トンボ鉛筆事件を分かりやすく解説!佐藤佳弘と長尾弘司のその後は?
東日本大震災後に起きたトンボ鉛筆事件について紹介します。トンボ鉛筆事件の犯人となった佐藤佳弘や、事件を沈静化させた尾長弘司について詳しく説明しています。トンボ鉛筆事件は他人事ではありません。事件の全貌を知ることで、この事件がどういったものかが分かります。
目次
トンボ鉛筆事件とは
※この記事には暴力的な内容はありませんが、気分を害する内容が含まれている場合がありますので閲覧にはご注意ください。
トンボ鉛筆とは言わずと知れた鉛筆の大手メーカーです。そのトンボ鉛筆の当時の人事が引き起こした事件が「トンボ鉛筆事件」といわれています。この事件は警察沙汰にはなっていませんが、当時は就活生やSNSの間で多く拡散されました。
今回はこの「トンボ鉛筆事件」がどういった事件なのか、またそれを引き起こした当時の人事・佐藤佳弘はその後どうなったのかを紹介します。トンボ鉛筆事件からは学ぶことがたくさんあります。
自分やその周りの人間が、このトンボ鉛筆事件を引き起こした佐藤佳弘と同じ道を歩まないように、事件の全貌と人や会社との関係の見直しをしてみると良いでしょう。高圧的な態度こそ、他者から批判されるべき姿勢なのです。
トンボ鉛筆事件が起きたのは東日本大震災前後
まずトンボ鉛筆事件が起きたのは日本を大きく震撼させた「東日本大震災」の前後です。この大震災は東北のみならず、日本各地を震撼させ、地震に恐怖したことでしょう。この大震災では交通・通信・電気・水道などのライフラインが大きく麻痺をしました。
こうした大震災やトラブル発生時には、多くの企業や行政はその対応にあたります。また東日本大震災が起きた3月は丁度就活の時期です。そんな中、トンボ鉛筆事件は起こりました。このトンボ鉛筆事件とは、就活生に向けたメールが発端となったのです。
発端は就活生に向けた人事・佐藤佳弘からのメール
トンボ鉛筆事件の発端は就活生に向けた人事・佐藤佳弘からのメールでした。その内容は当時の大震災や被災者・被害者の状況や心情を少しも汲んでおらず、また高圧的な態度で書かれたものだったため、瞬く間に就活生やSNSの間で炎上していきました。
トンボ鉛筆は大手メーカーで就労希望者も多かった
トンボ鉛筆は大手鉛筆メーカーです。そのため就活・就労を希望する人が多く、3月1日から始まった説明会の予約も溢れる人ばかりでした。そんな中で大震災は起こりました。しかし当時の人事である佐藤佳弘はそのことを少しも汲み取らず、予約が取れたもののみにエントリーシートを配布しました。
当時は通信状況も悪く、何日も通信が麻痺した状態が続いていました。特に大震災の被害者となった地域の就活生は予約も取れない、その後の情報も告知されないという大きな不安にさらに心身が襲われたのです。
トンボ鉛筆事件の大まかなフローチャート
トンボ鉛筆事件が起きて鎮静化するまでの流れを大まかなフローチャートにして紹介します。全体的な流れを知ることで、トンボ鉛筆の全貌が分かってきます。また何が問題になったのかも分かりやすくなるでしょう。
①3月1日に会社説明会の予約を開始
トンボ鉛筆は東日本大震災が起こる前の3月1日に就活生に向けた会社説明会の予約を開始しました。この時点で多くの希望者がおり、予約から漏れた人も多数いるといわれています。予約方法はネットからの予約でした。
事前に13時から開始される旨は就活生に向けて発信されていたらしいですが、パソコンを前にしても予約が殺到しているせいか予約が取れない人も大勢いました。そんな中、人事であった佐藤佳弘は問題発言をメールで発信しています。
②人事・佐藤佳弘の問題発言
3月1日の予約開始から大震災までの間に当時の人事であった佐藤佳弘はこうメール内で発言しています。「運であろうと他人より先に一歩出たことに対するメリットを皆さんに与えたい」と予約が確定した人にのみエントリーシートを配布しました。
予約から漏れた人にはその後の情報はなく、就活生は大きな不安に飲まれました。多くの就活生が希望していたので、ネットもパンク状態に陥ったのでしょう。こうした状況はすべての就活生に平等とは言えず、人事・佐藤佳弘の高圧的な態度を物語っています。
③3月11日大震災発生
予約者のみにエントリーシートが配布されてから数日後に、日本を揺るがした東日本大震災が発生しました。この時にも佐藤佳弘は被災者や被害者に対し「地震大丈夫ですか?怪我とかないですか?」などというメールを発信しています。
なんとも場違い、また空気の読めない内容のメールです。当時は通信状況が麻痺している状況でのこのような意味のないメールは、就活生にとっても被災・被害者にとっても迷惑なメールだったでしょう。
④3月13日佐藤佳弘から問題のメールが届く
トンボ鉛筆事件で一番問題となるメールが就活生に届きます。内容は、この大変な状況で本来は14日に公開するエントリーシートを13日に公開してあげるよ、という上から目線のものです。またどのような状況でも、熱意があるならエントリーシートが書けるはずという内容も含まれていました。
エントリーシートの締め切りは15日(消印有効)。熱意があるならどうにかしてダウンロードして郵便局で出しましょう!という被災・被害者の心情を汲み取らない内容でした。最後には、出せなかった場合は言わなくても分かるよねと締めくくられていたそうです。
⑤3月14日にGMである長尾弘司から謝罪メールが届く
このような炎上問題を経て、14日にGM(ゼネラルマネージャー)である長尾弘司から謝罪メールが就活生や被害者に向けて発信されました。内容は事件の一連の流れや謝罪、今後の対応といったものでした。こうした事件は沈静化します。
トンボ鉛筆事件の発端となったのは就活生に向けたメール
大まかなフローチャートを見れば分かるように、トンボ鉛筆事件の発端となったのは就活生に向けた人事・佐藤佳弘からのメールでした。このメールには就活生の心情や状況を汲み取らない内容だけでなく、雇ってやる側という高圧的な態度が伺えるものでした。
雇う側と雇われる側はあくまで対等な関係
近年ブラック企業なるものが巷をにぎわせていますが、本来雇う側と雇われる側は対等な関係であるべきです。それに対し、トンボ鉛筆事件を引き起こした当時の人事である佐藤佳弘は雇う側が偉いとでもいうかのような態度のメールを発信しています。
このような態度は当然許されることではなく、多くの就活生やSNSから批判を浴び、炎上しました。本来はすべての希望者に等しくチャンスが与えられるものを、その場の運によって予約が取れた者のみにメリットを与えようとしたのです。
フォローのメールも場違い感漂う内容だった
3月1日に予約解禁のメール・告知が出て、一気に炎上してしまった騒動ですが、佐藤佳弘は会社のイメージアップを図るために、大震災後にメールを発信しています。しかしこのメールも場違い感漂う内容で、さらに騒動をヒートアップさせるだけでした。
トンボ鉛筆事件で問題となった佐藤佳弘について
トンボ鉛筆事件の犯人といっても良い人物・佐藤佳弘はトンボ鉛筆の当時の人事を担当している者でした。当時は相当な権力を持っていたといわれ、周囲は佐藤に対してあまり強く反発できなかったとされています。
確かに、上に立つ者はある程度は強気でいなければ舐められてしまいます。しかし高圧的な態度は他者から見て気持ちの良いものではありませんし、自分を孤立させるだけです。しかし当時は彼が強い権力を持っていたため、こうした事件は引き起こされました。
人事や会社による高圧的な態度は、逮捕されるような行動ではありませんでしたが、大きな社会問題として世間を常ににぎわせています。今回犯人となってしまった佐藤佳弘は、被害者となる就活生の気持ちを考えられなかったため、大きな事件へと炎上させてしまったのです。
トンボ鉛筆事件を解決へと導いた尾長弘司について
当時の人事であった佐藤佳弘によって引き起こされたトンボ鉛筆事件ですが、たった一人のゼネラルマネージャーによって瞬く間に事件は沈静化されます。その人物こそ、トンボ鉛筆事件を解決へと導いた「尾長弘司」です。
尾長弘司とは
尾長弘司はトンボ鉛筆のゼネラルマネージャーです。この騒動を聞きつけたのか、3月14日には就活生に向けて謝罪メールを発信しています。佐藤の非や一連の流れを謝罪し、書類選考用紙の締め切りを取り消し、後日連絡するとしました。
このような誠意ある尾長弘司の素早い対応により、事件は沈静化へと向かいます。また当然、事件を引き起こし会社をイメージダウンさせた佐藤佳弘には厳しい罰が待っていました。
迅速で誠意ある謝罪
尾長弘司は事件の2日後には謝罪の意をHP上に出し、また同じ内容を就活生に向けて発信しました。そして当時の人事であった佐藤佳弘については厳しい処罰を下したとの旨も発表しています。こうした迅速で誠意ある謝罪によって事態はわずか2日後に沈静化したのです。
トンボ鉛筆事件を引き起こした佐藤佳弘のその後について
トンボ鉛筆事件を引き起こした張本人である佐藤佳弘は、その後ゼネラルマネージャーの尾長弘司や会社から厳しい処罰を下されます。それが「クビ」です。近年再就職が難しくなっているご時世に、役職付きだった者がクビとあれば生活も苦しくなるでしょう。
また会社側にとっても、役職付きをクビにするのは大きなデメリットがあります。しかし今回の騒動は佐藤佳弘をクビにでもしない限り沈静化は難しかったでしょう。逮捕されるような行動ではありませんが、クビは相当な処罰です。
就活生にとって、佐藤佳弘のような人物がいる会社では働きたくもないでしょう。新しい雇用者を取り入れるためにも、トンボ鉛筆は決断したのです。彼をクビにすることで、事件は沈静化し、その後も大手メーカーとして名を馳せています。
トンボ鉛筆事件とは別にトンボ鉛筆会長が逮捕されていた
トンボ鉛筆にとって東日本大震災のこの騒動は大きな痛手となりました。しかし、実は過去にもトンボ鉛筆は事件を起こしていました。それが過去の会長である「小川洋平」容疑者が引き起こした覚せい剤保持事件です。
当然覚せい剤保持ともなれば逮捕は免れず、当時の会長は2007年に覚せい剤保持の罪で逮捕・起訴となっています。この事件が公になったのは翌年ですが、大手のタブーともなればマスコミも騒ぎます。
トンボ鉛筆にとっては逮捕事件でこりごり、と思っていた矢先に佐藤佳弘によるお騒がせメールと頭を悩ませたことでしょう。会長は逮捕、人事はクビと、数年でトンボ鉛筆は大きな痛手を負いました。
トンボ鉛筆事件は会社側の姿勢も問われた事件
トンボ鉛筆事件は犯人とはいえなくとも、事件を引き起こした張本人である佐藤佳弘の姿勢は当時の社会情勢にひどく影響を及ぼしたことでしょう。近年上司や会社によるパワハラ問題が巷をにぎわせていますが、これはトンボ鉛筆事件だけに留まりません。
気をつけなければいつ犯人になるか分からない
トンボ鉛筆事件から学べることは、私たちはいつどんなときでも事件の犯人になりうるということです。近年パワハラによって命を絶ってしまう人も多く、場合によっては事件の犯人とされ逮捕される可能性だってあります。
自分の立場がどうであれ、言葉の使い方や態度を考えなければ他人を傷つけるだけです。私たちはいつ言葉や態度一つで事件を引き起こし、犯人となるかは分かりません。人の上に立つ以上、その言葉遣いや態度には重々気をつけた方が良いのです。
問われるべき会社の態度や立場
私たちは生きていくために仕事をしてお金を稼ぎます。お金を稼ぐために企業に雇われます。しかし雇う側の態度や姿勢は私たちにも影響します。同様に、私たちの態度や姿勢、立場も企業に影響を及ぼします。
互いが互いを思いやれる会社であればよいのですが、現代ではいまだ企業や雇用者の在り方について議論が絶えません。私たちはいつ自分が被害者・加害者になるか分かりません。トンボ鉛筆事件はそうした紙一重の世界を気づかせてくれたのです。
トンボ鉛筆事件を自ら引き起こさないために
東日本大震災直後に起こったこのトンボ鉛筆事件は尾長弘司によって見事沈静化されました。しかし現代ではいつトンボ鉛筆事件と同じような事件が起こるか分かりません。この事件のようと同じことを自ら引き起こさないためにも、自分の立場をいつも考え行動していきたいものです。