2021年09月09日公開
2021年09月09日更新
地面が陥没「シンクホール」が怖すぎ!巨大な穴の発生原因や深さとは?
もし、突然地面が陥没して巨大な穴ができたらどうなってしまうのでしょう。その巨大な穴、シンクホールは家や車、人も飲み込んでしまうことがあります。地面が陥没して起きるシンクホールの原因や深さ、世界や日本での事例、そして異常気象の関係などについて見ていきましょう。
目次
巨大な穴~シンクホール~
出典: https://ameblo.jp
大きな穴は死海の海岸にあるシンクホールです。水がたまって塩ができています。
シンクホールとは、地面が崩れることによって発生する巨大な穴のことをいいます。
自然に発生することもあれば、人為的なものによって発生することがありますが、予測が難しくほぼ突発的に発生します。
そのため、建っている家や建物が崩れたりすることがあります。
道路で発生すれば、走っている車が穴に転落してしまうこともあります。
また人が転落することもあり、これまで死亡例や行方不明例もあります。
そしてシンクホールは湖や海底、砂浜などでも発生します。
このようにシンクホールは人々の生活を脅かす面があります。
シンクホールの大きさ・深さ
穴の大きさは数メートル、巨大なものでは約500メートルに及びます。
深さも数メートル、巨大なものでは約300メートルに及び、底が分からないものが多いです。
形は巨大な筒状のような穴が特徴的です。
シンクホールは世界各地で見られるのですが、中には穴が拡大し続けているものもあります。
出典: http://119110.seesaa.net
巨大な穴は、ロシア・ペルミ地方のソリカムスクで2014年11月に発生したシンクホールです。
発生してから穴が拡大し続けています。
シンクホールの原因
シンクホールの原因は大きく分けて2つあります。
自然と地面が陥没するケースと人為的な要因で地面が陥没するケースです。
自然と地面が陥没するケース
雨水や地下水の浸食によって石灰岩にできた空洞を鍾乳洞と言います。
石灰岩の岩盤が地下水によって浸食されるなどして起こると、その部分が空洞になります。
その時地面の表層部分が崩落すると、大きな穴が発生します。それがシンクホールです。
石灰岩の台地が載っているカルスト台地では、雨水や地下水などが主に岩石の割れ目に沿って染みこんでいくので、その周囲は石灰質が溶けていきます。
ちなみにカルスト台地というのは、石灰岩の台地がスロベニア北西部のカルスト地方に多いことからです。
世界各地で見られるシンクホールには、こうしたカルスト台地で見られるものもあります。
人為的な要因で地面が陥没するケース
廃鉱山施設のイメージ画像です。
鉱山や採石場では採掘のために人為的に多数の坑道が掘られますが、廃鉱後はその空洞が残されたままになります。
その後地下水などの流入によって空洞の上の部分が突然陥没して、巨大な穴が発生することもあります。
また、道路中の上下水道の老朽化などによる漏水によって陥没することもあったり、地下工事が原因で陥没することもあります。
このようにシンクホールは人為的なケースでも発生します。
世界のシンクホールに関する事例
出典: https://blogs.yahoo.co.jp
2011年のイスラエルのエン・ゲティ近郊にあるシンクホールです。
複数確認されます。
世界各地にはシンクホールが数多く存在しています。
中東の死海周辺には1980年代にシンクホールが現われ、1990年までに40個のシンクホールが確認されました。その後は穴の数は増え続け、現在では死海の西にあるイスラエル側でも約3000個以上のシンクホールがあるそうです。
なお、死海の周辺では1日1個シンクホールができているので、将来的に穴だらけになって、住むところがなくなったりするなどして生活が成り立たなくなる可能性があります。
アメリカ・フロリダで地面が陥没して発生したシンクホール
フロリダのイメージ画像です。
アメリカフロリダ州の中部にあるアポップカで、2017年の9月18日にシンクホールが発生しました。
民家の地面が突然陥没し、巨大な穴に寝室の壁や浴室など家の一部が飲み込まれました。
穴の大きさは直径約6メートル、深さは約4.5メートルです。
フロリダ半島はフロリダ・プラットフォームと呼ばれる岩盤の上にカルスト台地が載っている構造になっているため、アメリカでもシンクホールが起きやすい地域として知られています。
中国・東莞市で地面が陥没して発生したシンクホール
中国の広東省東莞市の都市部で、2015年の8月13日、大規模なシンクホールが発生しました。
現場では地下鉄の工事が行われていましたが、このシンクホールによって1人が亡くなり、数千人が避難したようですが、被害者の正確な数は不明です。
地面が陥没して、発生したシンクホールは80平方メートルの穴でしたが、同じ場所にさらに300平方メートルの巨大な穴ができました。
日本のシンクホールに関する事例
出典: https://madonnayumiko.com
愛知県の春日井市にある公園で、2015年3月に発見されたシンクホールです。
この場所は戦前、亜炭鉱の採掘区域だったそうです。
これまでは世界各地のシンクホールのほんの一部を見てきましたが、日本でもシンクホールに関する事例があります。
日本では炭鉱などの鉱山の跡や採石場の跡、地下工事などが関係するシンクホールが多いです。
上下水道管の老朽化によって道路が陥没するケースが年間で約3000から4000件ありますが、陥没の深さはだいたい50センチメートル未満です。
福岡市で地面が陥没して発生したシンクホール
日本で発生したシンクホールと聞いて、ご想像された方もいたのではないでしょうか。
2016年の11月18日早朝、JR博多駅前の道路が突然音を上げて大陥没を起こしました。
路面の2カ所が縦約10メートル、横約15メートルにわたって崩れ、徐々にその周囲も崩れていきました。
路面だけではなく、歩道や信号機なども地中に飲み込まれていきました。
陥没は長さ約30メートル、幅約27メートル、そして深さは約15メートルまで広がってしまいました。
一時周囲に避難勧告が出て、停電やガス漏れなどが発生しました。
しかしその後復旧工事が早々と進み、水道や電気などのライフラインや道路は約1週間くらいで完了し、通行が可能になりました。
当時この地下では地下鉄の延伸工事が行われていて、地下掘削中に地下水が発生して工事を中止した後に、崩落が起きています。
原因は地中の岩石層の強度厚さの脆弱性、地下水の高い水圧といった自然的要因と、地下鉄工事の施工方法の問題といった人為的要因の両方がありました。
しかしこれだけの大規模の陥没にもかかわらず、陥没に巻き込まれた車や人はおらず、人的被害はありませんでした。
自然の驚異とシンクホール
グアムの水中にあるブルーホールです。周りの岩場により、ハートに見えます。
シンクホールは人々の居住地域だけではなく、もちろん海底や湖などといった、自然環境のもとにも存在します。
ここでは、自然が造り出したシンクホールの驚異について見ていきます。
アメリカ・ルイジアナの湖
アメリカルイジアナ州にある湖で底なし湖とも呼べるような驚くべきことが起きました。
動画の画面中央に映っていた10本近くの木が突然沈下していったと思ったら、そのまま湖の中に沈んでしまいました。
それと同時に湖の水も一点を目指すかのように大量に流れていって、水かさが減っているようにも見えます。
これは湖の中にシンクホールが発生したと考えられ、木や大量の水がその穴の部分に入っていったのだと考えられます。
オマーンのビマ・シンクホール
ビマ・シンクホールの画像です。
ビマ・シンクホールは、中東の国オマーンのインド洋に面したハウィヤット・ナジム公園内にある天然のプールです。
一番深いところの水の深さは20メートルもあり、鮮やかなエメラルドグリーンが輝きます。
この場所は海に近いですが、穴にたまっている水には塩気がほとんどありません。
ここには、人の角質や皮膚病の部分を食べるドクターフィッシュが棲んでいます。
この穴は呼び名の通り、石灰岩が陥没してできたシンクホールですが、地元では隕石が落ちて穴ができたという話もあります。
海底のシンクホール~ブルーホール~
世界にはこの他にも海底のシンクホールと呼ばれるブルーホールのように、まさに奇跡と呼べるような美しい光景があります。
出典: http://www.nk-happy.com
ベリーズにあるブルーホールの画像です。
写真の場所は中央アメリカのベリーズのサンゴ礁にあるブルーホールです。
石灰質を含む鍾乳洞が海底に沈んで穴のような地形ができました。
穴の直径が約300メートル、深さが約120メートルで、世界遺産に登録されています。
このように、シンクホールは恐ろしいだけの存在ではありません。
開発工事とシンクホールとの関係
シンクホールができる原因は、自然的要因と人為的な要因によるものの2つに分かれることを説明しました。
カルスト台地といった地形が要因であれば、自然の成り行きに任せるしかないので、穴が発生してしまうのは致し方ないところもあります。
しかし人為的な要因は人の手によってシンクホールができてしまうので、開発工事などが人々の生活を脅かすことになるのです。
韓国・ソウルで地面が陥没して発生したシンクホール
韓国では2014年6月に首都ソウルで道路が陥没するなど、相次いでシンクホールが発生しました。
陥没の原因はよく分かっていませんが、同じ時期の超高層ビルの建設工事が関係しているのではないかという話もあります。
開発によって地面が陥没してシンクホールが発生する?
建設現場のイメージ画像です。
韓国の例を見ると、開発がシンクホールとは何かしら関係があるのではないかと考えられます。
日本の都心でも大規模な再開発工事が行われていたり、タワーマンションの建設が続いています。
建物を建てたり、道を作ったりするには地面を掘らなくてはなりません。
もし万が一、工事中に誤って地下水などを発生させてしまったら、間違いなく地面が陥没してシンクホールが発生するでしょう。
このように開発にはシンクホールのリスクが常につきまといます。
ですから、関係者はそのことに注意して工事を行わなければならないのと同時に、周辺住民などに工事についてしっかり説明する必要があります。
シンクホールと異常気象
ゲリラ豪雨のイメージ画像です。
近年、世界中で異常気象が起きています。豪雨や猛暑、干ばつ、豪雪など気象が極端になってきています。
豪雨や猛暑は地球温暖化が関わっているとされ、日本国内では50年に1度の大雨が2017年に何回も記録され、その7月には九州北部豪雨がありました。
猛暑日も以前より増えるなど、国内でも気象が極端になってきて、異常気象と呼べる事例が増えているようです。
突発的、そして局所的に発生するゲリラ豪雨のような大雨が降ると、排水機能が追いつかず、川が氾濫したりして洪水を引き起こします。
グアテマラで地面が陥没して発生したシンクホール
出典: http://oka-jp.seesaa.net
大きな穴はグアテマラシティで発生したシンクホールです。
2010年5月に中央アメリカのグアテマラの首都グアテマラシティの工場地帯でシンクホールが発生しました。
地面が陥没して3階建ての工場の一部を飲み込み、直径20メートル、深さ30メートルの巨大な穴ができました。
この地面陥没で、15人が亡くなりました。
原因ははっきりしませんが、熱帯低気圧による豪雨と下水道管の破損とされています。
異常気象で増えるかもしれないシンクホール
もしこの先異常気象でゲリラ豪雨などが増加して大雨が降り洪水になって、下水道管が老朽化などにより破損していた場合、行き場を失った大量の水が表層の土砂を流失させてしまいます。
そうすると地面が陥没して、シンクホールが発生する可能性があるのです。
国内で豪雨といった異常気象が増えているので、今後シンクホールの発生例が増加するかもしれません。
台風豪雨のイメージ画像です。
シンクホール発生の可能性について
シンクホールは突然発生するので、予測が難しいところがありますが、どこで発生しやすいのかをある程度推測することができます。
前に説明しましたが、日本でのシンクホールは鉱山や採石場の跡、地下工事などが関係しています。
また、上下水道管が関係する道路陥没も毎年起きています。
日本のほとんどの自治体で上下水道があって、道路工事や建物工事などは頻繁に行われています。
ですから上下水道の漏水や工事によって、シンクホールが発生する可能性は日本中どこでもあります。
ただし、それは上下水道の管理をしっかり行ったり、地盤を確認しながら工事をしたりすれば発生をできるだけ防ぐことができます。
しかし、廃鉱した鉱山や採石場跡では既に地下などに空洞が存在するので、その場所では地下水などの流入によって表層が崩落して、シンクホールになることがあります。
日本ではそれらの場所で地面が陥没してシンクホールが発生した例がありました。
ですから、自分の住んでいる場所にかつて炭鉱などの鉱山や採石場があった場合、シンクホールが発生する可能性が増えると考えられます。
そのため心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの自治体では条例を定めて地盤沈下の防止を図っていますし、もちろん上下水道の維持管理は法律で定められています。
また、鉱山や採石場跡の空洞などによって地面が陥没し、巨大な穴が発生して自宅などが底に沈むなど被害を受けた場合は、賠償義務を定めた鉱業法第百九条により、支援を受けられる可能性があります。
支援のイメージ画像です。
シンクホール・まとめ
地面が陥没して発生する巨大な穴のシンクホール。
自然の造形によって海底などで美しい姿を見せる一方で、人々の暮らしに脅威を与える二面性を持っています。
自然に発生することもあれば、人為的に発生してしまうこともあります。
世界にはたくさんのシンクホールが存在し、日本も存在しています。
日本も含め世界では急速な開発が進み、地球温暖化の影響と思われる異常気象が増加している今、シンクホールは今後も数を増やしていくことでしょう。
シンクホールは環境を破壊する私たち人類に警鐘を鳴らしているのかもしれません。
世界に住む私たち人類のイメージ画像です。