2021年09月09日公開
2021年09月09日更新
『バイオスフィア2計画』地球を模した閉鎖空間での生活とは?【実験】
バイオスフィア2計画とは一体何か? 地球を模した閉鎖空間での生活実験と言われている、バイオスフィア2計画。その普通なら聞き慣れない単語の意味と意義、そして失敗してしまったとされるバイオスフィア2計画で行われた実験を解説します
目次
バイオスフィア2計画 壮大な計画と失敗
出典: http://www.miraikan.jst.go.jp
バイオスフィア2計画、人間たちが地球と同じ環境を作れるか?!というコンセプトから始まった、閉鎖空間における長期滞在実験です。
その中で起きた出来事と生活、バイオスフィア2計画の顛末などをまとめます。
バイオスフィア2計画とは一体何か?
バイオスフィア2計画は、宇宙時代の計画
出典: https://ameblo.jp
バイオスフィア、某TVゲームに出てきそうな名称のこの計画。これはアポロ計画で人間が宇宙へ行って以来盛んになった、宇宙開発とまた関係する次代の計画です。
もし地球で人が暮らせなくなった時、火星など、人間が暮らせそうな環境を持つ惑星に移住し、地球と同じような自然などを持ち込めるかといった計画でした。
バイオスフィア1は一体?
出典: https://grapee.jp
バイオスフィア1は地球のことを指します。第二の地球を作り出そうという計画がバイオスフィア2計画なのです。
バランスドアクアリウム?よく語られる水槽での自給自足生育
出典: http://www.warabeneko.com
水槽の中に一種の生態系を作る!それがバランスドアクアリウム
水槽の水替えの必要ほとんどなし!それがバランスドアクアリウム
魚を飼っている人なら聞いたことがあるかもしれない単語、バランスドアクアリウム。これは水槽の中に一種の生態系を作ってしまおうという考え方です。
メリットは水替えの必要がほとんどないということです。デメリットは、熱帯魚や水草や餌といったもののバランスをしっかり考えないと成立せず、かなり難しい飼育となってしまうことです。
一般的にはバランスドアクアリウムで水槽に居る熱帯魚の数はかなり少ないようです。
出典: https://ja.wikipedia.org
水槽レベルを一気に地球規模にしたのがバイオスフィア2計画?
その水槽でやっていたことを地球規模にまでしてしまったのがバイオスフィア2計画ということになります。そう言われるとその後の実験の顛末が何となく予想できてしまいますが……。
バイオスフィア2計画に参加した8人の科学者
出典: http://www.huffingtonpost.com
バイオスフィア2計画に参加した8人の科学者たち
アビゲール・アリー、ロイ・ウォルフォード、ジェーン・ポインター、リンダ・レイ、マーク・ネルソン、サリー・シルバーストーン、マーク・バンツリオット、ターバー・マッカラムという8人の科学者たちが参加した、このバイオスフィア2計画。
100年の継続を目標とし、2年ごとに科学者が入れ替わり、閉鎖空間での生活実験を行うというものだったようです。その第一陣がこの8名です。
地球を模した閉鎖空間での生活
ゴキブリが大量発生?!
出典: https://ja.wikipedia.org
ゴキブリが大量発生?!
人間が住める環境なら俺たちだって!となったかどうかは定かではありませんが、バイオスフィア2のドーム内でゴキブリが大量発生!
ゴキブリが大量発生したのは、どうもバイオスフィア2に使用する巨大な水槽のような建造物を作る際に紛れ込んでいたゴキブリがその繁殖力で大量に発生してしまったというのが真実のようです
人間が住める環境なのですから、ゴキブリにとっては快適だったかもしれません。
大量ってどれくらいですかね……個人的にはゴキブリが大量発生したところで暮らしたくはないです。
バイオスフィア内で最初に絶滅したのは豚?!その理由は
出典: http://www.irasutoya.com
恒久的な食糧不足に見舞われる
日照不足や大気にすら自給自足であるため、その自律バランスをうまく保つことができず、作物はあまり採れず、豚は人間とほとんど同じものを食べるため、飼育できずにさっさと始末して豚肉を食べてしまったそうです。
稀にコーヒーなどの嗜好品が採れた時は狂喜乱舞だったそうです。
結果は失敗に終わったバイオスフィア2計画
予算不足で終了したとされるバイオスフィア2計画
出典: http://kisha-poppou.com
話を聞いている限りでもたしかに莫大な予算が必要とされるのはたしかなバイオスフィア2計画。予算不足により計画が終了してしまったというのは妥当なようにも思えます。
しかし予算面というのは最初から予想ができたこと。その他にも大きな要因があったとされています。
原因は酸素不足?!
出典: http://lamont.hatenablog.com
富士登山で酸素ボンベを吸う人
もちろんこんな便利グッズはこの閉鎖空間には存在しない!
酸素が不足し続けたおかげで、食料の自給がままならなかったばかりか、実験者たちの身体にも影響が出てしまいました。最後の方では動くのもままならないほど厳しくなってしまい、明らかにこのバイオスフィア2計画は失敗と言える状態となってしまいました。
酸素不足は土中の微生物の働きで、酸素がどんどん消費されていってしまったというのが大きな要因と言われています。そしてその酸素を作り出す方法についても大きな問題がありました。
酸素を作るのは森だけじゃない!
出典: https://divnil.com
酸素を作り出すのは光合成であるのはご存知だと思います。そしてそれを行うのが植物であることも。しかしそれは森だけではなく海からも作り出されるということを、計画者達は知らなかったのか、バイオスフィア2のドーム内は森がやたらと多く、海を模したプールは小さいものとなっていました。
そもそも地球の大部分は海であるため、その時点でおかしな話ですが、酸素を生み出すという面でも不利に働いてしまいました。実は地球の酸素の3分の2は海から作り出されています。しかしバイオスフィア2のドーム内は森ばかり、うまく行くはずもありません。
二酸化炭素がコンクリートに吸収されてしまい、二酸化炭素まで不足してしまったようで、慢性的な酸素不足に陥りました。
更に個人的ないさかいもあった?
出典: https://blogs.yahoo.co.jp
閉鎖空間にたった8人での生活。たった8人である故に、この8人は一致団結するしか、長期滞在は成しえないのですが、やはり仲間割れが起きてしまったようです。
人間、万事うまく行っている時は多少のことは気になりませんが、先の酸素不足やゴキブリなどのトラブルもあり、全員がイライラしてしまったようです。
我々8人は素晴らしい関係を築けると思っていた……
出典: http://shelline-oblate.cocolog-nifty.com
長期滞在中、様々なアクシデントに見舞われて段々関係が悪くなっていた実験のメンバーたち。どうも男女一組と男女一組で言い争っていたらしく、痴情の縺れもあったのではと言われています。
2年にも渡る閉鎖空間での長期滞在の生活実験ですから、恋の花咲くこともあるでしょうが、縺れてしまえば話は変わってきます。
生活環境を整えるだけの話なら、やはり同性同士で組ませた方がいいのかもしれません。移住が開始され、生活が始まるのならばそうではないのでしょうが……。
バイオスフィア2計画の実験の裏には?
発案者が金持ちのボンボンで道楽だった?!
出典: http://bokete.jp
エド・バースという20億ドルもの資産を持つボンボンが出資した長期滞在実験がバイオスフィア2とされています
どうもこのバイオスフィア2計画自体、金持ち息子が何かに影響されて、意識高い系の人になってしまい第二の地球を作る実験をしようと思い付きで始めたものと言われているようです。
たしかにそれならば、地球環境を思いっきり無視した割合の閉鎖空間での環境など、杜撰すぎる実験経過も納得行く気はしますね。
科学者というのもかなり怪しい経歴らしい
出典: http://news4vip.livedoor.biz
エド・バースの立ち上げたコミューンの仲間が8名の科学者として立ち上がったものの、怪しい経歴とどこの大学かもよく分からない、怪しげな人物ばかりだったりするらしい
バイオスフィア2計画に参加した8人の科学者というのも、計画者の友人の科学者を集めたというのですが、それもどうも経歴が怪しかったりしているそうです。
まあ閉鎖空間での長期滞在実験。自給自足であるためある程度の知識は必要ですが、サバイバルの能力があるのであれば、学歴も関係はないでしょうが、詐称してたというのならまた話は変わってきますね……。
バイオスフィア2計画の舞台となった場所は……?
出典: http://monotsukuri.net
バイオスフィア2の建物が建てられたのはアメリカのアリゾナ州オラクルという砂漠地帯でした。
出典: http://karapaia.com
アリゾナ州 オラクルで検索すると、バイオスフィア2の建物が出てきます。それほど有名な計画であったということですね。
出典: http://www.japanstudyabroad.org
コロンビア大学に1995年に移譲され、1200人が生態系を学んだとされています。
出典: https://ja.wikipedia.org
2007年からはアリゾナ大学が利用しているそうです。
しかし宇宙開発の実験に役立っている部分はあるそうだ!
出典: http://comspo.net
失敗は成功の母とも言われる……
結果的にバイオスフィア2計画自体は失敗という結果に終わりましたが、2年もの長期滞在実験はその後、宇宙開発に大きな影響を与えたと言われています。
出典: http://spacemgz-telstar.com
コンセプト自体は悪くなかった
惑星にも寿命というものが遅かれ早かれあります。そのため人類は他の星に移住できるかを研究しています。
今現在最も地球環境に近いとされている火星でさえ、そのままでは人間は暮らせません。そのため、地球環境を自給自足するということ自体は間違ってはいませんでした。
そのため長期滞在実験で得たデータは宇宙開発に役立てられているようです。
しかしまあいきなり巨大ドームで実験を行ってしまったというのが間違いだったのかもしれませんね。
100年は行うと豪語したバイオスフィア2計画は2年で頓挫し
100年は行うと計画したバイオスフィア2計画でしたが、最初の2年で頓挫してしまいました。杜撰な計画もあり、何か胡散臭い話もあり、そして失敗してしまい、何やら怪しげな実験として扱われていますが、その後宇宙開発にとりあえず役に立っているとされているので、全くの無駄とはなりませんでした。
簡単に地球環境レベルのものを作り出せるのなら、昨今の環境破壊だってたいして騒がれないでしょうし、失敗は当然と言えば当然なのかもしれません。
しかしこれにめげず、科学者たちは新たな探求に向かっていると思います。その結果を我々は見ることができるか否かは分かりませんが、その後の発展を期待したいですね!