発光の原理。蛍光灯・白熱電球・LEDはなぜ発光するのか?仕組みを図解!

我々の周りにある照明器具である蛍光灯・白熱電球・LED。身近なものですが、照明器具の発光する原理を知っている人は多くないのではないでしょうか。ここでは蛍光灯・白熱電球・LEDについて発光する原理や構造を図解していきます。

発光の原理。蛍光灯・白熱電球・LEDはなぜ発光するのか?仕組みを図解!のイメージ

目次

  1. 1蛍光灯・白熱電球・LEDがどうして光るか知っていますか?
  2. 2そもそも光とは?
  3. 3蛍光灯の発光原理を紹介!
  4. 4白熱電球が発光する原理とは?
  5. 5LEDが発光する原理とは?
  6. 6照明の歴史 -白熱電球・蛍光灯・LEDの変遷とは?-
  7. 7おわりに

蛍光灯・白熱電球・LEDがどうして光るか知っていますか?

出典: http://juutakudesign.com

我々の生活では欠かすことのできない蛍光灯やLEDなどの照明器具。
身近にあるものですが、その発光する原理やそれぞれの構造の違いを
知っている人は多くはないのでは?

今回は、蛍光灯・白熱電球・LEDの発光原理や構造について、仕組みを図解していきます。

そもそも光とは?

出典: https://item.rakuten.co.jp

実は光というのは電磁波の一種である、と位置付けられています。
電磁波の中には、データ通信に使う赤外線や太陽光から発せられる紫外線、私たちが普段見ている可視光線などがあります。
一般的には、光というのは可視光線、ときに紫外線と赤外線を含んだものを指していることが多いです。

出典: http://www.marusyosangyo.jp

電磁波の波長域と名称

レントゲンに使うX線も電子レンジで用いられているマイクロ波も電磁波の一種なんです。

その光が見えるか見えないかというのは波の長さによって違っています。
人間が見ることのできるのは主に可視光の範囲の波長となっているため、紫外光は見ることができません。

蛍光灯の発光原理を紹介!

出典: http://ledly.co.jp

蛍光灯とは蛍光管を用いた照明器具のことを指します。
最近はLED蛍光灯というのも聞きますが、今回はLEDを使って発光させているものをLED照明、今回の原理を用いて発光させているものを蛍光灯として説明します。

それでは、まずは蛍光灯の仕組みについて図解していきます。
蛍光灯を捨てるときは業者に頼まないと…という理由も、実は蛍光灯にはある「物質」が材料として含まれているからなのです。

蛍光灯の構造を図解!

出典: https://blogs.yahoo.co.jp

蛍光灯は蛍光物質が管内に塗られているガラス管、両端に取り付けられた電極(フィラメントともいう)および電気が流れるための回路によって構成されています。
主に発光に関連してくるのがガラス管と電極です。
ガラス管の中には、少量の水銀とアルゴンガスなどの希ガスが閉じ込められています。
また、電極には電子を出す物質が塗られています。

蛍光灯の発光する原理を紹介!

出典: http://www.setsuden-kobo.co.jp

電気を流すと電極から電子が飛び出し、ガラス管中の水銀にぶつかることで紫外線が発生するという仕組みになっています。
ここで問題になるのが発生するのが紫外線であることです。
紫外線は人間が普段見ている可視光よりもエネルギーが強く、人間の体にダメージを与えます。
太陽からの紫外線によって肌へのダメージ…などはよく知られていますね。
そこで、蛍光灯ではガラス管表面の蛍光物質と紫外線を反応させることによってエネルギーを弱め、可視光線を発生させています。

しかし、一部の紫外線はガラス管を通りぬけてしまうため、蛾などの虫が寄ってきやすくなるという欠点もあります。

出典: http://www.hatehate.jp

蛍光灯の点灯の仕方に種類があるって知ってましたか?

蛍光灯の点灯の仕方は、どうやって電極にかける電圧を上げるかによって変わってきます。
主に、スターター形回路、ラピッドスタート形回路、インバータ形回路…といった形があります。

出典: http://www.akaricenter.com

スタータ式点灯回路

かつて一般家庭で最も普及したのはこれの一種であるグロースターター式です。
蛍光灯の中では始動はちょっと遅め。

出典: http://www.akaricenter.com

ラピッドスタート式点灯回路

ラピッドの名のもとに、素早く電気がつくことで知られています。
公共施設では使われることが多いですが、現在インバータ式に移行しつつあります。

出典: http://www.akaricenter.com

インバータ式(電子式)点灯回路

インバータ式は、インバータ回路によって交流電流を直流に変え、さらに高周波の交流電流に変換することでランプを点灯させる仕組みになっています。

はじめに回路によってすべての交流電流を直流に変換するため、周波数の違う西日本と東日本のどちらでも変わらず使えるというのがお得ポイントです。

昔ながらの蛍光灯は、グロー球(点灯管)とよばれる小さな電球みたいなものが先に点灯し、それからチカチカと点滅して本体の蛍光灯が点く、グロースターター方式と呼ばれる蛍光灯になります。 この方式は、今書いたようにスイッチを入れてから実際に点灯するまで、タイムラグが生じ、なおかつチカチカと点滅して点くという弱点がありました。 それに対して、インバーター式の蛍光灯は、このグロー球に当たるものを電子化して点灯する方式で、スイッチを入れるとすぐ点灯するのが特徴です。 また、グロースターター方式は1秒間に100回程度の点滅を繰り返しているらしいんですけれど、インバーターの場合は、これが9万回にあがってるらしいです。 そのため、ほとんどちらつきを感じません。

白熱電球が発光する原理とは?

出典: http://www.kiban-ya.jp

白熱電球はジョゼフ・スワンによって発明され、エジソンによって商業化された電球です。
エジソンの発明と聞くとパッとでてきますが、実は発明したのはスワン博士だったりします。

蛍光灯に引き続き、次は白熱電球の仕組みについて次は図解していきます。
蛍光灯やLEDとの違いはあるのでしょうか?

白熱電球の構造を図解!

出典: http://www.akaricenter.com

白熱電球は主に発光する部分であるフィラメント、ガラス管、電気が流れる回路と繋ぐ口金、電流を流す導入線、過電流を防ぐためのヒューズなどからできています。
また、ガラス管の中には不活性ガスが含まれており、フィラメントの原料であるタングステンが気化するのを防いでいます。
中にはタングステンが気化したときにフィラメントに戻るようにハロゲンガスを封入している電球もあります。

白熱電球が発光する原理を紹介!

出典: http://monoist.atmarkit.co.jp

白熱電球に回路から電流が流れてくると、電流の向きと逆向きに電子が流れます。
電子が流れることでフィラメントとの間で抵抗が発生し、フィラメントの温度が上昇、つまり熱が発生します。
その熱を白熱電球の中では光のエネルギーへと変換することで光るというのが白熱電球の発光する仕組みとなっています。

発光の時に生じる熱は2000℃以上なので、白熱電球を光らせると同時にフィラメントに負荷がかかり、タングステンが蒸発(昇華)してしまいます。
このような発光原理のため、フィラメントがどんどん細くなっていき、フィラメントが切れてしまうという欠点も抱えています。

LEDが発光する原理とは?

出典: http://www.dot-information.com

LEDとは「発光ダイオード(light emitting diode)」のことで、「長持ちする」や「電気代が安くなる」とのイメージが一般的です。
2014年、赤崎・天野・中村氏らのノーベル賞受賞によってもさらに認知度が上がっています。

それでは、なぜ蛍光灯や白熱電球よりも長持ちし、電気代が安くなるのでしょうか?
構造による違いはあるのでしょうか?
LEDの原理をまずは図解していきます。

LEDの発光する原理を紹介! 

出典: http://www.kc-lightech.com

LEDは、発光のための物質と入出力のための電極を透明な樹脂で覆った光源です。発光部には半導体(電気を通す導体と、通さない絶縁体の間に位置するもの)が使われており、電気の(+)が動くp型半導体と(-)が動くn型半導体を合わせて通電することで(+)と(-)が衝突し接合面が発光します。

電流の流れと同時に+の性質をもつ正孔が動き、電流と逆の方向に-の性質をもつ電子が動き、それらがぶつかったところで光が発生するというのがLEDの原理です。
この原理が20世紀初めに発見され、LEDの研究は進められてきました。

出典: http://www2.panasonic.biz

また、LEDの材質を変えることで発光の色が変わることも知られています。

LEDの構造を図解!

LEDは原理から、チップの上で発光するため、そのチップ周りの加工の仕方で二種類に分けられます。
それは砲弾型と、表面実装型です。
機能面での差異は特になく、用いられる部分によって使い分けられます。

出典: https://www.otsuka-shokai.co.jp

砲弾型LED

反射レンズで挟んでいるため、近くからみると相当まぶしく見える砲弾型。
正面は輝きが強い半面、横からみると輝きが弱く見えるのが欠点といえます。

出典: https://www.otsuka-shokai.co.jp

表面実装型LED

リフレクターがあるためわりと広い範囲照らせる表面実装型。

白熱電球とLEDの構造の違いを図示!

出典: http://www2.panasonic.biz

フィラメントのありなしが大きな違い?

まず大きな違いとしては、白熱電球ではフィラメントが発光するのに対し、LEDではLEDチップが発光するところといえるでしょう。
また、白熱電球では発熱のためにフィラメントの劣化があるのに対し、LEDではフィラメントを使っていないため、高寿命というのが挙げられます。

また、LEDはチップに使われている材質で色が変わる、つまり特定の波長の光しか取り出せないのに対し、白熱電球ではいろいろな色の光が混じっている白色の光を発するというのも大きな違いではないでしょうか。

照明の歴史 -白熱電球・蛍光灯・LEDの変遷とは?-

出典: http://led-l.net

紀元前に発明されたロウソクは、エジソンが電球を商業化する19世紀まで続きました。原理も何もなく、炎が発する光エネルギーこそ第一世代の明かりです。

第二世代の明かりとしてはやはり白熱電球が挙げられます。
原理としてはフィラメントに与える熱を光に変換することで輝くというものでした。
白熱電球は2008年に温暖化の原因として使用の禁止が法律で定められるまで使われ続けてきました。

第三世代の明かりとして蛍光灯が挙げられます。
水銀に電子をぶつけることででた紫外線を蛍光物質によって可視光に変換するという原理で、照明として使われています。
蛍光灯は今も使われている照明ではありますが、中に人間に有害な水銀が含まれているなど廃棄に手がかかります。

そんな中、発明された第四世代の明かりとしてLEDがあります。
二つの半導体に電気を流すと+と-の電荷がそれぞれ移動し、ぶつかることで発光するという原理でした。
LEDの白熱電球、蛍光灯との大きな違いとして先ほども言ったように発光原理や構造的にフィラメントを必要としないことが挙げられます。
そのため、長寿命であり消費電力の多くが発光に使われるため、電力使用が抑えられるなどの利点があります。

今後も、科学の進歩とともに第五世代の明かりもでてくるのでしょうか。
期待が高まりますね。

おわりに

いかがだったでしょうか。
身近に存在している白熱電球・蛍光灯・LEDなどの照明器具でもなかなか原理や構造を考える機会はあまりないのではないでしょうか。
科学の進歩によってLEDの次世代となる新たな照明ができたとき、原理に興味が湧いたとき、この記事を思い出してもらえれば幸いです。

関連するまとめ

編集部
この記事のライター
Cherish編集部

人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ