2021年07月01日公開
2021年07月01日更新
イカにつく寄生虫アニサキスとニベリニア!対処法や症状まとめ【画像/処理】
イカに寄生する寄生虫は、重大被害をもたらす可能性があるアニキサスと、見た目がグロテスクなだけで、実害はほとんどないニベリニアがあります。寄生虫についての正しい知識を前もって身につけ、イカの調理、特にイカ刺しをつくる場合には、正しい対策を行うよう心がけましょう。
目次
イカの調理では寄生虫に注意! イカに寄生するふたつの寄生虫
出典: http://blog.livedoor.jp
イカ刺し、イカ焼き、塩辛、天ぷら、フライ、イカ飯、・・・何にしてもおいしいスルメイカ。
日本人の大好物です。
でも、このスルメイカ、寄生虫がいることがとても多いので、調理の際には十分注意することが必要です。
そのふたつの寄生虫とは、「アニサキス」と「ニベリニア」。
どちらの寄生虫も、イカ類の中ではスルメイカに多く、それ以外のイカにはあまりいません。
とくにニベリニアは、ほとんどのスルメイカにいる寄生虫です。
スーパーなどでは、買ったイカにニベリニアを見つけた人が、「寄生虫付きのイカを売っている」と苦情を入れてくることが絶えないそうです。
でも、そんなことをしても仕方がありません。
スルメイカには寄生虫が必ずいると思った方が良いのですから。
ここでは、イカに付く寄生虫の害・症状や、対策について解説していきます。
アニサキスって、どんな寄生虫?
出典: http://www.mhlw.go.jp
アニサキスは回虫などと同じ線虫の仲間の寄生虫です。
イカで見つかるアニサキスは幼虫で、長さは2~3cm、太さは0.5~1mm程の白く細長い体をしています。
少し太めの糸のようにも見えます。
アニサキスは渦巻き状になっていることが多いのですが、透明な粘膜の袋に入っている場合もあります。
アニサキスはイカの内臓に寄生する寄生虫ですが、イカが死んでしまうと、内臓から筋肉へ移動することがあります。
出典: http://gigazine.net
アニサキスはもともとイルカやクジラに寄生する寄生虫で、卵を宿主の糞とともに海中に放出します。
これがオキアミなどのプランクトンに摂取され、幼虫の形でプランクトンを食べるイカや魚に移動します。
さらにこれらをイルカやクジラが食べ、ここで成虫に成長するわけです。
このためアニサキスは、イカだけではなくクジラやイルカの餌となるサバ、アジ、サケ、マス、タラ、イワシ、ホッケ、サンマなどの魚にも宿る寄生虫です。
寄生虫・アニサキスの被害・症状とは?
出典: http://www.mhlw.go.jp
アニサキスは、人の体内で成虫になることはできない寄生虫なので、アニサキスを食べても、ふつうは排泄され、被害が出ることは少ないといわれています。
しかし、イカ刺しをはじめ、寄生虫付きの生の魚やイカを食べた場合、アニサキスが胃や腸壁に侵入することがまれにあります。
そうなると、イカなどを食べたあと、8時間以内に激しい腹痛が起きます。
吐き気を催し、嘔吐する場合もあります。
吐しゃ物は胃液のみの場合が多く、食中毒とは区別されます。
また、下痢が起こることはなく、この点でも食中毒とは異なります。
体質によっては、アニサキスでアレルギーを起こす人もいます。
これはアニサキスを最初に摂取したのちに抗体が形成され、2回目に摂取した時にジンマシンなどのアレルギー症状が現れるものです。
アレルギーは加熱した場合でも起きてしまいます。
出典: http://blogs.yahoo.co.jp
激しい腹痛は、寄生虫のアニサキスが胃壁や腸壁を食い破ろうとするために起きます。
アニサキスという寄生虫は、人の体内では4日間ほどしか生きられないといわれています。
このため何も治療をしなくても、4日我慢すれば痛みは治まります。
そうはいっても、アニサキスによる痛みは尋常のものではなく、4日我慢することなどできない場合がほとんどです。
いまのところ効果のある薬での治療法はありません。
通常は上の画像のように、内視鏡を使ってアニサキスを見つけ、鉗子を使って取り除く治療を行います。
大抵はこれで摘出できるのですが、アニサキスが小腸に達している場合には、腸閉塞を起こし、開腹手術をしなければならないこともあります。
アニサキスを取り除くことができれば、痛みはすぐに治まります。
寄生虫・アニサキスの被害を防ぐ処理・対策は?
新鮮なイカを選び、注意深くアニサキスを探そう
出典: http://maru-pa.com
イカ刺しを食べたいときには、なるべく新鮮なものを選ぶことが大切です。
新鮮なイカなら、寄生虫のアニサキスがまだ内臓から筋肉へ移動していない可能性が高いためです。
家では、寄生虫が宿る内臓をなるべく早めに取り除いてしまいましょう。
筋肉に寄生虫のアニサキスがついていないかどうかは、目視で注意深く探してください。
アニサキスはイカに寄生している幼虫でも、肉眼で確認できます。
見つけたら包丁で取り除いて捨てます。
加熱するのが一番安心
出典: https://matome.naver.jp
寄生虫アニサキスの最大の弱点は熱です。
加熱すれば完全にアニサキスを死滅させることができます。
加熱したイカならアニサキスの心配はありません。
最低でも、60度で1分以上の加熱が必要とされます。
寄生虫が怖くても、やっぱりイカ刺しが食べたいという向きには、低温での長時間冷凍がおすすめです。
マイナス20度以下で24時間以上保存すると、寄生虫アニサキスは死滅します。
ちょっと待った! その方法では寄生虫・アニサキスは死なない
出典: https://ja.wikipedia.org
寄生虫アニサキスは、ショウガやワサビ、ニンニクなどの刺激性のある薬味で殺すことができるという噂が広がっていますが、これにはまったく根拠がありません。
薬味で寄生虫アニサキスの被害を避けることはできません。
また、塩や酢に漬けても死にません。
しめ鯖でも寄生虫アニサキスによる被害が出る場合があります。
イカの塩辛を漬け込む際も、寄生虫アニサキスが生き残ることがあるので、調理の際に完全に取り除くか、長時間冷凍してから使うようにしましょう。
また、寄生虫アニサキスはつぶれるとすぐ死んでしまうので、よく噛んだり、薄く切ったりすれば死んでしまうという噂もありますが、これも間違いです。
寄生虫アニサキスの体は意外に強く、噛んだり薄く切ったりする程度ではつぶれない場合が多いのです。
細いイカそうめんに調理しても、安心はできません。
寄生虫アニサキスには、あくまでも「加熱」か「長時間冷凍」で万全を期すのが安心といえます。
ニベリニアって、どんな寄生虫?
出典: http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp
ニベリニアは、扁形動物の条虫と呼ばれる仲間で、サナダムシやエキノコックス(キタキツネに寄生することで知られます)に近い寄生虫です。
乳白色をしていて、体長5㎜ほどなので、ちょうど米粒のように見えます。
上の画像のように、頭の部分に4本の長い吻をもつ寄生虫です。
吻とは筒状で出し入れができる固着器官です。
寄生虫ニベリニアは、この吻を使って宿主の内臓や筋肉にへばりつきます。
出典: https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
スルメイカには、100%近くにこの寄生虫ニベリニアが宿っています。
スルメイカを調理したことがある人なら、寄生虫のニベリニアを見つけたことがあるのではないでしょうか。
スルメイカは調理したことがあるけれども、ニベリニアなんて見たことはないという人は、知らないうちにこの寄生虫を食べてしまっていた可能性が高いでしょう。
スルメイカの内臓にはこの寄生虫が多数吸着している場合があります。
寄生虫のニベリニアは胴の内側にも普通に見られます。
イカ以外にも、タラなどの魚にも宿る寄生虫です。タラコに白い寄生虫が付いているという苦情がよく販売店や加工業者に寄せられるようです。
寄生虫・ニベリニアの被害・症状とは?
出典: http://blogs.yahoo.co.jp
じつはニベリニアという寄生虫は人体には無害です。
ですからそれほど神経質になる必要はないのです。
かりにこの寄生虫を生で食べてしまっても、問題はありません。
ただし、ごくまれに、口内や喉に固着器官でへばりつかれてしまうことがあります。
とはいえ、寄生虫ニベリニアによるこうした害は非常にまれで、むしろニベリニアの「害」はそのグロテスクさにあるということができるでしょう。
とくにイカ刺しに寄生虫が付いているのを見つけたら、気持ちが悪くて食べる気がしなくなってしまいます。
きっと害のある寄生虫だろうと誤解してしまう人もいるはずです。
食卓では寄生虫になどお目にかからないようにするのが無難です。
寄生虫のニベリニアは100%近くのスルメイカに宿っているのですが、グロテスクなだけで実害はほとんどありません。
このため販売店では、とくに寄生虫のニベリニアに対する対策や注意喚起はしていません。
この種の寄生虫は、消費者の側がきちんと理解し、処理すべきものです。
寄生虫・ニベリニアの被害を防ぐ処理・対策は?
出典: http://www.s-kagisen.ac.jp
ニベリニアという寄生虫は、イカの肝臓や筋肉の表面に、固着器官を使ってへばりついています。
内側まで潜りこんでしまうことはありません。このため、寄生虫ニベリニアは肉眼でも簡単に見つけることができます。
イカを生で食べる場合には、よく目視で探し、寄生虫を見つけたら手でつまみ出します。
簡単に引きはがすことができます。
寄生虫を手で取るのがダメな人は、毛抜きやピンセットを使ってください。
口のまわりやゲソにも寄生虫がついていることがあるので、くまなく探してください。
より確実なのは加熱することです。
また、アニサキス同様、長期間冷凍保存することでも死滅させることができます。