アナーキズム（無政府主義）ってなに？実在したアナーキストたちまとめ

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アナーキストとは現行の政府の存在を否定、もしくは縮小を望む思想を掲げている人達のことです。アナーキストは英語の「Anarchy(無法)」に由来していてアナーキストは「anarchist」と表記します。

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アナーキズムとはかつて社会主義から派生したと言われており、個人主義や自由経済などの人々に自由が与えられる状態を良しとしています。そのためアナーキストは現行の政府や実権を握っている組織の事を危険視していて、国内の権利をもっと小さく分散するべきであると主張しています。

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ただしアナーキストは政府の無い無秩序(いわゆる無法状態)を望んでいるわけではありません。アナーキストは人々が誰かに操られる事無くもっと自由に生きる事を良しとする集団です。

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またアナーキストの中には過激な行為に出る人も存在します。そのため政府による圧力の強い国でテロ行為などが行われた際はアナーキストが首謀者である可能性が高いです。しかし、アナーキストの思想・運動がこれまでに成功してアナーキストの思う通りの国家になった前例は極めて少ないです。

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カタルーニャはスペイン国内にある自治州の事です。カタルーニャに住む人々はこれまでに何度も独立運動を繰り返しているアナーキストとして知られています。
1936年7月にスペイン国内でクーデターが発生したことがきっかけとなりカタルーニャに住む人々が団結し政府への反体制派としてアナーキスト集団になりました。
カタルーニャ州のアナーキストは1万8千人にも及ぶ大組織となりカタルーニャの独立を勝ち取っています。そしてカタルーニャの独立問題は現在も継続しています。

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スネトル・マノフはかつてウクライナ国内に自由地区を設立した人物です。自由地区とは1918年～1921年の間にスネトル・マノフがウクライナ南東部に作ったアナーキズム国家の事です。自由地区は労働者の自由を重んじており国旗には髑髏マークと「労働者の自由を阻む物には死を」という強烈な文章が添えられています。
スネトル・マノフは国家を統治する政府の存在を完全否定していたため自由地区では政府や中心的組織を一切作らず、スネトル・マノフ自身が旧ソ連と議論を交わすことで行政を行っていました。自由地区は最終的に1921年に旧ソ連の赤軍に侵攻されて破れています。

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クリスチャニアはデンマークの首都コペンハーゲンの中にある約850人の住民が住む地区です。クリスチャニアはかつて軍の所有地だったのですが軍がクリスチャニアの土地を使用しなくなり放置していたためホームレスや不審者が居座る無法地帯となっていました。

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そこに住み着いた不審者たちがアナーキストとなりクリスチャニアを自分達の自治区として勝手に制定してしまいました。そのためクリスチャニアはデンマークの法律が適用されない地区として武器や薬物の取引などのあらゆる犯罪行為が横行するようになりました。

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クリスチャニアは今でも住人達が居座っている土地ですが独自に制定されたルールによって麻薬の取引などの重い犯罪は規制されています。ただし、住人のほとんどがホームレスやヒッピーの類のためルールを守っていない人達も多数存在します。

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ミハイル・ゲルジーコフはブルガリアのストランジャ山脈にストランジャコミューンを設立したアナーキストです。ミハイル・ゲルジーコフ1903年8月18日に内部マケドニア革命組織で2000人のゲリラを設立し、10500人のトルコ軍と対立しました。しかし残念ながら1903年9月8日に敗北してしまっています。

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ロジャヴァはシリアの北部から北東部に存在するアナーキズムが浸透した自治区です。ロジャヴァは1937年7月19日に起きたロジャヴァ革命の舞台で、ロジャヴァ革命はクルド人が形成したアナーキスト集団によって独立運動が繰り広げられました。そして2013年にロジャヴァはシリア政府の手から離れて独立した行政を行う土地となりました。

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ゾミアはインド、バングラデシュ、ミャンマーの3国に囲まれた国境地帯でどこかの国の統治や規制の影響を全く受けていない地域です。ゾミアという名前も国名ではなく2012年にアムステルダム大学のウィレム・ファン・スヘンデルが独自に提案したものです。

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ゾミアは国ではない為国境もはっきりと定まっていないのですが敷地内には約1億人が住んでいると言われています。ゾミアの住民は他国と一切干渉せずに戦争やクーデターの類も一切起こさない為現在進行形の完全なる無政府主義社会と言われています。

日本にもかつてアナーキズムを掲げる人物が存在しました。それが大杉栄(おおすぎさかえ)さんです。

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大杉栄さんは1885年に現在の香川県丸亀市に生まれ、軍人である父・大杉東さんの元で育ちました。大杉栄さんは日清戦争と日露戦争を経験した父に影響され軍師となるべく陸軍学校に通いますが学業の成績が振るわず、下級生への同性愛、教官への反抗、同級生への暴力行為などが原因で学校を退学させられました。その後語学学校へ入学し文学を志す過程で非戦論や社会主義などに影響されていきます。

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大杉栄さんが社会運動を始めた頃は自由民権運動などで日本人が本格的に自由を唱え始めた時代でした。

学校卒業後に自由を唱える労働運動を実施していましたが治安警察法違反となり逮捕されてしまいます。大杉栄さんは刑務所の中でもアナーキズム関連の本を読み漁り、釈放後も社会主義運動に参加していました。
その後3人の女性と恋愛し結婚・子供も生まれましたが当然のごとく周囲とのトラブルは絶えませんでした。大杉栄さんはその後もアナーキストとして労働運動を繰り返していましたが、1923年9月16日に憲兵によって殺害されました。

アナーキストについて調べていると「リバタリアン」「ニヒリズム」「民俗学」などのキーワードをよく見かけます。

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リバタリアンはリバタリアニズムの提唱者でアナーキストにもかなり近い存在です。リバタリアンもアナーキストと同じく個人あるいは政治的な自由を重んじる人々の事で、他人の財産や尊厳などの弊害にならない限りは何をやっても良いという思想の持ち主です。
リバタリアンとアナーキストの違いは、アナーキストは個人の自由を勝ち取るためにテロ行為や過激派になることもありますがリバタリアンは他人と不要な干渉はしないという考えです。リバタリアンは「完全自由主義」「自由至上主義」「自由意志主義」などと呼ばれることもあります。

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ニヒリズムは別名虚無主義とも言います。ニヒリズムはアナーキストやリバタリアンの様に自由を重んじるというよりは既成概念(特にポジティブな発送)を否定する思想を意味します。
例えば普通の人はスポーツを趣味として楽しむことは健康にもなるし素晴らしいことだと考えますが、ニヒリズムの人は楽しい事や健康である事に意味を見出さず何もかも全てが無駄であると考えます。ニヒリズムの全てが無駄であるという考えの根底には人はどうせいつか死ぬという考えが存在します。

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しかし全てのニヒリズムの人々がネガティブな発想をしているわけではなく「何をやっても意味が無いのだから自分の好きなように生きればいい」という風に肩の力が抜けた考えで生活している人もいます。
日本にもニヒリズムの思想はありますが、日本にニヒリズムが広まったきっかけは激動の高度成長期を終えてある程度の達成感に満たされた事によりあらゆる事象に虚無感を抱いてしまったことが関係しています。

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民俗学は人々の文化・思想を研究するのでアナーキズムの研究をする事にもなります。よって民俗学とアナーキズムは密接に関係していると言えます。

民俗学はこれまで人々が形成してきた文化の由来や成り立ち、そしてそれらが将来どのように発展していくかを考察する学問です。民俗学は人々の文化を研究する事で過去に起きた出来事を未来に伝承する役割も果たしています。
民俗学を研究する過程の中でアナーキズムも何度も出現しますが、アナーキズムが出現するほとんどのきっかけは政府などの大きな権力と一般市民の間で生じた摩擦によるものです。
民俗学上では大きな権力を持った組織が一般市民に対して過度な圧力をかけるとそれに耐え切れなくなった一般市民がアナーキストとなってテロ行為や革命などで反発する傾向にあります。

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いかがでしたでしょうか。アナーキズムは政府などの大きな組織に囚われずに個人の自由を重視したり、誰かが大きな権力を独占する事を良しとしない人達を意味します。アナーキズムは個人の自由を勝ち取るために革命やテロ行為を働くこともあるので政治が不安定な国はアナーキズムが発生しやすい傾向にあります。