2021年09月09日公開
2021年09月09日更新
江戸時代のリサイクルのシステムが秀逸すぎる!徹底されたエコ社会
江戸時代で行われていたリサイクルのシステムは、現代社会から見ても非常に優れたものだったといいます。現代のリサイクルショップの原型ともいえる江戸時代のリサイクルシステムとは一体どんな物だったのか?今回は江戸時代のリサイクルショップについてご紹介します!
目次
江戸時代のリサイクルシステムはリサイクルショップの原型!
出典: http://www.edojidai.info
現代から遥か昔、江戸時代で行われていたリサイクルショップの原型ともいえるリサイクルシステムは、現代社会から見ても非常に優れており、私たちが見習うべき考え方や方法が多くあったそうです。
では江戸時代のリサイクルショップや、リサイクルに関わる職業や方法にはどんなものがあったのでしょうか?
今回はそんな江戸時代のリサイクルシステムについて調べてみたいと思います。
江戸時代は分業リサイクルショップが豊富だった
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江戸は当時の世界の主要都市に比べても非常に人口の多い街だったそうです。それにも関わらず江戸の街は非常に綺麗で道にはゴミが落ちておらず、来日した外国人たちもその清潔さに驚いていたのだそうです。そんな清潔な街を生み出したのは、現代社会よりもはるかにエコ社会として発達し、リサイクルを扱う職業が非常に細かく分かれゴミをゴミとして扱わなかった精神が生み出したものでした。では、実際にはリサイクルを営む職業にはどんなものがあったのでしょうか?
江戸時代のリサイクルショップ①:献残屋
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現代社会でいうところのリサイクルショップに一番近いのは、この「献残屋」という職業です。献残屋では、主に進物品を取り扱っていました。進物品とは、現代社会では知り合いのお宅に訪問する際に持っていく手土産のようなもので、江戸時代では、武士などの上流階級でこの進物品を利用していました。
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進物品は、現代社会と同じように食べ物が送られていましたがその内容は干し鮑やナマコ、カラスミなどの高級食材だったそうです。江戸時代には上流階級の武家などにこういった品が送られることが多く、一家だけでは食べられない量になってしまうこともよくあったので、余った食材を引き受け買いとっていたのが献残屋でした。
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献残屋とは、文字通り「献上品」の「残り」を売る店という意味で、進物品を買う人もこの献残屋を利用したために同じ商品がダメになってしまうまでぐるぐると使いまわされていた可能性もあるのだそうです。こういった献上物の不毛さは現代とあまり変わりなかったようですが、賢いリサイクル方法ではありますね。
江戸時代のリサイクルショップ②:焼継師
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次の職業は器の補修を行った「焼継師(やきつぎし)」です。割れたり欠けたりしてしまった瀬戸物や漆器などはこの焼継師と言われる人々が修復していたのだそうです。上の画像は東京の新宿区に出土した焼き継ぎをされた器なのですが、この焼き継ぎの方法には白玉粉が使われていました。
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しかし、この白玉粉は食用の物ではなく鉛ガラスのことを指します。この方法では鉛ガラスや擦り込み用の土で器を固定してからもう一度器を焼くことによって解けたガラスが接着するのでもう一度使えるようになったようです。この焼継師は当時とても人気の職業だっため、焼継師のせいで瀬戸物屋が減ったとまで言われているそうです。
江戸時代のリサイクルショップ③:鋳掛屋
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次は鋳物を修復する職業「鋳掛屋」です。江戸時代の鍋や釜は基本的に鉄を溶かす方法で製造されていましたが、当時の技術ではどうしても小さな空洞部分ができてしまい、ヒビが入ったり、穴が開いてしまうことがよくあったのだそうです。しかし、当時鉄製の鍋や釜も貴重品であったためにヒビが入ったくらいでゴミにすることもできないので鋳掛屋のような職業が存在しました。
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鋳掛屋は、鉄の破片をふいごなどで溶かしてヒビが入ったり穴が開いた箇所に掛ける方法で鍋や釜を修復しました。鋳掛屋という名前はこの鋳(とかす)掛(かける)という方法から名づけられたそうです。この職業は大正や明治になっても続き重宝されていました。
江戸時代のリサイクルショップ④:紙くず買い・紙くず拾い
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次の職業は「紙くず買い・紙くず拾い」です。江戸時代では、紙も貴重なものだったため、徹底的にリサイクルがされていました。紙くず買いは現代で言う古本屋の買い取りを専門に行っていた職業で、使用済の紙や本、帳面などを民家から買い集め古い紙や本を売っている店に卸していました。また、紙くず買いは古い着物や鉄くずなども買い取っていたようです。
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古い本や紙を買い取った店では、それを今でいう再生紙としてよみがえらせて、高級なものは本や紙として、安いものはチリ紙などに再利用していたそうです。また買い取りを行う紙くず買いとは別の職業として紙くず拾いという職業がありました。こちらは道に落ちている、まさにゴミのような紙を拾い集めて同じく古い紙や本を扱うお店に売っていたようです。
江戸時代のリサイクルショップ⑤:古着屋
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現代と同じように、江戸時代にも着物を扱う古着屋さんはありました。着物は上で紹介したような瀬戸物や釜、紙・本などと同様に貴重なものでした。そのため、古い着物が買える古着屋は新品の着物が買えない庶民にとって重要な存在でした。全盛期には古い着物を扱う店は3000店にも及んだそうで、上の図のように古着屋が密集した場所も存在し繁盛していたようです。
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武家に奉公している女中などは給料の他にボーナスとして着物をもらっていたそうで、そういった高級な着物が横流しされていた他、ふんどしなども染め直しをされて売られていたのだそうです。布は貴重な資源だったため、徹底的に再利用されました。ぼろぼろになった着物は子供用に、それもぼろぼろになったら雑巾やおしめに、そして使いこまれた雑巾やおしめは燃やして灰にされたのですが、この灰すらも利用されていました。ゴミをゴミとしないリサイクル方法は驚くばかりですね。
江戸時代のリサイクルショップ⑥:灰買い屋
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江戸時代では、布を燃やした灰以外にも、火を起こす燃料として木や藁を使用していたため、竈からはたくさんの灰を集めることができました。灰買い屋は家で出るこの灰を集めて必要としている業者に売ることで商売を成立させていました。また、灰買いはいつも灰を取り扱っているため髪が真っ白で若い人でも老人の様に見えたそうです。
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灰はアルカリ性であるために、土壌を中和するための肥料や着物の色抜き、また石鹸の代わりにもなるため洗剤として利用されてた他、それ以外にも様々なものに活用されていたようです。ゴミを最後の最後まで利用しつくす江戸時代の日本人の知恵ですね。
江戸時代のリサイクルショップ⑦:下肥買い
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江戸時代でリサイクルされていたのはゴミだけではありません。人間の排泄物も同様でした。「下肥(しもごえ)買い」は近隣のトイレを回って排泄物を集めて、それを肥料として使いたい農家に売っていました。また肥料と農作物を交換することもあったようです。その肥料で育った農作物はまた人間に食べられ排泄物として循環していくのですから、実に無駄のないシステムです。
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長屋などの賃貸物件では、大家さんが住人たちの排泄物の代金を受け取ることができ、その金額だけでもかなり儲かっていたようです。また、排泄物にはランクが存在したようで、上流階級の人々の排泄物は高価な値段が付けられていたそうです。
江戸時代のリサイクルショップ⑧:蝋燭の流れ買い
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江戸時代には蝋燭を使って流れ出たロウですら買い取る職業が存在しました。江戸時代では蝋燭は非常に貴重で高価なものだったため菜種油に火をつけることすら庶民には難しいことだったそうです。時代劇などで庶民が蝋燭を使っている場面などは本来ありえないことなのですね。夜明るい場所にいることは、もうそれ自体が非常に贅沢なことだったのです。
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庶民も一応夜明かりをつけることができたそうなのですが、基本的に使われる道具は行燈(あんどん)と言われる上の図のような現代では間接照明に使われているようなものです。もちろん明るさは現在のものとは比べ物にならないほど暗く、その明るさは蝋燭の60分の1しかなかったそうです。
また、その明かりを燃やす油も菜種油すら使うことはできなかったので、当時安く売られていたニシンやサンマの油を使っていました。しかしこの油は菜種油に比べて非常に匂いが強く、悪臭を我慢しなければなりませんでした。そのため、江戸時代の庶民は基本的に就寝時間は非常に早かったようです。
江戸時代のリサイクルショップ⑨:すき髪買い
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もう一つ江戸時代に買い取られていた驚きのものでは「髪の毛」があります。その業者は「おちゃない」と呼ばれ、女性が髪をすいた際に出る抜け毛を集めて買い取っていたそうです。江戸時代の女性は身分を問わず髪を結いあげており、特に上流階級の女性は儀式などでかつらを使用していました。このかつらは「かもじ」といわれるものですが、この原料となったのが女性たちから抜け落ちた髪の毛なのだそうです。
まとめ:江戸時代のリサイクルシステムは見習うべき!
近年、現代社会においてもエコはブームの兆しをみせていますが、江戸時代の無駄のないリサイクルシステムを見てしまうと現代はまだまだリサイクルシステムに改善の余地があるように思えますね。また、現代は新しい商品が次々と出てきており、少し使っただけですぐに捨ててしまう人も多くいるように感じます。私たちは一度立ち返って江戸時代のリサイクルシステムを見習うべきなのかもしれません。