【震災】トンボ鉛筆事件、人事担当「佐藤佳弘」のその後とGM長尾弘司の神対応

トンボ鉛筆という企業と人事担当佐藤佳弘を、皆さんはご存じでしょうか?2011年の震災が日本に残した傷痕はまだ癒えきってはいません。そんな震災に見舞われる渦中、とんでもない対応をして有名になったトンボ鉛筆と人事担当の佐藤。彼らがしでかした事をまとめました。

【震災】トンボ鉛筆事件、人事担当「佐藤佳弘」のその後とGM長尾弘司の神対応のイメージ

目次

  1. 1トンボ鉛筆という企業が何をやったのか
  2. 2トンボ鉛筆事件と佐藤氏がとった行動の流れ
  3. 3クビにまでつながった佐藤氏が送ったメールの文面とは?
  4. 4トンボ鉛筆と佐藤氏は何を間違えたのか
  5. 5トンボ鉛筆から学ぶ、悪しき日本の企業体質
  6. 6トンボ鉛筆と佐藤氏はなぜ叩かれたのか
  7. 7佐藤氏やトンボ鉛筆に見る、歪んだ愛社精神の実態
  8. 8出世に必要不可欠!?間違った愛社精神
  9. 9炎上を消化した長尾弘司氏の神対応とは?
  10. 10まとめ:誠実さと敬う気持ちを大切に

トンボ鉛筆という企業が何をやったのか

出典: https://vdata.nikkei.com/prj2/shinsai2018-photo/

東日本大震災

2011年3月11日、14時46分、三陸海岸沖の太平洋を中心に、マグニチュード9.0という日本史上観測最大の地震が発生しました。
死者1万9千人を超え、原子力発電所の事故という二次災害を引き起こしたこの震災は、戦後最大の被害を出したとして、人々の記憶と体に深く刻まれており、その後7年以上が経った現在でも、その爪痕に苦しんでいる人が大勢います。

出典: https://www.photo-ac.com/main/search?q=%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD&srt=dlrank

大震災のツメ痕

政府や自治体、各家庭だけでなく、企業も震災の対応に追われる事となりました。
社員やその家族の安否確認、自社の被害状況を調べたり取引先の状況の調査、その他諸々にやるべき事が山積みでした。
企業内部の人間だけでなく、就職を考えていた多くの学生達も同じような状況です。
家族の安否確認や、住んでいた家が震災によって崩壊している学生も少なくなく、皆がその後の対応に追われておりました。

こんな状況では、企業も学生も就活どころではありません。
当然、多くの企業が社員や学生に配慮して就活の日程を送らせたり臨時休暇といった対応を行いました。

しかし、例外の対応をする企業もあったのです。
その中でやり玉にあがったのが、トンボ鉛筆という企業と、その人事担当であった佐藤佳弘だったのです。
 

トンボ鉛筆と佐藤の対応と悪評

出典: https://kirari-media.net/posts/208

震災時の対応が問題視され、トンボ鉛筆と佐藤佳弘の悪評は瞬く間に世間に広がっていきました。
その後に総務部ゼネラルマネージャーである長尾弘司氏によってそれ以上の悪評の拡大は食い止められましたが、現在でもその事件は語り継がれています。

トンボ鉛筆事件と佐藤氏がとった行動の流れ

現在でも語り継がれているトンボ鉛筆事件。
トンボ鉛筆が当時、実際に何を行ったのか、その後にどんな対応をしたのか。
時系列で追っていきます。
 

2011年3月1日 説明会の予約開始

トンボ鉛筆が就職説明会の予約受付を開始したました。
しかし、予約を試みた人の中には取れない人もいたのですが、トンボ鉛筆人事担当の佐藤佳弘氏は、予約の取れた学生にだけエントリーシートの配布を行います。

「運であろうと、他人より先に一歩進んだ事に対するメリットを皆さんに与えたい」という理由だったそうです。
予約が取れなかった学生には、その後いつエントリーシートが配布されるかわかりません。
採用されるかどうかさえまだわからないのに、説明会にすら行けないとなると学生の不安は小さくはなかったでしょう。

この時点で、佐藤佳弘氏がどういった人間であったのか、その一端が垣間見えると思います。

2011年3月11日 震災日に佐藤氏が学生達に送ったメール

この日、東日本大震災が発生しました。
この時トンボ鉛筆の人事担当である佐藤佳弘は、「大丈夫ですか?ケガはないですか?」といったまったく緊急性のないメールを学生達に対して送信しています。
地震時は安否確認など、緊急性の高い連絡で電波が混み合っている事が想像されますし、企業に対し気を使って返信する暇などない人も大勢いたでしょう。
その後も、佐藤氏の非常識な学生への対応は続きました。

2011年3月13日 佐藤氏のメールが学生達に送られる

この日、トンボ鉛筆が一気に悪評をとどろかせたメールが、佐藤氏より学生達に送信されました。
「トンボ鉛筆の佐藤です。改めて地震の方は大丈夫でしたか?」から始まるこのメールはネット上であっとう間に有名になりました。

内容としては、14日に公開予定であったエントリーシートを地震による影響を考慮して1日早い13日に公開するというもの。
トンボ鉛筆に入社するための熱意がある学生であれば、地震で被災してようと15日消印で提出できるはずだ、というものだったのです。

これに対し、その後に多くの方面から非難が殺到しました。

2011年3月14日 トンボ鉛筆GM長尾弘司氏による謝罪文

出典: https://money.omorovie.com/2018/04/24/%E3%80%90%E5%B0%B1%E8%81%B7%E3%83%BB%E8%BB%A2%E8%81%B7%E3%80%91%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9C%E9%89%9B%E7%AD%86%E3%81%95%E3%82%93%E3%80%81%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%A4%A7%E8%87%A3%E8%A1%A8/

トンボ鉛筆のホームページにゼネラルマネージャー長尾弘司氏による謝罪文が掲載されました。
就活生達に対し、一連の流れの謝罪と、人事担当である佐藤佳弘氏をクビにしたというものです。
これにより、その後のトンボ鉛筆事件の炎上はいったん収束を見せる事となりました。

クビにまでつながった佐藤氏が送ったメールの文面とは?

佐藤氏としては会社に対する情熱を見せる事で会社への貢献、はては出世にまでつなげたかったのかもしれませんが、結果的に彼のクビという形での決着となりました。
問題は就活生に対するずさんな対応だけでなく、メールの文面そのものにもあったと言われています。
どのようなメールであったか、具体的に記述していきます。

メールの節々から感じ取れる佐藤氏の学生達への上から目線。 企業倫理を完全に無視した内容の数々。 佐藤氏の言う「・・・その先は言う必要ないですよね。」という一般常識からもかけ離れた一文は、ネットでも特に有名になりました。 さすがにこれでは長尾弘司氏でも庇いきれず、佐藤氏のクビもやむなしといったところだったのでしょう。

トンボ鉛筆と佐藤氏は何を間違えたのか

なぜ、トンボ鉛筆はこのような事態を引き起こしてしまったのか。
最大の原因は「採用してやっている」という思い上がりと、「採用する側が立場が上である」という歪んだ思い上がりに他なりません。

就職活動において、どうしても決定権は採用する企業の人事側にあります。
そのため、このような驕り昂り言語道断のメールをトンボ鉛筆の佐藤氏が送信したと考えられます。
それにより、こういった間違った認識を持つ会社側の人間が現在でも後を絶ちません。

トンボ鉛筆から学ぶ、悪しき日本の企業体質

出典: https://toyokeizai.net/articles/-/229916

本来、採用する側と就活生の立場は対等です。しかし日本の一括採用方式では、人事の主導権はどうしても企業側にあります。また、高度経済成長期、愛社精神、会社は家族といった思想が日本企業にははびこっていました。
そのために「社員は会社を第一に考え、貢献して当たり前」といった歪んだ思想が、今でも一部の企業にはびこっているのです。

サービス残業や休日出勤、無理な転勤といった会社側からの無理な仕事の押しつけは、2017年現在でもたびたび問題となっています。

トンボ鉛筆と佐藤氏はなぜ叩かれたのか

出典: https://www.tombow.com/products/pencil_8900/

しかし2000年代以降、不景気によって給与があがらなくなってきたり、仕事のノイローゼによる自殺者、過労死が問題視されるようになりました。
ここ数年で、政府がブラック企業の名前をリスト化し始めたのも記憶に新しいと思います。
現在の企業はこれまで以上に、コンプライアンスに気を使わなければならなくなったという背景もあります。

ネットの普及により、情報の伝達が格段に速くなった

2000年以降、急速なインターネットの普及によって情報伝達速度が格段に向上しました。
SNSなどの個人が発信できる場所も増えてきました。
何か事件が起これば、僅かな時間であっという間に世界中に拡散してしまうのです。

トンボ鉛筆の事件も、このネットの波から逃れることはできませんでした。
就活生に送ったメールの内容までもが晒され、あっという間に広まってしまったのです。
歪んだ企業体質は世間の知るところとなり、批判が次々と殺到しました。

このような現在の社会情勢が、トンボ鉛筆のこのようなやり方を許さなかったと言えるでしょう。

佐藤氏やトンボ鉛筆に見る、歪んだ愛社精神の実態

出典: https://career-find.jp/archives/149051

上記で記載したように、日本人の倫理感が現在では昔と大きく変わってきたことと、ネットの普及によって企業の悪評はあっという間に広まってしまいます。
にもかかわらず、トンボ鉛筆の佐藤氏はなぜこのような対応をしてしまったのか。

これも悪しき風習なのですが、日本企業の社員評価の1つには、まだまだ愛社精神というものが残っている企業が多く見られるのです。

出世に必要不可欠!?間違った愛社精神

サービス残業や休日出勤、同じ成果をあげている社員同士でも、長時間仕事をしている社員の方が評価され、出世する企業は少なくありません。
また、採用時に圧迫面接をかけるような会社もあります。
実際は、圧迫面接は評判を落とすだけですし、短い時間で効率的な仕事をこなす社員の方が有能であるのも関わらず、サービス残業や休日出勤を強いているのです。
なぜこのような評価の仕方をしているのかと言えば、歪んだ愛社精神が原因なのです。


「プライベートや家庭よりも、私は会社の方を選んでいます」
「家にいるより会社にいる時間の方が多い」

このような会社至上主義が評価されてしまう傾向があるからです。
そして、そのような社員が出世してしまうことで、自分と同じ愛社精神を評価や出世の基準に用いてしまいます。

佐藤佳弘氏が人事責任者にまで出世したのも、この体質が原因と言えるでしょう。

炎上を消化した長尾弘司氏の神対応とは?

この件に関して唯一評価されているのは、トンボ鉛筆の総務部ゼネラルマネージャーであった長尾弘司氏の対応です。
彼は翌日には、次のようなメールを掲載し、正式に謝罪しました。

3月13日付 件名「トンボ鉛筆選考専用履歴書・エントリー送付」に関するお詫び 日頃から弊社へ格別のご理解を賜りまして深く御礼申し上げます。 さて、平成23年3月13日付で、弊社人事グループ担当社員より発信しました弊社採用活動に関する文書の中に、不適切かつ配慮に欠く表現が多々ありましたことを深くお詫び申し上げます。 先ず、東日本大震災発生の2日後に、罹災した地域への配慮を欠いたかたちで書類選考用紙等をメールし、締切を15日消印有効としたことは言語道断であります。また、随所に平等を欠く表現もありました。さらに、弊社担当者の立場上の驕り昂ぶりが現れた言葉遣いが随所にあり、重ね重ねお詫び申し上げます。 早速、公に発信する文書の事前社内校閲ルールを設置し、再発を防止してまいりますと同時に、当該担当者を厳しく指導しました。 改めてこの度、不適切かつ配慮に欠く文書を発行しましたことを深くお詫び申し上げます。 平成23年3月14日 トンボ鉛筆 総務部ゼネラルマネージャー 長尾弘司

佐藤氏の上のメールに比べて、とても誠実さが伝わってきます。
彼の驕り昂り言語道断であるとして、自社の社員のとった対応への怒りも伝わってくるものです。

このメール以外にも、長尾弘司氏の対応で評価された点は、主に2つあります。
それを見ていきましょう。

ポイント1:炎上する前に謝罪文を掲載したこと

出典: https://candy-web.net/posts/444/

長尾弘司氏の対応の評価された点として、問題のあったメールが広まった翌日に、謝罪文を掲載した事です。
不祥事を起こした企業というのは後手に回りがちです。不祥事直後の謝罪ではなく、マスコミやネットで騒がれ初めてから、ようやく謝罪文を掲載する企業は少なくありません。中には謝罪文すら公開しないところもあります。

しかし、不祥事の翌日に迅速に謝罪することによって「騒ぎを収集するための謝罪ではなく、自分たちのやったことを本当に謝罪している」というイメージを世間に与える事に成功しました。

ポイント2:佐藤氏のクビも発表したこと

社員を庇う、なあなあな体質が日本企業にはよく見られます。
特に重役になるほど、減給や自宅謹慎といったできる限り穏当な処分ですまそうとします。
しかし、それでは国民感情が納得するはずがありません。

長尾弘司氏は翌日には佐藤氏のクビを発表しています。
いわゆる懲戒解雇ですが、このクビという処分は会社の中でもとりわけ重い処分です。
この佐藤氏のクビによって、世間をある程度納得させることに成功しました。

まとめ:誠実さと敬う気持ちを大切に

震災時に起きたこのトンボ鉛筆の事件、皆さんの目にはどう映ったでしょうか?

一般的な倫理感を持っているならば、おおよそ信じられないものとして映るのは間違いないでしょう。
しかし、このような企業は未だに日本には多く存在しているのです。

採用する人間と企業は対等の契約を結んでいること。
出世させる人間は歪んだ愛社精神など持っておらず、きちんと能力を基準として出世させること。
誠実さと人を敬う気持ちが、より会社を発展させるという事を知らしめねばなりません。
また、このような事件を防ぐには普段からの会社全体のシステムに興味を持ち、監視の目を向けることこそが重要なのです。

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