2021年05月28日公開
2021年05月28日更新
ユダヤ教の聖典「タムルード」の教えや内容とは?
キリスト教やイスラム教の起源でもあるユダヤ教は旧約聖書を唯一の聖書としていますが、実はその他にも聖典と呼ばれる「タルムード」と呼ばれるものが存在します。ユダヤ人の間で深く生活に根付いてきた「タルムード」の教えや内容とはどんなものなのでしょうか?
目次
キリスト教、イスラム教の起源となったユダヤ教
出典: http://blog.livedoor.jp
皆さんは実はキリスト教やイスラム教がユダヤ教から派生した宗教であることをご存知でしょうか?全ての宗教で信仰されている神は全て同じ神なのですが、宗教それぞれで神の言葉を代弁する者が違うためにこの3つの宗教は遥か昔から長い時間をかけて争ってきました。
今回は日本にはなじみの薄い3つの宗教の元祖ともいえるユダヤ教と、ユダヤ教で使われている聖典「タルムード」について詳しくご紹介します。
ユダヤ教とは?
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ユダヤ教とは、旧約聖書にも記されているように、昔エジプトで奴隷にされていた人々が神の言葉と力を授かったモーゼの手によって救い出され(日本でも有名なモーゼの海割りはこの奴隷の人々を救いエジプト人達を妨害するために行われたものです)、国を作りました。
流浪の民ユダヤ人
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しかしその国を敵によって追い出されたユダヤ人は以来国を作ることを許されず現在でもヨーロッパでは国を持たない流浪の民として各地に点在しているそうです。そんな流浪の民であるユダヤ人たちの結束を固めるために神による天地創造の話などをまとめ直したものが旧約聖書であり、この時代の宗教改革によって現在のユダヤ教が確立されたと言われています。
著名なユダヤ人
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そんな流浪の民ユダヤ人は、非常に頭がいいことで知られています。ユダヤ人は金融業界において手形、株式、保険などを発明してきました。現在の金融業の発展はユダヤ人なくしては成立しなかったでしょう。また天才物理学者アインシュタインや心理学に大きな影響を与え今でも受け継がれる心理学の基礎を作った心理学者フロイトもユダヤ人です。
世界一の頭脳を持つユダヤ人
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ユダヤ人はその人口が世界の0.3%にしか満たないのに対し、ノーベル受賞者の20%以上をユダヤ人で占めています。また、ユダヤ人は音楽家も多く輩出し、世界中の文明に大きな影響を与えてきました。
そんな世界一の知能を誇るユダヤ人を教育してきたのがユダヤ教の思想と「タルムワード」の教えなのだといいます。
タルムードとは
出典: https://ja.wikipedia.org
ユダヤ教では通常聖書として旧約聖書を唯一の聖書としているのですが、その他に「タルムード」と呼ばれる聖典が存在します。
聖書には、モーゼが最初に書き記したとされる旧約聖書の始めの5つの書以外にモーゼの口によって伝えられたユダヤ教の教えがありました。
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ラビがこの口で伝えられた教えや思想をまとめたものを「シュミナ」と呼びます。
(因みにラビというのは、タルムードに精通しユダヤ教の指導者的立場にいる、キリスト教で言えば司祭や牧師の立場の人間を指します)
この「シュミナ」には様々な解説が付け加えられました。この解説を「ゲマラ」と呼び、「シュミナ」と「ゲマラ」を合わせた全体を「タルムード」と呼ぶようになったそうです。
タルムードを認めない宗派も
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また、このタルムードはユダヤ教においての聖典と位置付けられていますが、正確にはタルムードの権威=ラビの権威であるため、ラビが権威を得ることを良しとしない宗派では、旧約聖書のみを聖書として使用し、タルムードを聖典と認めていない、あるいは否定しているところも存在するのだそうです。
代表的なところで言えばカライ派などが挙げられます。
タルムードの内容
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タルムードは迫害によって奪われ、タルムード学を学ぶことを禁止されていました。そのため長い時間失われていたことと、時間をかけて少しずつ書かれたために、所々で意味の繋がっていない部分が存在します。タルムードの内容は6つからなり、農業、祭事、女性、法律、お寺、不純や純潔についての教えや思想が書かれているのだそうです。
ユダヤ人の全てが記されているタルムード
出典: https://en.wikipedia.org
タルムード学の原典は全部で20巻、ページ数では1万を超え、それぞれの巻の最後のページは必ず空白になっています。これは、今後も書き加える余地があることを示しているのだそうです。
タルムード学はユダヤ教における教え、思想や知恵の全てであると言えます。
タルムードによる知恵
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次に聖典タルムードの日本語訳をいくつか見ながら実際にタルムードにはどんな内容が記されているかを見てみます。まず有名な言葉を一つ日本語訳にしたものです。
自分の言葉に注意せよ、なぜなら自分の行為になるから。
自分の行為に注意せよ、なぜなら自分の習慣になるから。
自分の習慣に注意せよ、なぜなら自分の性質になるから。
自分の性質に注意せよ、なぜなら自分の運命になるから。
これらの日本語訳については、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?この日本語訳は人間の行いの戒めをするためにはとても分かりやすく伝えやすい言葉ですね。
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さらにいくつかの日本語訳をご紹介すると
人を傷つけるものは3つある、悩み、諍い(いさかい)、空の財布である。
その中でも空の財布が人を一番傷つける。
時代が新しくなるのではない。我々が新しく生まれかわるのである。
ほかの人よりも優れている人は、本当に優れているとはいえない。以前の自分よりも優れている人を、本当に優れている人と呼べる。
などなど、この日本語訳はキリスト教の新約聖書や旧約聖書とは違い、ユダヤ人が生活をしていくための知恵や教えが書かれていることが分かります。このタルムードがユダヤ人の成功に繋がっていると言われているのも頷けますね。
タルムードによる選民思想
出典: https://www.enbridge.jp
聖典タルムードにはユダヤ教の教え以外にも実は差別的な内容も記されています。
その日本語訳を紹介すると
法廷においてユダヤ人が異邦人をだますことは差支えない。
異邦人はユダヤ人に賃金を払わなければいけないが、ユダヤ人は異邦人に賃金を払わなくてもよい。
ユダヤ人が異邦人を殺したとしても罪には問われない。
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日本語訳にするとこのような内容の言葉が聖典であるタルムードに書かれているのです。また、キリスト教やイスラム教ではよい行いをした人間はみな救われるという教えがありますが、ユダヤ教ではユダヤ人のみが救われ、それ以外の人々は皆滅びると伝えられています。そのため、ユダヤ人は自分たちは神に選ばれた特別な人間なのだという意識を強く持っているのだそうです。
タルムードによるユダヤ教の教育
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ユダヤ教では幼い頃から膨大な量のタルムードの内容やタルムード学について教えます。
またユダヤ人は小さな頃から考えることとなぜ?という疑問を常に持つように教育されます。そのため徹底的に議論することを子供のころから当たり前のように学ぶそうです。
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そうやって常に考え疑問を持ち、相手と意見を交わすことによって多面的な考え方や深い思考能力を手にするのだといいます。アメリカの弁護士にはユダヤ人が多いそうなのですが、それはこの影響が大きいのかもしれません。タルムードの内容やタルムード学についても議論されることがよくあるそうでその内容について一部は現代の価値観にそぐわないものもあるという見解も出るそうです。
ユダヤ教の教育の原点
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ユダヤ教での教育では、宗教の思想によって勉強し続け、知識を蓄えることを教えています。
またユダヤ教ではタルムード学や知識を共有することを非常に重視しており、ユダヤ教徒としてのアイデンティティを確立できるようにタルムード学で子供を教育します。
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そしてユダヤ人はタルムード学による思想教育と常に議論をさせるユダヤ教の教育方針によって高い知能を見につけた結果、資本主義者として労働者から搾取する側に回ることが多く、先ほども紹介した選民思想も相まって、歴史的に見てもヒトラーを始めとして反ユダヤ主義を主張する人も少なくなかったと言います。しかし、それは本当に正しいことなのでしょうか?
出典: http://history.monovtube.com
宗教というものが生き残るためには、歴史の中で政治に利用され、都合のいいように解釈され、また多くの民族を取り入れながら独自性を失っていくか、それができなければ迫害され歴史の中に消えてゆくしかありませんでした。
そんな荒波の中で移民してきたユダヤ教徒はユダヤ教の形を変えずに守っていくため、どの国にも迎合しなくてもいいように、また時の権力者の迫害に耐えられるように、ものによっては野蛮ともいえる選民的思想によって他の民族や思想を拒絶し、長い歴史の中で教育されてきた知能を駆使して他国から利益や権利を搾取する側に回らざるをえなかったのではないでしょうか?
タルムードとユダヤ教
出典: http://mitiyama.com
ユダヤ教が歴史の中で培ってきた厳しい戒律やタルムードによる排他的で選民的な考えは一見するととても野蛮であり、資本主義、合理主義者としての顔を持つユダヤ人は冷酷な人々の様にも見えます。
しかし一方でそのタルムードによる排他的な選民思想によって紡がれてきた遺伝子と高度な教育により培われた理論的で合理的な考えによって生み出された理論や技術、文化が過去世界の発展にもたらした影響力ははかり知ることができないほど大きなものであり、そしてその教育はこれからも新しい価値を生み出し続けることが考えられます。
私たちが未来の文明のために迫害という歴史を繰り返さないために何より大事なことは、一方的に相手を悪と決めつけずにユダヤ教の教えの様に「なぜ?」という気持ちを持ち続けることではないでしょうか。