『故郷』の意味を徹底解説!『出身地』や『地元』との違い・ことわざも!
誰しもがもっている『故郷』という場所。生まれた場所のこと?それとも育った土地のこと?知っていそうで知らない『故郷』の意味や使い方、ことわざもご紹介。『出身地』や『地元』などの類語の意味と違い、英語での表し方なども見ていきます。
目次
『故郷』の意味とは?
「こきょう」とも「ふるさと」と読める『故郷』という言葉を見て、どんな景色を思い浮かべますか?
「♪兎追いしかの山、小鮒(こぶな)釣りしかの川」で始まる童謡「ふるさと」の歌詞や、室生犀星(むろう さいせい)の詩の一節「故郷は遠きにありて思うもの」にもあるように、『故郷』とは、子供時代の懐かしさや楽しさ、切なさなどの記憶を思い起こさせる言葉でもありますよね。
また、魯迅や川端康成は『故郷』という小説を執筆していますし、映画や歌のタイトルなどにもよく使われます。
『故郷』には、生まれた育った土地、子供時代を過ごした土地、昔住んでいた土地などを物理的に意味すると同時に、懐かしさや愛着、思い出など、その土地を想う気持ちを想像させる言葉でもあります。子供時代の心の成長に大きく関わった場所を表すことが、『故郷』という言葉の大きな特徴です。
また、自分の生まれ育った土地以外に愛着のある土地のことを「第二の故郷」と呼ぶことがありますが、これはつまり、自分にとって大切な「真の故郷」は一つだけ、決して変わるがないことからこのような使い方をするのではないでしょうか。また、自分が癒され、落ち着く場所という意味で「心のふるさと」という表現をすることもありますね。
このように、『故郷』は単に場所を意味するだけでなく、その土地に対する自分の気持ちが大きく関わっていることがわかります。
『故郷』の類語は?
では、次に『故郷』の類語を見ていきたいと思います。
『故郷』の類語は、以下のようにたくさんあります。
ふるさと、郷里、郷土、郷、本郷、里、田舎、出身地、出生地、生地、生国、家郷、郷党、旧里、郷国、郷曲、郷邑、郷園、故園、郷閭、郷関、郷貫、寒郷、故山、関山、家山、桑梓、墳墓の地、僻邑、、国、邦、国土、故国、旧国、本国、本の国、本つ国、母国、家国、国元、国許、お国、国表、国方、国里、国所、国処、国辺、生まれ、生まれ故郷、在所、生まれ在所、出どころ、出所、出処、出、地元、産地、故地、ホームタウン、ホーム、ホームランド
馴染みのある言葉、使い慣れない言葉など、いろいろな類語がありますね。『故郷』には広い意味があり、さまざまなニュアンスで使われるため、たくさんの類語があるのではないでしょうか。
特に『出身地』や『地元』といった類語とは意味が近いため、使い方が混同されやすいようです。では、次に『故郷』と『出身地』の違い、『故郷』と『地元』の違い、それぞれの言葉の意味を見ていきましょう。
『故郷』と『出身地』の違いとは?
まずは、『出身地』の意味と、『故郷』と『出身地』の違いを考えていきたいと思います。
『出身地』の意味について、ある辞書にはこのように載っています。
1.その人が生まれた土地、または育った土地。
2.その人が生まれ育った土地。
『故郷』が、自分の心に影響を与えた生まれ育った土地を広く表現しているのに対して、『出身地』は、その人が生まれた土地、または、生まれ育った土地そのものを意味していることが、大きな違いと言えるでしょう。
生まれてすぐ引っ越しをした場合などは、生まれた場所を『出身地』と言うのか迷ってしまうかもしれませんが、その場合は生まれた場所を『出生地』、子ども時代を最も長く過ごした場所を『出身地』ととらえるとわかりやすいかと思います。引っ越しが多くて様々な場所に住んだことがある人は、最も長く過ごした土地、または、最も幼い年齢である程度の期間過ごした場所を『出身地』と呼ぶ方が多いようです。
『故郷』と『地元』の違いとは?
では、『故郷』と『地元』にはどのような違いがあるのでしょうか?
『地元』の意味について、辞書にはこのように書かれています。
1.その人が住んでいる土地。また、その人の勢力範囲である土地。例)地元の候補者
2.そのことに直接関係ある土地。例)地元の意見を聞く。
「地元に戻る。」と言うように、『地元』は、生まれ育った土地、両親が住んでいる土地、故郷、出身地、という意味で使われることもありますが、「住んでいる場所」「住んだことのある場所」の中で、「深い関わりがあり」「愛着があったり精神的に支えとなっている」土地、というニュアンスが含まれます。
子供時代を過ごしていなくても、自分自身がその土地に関わりがあり、愛着を持っていれば、『地元』と捉えてよいようです。
『故郷』を使ったことわざ『故郷に錦を飾る』とは?
『故郷』は、ただ生まれた場所、育った場所、住んでいる場所を意味する使い方があるだけでなく、子供時代に過ごした記憶とともに思い出や懐かしさといった感情も含めた意味があるということをご紹介しました。
そのため、この『故郷』という言葉は、歌の主題になったり、俳句や詩、ことわざの中でも多く使われます。中でも『故郷に錦を飾る』ということわざは、誰しもが聞いたことのある表現の一つです。
この『故郷に錦を飾る』ということわざの意味と使い方をご紹介していきたいと思います。
『故郷に錦を飾る』の意味とは?
『故郷へ錦を飾る』ということわざは、単に『錦を飾る』と言われることもあります。
前述したとおり、『故郷』とは、生まれ育った土地であり、子供時代を過ごし、自身の心の成長に影響を与えた愛着のある土地のことを言います。
「錦」とは、さまざまな色糸や金銀糸を用いて模様を織り出した絹織物のことです。豪華な織物という意味で使われることもあります。『故郷に錦を飾る』とは、故郷を離れていた人が立身出世をして、錦で作られたような立派な衣服を着、晴れがましい思いで帰郷することを言います。
また、『故郷』というう言葉は、故郷に住む、自分を生み育ててくれた両親や恩人、友だちなどを象徴することもあります。『故郷に錦を飾る』ということわざは、立派な人物になり、そういった人々に喜んでもらい、恩に報いる、という意味も込められています。
『故郷に錦を飾る』の使い方・例文
では、この『故郷へ錦を飾る』ということわざは、どのような使い方をすればよいのでしょうか?例文で見ていきましょう。
例文:
故郷へ錦を飾るために懸命に働いている。
夢を叶えるためにふるさとを離れて10年。ようやく故郷に錦を飾ることができた。
この大会で優勝すれば、故郷に錦を飾ることができるだろう。
生まれ育った土地を離れ、新しい土地で努力をし、何かを成し遂げることで故郷や故郷にいる人々に喜んでもらいたい、恩に報いることができた、というときに使います。
私たちも、何かに一生懸命打ち込み、成功を遂げ、『故郷に錦を飾る』ことができるようになりたいですね。
『故郷』を英語で表現するとどうなる?
日本語では、類語表現がたくさんある『故郷』という言葉ですが、英語で表現するとどうなるのでしょうか?
ここでは、『故郷』に近い英語表現をご紹介しながら、それぞれの意味やニュアンス、使い方を見ていきたいと思います。
【hometown】故郷、出身地、生まれた町を意味します。現時点で居住している場所を表すこともできます。とても一般的によく使われる英語です。
【homeland】上記 hometown と同じニュアンスで、国や大陸など、もっと広い範囲の場所を表現したいときに使います。母国、故国に近い意味を持ちます。
【birthplace】文字通り、生まれた場所。出生地の意味です。I was born in......(私は......で生まれました。)と言い換えることもできます。
【my town / my city / my country】「私の町/市/国」というように、頭に my(私の)をつけることで、地元、故郷、お気に入りの場所というニュアンスで表現することができます。とても英語的な表現ですね。
【motherland】母なる土地。つまり母国のことです。人以外にも何かの「発祥地」という使い方もできます。
英語の home や mother は、愛着や安心感、自分が生まれた場所、帰る場所、といったイメージを感じることができる言葉です。日本語の『故郷』に通じる使い方がされる場合もあります。上にあげた以外にも、これらの単語が含まれる英文や英熟語を集めてみると、英語的なニュアンスを理解しやすいと思いますよ。
『故郷』の意味を正しく理解して使いこなそう!
何気なく使っていた『故郷』という言葉には、『出身地』や『地元』などとはまた違った意味や使い方があることがおわかりいただけたかと思います。
誰もが持っている『故郷』という土地。正しく意味と使い方を理解をしたことで、これまで以上に味わいのある言葉として使いこなしていきましょう。