『筋合い』の意味や使い方を解説!「筋合いはない」の意味とは?
「あなたにそんなことを言われる筋合いはない!!」と話の途中に突然、言われたことはありませんか? こんなことを言われると、次に言葉が出てきませんね。そんな『筋合い』にはどんな意味があるのでしょうか。『筋合い』や『筋合いはない』について例文を交えつつ解説します。
目次
『筋合い』の意味とは?
そもそも『筋合い』にはどんな意味があるのでしょうか。2通りの意味を紹介します。
意味①「正しい理由・論理的な根拠」
まず、一般的に「物事の道理」として使われることが多いです。正しい理由や、論理的な根拠がある関係のことを表す時に使います。物事に対して納得いく理由、根拠があるという意味です。
意味②「義理・義務」
もう1つは、「義理」「義務」という意味の使われ方をします。「義理」には、はっきり定められたルールではないけれど、社会的観点からそうした方がいいものという意味があります。また、「義務」は、自分の立場で当然負うべき責任という意味です。こういった意味合いで使う時に、『筋合い』が用いられます。
『筋合い』の語源は?
『筋合い』は「筋」と「合い」の2つのことはが合わさって、できた言葉です。その2つの言葉の語源を知り、そこから、『筋合い』の語源を知りましょう。
「筋」は、筋肉や、その筋肉を骨に付着させている組織を表します。植物の繊維も「筋」と言い表すことがあります。また、細長い線のことを指すこともあります。他に、家柄や素質、物事の道理を意味する使い方もされます。
「合い」は、様子や具合を表す場合に使われます。他にも、意味をぼかして遠回しに言いたい時にも用いられます。互いにその動作をしている様子に使われることもあります。このことから、『筋合い』は物事の道理とその様子や具合を表すことが、語源になっていると考えられます。
『筋合い』の使い方を例文を使って紹介!
『筋合い』という言葉は、どのように使われるのでしょうか。いくつかの例文で紹介します。
・あなたの考えには立派な筋合いがあります。
・彼女が批判をしているからといって、あなたが気にする筋合いはありません。
・私はあまり詳しくないので、筋合いが読めません。
・彼には、その筋合いがないので、私は彼を頼ることはしません。
こんな感じの例文でいかがでしょうか。『筋合い』は名詞として使い、その後に「~がない」「~がある」と続ける使い方がよくされます。
『筋合い』の類語
『筋合い』の意味、語源、使い方が分かったところで、類語にはどんなものがあるのか。紹介します。
類語①『理由』
『筋合い』の意味に、正しい理由・論理的な根拠があると紹介しました。考えや行動に正当な動機がある場合、『筋合い』と同じ使い方で、『理由』が使えます。
類語②『理屈』
『筋合い』の対義語
ある現象の原因を説明する時に、『筋合い』と同じような使い方で『理屈』が使えます。例文であげた「あなたの筋合いが読めません。」の文章には、この『理屈』を類語として用いることができます。
続いて、対義語(反対語)を紹介します。『筋合い』の使い方によって、2つの対義語(反対語)があげられます。
反対語①『帰結』
『筋合い』を「正しい理由・論理的な根拠」の意味でとらえると、反対語は『帰結』になります。ただし、『帰結』には、「最後にたどり着くこと、またその結論や結果。」という意味もあります。使い方に気を付けましょう。
反対語②『権利』
もう1つの意味の「義理・義務」の反対語は『権利』です。『義務』の意味の反対語として、『筋合い』の反対語にも『権利』があげられます。『権利』の場合も、意味には、「人に要求できること」や「自分で考え好きにできること」などがありますので、使い分けが必要です。
『筋合い』を他の言葉で言い換えることはできる?
では、『筋合い』を他の言葉で言い換えることはできるのでしょうか。
語源から考えると、「筋」と「合い」が合わさってできたと考えられ、それぞれの意味合いを持つ言葉に置き換えることは可能です。また、類語の『理由』や『理屈』で置き換えることもできます。
しかし、どれも、『筋合い』という言葉の代わりとしては、あまりしっくりきません。『筋合い』は語源を考え、類語を用いたとしても、本来の意味合いで他の言葉で言い換えることは、なかなか難しい言葉といえます。
『筋合い』の英語表記
『筋合い』を英語で表すとどうなるのでしょうか。紹介します。
『筋合い』には2つの意味があると、紹介しました。そのため、それぞれの意味で使う英語が変わってきます。次にあげる2つの英語を覚えてください。まず、『正しい理由・論理的な根拠』という意味で使われる時は、英語では"reason"です。そして、『義理・義務』の意味での英語は、"right"となります。
日本語でどのような意味で使われているのか、よく考えて、英語も使い分けましょう。最初にあげた「あなたにそんなことを言われる筋合いはない。」を英語にすると、“There is no reason for you to say that.”となります。
「筋合いはない」の意味とは?
『筋合い』は名詞として使い、後に、「~がある」や「~はない」を付けて使うと紹介しました。そして、その中でも「筋合いはない」はよく使われる言葉です。
「筋合いはない」の意味
『筋合い』を否定する「筋合いはない」という使い方。『筋合い』が持つ意味を否定すると考えてみます。その場合は、「正しい理由・論理的な根拠」はない。「義理・義務」はない。となります。つまり、正しい理由や根拠はなく、義理や義務は発生しないという意味になります。
ただ、正しい理由があったとしても、自分は聞く耳を持たないという意味で「筋合いはない」を使っていることもよくあります。
「筋合いはない」の類語
「筋合いはない」の持つ意味から考えると、類語として一番しっくりくるのは、「いわれはない」でしょうか。
「筋合いはない」は、『筋合い』の語源の、「物事の道理とその様子や具合を表すこと」を否定します。道理がない。具体的に表すことがない。などと語源に基づくと考えられますが、使われている意味合いでは、「いわれはない」になります。また、これらの語源から、「関係ない」という言葉も「筋合いはない」の類語として挙げられます。
「筋合いはない」の例文
見出しにも書きましたが、一番に浮かぶ例文は、「あなたに◯◯される筋合いはない。」です。言われるとドキッとしますね。
他には……。
・私にはその筋合いはないが、あなたのために協力します。
・彼女があなたを、批判をするが、彼女にその筋合いはない。
「ない」と否定をされているので、一瞬自分が否定されているように思いますね。しかし、「筋合いはない」の前後の意味をよく考えると、そうとも限りません。
「筋合いがない」と「筋合いじゃない」の意味の違いとは?
「筋合いがない」の意味
「筋合いはない」「筋合いがない」は、「は」と「が」が違いますが、意味はそれほど違いません。「義理・義務」がない。「義理・義務」はない。どちらも、「筋合い」の意味から考えても違いは見られません。
あえていうのならば、『筋合い』が「が」より「は」の方が強調されるところでしょうか。「が」より「は」と言われた方が、より意思表示がはっきりしているように取れるのです。
「筋合いじゃない」の意味
今まで「筋合いはない」「筋合いがない」を紹介してきました。ここでは、「筋合いは」でも「筋合いが」でもない「筋合いじゃない」についてです。
「筋合いじゃない」は「筋合いではない」が変化した言い方です。「筋合いはない」「筋合いがない」は、『筋合い』をないと否定してきましたが、この場合は、「筋合いとは違う」という意味になります。つまり、「正しい理由・論理的な根拠」とは違う。「義理・義務」とは違う。そんな場合に用いられます。
例えば例文で紹介すると「私はあなたにどうこう言える筋合いじゃない。」『筋合い』の後ろにつく助詞が変わってくるだけで、使い方も変わってきます。
【番外編】『筋』が付く他の表現を紹介!
『筋合い』『筋合いはない』について、紹介してきましたが、ここで番外編! 『筋』が付く他の表現を紹介しましょう。
・筋が通っている。(道理にかなっている。)
・筋を通す。(道理にかなうようにする。)
・筋が悪い。(素質がない。性格が悪い。)
・青筋を立てる。(こめかみに血管が浮き出るほど、激しく怒ったり興奮したりする。)
・筋骨を抜かれたよう。(病気や疲労などで、気力がなくてぐったりした様子。)
もっと調べていけば、まだまだ、『筋』の付く表現は出てきそうです。
『筋合い』の意味を正しく理解して使いこなそう!
『筋合い』と聞けば、すぐに「筋合いはない」という言葉を思い出すと思います。そして、「筋合いはない」の「ない」の部分で、何か否定をされているように思います。しかし、しっかりと『筋合い』の意味を理解すれば、「筋合いはない」も否定的ではないことが分かります。
何となくではなく、正しく『筋合い』の意味を理解して、「筋合いはない」「筋合いではない」など使いましょう。使いこなせれば、会話の幅も広がりますよ!