当て逃げ検挙率はどのくらい?当て逃げ対策や実際の対処法も解説!
当て逃げをされて、悔しい思いをしたことはありませんか?当て逃げの検挙率は低く、泣き寝入りするしかないケースも少なくありません。この記事では、当て逃げの対処法や、当て逃げやひき逃げの全国での検挙率などについて、詳しく解説します。
目次
当て逃げされて悔しい思いしたことありませんか?
コンビニやスーパーの駐車場などで当て逃げされてしまい、悔しい思いをしたことはありませんか?
大切な愛車を傷つけられ、謝罪もなく逃げられてしまう「当て逃げ」ですが、警察に届けたり、証拠を集めたりして適切に対処する方法があります。この記事では、当て逃げされてしまったときの対処法、また当て逃げされないようにする対策について解説します。
当て逃げとは?
当て逃げとは軽微な交通事故のひとつです。物損事故ではない人身事故の場合は、「当て逃げ」ではなく「轢き逃げ」となります。
「当て逃げ」は読んで字のごとく、自分の車などを傷つけられたにもかかわらず、傷つけた犯人(加害者)に逃げられてしまうことです。
当て逃げによくあるパターン3つ!
当て逃げが起こる場所は様々ですが、よくあるのは「駐車していた車に戻ってきたらぶつけられていた」というケースです。他にも、動いている車同士がぶつかってしまうという場合もあります。
まず、当て逃げによくあるパターンを3つ、ご紹介します。
駐車場で車に傷をつけられた
当て逃げによくあるのが「駐車場で車に傷をつけられた」というケースです。
自分が見ていないところで起こり、加害者がそのまま立ち去ってしまうというパターンで、手がかりがなければ泣き寝入りするしかないという場合もあります。駐車場に監視カメラなどがついていれば、それが解決の糸口になります。
路駐車のミラーを車で擦られた
次に起こりやすいのは「路上駐車中にミラーを擦られる」というケースです。
狭い道路で距離を見誤ったり、スピードを出しすぎてしまったりすると、通り過ぎるときに路上駐車中の車を擦ってしまうことがあります。加害者側は走行中ということもあり、そのまま走り去られてしまうことも多いです。
乗車中に接触された
「乗車中に接触される」というのもよくあるパターンです。車同士の事故とはいえ、前述したとおり、車に乗っている人にケガがなければ「物損事故」となり、話し合いもなく逃げられてしまったら「当て逃げ」となります。
駅のロータリーなど、車の出入りが激しいところで起こりやすいパターンです。
当て逃げはなぜ起こるの?
他人の車を傷つけたまま義務を果たさず逃げてしまい、結果的に「当て逃げ」となってしまう人の心理には、いつくかのパターンがあります。
当て逃げが起こる理由には、心理面での問題と法律的な問題、そして賠償問題があります。ひとつずつ詳しく解説します。
当たったことに気付いていない
物損事故が最終的に「当て逃げ」となってしまう理由に、「そもそも当たったことに気づいていない」というものがあります。
当て逃げをしたことに気づいていなくとも、運転者は物損事故を起こした場合、警察に届け出る義務があります。これを怠った場合、道路交通法違反となり、罪に問われることになります。
事故を無かったことにしたいから
物損事故を起こしてしまったとき、自分が加害者であるということを瞬時に認め、冷静に対処するのは容易なことではありません。自分が加害者である場合、その後の処理には面倒なことも多く、「なかったことにしたい」という心理になるのも当然です。
しかしながら、近年ではドライブレコーダーや監視カメラの設置数が増えてきており、当て逃げしてしまったあとに事実を追求されることもあります。そうなってから罪を償うよりは、事故発生後、速やかに自己申告したほうが面倒がないといえるでしょう。
点数や罰則が気になる
物損事故を起こしたことを警察に申告すると、免許証の点数が減点されたり、罰則を科せられたりするのではないかと気になって逃げてしまう、という加害者もいるようです。これは全くの見当違いで、法律上は物損事故を起こしたからといっていきなり罪に問われることはありません。
もちろん、被害者に賠償金の支払いを求められる場合はありますが、法律上は「事故現場での適切な対処」を行い、「警察への報告」を行えば、いきなり逮捕されたり、免許証を減点されるといったことはありません。
賠償金が心配
車など、他人の所有物を破壊してしまったら、賠償金を求められるのは当然であるといえます。対人はもちろんのこと、対物の自動車保険に加入していない場合、賠償金を自己負担しなければなりません。
また、保険に加入していても、内容をよく把握しておらず、やみくもに賠償金が気になってしまい、動転して逃げてしまうというケースもあります。
当て逃げされた時の対処法は5つ!
当て逃げされたとき、被害者ができる対処法がいくつかあります。着実に対処していくことで解決につながることもあるので、当て逃げされても泣き寝入りせずに、冷静にできることから対処していってください。
当て逃げされたときの対処法は5つあり、法律で行う義務があるものもありますので、詳しく解説します。
1. 警察へ通報する
当て逃げが発生したら、真っ先に警察に通報してください。自動車の運転者には、交通事故が置きた場合必ず警察に申告しなければならない義務があります。
これを行わず当て逃げをしてしまった場合は「安全運転義務違反」と「危険防止措置義務違反」に違反したことになり当て逃げした側は免許停止処分となります。
また、当て逃げの被害者は、その後の保険会社との手続きに必要な「事故証明書」を警察に発行してもらう必要があります。ただし、警察が「道路」と見なさないような駐車場などでは「交通事故」という扱いにしてもらえない場合もあります。この判断は警察官が行うものですが、かといって自己判断せず必ず警察に通報してください。
もし万が一、事故発生時に怪我をしたり、体に衝撃を感じたときなどは「人身事故」という扱いで事故証明をとることになります。
2. 相手の車のナンバーを控える
当て逃げ犯が逃げ出してしまったとしても、車のナンバーがわかれば犯人を特定することができます。
当て逃げが発生したらすぐに、スマートフォンや携帯電話などで撮影してください。撮影が難しい状況なら、目視で確認するなどして、せめてナンバーだけでも記憶しましょう。この情報があるとないとでは、解決までの難易度が段違いになります。
3. 監視カメラの設置を確認する
当て逃げ事故発生時、近くに監視カメラがあるかもしれません。自分でナンバーが確認できなくても、監視カメラの持ち主に情報提供を求め、確認するという方法もあります。
監視カメラ映像の解像度にもよりますが、車のナンバーだけでなく、事故発生時の状況も知ることができるかもしれません。
4. 証拠を集める
ナンバーや、監視カメラを確認するだけでなく、現場に残っているものから証拠を集めることも重要です。
まず、当て逃げをされた傷跡は、早い段階で写真に残しておきます。また、現場周辺の住民や店舗の従業員などに、当て逃げの目撃者がいないかどうか聞いてみるのもひとつの対処法です。
5. 保険会社に連絡する
当て逃げが発生したことを警察に通報して事故証明書を発行してもらったら、加入している保険会社に連絡をし、修理費用の負担などについて確認して下さい。
普段から、自分が加入している保険のサービス内容や、いざというときの連絡先などを確認しておくのも大切です。
当て逃げの検挙率はどの位?
検挙率とは、被害者が提出した被害届に対して、どれだけ事件として検挙されたかという割合のことです。検挙とは、警察官が事件の容疑者をつかまえて、警察署に連れていくことです。
そもそも当て逃げは「民事不介入」の原則に基づき、警察が介入しにくい事件です。当て逃げの被害にあっても「事件性がない」とされれば捜査してもらえないことも少なくありません。そのためか、全国の当て逃げの検挙率は、残念ながら非公開のものが多い状況です。
「ひき逃げ」の検挙率は90%
法務省が毎年、ホームページで全文公開している犯罪の統計データをまとめたものに「犯罪白書」というものがあります。この資料では、ひき逃げの検挙率が掲載されています。
平成30年度版の犯罪白書によれば、死亡事故となったひき逃げの検挙率はおおむね90%以上の水準となっています。死亡事故以外のひき逃げも含めた、ひき逃げの総数でいうと、検挙率は60%ほどです。
当て逃げの検挙率はかなり低い?
交通事故発生時、被害者がケガをしたり、死亡してしまった場合は人身事故となるため、警察も犯罪捜査を怠りません。
それに比べて当て逃げは「物損事故」であり、民事不介入の要素もあるため検挙率が低くなっていると思われます。
当て逃げの犯人が見つかった時の対応は?
運良く当て逃げの犯人が見つかった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。犯人が見つかったからといって即解決というわけにもいきません。どのような対処が必要になるのか、詳しく解説します。
相手の保険会社に賠償金を支払ってもらう
当て逃げの犯人が見つかったら、こちらの被害を賠償してもらう必要があります。相手が自動車保険の加入者であれば、相手の保険を使って賠償金を支払ってもらうことができます。車両についた傷の程度、傷の修理にかかった修理費などによって、適切な賠償金が算出されます。
内容証明郵便で請求書を送る
交通事故発生後の話し合いでは、お互いの保険会社同士が話し合って示談交渉を行うのが一般的です。ところが、当て逃げの加害者がどの自動車保険にも加入していなかった場合は、被害者は加害者に請求書を直接送るなどの手続きが必要です。
その際、加害者が請求を無視したりするのを防ぐため、「内容証明郵便」というものを利用することができます。「内容証明郵便」とは、差出人がいつ・どのような内容の文書を誰に送ったのかということを、郵便局が保管及び証明をしてくれるサービスです。
交渉する
具体的な賠償金額を決めるためには、被害者と加害者との間で交渉をし、話し合いを進める必要があります。双方が自動車保険に加入していれば、お互いの保険会社が当事者に代わって話し合いを進めることになります。
強制執行する
加害者が自動車保険に未加入だった場合、被害者から求められた賠償金は自力で支払わなければなりません。ところが、自力で払いきれない賠償金だった場合など、支払いが滞ることがあります。
どうしても加害者が賠償金の支払いに応じなかった場合、裁判を行った上で、国の権力で加害者の資産などを差し押さえしてもらうことができます。
裁判を行う
当事者同士の話し合いでは解決できず、示談が成立しなかった場合、裁判に持ち込むことができます。裁判を行う場合は、弁護士費用が別途かかります。自動車保険に加入するとき、弁護士特約というオプションを付加することで、自分の保険を使って弁護士を立てることができます。
自動車保険に加入するときは、サービス内容をよく確認し、弁護士特約をつけることをおすすめします。
当て逃げされた時の車の修理代は?
当て逃げをされたら、車に傷が残ります。もちろんすぐにでも修繕したいところですが、被害を受けたのにも関わらず、自分で費用を負担しなければならないのでしょうか。ここではケース別に、傷の修理費について解説します。
相手に払ってもらう
当て逃げ犯が見つかった場合は、もちろん相手に修理費用を負担してもらうのが当然です。ここで注意すべきなのは、保険会社を通さずに、当事者同士で示談金を決定すべきではないという点です。
例えば、加害者側が一方的に「○○円で許してもらえませんか」などと金額を提示し和解を持ちかけても、応じるべきではありません。修理費用がそれ以上にかかってしまったり、実際に支払われないなど、トラブルのもとになるからです。
まずは事故証明をとり、それから保険会社に連絡してください。
自腹の可能性も高い
残念ながら、当て逃げの場合は犯人が特定できない場合も多いです。加害者が誰だかわからなければ、傷の修理費用は自己負担するしかありません。この場合、自分の自動車保険を使うよりも、自腹で払ってしまったほうが長期的にみて安く済むような場合もあります。
車両保険を使う
当て逃げされた傷を修理する場合、もしも修理費用が高額になってしまったら、自分の車両保険を使って修理することもできます。
ところが、自分の車両保険を使うと、保険の等級が下がってしまい毎月の保険料が高くなる場合があります。修理費用を自腹で払う場合と、どちらが費用を抑えられるかについても考えてみてください。
当て逃げされない対策法は?未然に防げる?
当て逃げは、駐車中に車から離れているときなどに、いつの間にか発生していることが多い事故です。ここでは、当て逃げを未然に防ぎ、被害を受けないようにする対策について解説します。
ドライブレコーダーを付ける
もっとも具体的ですぐに実践できる対策として、車にドライブレコーダーをつけるという方法があります。近年、ドライブレコーダーは、走行中の事故だけでなく駐車中の当て逃げにも効果的な対策法となっています。
当て逃げ対策にドライブレコーダーを活用する場合は、エンジンを切っているときでも常に撮影ができるモデルを選んでください。常時撮影を続けるモデルもあれば、動くものにセンサーが反応して撮影を開始するモデルもあります。
また、メモリ不足や充電切れにも気をつけるようにして、定期的にメンテナンスを行うようにしてください。
管理がしっかりしている駐車場に停める
管理がずさんな駐車場よりも、管理が行き届いていて、監視カメラや人の目が常にあるような駐車場を選ぶというのも効果的な対策となります。
また単純に、駐車している人が少ないスペースを選ぶ、ということも立派な対策です。可能なら、出入りが激しかったり、混み合っていたりする駐車場を避けるという対策もできます。
路上駐車しない
今日からできる対策として、路上駐車をしないようにする、ということもできます。一瞬で走り去ってしまう走行中の車を特定するのは困難です。また万が一、駐停車禁止の場所に駐車していた場合は当て逃げ被害を受けた自分が罰則を受けることになります。極力、路上駐車は避けるべきであるといえるでしょう。
当て逃げにも時効はあるの?
当て逃げ事件を解決する前に、事件が「時効」となってしまうことはあるのでしょうか。まず当て逃げ犯を特定することができた場合は、事件が「時効」となるまでの期間は3年となります。犯人がわからない場合は、時効までの年数は起算が始まりません。
なお、事件から20年間が経過すると、その事故に対するすべての請求権がなくなり、賠償金を求めることができなくなります。
当て逃げされたら冷静に対応しよう!
ここまで、当て逃げをされた場合の対処法や、当て逃げを未然に防ぐ対策などについて解説してきました。もし当て逃げにあってしまっても、まずは冷静に警察に通報して、落ち着いて対処していってください。また、普段から当て逃げ被害にあわないよう、対策するのも大切です。