2021年05月28日公開
2021年05月28日更新
【メジェド】古代エジプトの壁画まとめ。”謎の神”や”目の絵”に隠された意味
古代エジプトの壁画に描かれた神の絵が芸術的すぎる!その中のメジェドの存在とその目の不思議、壁画は神に向けてのメッセージですが、古代エジプト人の様式美が垣間見られます。そしてメジェドの謎の風体は何なのか、壁画の神々の目の存在と共にまとめました。
目次
古代エジプト壁画の神やその目
古代エジプトは世界四大文明の一つで、歴史上最大の長さをほこる謎多き文明です。
紀元前2700年頃に統一王朝が成立して始まり、その後約3000年間続いていきます。
古代エジプトは
古王国(前2700~前2200年)
中王国(前2100~前1700年)
新王国(前1600~前1100年)と大きく三つに分けて考えたりします。
ツタンカーメン
ピラミッド文化は古王国時代。
有名なツタンカーメンは新王国の時代の人です。
新王国の王族の墓は王家の谷というところに集中しています。
ですがほとんどの墓は荒らされてしまっていて、まともに残っていたのがツタンカーメン関連の墓だけでした。
なので色々と出土品が見つかることで有名とっています。
画像はツタンカーメンのマスクですが、実は義理の母「ネフェルティティ」のものではないかと言われています。
創造主 アトゥム
どこの文明にもあるように、やはり古代エジプトにも神話があり、それらは国の在り方に大きく影響を与えます。
古代エジプトは特に『ヘリオポリス』という神話を中心に動いていきます。
絵は『アトゥム』と言ってヘリオポリス神話における天地創造の神となり、その神話での頂点の神になります。
謎の神メジェド
メジェド
古代エジプトでは死者を葬るさい、死者の書という葬祭文書を冥福を祈り死者とともに埋葬されました。
その死者の書に描かれたメジェドという一つだけ異様な風体の謎の神が描かれていてちょとした話題になっています。
徹底された古代エジプトの絵の様式に謎の彼メジェドだけが反しています。
これは壁画ではなく巻物のようなものです。
古代エジプト神話から見る壁画!神の目の存在
ヘリオポリス神話(家系図)
ヘリオポリス神話では九柱神と言って、天地創造に関わる九人の中心的神様がいます。
アトゥム 創造神
シュー (男性) テフヌト(女性)
ゲブ(男性) ヌト(女性)
オシリス(男性) イシス(女性)
セト(男性) ネフティス(女性)
アトゥム
創造主アトゥム(壁画)
ヘリオポリス神話的に世界の始まりを象徴する存在です。
彼は両性具有とされており、一人でその下の神『シュー』と『テフヌト』を生み出したとして語られています。
のちに『ラー』と呼ばれる太陽神と融合し『アトゥム=ラー』となります。
(そのように作り変えられる)
ヘリオポリスには元々「ラー」崇拝という概念も存在していてそれらを統一する形になっていきます。
古代エジプトには地方ごとに様々な神が存在していて、力の強い地域の神が神話的権力を持つことがよくありました。
ヘリオポリスは、現在のカイロ近郊に存在した古代エジプトの都市です。
太陽神ラー(ラーアトゥム)
ラーアトゥム(太陽神ラー)
顔はハヤブサです。
ハヤブサの頭を持った獣頭人身(鳥頭人身)の姿で描かれます。
頭には太陽を象徴した円盤を乗せています。
これが神々トップとなるものとなります。
ホルスの目(壁画)
太陽神ラー ホルスの目
この壁画の絵の上部に目が描かれています。
このハヤブサの頭をもつラー(ラーアトゥム)の子孫(子供)に『ホルス』という天空と太陽の神がいます。
そのホルスの目が上部に描かれています。
ホルスの目
ホルスの目は古代エジプトのシンボルの一つ。
『左目は月の象徴』(ウジャトの目)
ウジャトとはある守護女神のことで、ホルスの左目がウジャト女神の目になっている理由はよくわかりませんがとにかく月の象徴とされています。
もう一方の右目(「ラーの目」)は太陽の象徴とされています。
ホルスの目(壁画)
壁画に描かれたホルスの目
ハヤブサの上にラーの目が描かれた壁画の画像です。
ホルス(天空と太陽の神)
ラーの直接の息子である存在と、ヘリオポリス神話的に『オシリス』と『イシス』の息子である存在の二つの成り立ちがあります。
このようにエジプト神話的には様々な境遇は珍しいことではないようです。
古代エジプトの歴代の王(ファラオ)の多くは、このホルスに憧れを持っていたようで、死後は我こそがホルスになる存在だということを信じていたようですね。
ホルスの右目
ホルスの右目=ラーの目
プロピデンスの目 ホルスの左目 フリーメーソン
プロビデンスはキリスト教の摂理という意味です。
神の全能の目を意味します。
元となったのがホルスの左目(ウジャトの目)だということです。
ウジャトの目は「全てを見通す知恵」や「癒し・修復・再生」の象徴とされていました。
画像は1ドル紙幣。
出典: https://flic.kr
オシリスとメジェド
ホルスの父 オシリス
オシリスはあのホルスの父ともされる神様です。
一度死んでから復活を遂げた存在として、再生する大地のサイクルと、生命の象徴になっています。
体は包帯でぐるぐる巻きにされていて、ミイラ的存在ということにもなっています。
古代エジプトではこれに習ってファラオたちはミイラになっていきます。
オシリスの後ろの女性はイシス(本妻)とネフティス(浮気相手)
この絵は、古代宇宙人説で使われる画像の一つになっています。
後ろの女性がオシリスを後ろから操っていて、オシリスはロボットだという説があります。
この死者の書にメジェドが出てきます。
メジェド
死者の書に出てくるメジェド、彼にはこんな話があります。
「それはオシリスの家におり、目によって撃ち、姿は見えない」
メジェドは目には見えない存在であるということになります。
形而上学的存在ということです。
そしてメジェドはオシリスの家にいます。
ですがこの正面向きの異様な物体は宇宙人を表しているとも考えられないでしょうか。
いたかいなかったかは別として、そのようなことを考えて描いていてもおかしくはないでしょう。
神自体が宇宙人を超えてますからね。
古代エジプトの壁画!死者の書と謎の神「メジェド」
死者の書の一部
画像は死者の書の一部です。死者の書にはメジェドが出てきますがメインはこの絵の部分になります。
右の部分にはオシリスがいます。
真ん中あたりにはホルスがいます。
天秤の所にいるのが『アヌビス』と言う犬の頭を持つ青年で、もう一人のオシリスの息子になります。
アヌビス(犬の頭の青年)
冥界に行った死者は『アヌビス』によりある審判を受けます。
天秤に心臓と真実の羽をのせ秤に掛けます。
心臓の方が重いと天秤はそちらに傾き、罰の対象となりますが、そのあとに真実を語れば許してもえらえ次の世界へ導かれます。
嘘を言えば『アメミット』という獣に食われてしまい、そこで存在は終わります。
アヌビス(犬頭)
オアシスの息子で、ミイラ作りの神とされています。
頭は犬かジャッカルだとされています。
現在の「ファラオ・ハウンド」という犬がアヌビスのモデルになった犬とされていますがはっきりわかりませんね。
ジャッカルや野犬が墓の周りを徘徊していたことから、死者の見守り的な存在として始まったとされています。
ハヤブサのホルスと犬のアヌビスは腹違いの兄弟です。
女性死者を導くホルス
アヌビスに合格を得た死者は『ホルス』に『冥界の王』の元へ導かれ、その先の死後の世界へ行くことができます。画像はホルス。
その冥界の王とは彼らの父である「オシリス」となります。
オシリスは蘇りを果たしたことで冥界を支配する存在になっています。
背景に見える様々な模様は文字で、ヒエログリフ文字と呼ばれる古代エジプトではメジャーな文字になります。
死者の書でメジェドの出てくる部分
画像真ん中あたりに謎の物体「メジェド」がいます。
異様な光景に見えますね。女性が彼を拝んでいます。
古代エジプトの文字
ヒエログリフ文字
死者の書は『ヒエログリフ』という3種のエジプト文字のうちの1つで書かれました。
紀元4世紀頃までは読み手がいたとされていますが、その後受け継がれずに読みの記憶は消滅します。
19世紀になって、ロゼッタ・ストーン解読以降読めるようになりました。
ロゼッタストーン
エジプトのロゼッタで1799年に発見された古代文字の書かれた石版。
プトレマイオス5世(古代エジプト、プトレマイオス朝のファラオ)の時代に発令された「法令」を刻んだものになります。
ヒエログリフ文字は読めませんが、同じ意味、内容と推測されるギリシア文字も書かれていたことから解読が可能となりました。
古代エジプトの壁画は全部横顔!メジェドの目
古代エジプト美術 壁画
古代エジプトの壁画などに描かれた絵はほぼ100パーセント横顔です。
そして体は正面を向き、腰から下はまた横向きになっていています。
その徹底したパターンと神へ向けたメッセージ性を総合して、芸術度の高い創作物になっています。
そして足は左右どちらも土踏まずが見えている場合が多くなっています。
古代エジプト壁画(横顔)
横顔である意味の明確な答えはありませんが、伝統的であることは確かです。
横顔の推測できる理由として、宗教的なものだったり美観や芸術感などの葬式的なものだったということが考えられます。
そして横顔ですが、目は正面上向きになっています。
目が不自然
女性壁画の画像 壁画
壁画の女性たちの顔は横向きですが目はよく正面を向いてると言われます。
そしてさらに付け加えるなら必ず少し上を見ています。
横顔を見せる理由は美術的観点から考えて、古代エジプトの人は横顔がより美観や人間観を表現するのに適していると考えていたのかもしれません。
鼻やアゴの感じの曲線に何かしらの観点があったかもしれません。
目は正面を向き少し上向きなのはなぜなのか。
目は重要なパーツと考えていたはずなので丸々描いてしまおうとした意味は納得できますが、少し上を向いているのは、何か深い意味がありそうですね。
相手の背後霊を見ているとか、宇宙を見ているとか。
メジェドの目
メジェドの目
メジェドだけはほぼ唯一、正面向きの絵なのですね。
他のどの壁画にもこのようなスタイルの存在は描かれていません。
この謎の存在は目も二つ描かれています。
足も正面向きという異例の格好をしています。
それが意味するところは何なのでしょう。
謎すぎてあまり研究は進んでいないようです。
メジェド?
こういう奴もいました。
古代エジプト猫の壁画
猫のレリーフ
紀元前4000~5000年頃のエジプトでは、ネズミなどの駆除の為に、猫が家畜化され始めたと考えられています。
当時のエジプトの土着猫にはジャングルキャットとリビアヤマ猫がいました。
ジャングルキャット
ジャングルキャットは野性味が強すぎて、なかなか人間にはなつかなかったようです。
一方王族ではライオンなど他の猫科の動物を飼いならすことがステータスとなっていた。
リビア山猫
リビア山猫は家畜化に成功しています。
古代エジプト文明では多元的なトーテミズム(崇拝主義)が確立し、猫はもちろんトキ、タカなどの鳥やコガネムシなどの昆虫なども崇拝の対象となりました。
古代エジプトの宇宙人説
ピラミッド宇宙人建設説
ファラオが造らせた建造物であるピラミッドであるが、技術力の高さから宇宙人が作った説があります。
面白みのある話ですよね。しかし高々ピラミッドです。
浮いているわけでも不安定な場所にあるわけでもないので宇宙人ではなく、普通の人間が造ったと考える方が自然ではないでしょうか。
我々が今滅んで、また新たな文明が発生した 時、スカイ
ツリーでも残っていたら未来の人たちは古代には宇宙人が
いたと言い始めるかもしれませんね。
古代エジプト壁画やメジェドまとめ
古代エジプトの壁画の絵や、その他に描かれた絵や文字は様々なメッセージ性を持っていますが、美術的価値や、芸術的価値の高さも目を引くものがあります。
その中でも不自然存在のメジェドは特に目を引きます。
それが一体何を象徴しているのかはもしかするとわからないのかもしれませんが、想像するのは楽しいものなのかもしれません。
これから開けられるはずのファラオの義理の母、ネフェルティティの墓にはどんな壁画や死者の書が祀られているのか気になるところです。