2021年09月09日公開
2021年09月09日更新
絶滅危惧「ゲンゴロウ」の生態。幼虫には毒が!飼い方・採集・種類まとめ
水生昆虫の王道とも呼ばれるゲンゴロウ。成虫は飼育方法も簡単で常温飼育ができ、エサには困らず最長で3年は生きることができますがその反面、幼虫はやや飼育のハードルは高いです。 ゲンゴロウの生態、幼虫~成虫までの飼育方法、採集方法、種類などについてまとめました。
目次
- 1ゲンゴロウの魅力
- 2絶滅寸前?知れば知るほどデリケートなゲンゴロウの生態
- 3ゲンゴロウの主な生息地
- 4ゲンゴロウの特徴
- 5ゲンゴロウの餌
- 6ゲンゴロウは交尾が長い?
- 7外敵から身を守るため○○を発射?ゲンゴロウの意外な防衛方法
- 8水槽の中で理想の住まいを実現!!ゲンゴロウの“成虫”の飼育方法
- 9ゲンゴロウの飼育に必要な道具
- 10【ゲンゴロウの“成虫”の飼育方法①】ゲンゴロウの住まいづくり
- 11【ゲンゴロウの“成虫”の飼育方法②】ゲンゴロウ飼育時の水質管理
- 12採集は無理?意外な生態系も ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法
- 13【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法①】幼虫の飼育はかなりデリケート?
- 14【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法②】幼虫の食べ残しで水質が悪化することも…
- 15【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法③】幼虫が成虫になるためには○○が必要?
- 16【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法④】実は超凶暴!?幼虫には○○がある
- 17【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑤】幼虫に触れるときの注意点
- 18【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑥】卵は細長いカプセル状
- 19【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑦】ゲンゴロウの幼虫は肺呼吸
- 20【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑧】ゲンゴロウの幼虫は異形?
- 21【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑨】幼虫のサイズは成虫の倍?
- 22【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑩】飼育の山場となる「蛹化」
- 23ゲンゴロウの採集方法
- 24飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ!ゲンゴロウの成虫は飛ぶ!?
- 25ゲンゴロウの種類
- 26ゲンゴロウとタガメの違いについて
- 27ゲンゴロウまとめ~空飛ぶ成虫と毒持つ幼虫の今後は…?~
ゲンゴロウの魅力
出典: http://mushinavi.com
空気を取り入れるナミゲンゴロウ
お尻を水面に出して、背中と翅の間に空気を溜めています。
ゲンゴロウは甲虫目・ゲンゴロウ科の昆虫です。
薄型で流線型のフォルムで一生懸命泳いでいる姿が可愛らしく、ペットとしても高い人気を誇ります。
しかし近年、ゲンゴロウは農地の減少や環境汚染の影響により数が減少してきています。
そのため、現在ではワイルド個体を探すハードルは非常に高くなっており、今となっては同じく絶滅危惧種のタガメと同様にペットショップなどでしかその姿をはっきりと確認することができません。
絶滅寸前?知れば知るほどデリケートなゲンゴロウの生態
出典: http://mushinavi.com
ナミゲンゴロウの泳ぐ姿
ゲンゴロウはタガメと同じく、ひと昔前までは度々見られた水生昆虫で、北は北海道から南は北九州までほぼ全国を生息地としていましたが、現在ではほとんどの都道府県で絶滅してしまい目にする機会はとても稀です。
田舎育ちの人の中にはゲンゴロウやタガメを見ると懐かしさを覚えることも少なくないでしょう。
ゲンゴロウについては「毒を持つ」「飛ぶ」「成虫よりも幼虫の方が大きい」「交尾で酸欠になる」など様々な生態が確認されています。
ゲンゴロウ独自ともいえるこれらの生態については後程詳しく掘り下げていきます。
ゲンゴロウの主な生息地
ゲンゴロウが見られる時期は4~10月となっており、春先から秋にかけて見ることができます。
元々は、水田や水辺などを主な生息地としていましたが、年々減少の一途を辿っており今となっては絶滅の危機にあります。
くどいようではありますがもう一度、ゲンゴロウの生息地は年々減少傾向にあり絶滅の危機に瀕しています。
ゲンゴロウの他にも人間の一方的な都合で生息地を奪われ絶滅の危機を迎えている昆虫類は少なくありませんが、その中でも特にゲンゴロウは絶滅危惧種の筆頭とされています。
そのため、ゲンゴロウを目撃した場所は、まだ自然環境が豊かで生態系が維持されているという目安になることもあります。
ゲンゴロウは成虫と幼虫とでも活動時期に違いが見受けられます。
成虫の寿命はとても長く、2~3年は生きるとも言われており、その気になりさえすればほぼ年間を通して発見することができます。
一方で幼虫は、夏期のみしか姿を見せず、生息地は同じですが成虫に比べても探すのがやや困難です。
ゲンゴロウの特徴
ゲンゴロウには以下ような特徴があります。
•体色は成虫は緑系の暗褐色で幼虫は褐色。
•成虫の体長は最大で40mm前後
•体の淵が黄色
•平たく流線型のフォルム
•手足に茶色いブラシのような体毛が生えている
•オスの前足には吸盤がある
•メスの背中には縦ジマがある
•危険を察知すると臭い液体を放ち外敵から身を守る
•成虫は飛ぶ
ゲンゴロウの体は黄色と緑色で、滑らかな流線型をしています。
また、目を凝らしてよく見てみると、四方に伸びる細い手足の先端付近には細かい体毛が無数に生えているのが確認できます。
ゲンゴロウは体型や手足の構造が独特なので、水の抵抗を減少でき勇壮闊達に水の中を泳ぐことができます。
ゲンゴロウのオスの前足には細かい吸盤があります。
この吸盤は交尾のときにメスの背中にへばり付いて固定する役割を持ちます。
しかし吸盤付きの前足のみでは心許なく、これだけではオス自らとメスの体とを完全に固定するにはどこか不安定です。
オスに対してメスの背中に着目すると、均等に刻まれた僅かな縦シマがあることが確認できます。
これについては、交尾の際にオスの吸盤が吸着しやすいようにメスの背中も併せて進化したという説もあります。
ゲンゴロウの餌
出典: http://mushinavi.com
刺身を食べるゲンゴロウ
刺身のような柔らかいものは大好物でよく食べます。
ゲンゴロウの生態のひとつに、成虫と幼虫とで食べる餌が異なるというものがあります。
まず成虫ですが、鋭い前足を器用に使って小魚や昆虫を捕らえて食べます。
他にも、死んでから少し時間が経過した他の生物の死骸を食べることもあります。
エサが少なくなってくると、周囲のゲンゴロウを捕らえて共食いをしてしまうこともあります。
こうしてゲンゴロウの成虫は生きたエサと死んだエサの両方を食べて暮らします。
一方で、ゲンゴロウの幼虫は生き餌のみ食べることが生態として明らかになっています。
幼虫の顔を確認すると大きな顎が鋭く発達しているのが分かります。
捕食の際には水中に潜り、牙のような鋭い大顎で獲物を仕留めるのです。
しかし、それだけでは捕食が不十分なため、麻痺性の毒も使っています。
幼虫は鋭い大顎から麻痺性の毒と消化液を獲物に送り込みます。
すると獲物の体は次第に身動きが取れなくなり溶けていきます。
こうして溶かした獲物の組織は口から吸い込んで吸収するのです。
出典: http://masizimi.blog5.fc2.com
ナミゲンゴロウの幼虫の大顎
ゲンゴロウは交尾が長い?
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ゲンゴロウの交尾
繁殖の際には、これらの吸盤やシワが重要になってくるわけですが、オスに比べてメスはかなりの苦労を強いられることになります。
ゲンゴロウの成虫は、春から夏にかけて生殖活動を行います。
交尾は主に水中で行われますが、交尾時間がとても長いのでその間の呼吸の問題が生じ、場合によっては酸欠を起こすこともあります。
酸欠が酷いとメスは弱ってそのまま死んでしまうこともあります。
ある調査では、ゲンゴロウの1回の交尾時間の平均は162分であったとされています。
そのため、前述のように酸欠を起こす可能性もあり繁殖期には交尾後のメスの死亡率が高くなる傾向があります。
酸欠を防ぐために、お尻を水面に出して呼吸をしながら交尾していることも多いようです。
外敵から身を守るため○○を発射?ゲンゴロウの意外な防衛方法
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護身用の液体を発射するゲンゴロウの貴重なワンショット
ゲンゴロウの天敵は昆虫類、爬虫類、甲殻類、鳥類と挙げれば枚挙にいとまがありません。
水中ではオタマジャクシや小魚を捕食するゲンゴロウにも敵わない天敵もたくさんいます。
まず、鳥類はゲンゴロウが陸地に上がってきた時を狙って捕食します。
水中でもカニやザリガニが生息しており、安全とは言えません。
しかし黙って捕食されるゲンゴロウではありません。
ゲンゴロウは天敵から襲われると、護身のために背中から白い体液を放出します。
この白い液体は刺激臭を放つため外敵はびっくりして怯むので、その隙をついて逃げ出します。
体液を発する部位は背中だけに留まらず、口や肛門からも発射します。
ゲンゴロウはこうして全身を臭くして天敵からの捕食を回避するのです。
人間だけでなく、鳥類や甲殻類もこの臭いには敏感なようです。
水槽の中で理想の住まいを実現!!ゲンゴロウの“成虫”の飼育方法
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以下の飼育方法でゲンゴロウの成虫を飼育してみましょう。
ゲンゴロウの飼育に必要な道具
ゲンゴロウの飼育に先立ち、以下のものを準備しましょう。
•水槽
•水草
•エアレーション
•アカムシ、刺し身
•石、流木
【ゲンゴロウの“成虫”の飼育方法①】ゲンゴロウの住まいづくり
採集してきたゲンゴロウを飼育する前に住まいづくりをしましょう。
まずは、水槽に15センチ程度水を張りましょう。
前もって水道水を汲み、日陰に置いてカルキを抜くとゲンゴロウも暮らしやすくなります。
水槽には水草も植えておきましょう。水草はゲンゴロウの呼吸補助や繁殖のときに役立ちます。
石や流木は、たまに行う甲羅干しのときに必要なので、忘れずに置きましょう。
ゲンゴロウはずっと水中にいるとカビや雑菌が体に付着することがあるので、たまに日光浴をして健康を保ちます。
水槽の周辺にはエアレーションも忘れずに常備しておきましょう。
ゲンゴロウの飼育に際しては比較的緩やかに稼働するタイプのエアレーションが適しています。
強いタイプのものを設置すると、水槽内に強い流れが発生してゲンゴロウが弱ってしまうことがあります。
ゲンゴロウは肉食で水が汚れやすいため、頻繁に水の入れ替えが必要となります。
また、ゲンゴロウの成虫は稀に飛ぶこともあるので通気性の良いもので水槽の上から蓋をしておく必要があります。
水槽の蓋は網目状になっているものがおすすめです。
水槽の中でそっくりそのまま自然の生態系を再現するのは無理がありますが、採集前の自然での暮らしに最大限近づけるのがゲンゴロウの住まいづくりのコツです。
【ゲンゴロウの“成虫”の飼育方法②】ゲンゴロウ飼育時の水質管理
ゲンゴロウの水槽には、観賞魚を飼育するときのように水道水を入れないようにしましょう。
観賞魚用の中和剤を使用してカルキ抜きをするより、自然にカルキ抜きした方がゲンゴロウにとっては快適なようです。
まずは水道水を汲み置きし、1日以上置いておきます。
水槽の中にゲンゴロウを入れる前にエアレーションも忘れずに行いましょう。
採集は無理?意外な生態系も ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法
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ナミゲンゴロウの幼虫
ゲンゴロウの幼虫を自然の中で採集することは困難を極めます。
ペットショップやホームセンターなどで幼虫を購入するか、飼育している成虫の繁殖を待つのがゲンゴロウの一般的な入手方法です。
ここでは、飼っている成虫が卵を産み、そのまま孵化して幼虫となった場合の飼育方法を解説します。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法①】幼虫の飼育はかなりデリケート?
卵や幼虫からゲンゴロウを飼育する場合、幼虫の取り扱いは非常に神経を使います。
幼虫はとても獰猛ですが、一方で神経質でもあるので注意が必要です。
まずは餌についてですが、ゲンゴロウの幼虫は生きている生物しか食べることはありません。
また、ゲンゴロウの種類やステージによっても好む餌が異なります。
1齢幼虫はミジンコ類、2齢幼虫はアカムシ(ユスリカの幼虫)、3齢ではオタマジャクシなどが中心になります。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法②】幼虫の食べ残しで水質が悪化することも…
ゲンゴロウの幼虫にエサを与え過ぎて、食べ残しをそのまま放置してしまうと水質の悪化につながります。
ゲンゴロウの幼虫は水質に関してはとても神経質です。
水槽に「ろ過装置」を設けるか、こまめに水を替える必要があります。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法③】幼虫が成虫になるためには○○が必要?
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羽化したてのナミゲンゴロウ
ゲンゴロウの幼虫は、上陸して土の中に「蛹室(ようしつ)」と呼ばれる空間を作りその中でサナギになります。
そのため、ゲンゴロウの幼虫が成虫となるためには「土」が必要になります。
護岸工事や埋め立てなどで水際をコンクリートで固められてしまうと上陸することができなかったり蛹室を作ることができずに羽化できず、成虫になることができません。
都市部の市街化もまた、ゲンゴロウの生息数が激減した理由のひとつに挙げられます。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法④】実は超凶暴!?幼虫には○○がある
ゲンゴロウの幼虫の大顎がどれほどの咬筋力を秘めているのか気になる人も多いことでしょう。
実はゲンゴロウの幼虫は毒を持っているので噛ませるのはとても危険です。
ふとした瞬間、指を噛ませて威力を試してみたくなることもあるかもしれませんが、幼虫の大顎は鋭く毒を注入されることもあります。
幼虫は成虫とは違い硬度もなく体が大きい分、他の生物からも狙われやすいので、厳しい自然の生態系の中で生き残るためにも毒を持って毒を制すために毒を授かったのでしょうが、くれぐれも幼虫を指や手の平に乗せるのは絶対に止めましょう。
噛まれた部分の組織が腫れたり壊死するなどの症状も確認されています。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑤】幼虫に触れるときの注意点
前述のように、ゲンゴロウの幼虫は有毒性のため、捕まえる際にはゴム手袋を装着するなど噛まれないように細心の注意を払いましょう。
ちなみに成虫は咬筋力はあるものの毒はありません。
ただし、毒を持たない成虫であっても噛まれるとそれなりに痛いです。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑥】卵は細長いカプセル状
ゲンゴロウのメスは太い水草の茎をかじって穴を開け、その茎の内部に1~2個の卵を産みつけていきます。
ゲンゴロウの卵は幼虫の形に似ており細長いカプセル状をしています。
ゲンゴロウのメスの尾の先端には出し入れが可能な産卵管があります。
これは他の昆虫と異なり針状ではなく平たい形状をしており、おそらくはゲンゴロウの産卵方法と卵の形状に即したものと思われます。
ちなみにゲンゴロウのメスは年間で20~30個ほどの卵を産むとも言われています。
ゲンゴロウのメスは繁殖期になると2度ほど交尾しますが、それだけで多くの精子を蓄えることができるので、シーズンを通じて受精卵を産み続けることが可能なのです。
小型の種類の中には、水草の表面などに数十個の卵を塊で産みつける個体もいます。
出典: http://blog.goo.ne.jp
ゲンゴロウの卵
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑦】ゲンゴロウの幼虫は肺呼吸
産みつけられた卵は約2週間前後の期間を経て孵化します。
卵から孵ったゲンゴロウの幼虫は、そのまま水の中に入りサナギになるまでの間を水中で生活します。
幼虫は成虫と同様に水中を生活の場とし肺呼吸をして生きています。
尾部にある気門と呼ばれる部位を水面から出し気管の中に空気を取り込んでいます。
ゲンゴロウの幼虫は、より体質に適した水深で活動をしているのです。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑧】ゲンゴロウの幼虫は異形?
出典: http://www.jyukunen.net
野口五郎
【プロフィール】
生態:芸能界という不本意な生態系の中で生活している。毒は持たないが、その筋の世界で生き抜くための最低限度の毒舌は持ち合わせている。卵から孵化することはない。
飼育方法:3LDK~一軒家での放し飼い推奨
採集方法:ほぼ不可能に近い。無理に採集しようとすると、あらゆる危険が伴う。
ゲンゴロウとの違い:五郎は人間だが、ゲンゴロウではない。
ゲンゴロウの幼虫は成虫とは似ても似つかず、長いケムシや短いムカデのような細長い形状をしています。
成虫と幼虫は、ゲンゴロウと野口五郎と同じくらい全く似ていません。
むしろこの異形の水生昆虫が、あのユーモラスで愛嬌のあるゲンゴロウの成虫になるとは思えないほどです。
ゲンゴロウの幼虫は6つの単眼を持ち触角が数本以上伸びており、頭部にはクワガタや兵隊アリのような大きなハサミ状の突出した大アゴがあります。
かなり目立つので凶暴な印象を受けるでしょう。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑨】幼虫のサイズは成虫の倍?
出典: http://masizimi.blog5.fc2.com
ナミゲンゴロウの2齢幼虫
10円玉と比較してもこの大きさです。
卵から孵化したゲンゴロウの幼虫は、水中で脱皮を繰り返しながら大きくなります。
終齢(3齢)幼虫になる頃には体長8cm程度に成長します。
最終的に、幼虫は成虫の2倍ほどの大きさになります。
【ゲンゴロウの“幼虫”の飼育方法⑩】飼育の山場となる「蛹化」
ゲンゴロウの幼虫を飼育するにあたり佳境となるのは蛹化(ようか)です。
ゲンゴロウは無事に蛹化できるかどうかで成虫になれるかどうかがほぼ決まります。
ゲンゴロウの最終齢(3齢)幼虫は蛹化が近付くと餌をまったく食べなくなります。
それをサインとして、同じ水槽内に蛹室を作るための土(カブトムシ・クワガタ用の昆虫シートでも可能)を投入するか、もしくは別に準備した水槽に移し替える必要があります。
ゲンゴロウの幼虫は水から上がると、程なくしてサナギになるための準備を陸上で行います。
ゲンゴロウの幼虫は、土中に穴を掘って蛹室を作り、その中でサナギになり羽化の時を待ちます。
羽化は蛹室内で行われるので、自然の中で直接目にすることはできませんが、飼育下であるならその様子の一部を観察できる機会は必ずあります。
蛹化に近づいた幼虫はいつまでも上陸できずに2~3日が経過すると死んでしまうこともあるので、そのサインを見逃さないようにしましょう。
ゲンゴロウの採集方法
出典: https://imp.webike.net
まずはゲンゴロウの生息地を探します。
土や水草がある水辺に注目してみましょう。
ちょうどその周辺がゲンゴロウの成長や繁殖が行いやすい生息地となっており、たくさんの種類のゲンゴロウが絶滅することなく生息しています。
ある程度ゲンゴロウの生息地を探しあてたら、今度はゆっくり網を川下からすくい上げましょう。
なかなかゲンゴロウが見付けられないときには罠を仕掛けてみるのもおすすめの採集方法です。
ゲンゴロウは嗅覚がとても優れており、水中で他の生き物の体液による臭いを敏感に察知することができます。
これを逆手にとってゲンゴロウをおびき寄せるためのトラップを仕掛けます。
罠作りは糸に肉を括り、流れが緩やかな水中にひと晩放置しておくだけなので簡単です。
肉は少し叩いて組織を傷め、水中で臭いが広がりやすくします。
ゲンゴロウは夜行性のため、夜になると餌を求めて頻繁に泳いで移動を繰り返すので、翌日に網ですくいます。
罠にはゲンゴロウだけでなく、タガメやカエルなども一緒に掛かっていることもあります。
罠に使った道具は捕獲後にしっかりと片付けましょう。
水中の汚染はゲンゴロウの減少に更なる拍車をかけることにも繋がるので気を付けてください。
採集には、水槽のかわりに小瓶を持っていくのも良いですが、酸欠を防ぐためにもゲンゴロウを入れた瓶にはくれぐれもキャップや蓋をしないようにしましょう。
ゲンゴロウの生息地は無限大ではありません。
採集したゲンゴロウは絶滅危惧種なので責任を持って飼育しましょう。
飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ!ゲンゴロウの成虫は飛ぶ!?
出典: https://www.goo.ne.jp
ゲンゴロウが飛ぶ瞬間
勢いよく飛ぶゲンゴロウ
ゲンゴロウが飛ぶシーンを見たことはありますか。
これはゲンゴロウの飛ぶ姿をカメラが捉えた決定的の瞬間です。
ゲンゴロウは角度を付けて跳ねるようによく飛ぶという目撃情報もあります。
カブトムシやクワガタ、セミなどの昆虫が飛ぶのはよく見かけますが、絶滅危惧種のゲンゴロウが飛ぶ瞬間というのは今となっては貴重です。
人生で一度は、ゲンゴロウが飛ぶ瞬間に立ち会いたいものですね。
ゲンゴロウの種類
国内で確認されているゲンゴロウの代表的な種類を一部紹介します。
出典: http://mushikiti-2.blog.so-net.ne.jp
ゲンゴロウの種類①ナミゲンゴロウ
述中でも度々登場した国内最大級のナミゲンゴロウ。
ゲンゴロウの中でも最もポピュラーな種類です。
出典: http://mushi.didi-oto.com
ゲンゴロウの種類②ハイイロゲンゴロウ
小さくてとても可愛らしいゲンゴロウです。
小柄な種類ですが、水中ではとても速く泳ぎます。
すばしっこく逃げるため、採集に関しての難易度は他の種類のゲンゴロウよりはやや高めです。
出典: http://gengoro.info
ゲンゴロウの種類③エゾゲンゴロウモドキ
ナミゲンゴロウととてもよく似ていますが、ナミゲンゴロウよりも少しだけ小さい種類です。
出典: http://gengoro.info
ゲンゴロウの種類④シャープゲンゴロウモドキ
頭部に【^】マークが見られます。
出典: http://ganbo.cocolog-nifty.com
ゲンゴロウの種類⑤クロゲンゴロウ
ナミゲンゴロウと同様に、全国的にもよく見られる種類です。
生息地はナミゲンゴロウとほぼ同じなので、一緒に採集することが可能です。一方で、厳しい自然の生態系の中にあって絶滅が危惧されています。
出典: http://www.tajima.or.jp
ゲンゴロウの種類⑥ヒメゲンゴロウ
とても小さなゲンゴロウです。
ナミゲンゴロウなどをはじめとする他のゲンゴロウと同様に、生息地の体数自体はとても多いですが、絶滅が危惧されています。
出典: http://www.tajima.or.jp
ゲンゴロウの種類⑦シマゲンゴロウ
身体に縞模様があるのが特徴です。
ナミゲンゴロウなどをはじめとする他のゲンゴロウと同様に、生息地の体数自体はとても多いですが、絶滅が危惧されています。
出典: http://www.tajima.or.jp
ゲンゴロウの種類⑧マルガタゲンゴロウ
小さなゲンゴロウです。
ナミゲンゴロウなどをはじめとする他のゲンゴロウと同様に、生息地の体数自体はとても多いですが、絶滅が危惧されています。
出典: http://www.tajima.or.jp
ゲンゴロウの種類⑨ヒメゲンゴロウ
ナミゲンゴロウなどをはじめとする他のゲンゴロウと同様に、生息地の体数自体はとても多いですが絶滅が危惧されています。
小さい見た目に反して採集はしやすいです。
出典: http://www.doubutsu-no-kuni.net
ゲンゴロウの種類⑩マルチビゲンゴロウ
チビゲンゴロウよりも更にひとまわり小さなゲンゴロウで体長1.5mmほどです。
比較的採集しやすいですが、生息地の体数は多いですが、他のゲンゴロウと同じように絶滅が危惧されています。
ゲンゴロウとタガメの違いについて
最後にゲンゴロウとタガメの違いについて解説します。
タガメもゲンゴロウと同じく、今では絶滅危惧II類(環境省レッドリスト)に指定されています。
タガメとゲンゴロウは生態も似ているため同列に語られることが多いですが、最大の違いは臭いと凶暴性です。
ゲンゴロウは危険を察知すると刺激臭のする体液を放ちますが、タガメはそういったことはしません。
しかし、タガメは毒こそ持っていないものの、餌を捕獲するときに見た目通りにその凶暴性を発揮します。
タガメは通称「水中のギャング」とも呼ばれ、小魚だけでなくカエルやカメやネズミ、あまつさえヘビさえも捕食することもあります。
「ゲンゴロウは凶暴ではないが臭い」「タガメは臭くはないが凶暴」という風に覚えておきましょう。
出典: http://karapaia.com
生きたヘビを捕食するタガメ
ゲンゴロウまとめ~空飛ぶ成虫と毒持つ幼虫の今後は…?~
出典: http://www.doubutsu-no-kuni.net
ゲンゴロウは国内だけでもおよそ130種類の個体が確認されています。
しかし、自然破壊や都市化による水田の減少、ブラックバスの放流などにより個体数は激減の一途を辿り、今や絶滅の危機に瀕しています。
都市化に年々拍車がかかる一方で、現在となっては貴重なタガメやゲンゴロウをはじめとする様々な水生昆虫の生態系を崩さないためにも、緑豊かな自然環境との調和が今後の人類の課題となりそうです。