の材料をすべてシェーカーで混ぜ、グラスに注ぐ
ピーチツリー・ダイキリ
本日のカクテル - ピーチツリーダイキリ ピーチリキュール、ラムそして生クリーム。桃とラムの香りが夢のコラボ。美味し、です。 #カクテル pic.twitter.com/ENkEg8CNJZ
— 岡井カツノリ (@k_katsuokai) November 25, 2014
桃の甘さとラムの香りを生クリームで包み込んだ優しい味のカクテル。
甘いもの好きにはおすすめ!食後のデザートカクテルとしてぴったりです。
ピーチリキュール2、ラム酒1、生クリーム1ぐらいの割合でつくられます。
ファンタジア
@nemu2_harriet
— 泉 達也 (@sugartime04) December 30, 2017
ファンタジア
ピーチリキュール30ml
白ワイン30ml
アプリコットブランデー15ml
レモンジュース5ml
トッピングのチェリーが可愛い女の子向けカクテル。桃の甘さがふわりと感じられる一杯。
葉月はハロプロとか好きだし、可愛い方がいいかな?と。あと桃が似合いそうだったので👍 pic.twitter.com/GuHxuRLpax
ミントチェリーとレッドチェリーのコラボが見た目にも可愛らしいカクテル。
チェリーが琥珀色のグラスのなかで泳ぐ様は名前の通り「幻想的」です。
白ワインベースのため口当たりがよく、飲みやすいことでも知られています。
【アルコール度数】14%
メルシャン・カクテル・コンペティションの優勝作品。作者は松本和浩氏。
ピーチリキュールのカクテルに合うおつまみは?
食前、食後酒として一般的に提供されるカクテルには一体どのようなおつまみがふさわしいのでしょうか。カクテルを含め概ねのアルコール飲料と料理の相性として、同じ味、同じ風味のもの同士を選ぶとうまくマッチするようです。特にピーチリキュールカクテルは全般的に甘めなので、スイーツ類や爽やかな酸味のある食べ物を選ぶとよいでしょう。
例えばファジーネーブルの場合は柑橘類やリコッタチーズなどと相性がよく、ピーチフィズやピーチツリーダイキリなど甘みが引き立つ味のカクテルにはナッツチョコレートやパンケーキなどいわゆるスイーツと呼ばれるものが合います。
もし甘いもの同士でなく意外なものと組み合わせたい!食事中にも飲みたい!といった場合は、ファジーネーブル×キムチ鍋(キムチの酸味とオレンジの酸味が意外にマッチします。)、ピーチフィズ×わさび味のスナック菓子(好き嫌いがあるかもしれませんが、桃の甘みがわさびの辛さをマイルドにします。)といった取り合わせも面白いですよ。
お家飲みにもピッタリなファジーネーブルで楽しい夜を過ごそう!
ファジーネーブルは、身近な材料で簡単に作れるのでまさに家飲みにぴったりと言えるカクテルです。
また、ピーチリキュールとオレンジの配合次第で味わいを変化させることもできるので、ホームパーティの場では非常に応用がききます。炭酸水を入れて、より爽やかにさせてもいいですし、カットオレンジやチェリー、ミントの葉など添えて彩りあふれる見た目にすればあっという間に華やかな印象となります。
作り方次第で何通りにも楽しめるのが魅力ですね。これからの寒い季節、愛らしいビタミンカラーのグラスを手に取りながら、楽しい夜を過ごしましょう。