2021年05月28日公開
2021年05月28日更新
洒落怖の「リアル」とは?2chで語り継がれる怖い話の真相や正体まとめ
2chのオカルトスレッド「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」 通称「洒落怖」において語られる怖い話殿堂入りの「リアル」を筆頭とした身の毛もよだつような怖い話の紹介と共に、「洒落怖」における「リアル」などの正体や真相を考察していきます。
目次
洒落怖とは?
洒落怖、というジャンルをご存知でしょうか。
1999年に開設された電子掲示板「2ちゃねる」通称「2ch」から始まった「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」の通称が「洒落怖」
2000年の8月から始まり17年、現在5chと2chが名前を変えた後でもなお活発的に怪談収集を続けており、洒落怖は時代の流れと共に恐怖の形を変えながらその怖い話をぞくぞくと積み上げつつあります。
怖い話の紹介
今回は、その洒落にならないほど怖い話について正体、真相を考察を交えながらご紹介させていただきます。
この、洒落怖で紹介される怖い話は決して「実体験」だけでなく「創作物」や「噂話」も含まれますが、そこを考慮しながらも考察していきます。
実体験、伝聞、創作、史実からニュースから眠れなくなるほど怖い話から、ほろりとくる泣き話、中には抱腹絶倒の笑い話まで話を選ばず収集する洒落怖は時代の流れの中に感じられる、人の恐ろしさや怪異の理不尽さ、不可思議な現象への好奇心が満ち溢れています。
日本における最大の匿名掲示板で語られる洒落にならないほど怖い話の中には一体どんな真相が隠れているのでしょうか。
洒落怖殿堂入り怖い話について
洒落怖には、殿堂入り作品というものが存在します。
洒落怖の目的の一つの中に、怖い話を収集するだけでなく、掲示板を利用した人々の怖い話や体験談、あるいは創作話を収集したのち、投票において厳選して「究極の怖い話集」を作るということがあります。
この殿堂入りした怖い話こそ、その怖い話集に乗せられてしかるべき作品なのです。
今回はこの中のうちの一つである、「リアル」という作品に注目して考察していきたいとおもいます。
洒落にならない怖い話
洒落怖は現在Part347まで伸びています。
洒落怖殿堂入り作品「リアル」
洒落怖の中でも一等賑やかせた怖い話である「リアル」
「リアル」は2009年11月24日、語り手によって語られた内容は、当時のコメント欄を大いに賑やかせ、考察をされ、答えの出ないまま殿堂入りしました。
平々凡々な人生を送っていた主人公が、友人から何気なく教わった儀式を面白半分で試してしまい、その後の人生が大きく狂う有様が綴られています。
この話が投稿されて以降、この儀式と同じことができないか試してみた者などオカルト方面ではかなりの高い人気を誇るこの「リアル」という話。
言いようのないその独特な文体と迫りくる悪意の生々しさに飲み込まれるようにして、夜眠れなくなるものも多いのではないでしょうか。
「リアル」のあらすじ
「リアル」
2009年11月24日に投稿されました。 「リアル」は当時の洒落怖の中で非常に話題をよび、ネット上で「絶対にやってはいけないこと」の一つとしてこの「リアル」での儀式があげられるようになりました。
語り手である主人公は23歳の社会人なのですが、仲良くなった東北出身の同僚から△△という怪異を呼び出す方法を教わります。
ある日、主人公は、彼と同僚を含めた4人で心霊スポットに肝試しに行き、その3日後に軽い気持ちで△△を呼び出す儀式、お辞儀に近い姿勢をとり鏡の前で△をしたまま右を向くという行為を試してしまうのです。
そして本当に△△を召喚してしまい、主人公は同僚に助けを求めるのですが同僚も△△の対処法を知らず、彼が連れてきた霊能力者の林という男は事態を悪化させるだけさせてどこかに逃げて行ってしまう。
主人公は実家の伝手で懇意になっているS先生という尼僧に助けを求め、彼女の勧めで総本山に主人公は預けられて小康状態になることができ、二年後2chの洒落怖に書き込んだ・・・というのがこの話の概要になりますが、この話には実は後日談が存在します。
そもそも主人公が語っているのではなく、語り手はその東北出身の同僚である、というものです。
語り手である同僚は、彼のその後を知ることはなくただただ悔やんでいることを告白して、この話は本当に終了となります。
「リアル」の語り手と主人公について
「リアル」の語り手は主人公ではなく、主人公に儀式を教えた同僚でした。
主人公がどうなったか語り手である同僚は「今でも終わったのか分からない」「今更悔やんでも悔やみきれない」と綴るように、主人公は何らかの形で亡くなった、あるいは失踪、希望的に見てまだ総本山に入山しなければいけないような事態に陥ったのだと思われます。
語り手が語る内容は、おそらくではありますが主人公が何らかの理由で語り手に語ったものを多少アレンジして語られたものではないでしょうか。
同僚と主人公の仲
二人は同じ会社の同期新入社員ですが、仲はかなりよかったようで二人で飲みにいったり家の場所を知っていたり、友人を交えて心霊スポットに肝試しに行ったりしています。 もともと、オカルトが好きなのが分かります。儀式についてはどちらも信じていなかったのでしょう。
「リアル」の儀式
「リアル」の儀式は非常に独特なものです。
鏡の前で、△したまま右を向くと◆がくる、といういうものです。体勢的にはお辞儀に近い状況になるらしく、頭を下げる必要があるようです。
呪文などは必要がないと考えられます。
俺が○○から聞いていたのは、『鏡の前で△をしたまま右を見ると◆が来る』とか言う話だった。 体勢的に、ちょっとお辞儀をしているような格好になる。
主人公は「来るわけがない」など呟きながら気軽に試しているようなので、黙ってやる、などの音に関するルールはないような描写があるためです。
鏡は古来より強い呪物のひとつとされています、鏡には映るものの真実の姿を映し出すとされておりよく幽霊が映るというのもこの鏡の力だとされています。
魔除けにも多用される鏡なのですが、鏡は非常に力の強い呪物に相当するため、「異世界につながる」「人の魂を取り込む」などといった有害な使い方も可能であります。
今回の「リアル」の話では、この有害な扱いをされてしまった可能性が高いでしょう。
「△したまま」と言うところがネックですが、疲れて帰宅して思いついたらすぐやれるところを見ると、かなり手軽な行為であることが想像つきます。
ガネーシャ
もっともインドの神様で有名な神様「ガネーシャ」は幸運や財を呼ぶ神様とされ、魔除けのシンボルとしても愛されている神様です。 神様のわりには酷く人間臭く、ヒステリックで癇癪もち、わがままで嫉妬深いとされています。 象の頭をもっているのですが、ねずみにのって移動するともいわれており神様の中でも結構ユニークな部類に入ります。 もっとも、後述する幸運の神様とはまた少し違うようです。
鏡の儀式については様々な説があり、今回は最有力候補である『幸運の神様』を紹介します。
このおまじないは「リアル」に何らかの関わり合いがあると睨まれており、全身が映る鏡の前、45度、右向き、正面を向かない、お辞儀に近い姿勢といういくつか重なる部分も出てきます。
これが儀式の内容にもっとも近いと思われます。
551 :名無しさん@占い修業中:2013/02/27(水) 06:40:11.18 ID:qaoFE6WC これやるといいよ。 昔私の知り合いの知り合いがやってみて効果あったから。 まず全身が映る鏡の前に立ってね。 鏡面が北向きじゃないと意味ないから。必ず北向きね。 家になかったらデパートとかショッピングモールにあるやつでOK 正面に立ったら両手を胸の前で組んでね。 両手組む時は必ず右指が上になる形ね。 じゃないと意味ないから。 組んだらそのまま自分の足のつま先見てね。 つま先を見ながら足を45度右に回転させてね。 あとは両手ほどくだけ。 これでおしまい。 幸運の神様が見守ってくれるからね。
「リアル」に登場する人物や幽霊
「リアル」の幽霊について
「ドォシッテ?」「ドォオーッチッテ?」「チルシッテ」 延々と繰り返す言葉は非常に気味が悪く長時間彼女と対話することは非常に危険なようです。
「リアル」のお化けには二通りのパターンがあります。
鏡の前でお辞儀の体勢をとる儀式によって呼び出される△△。
一つは現実世界に現れる顔に大量のお札を付けた、160㎝の身長の長い黒髪に白い死に装束を着た女性。
一つは夢の中に出てくる正座中の三つ指をついた女性です。
これらはおそらく同一であるのでしょう、主人公が呼び出した△△であります。
現実世界に現れる△△は、悪臭の放つ泥と青みがかったオーラを持ちフクロウのように小刻みに揺れながら小声でぶつぶつと「ドウッシッテ?」と鸚鵡のような声で繰り返していると言います。
顔に札を付けている魑魅魍魎で有名なのはキョンシーなどですが、キョンシーは幽霊というくくりではなく動き回る死体であります。
道士と呼ばれる術者が死体を使いキョンシーを作成した際、キョンシーが道士の意思を無視して動き出さないように使用するのが黄色い札となります。
この幽霊とは異なるケースであると言えるでしょう。
ではなぜ鏡から召喚された彼女が顔を隠しているのか考えてみると、重要なのは主人公に対し札をめくって顔を見せようとしたところでしょう。
本来札などは護符などの魔除けの為に使われている事が多く、心霊現象でも幽霊を寄せ付けない、封印するなどといった事柄によく使用されています。
ですが、「リアル」に登場する幽霊は顔に札をつけているもののゆっくりとではありますが自分で剥がせるところを見る限り封印などそういった様子ではないでしょう。
これらの事から踏まえるに、彼女は「顔を普段は晒すことができない」あるいは「隠さなくてはいけない」のではないでしょうか。
「リアル」の夢の女
白い和服の女
「リアル」の主人公の夢の中に出てきた奇妙な女。 誰かに挨拶、またはお辞儀をされるという夢はその誰かが夢を見ている自分に対して好意を抱いているという夢になりますが、現実で現れた△△のことを考えると、主人公に△△が執着しているともとれてしまいます。
目に見えて不気味な現実の彼女と違い、夢の中の彼女は奇妙なほどに大人しいです。
白い和服の若い女性が、三つ指をついて正座して深々とお辞儀をすると聞くといかにも洗練された仕草のように感じてしまいますが、実際にはこの仕草は作法の中では下品で行儀が悪い仕草となります。
本来畳や座敷に座ってのお辞儀となると、膝の前で手のひらを全てつけて肘を深々とまげて頭を下げるものとなります。
三つ指をついてのお辞儀というのは合理性を重視した略式のお辞儀ではあるのですが、一説においては頭の髷が大きくて転倒する可能性がある遊女が座敷に入る際の挨拶の所作として考え出されたものとされています。
この夢の女に対して主人公は「現実の怪異と関連しているかはわからない」と言っていますが、霊能力者を騙る男の除霊を受ける約束をした夜に見たことを考えると無関係とは言い切れないでしょう。
現実と、夢の事から考察するに△△は顔に因縁を持つ幽霊であることは間違いないでしょう。
「リアル」の霊能力者の怖い話
霊能力者と詐欺
悲しい話でありますが、病や不可解な現象に困っている人に対して「自称霊能力者」がすり寄ってきて騙されるという話は少なくありません。 酷い話では、霊能力者を盲信してしまった結果人が死んでしまった、という事実もあります。 もし、そういった方を紹介された、あるいは寄ってきた場合は安易に信用せずきちんと周囲に相談したほうがいいでしょう。 どれだけ困っていても、縋る相手は選ばなければいけません。
「リアル」の作中には霊能力者を騙る詐欺師まがいのチンピラが登場します。
現実にも、霊能商法を偽って困った人から金を毟り取ったあげくに死に追いやるような詐欺師もいますが、この林という霊能力者は返り討ちにあってしまいます。
彼は全てが全て嘘を言っていたわけでもなく、霊感は持ち合わせていたのでしょう。おそらく除霊まがいのこともでき、道具のそろえ方や読経の様子を見るにこれが初めてというわけでもないのでしょう。
主人公が伺った際、札をめくるなどの行為は確認できませんでしたが林という霊能力者が顔をみた可能性は否定できません。
事実彼は主人公の除霊の続行が不可能になったあげくに逃亡、その後同僚の話から錯乱し何かに対して弁解をするような事を言っていたというオチがつきます。
△△と呼ばれる怪異は、付け焼刃の除霊では太刀打ちできないどころか、△△を主人公から剥がそうというものに対して非常に敵対的であることがわかります。
「リアル」の尼僧
日蓮宗寺院宝塔寺
京都市伏見区深草宝塔寺町にある日蓮宗寺院宝塔寺。 山号は深草山といい、その広大な佇まいは清らかで荘厳であります。 真言律宗寺院極楽寺を前身としており、長大な歴史の元、今も信者たちによって守られています。
どうしようもなくなった際に現れたのが、実家の伝手でお世話になっている長崎の尼僧のS先生です。
仏教的に幽霊についての見解があり、東と西に総本山があり有名な仏教であるということを考えると、阿含宗や浄土真宗、日蓮宗などが想像できます。
どちらも東と西に本山がありますが、幽霊に対して許容しており教科書に載るほど有名な仏教であるということを踏まえると日蓮宗を信仰している僧侶である可能性の方が高いでしょう。
同じように東西に本山がある浄土真宗の教義において幽霊など釈尊は認識不能なものや形式的に形容できないものについて答えておらず、基本的には「無記」の回答である以上、総本山に主人公以外に怪異に悩まされている人が入山しているというのは少し考えにくいでしょう。
日蓮宗では幽霊は「正経」(法華経)に遭っていない不憫な存在であるとされており、祈祷師なども存在します。
S先生はかなりつよい霊感の持ち主であり、主人公が何に憑かれているかということを概ね把握しているようではあります。
悪意がなくタチの悪い部類であることを主人公に説明していましたが、実際に考えてみると林という霊能力者を狂わせたり、主人公に積極的にアプローチをかけ、無理矢理顔を見せようとしたところを見ると悪意がないというのはS先生なりの優しい嘘だったのが分かります。
S先生はその後亡くなってしまいますが、直接的な原因が△△かどうかは不明です。
もちろん本山にいる他の霊障に苦しむ人達に取り憑く何かからの影響かもしれませんが、祖母伝手に送られてきた手紙の内容を察するに、S先生およびその本山にいる僧侶たちにも△△は手に負えないほどの恐ろしい「何か」であり、最終的には殺される前に仏さまの御許に向かえと言われるほどの怪異であったことが証明されてしまいます。
「リアル」のその後の怖い話
「リアル」では二年半にわたり主人公を苦しめ続け、霊能力者、僧侶、そして自らの入山によって憑きまといつづけた何かは結局のところ無駄足に終わり、二年半前から何も変わっていない可能性を示唆していました。
彼自体が、別段と何かとびきり悪いことをしたわけではありません。
正体の知れない何かを呼び出す儀式が鏡の前でお辞儀のようなポーズをするという簡単かつお手軽な行為だったから気軽に試してしまっただけです。
彼のその鏡の前でお辞儀をするという程度の行為がのちの彼の人生を滅茶苦茶にしてしまうとは誰が思ったでしょうか?
主人公を含め周囲の人間が△△に対して様々なアプロ―チを仕掛けましたが、語り手のオチに語った後悔が本当に主人公に対してのものであれば、主人公は既に仏の御許へと向かっていったのでしょう。
それが、どんな形であったとしても。
「リアル」は創作?
創作とは
創作とは最初に作り出すことであり、フィクションを指す。
今まで「リアル」に対して様々な話や考察をしましたが、この「リアル」に関しては創作の疑いがかけられています。
前述したとおり、洒落怖は実体験ではなく創作の怖い話も収集しておりますのでそう疑うのも無理はありません。
また作中内でもそもそもこの「リアル」の語り手が主人公ではなく、オチにて語り手は同僚であったことなど大小の嘘をちりばめていることと、手紙や電話内容を崩して書いていることが明らかになっています。
創作話であると疑われているものの主だった根拠のひとつとして、「Tに宛てたS先生の手紙をなぜ語り手が知っているのか」ということです。
主人公はS先生からどんな時でも気を抜くなと言われていることを考えると、万一のことがあった場合に内容を誰かに教えていたのではないでしょうか。
もちろん、全てがノンフィクションではないでしょう。
ですが、全てをフィクションと片づけてしまうのには妙に生々しいやりとりが多いです。
「リアル」の考察
考察を纏めますと、東北出身の友人から聞いた本来魔除けの象徴である鏡に対してお辞儀に近い体勢をとる儀式を行いました。
このお辞儀に近い体勢は「幸運の神様」に近いものであり、鏡から△△を呼び出す儀式になります。
その際に召喚した△△という大量の札で顔を隠した幽霊に憑かれてしまい、△△を追い払うために林という付け焼刃の除霊ができる霊能力者に除霊をしてもらおうとしますが、幽霊を逆なでしてしまう結果に終わります。
この際幽霊は主人公に対して三つ指をつく女の夢を見せ、林に対しては延々と話しかけて精神を崩壊させることに成功させています。
S先生という日蓮宗の長崎の尼僧に助けを求めた結果本山によって半年近くの修行を得て、身を清め一旦幽霊を遠ざけることができましたが、その後S先生は亡くなり、S先生の遺した手紙から「何も変わっていない」可能性を示唆されてしまいます。
結果的に、主人公は幽霊から逃げるためかそれともつかまってしまったのか、語り手には状況が分からない状態になってしまいました。
これが「リアル」の真相になるのではないでしょうか。
「リアル」以外の洒落怖殿堂入り作品
リアルの真相を考察させていただきましたが、2chの洒落怖スレッドには他にも殿堂入り作品がございます。
今回は、ネタバレ込みで軽い真相に対する考察を交えつつ、殿堂入り作品「リゾートバイト」など他を紹介していきたいと思います。
洒落怖「リゾートバイト」
「リゾートバイト」とは、若者三人組がリゾートバイトにある地域に赴きます。
リゾートバイト自体は上手くいっていたのですが、働いているリゾートバイト先の旅館には入ってはいけないエリアが存在し、面白半分にそのエリアに乗り込んで行ってしまいます。
結果三人組は怪奇現象に遭遇し、三人そろって呪われてしまいます。
ネタバレになりますが元々リゾートバイト先の地域にはへその緒にまつわる古い噂があり、子を思う母親の暴走により死亡した子供を蘇らせる事件に発展してしまったことが分かります。
リゾートバイト先の地域ではそのことが伝承として伝わっているのですが、どこで聞きつけてしまったのか女将は亡くなった息子のためにその伝承にのっとった呪術を執り行い、三人組を犠牲にしようとするのです。
その地域の住職さんの手により間一髪で救われ、口止めされる、というオチになります。
「リゾートバイト」は話として非常に不気味で陰鬱な話ではあるのですがやや綺麗にまとめられすぎています。
リゾートバイト先のタクシー運転手の助言、都合よく解き方を知っている住職やその後の真相の解明について非常にスムーズに話が流れていっているのです。
勿論、申し訳なさや命の危険に晒してしまった事への後悔などはあるかもしれませんが、リゾート施設など観光が賑わう場所でその様な事実を地元の人間が軽々と部外者に漏らすでしょうか。
「リゾートバイト」の話は創作であると見られています。
ですが「リゾートバイト」はその土地の信仰や風習とした土台となるモデルはある可能性があります、様々な地域の伝承を調べ、織り交ぜた一つの創作話である、というのがこの話の正体ではないでしょうか。
暗がりの中主人公たちを呼び続ける
ネタバレになりますがこの話に出てくる怪異の正体はへその緒から作成されているとされており、本来なら母親にしか憑きません。 ですが、オチで告げられているように「何故か」主人公たち三人組にこのへその緒の怪異は執着し取り憑いてしまいます。
洒落怖「コトリバコ」
コトリバコの話は極めてシンプルな話です。
部落差別にあった人々が、その憎悪から自らの部落の獣から女子供を殺害し、その呪いを詰めた箱を送るも結果として自分たちにもその呪いはふりまかれてしまい、箱を処分するために神社に収めるのですが見つからない箱があり、その一つが主人公の友人の家で見つかるというものです。
創作かどうかは分かりません、ですが地域は特定されており島根の話であることがわかっています。
コトリバコの正体は子取り箱といい、間引かれた子供が材料で作られています。
コトリバコの効果は女子供にしか効果がありませんが、その効果は絶大でその箱を持ち込まれた家の女子供ははらわたをねじ切られていきます。
見た目は美しい木細工の小箱であり、パズルのように複雑な仕組みで簡単に蓋が開かないようになっています。
この話をした方は、現在もその処分を任された神社の友人と共にコトリバコを探していらっしゃいます。
お心当たりがある方は、コトリバコの呪いに巻き込まれる前に早めに連絡したほうがいいかもしれません。
コトリバコ
コトリバコの危険度は1~8まで。 それぞれ名前が違っており、最大危険度の8に至るともはや手の付けられない呪物でなるそうです。
洒落怖「八尺様」
怖い八尺様
子供をつけ狙う都市伝説であり、八尺様の伝説でよく聞くのは異性ばかり。 「ぽぽぽ」と鳴きながら歩き回る彼女はストーカーも舌を巻くほど多様な手口で被害者たちをだまして連れ去ろうとしています。 彼女がなぜ子供をさらうのか、さらわれるとどうなるのかは不明です。
八尺様というのをご存知でしょうか。
その正体は2.42m越えの大女であり、長い黒髪に白いワンピース(人によっては服装が変わる)を着ており「ぽぽぽ」と鳴きながら若い人間や子供に取り憑くとされる怪異です。
この話の主人公は八尺様に魅入られてしまい、命からがら村の地蔵でできた八尺様を封じ込める結界から出ることで八尺様から逃げ切ることができました。
ですがネタバレになりますが、この話のオチは、主人公の家の方向に続く地蔵が壊されてしまい、結界が破けてしまうというもの。
人を騙すというたちの悪い性質を持ちつつ執念深い八尺様により、主人公への道を開くために地蔵を何らかの方法にて破壊し、外に出てしまったというのがこの話の恐ろしさになります。
「リアル」のように何かしたわけでもなく縁側に座っているだけで向こうが見染めてくるのですから、非常に厄介な存在であるといえるでしょう。
この話に関しては、創作か実体験かは判断がつきません。
地域としては青森県に八尺と名の付く地域があるようですが、八尺様がそこから出てきたかどうかはわかりません。
八尺様はネット界隈でも人気が高く、近年では萌えキャラブームに乗って愛くるしい八尺様の画像も多々上がっています。
存外、こんなに可愛い八尺様であるのなれば怖いというより来てほしいという気持ちが勝ってしまいそうです。
洒落怖「くねくね」
くねくね
どれがくねくねかわかりましたでしょうか。 ネタバレすれば写真の中央よりやや左の白い糸くずのようなものがくねくねになります。 この段階ではあまり怖い、という感じはなくただ写真の現像ミスか遠くで作業している人のように見えなくもありません。 分からない方がいいのです。
くねくねとは、とても不可解な怪異であります。
オチにも姿にもバリエーションがあり、理不尽な怪異としては一番でしょう。
共通点としては人間とはかけ離れた動きで体をくねらせており、白い姿をしているということです。
正体の考察は現在も様々なサイトで考察されていらっしゃいますが、案山子や蛇神といった土着信仰から生まれたことや幻覚、ドッペルゲンガー、自然現象の錯覚など多種多様な説があります。
くねくねは正体をよく知ろうと近づいたり、しっかり視認してしまうと「気が狂う」などの強い精神的ショックを受けることがあります。
くねくねは現在有名かつ人気の怪談として専門のスレッドや考察サイトが立ち上がっています。2ch内はおろかネット界隈で独自の発展を遂げ、今もなお発展し続けています。
洒落怖内の自己責任の怖い話
自己責任系の話、というジャンルがあります。
いわゆる、見たら死ぬ、というタイプの話ですが基本的には創作の怖い話が多いです。
はっきりとした実害がすぐに来る、というものはなく大体少し期間を開けて幽霊が訪れる、作品を読むことで疲れるなどもあり気のせいですませられてしまいそうなものも多いです。
また回避方法がしっかりと提示されていることも多く、内容も陰惨な内容が基本的に多いですがそもそも、この話を知ることで酷い目に遭う、という記述があるものの方が少ないです。
過剰に信じてしまうと体調を崩してしまうこともあるので、あまり信じず楽しみながら読むことが大事でしょう。
洒落怖内の意味が分かると怖い話
意味を理解することで、初めて恐怖を感じるような話もあります。
こういった話はオチや真相が非常に大事になってくるのですが、難解なものも多くよく紹介される際はネタバレや解説を込みで紹介されます。
一見普通に見える話なのですが、一度隠された真相に気が付くことができるとその内容が一変して恐ろしいものになるという2chでも人気の高いシリーズで現在でも活発的に更新され続けています。
文章の中に答えが分かるようにヒントをちりばめられており、大体は少し考えればわかる話も多いですが例外もあり、予備知識がなければ正答までたどり着けないものもあります。
洒落怖内の実体験の怖い話
誰しも長い人生の中、一度くらいは心底怖いと思った体験を得ることがあると思いますが、その中でも命にかかわるような怖い思いをさせられる人はどれだけいるのでしょうか。
正体の知れない怪奇現象から、なんの付き合いのない隣人まで日常には危険が沢山詰め込まれているというのを実感するのが何よりも実体験の話です。
臨場感をストレートに伝えてくる、語り手自体の体験談は本人が無事であるので命にかかわるようなオチはつきませんが、見たこと、聞いたことなど詳細に話せるためよく使われる手法のひとつでもあります。
創作怪談のように驚くべき真相や恐ろしい越智がつくこともなく淡々とつづられている理解も及ばないような話の中には当時事件になったものなども存在します。
洒落怖と日本の古い怖い話
日本の古い怖い話というと、さかのぼれば平安時代の今昔物語から始まりそこから連綿と現代日本まで続いています。
明治には空前絶後の怪談ブームが訪れ、様々な百物語や民俗学の原点である遠野物語が生まれました。
戦後1968年には日本で初めて心霊番組が作成され、1970年代には「恐怖新聞」などの恐怖漫画や児童向けの怪談が刊行されることで日本で怪談が大衆娯楽として親しまれる下地を整え、現代の怪談や怖い話に対する需要を支えることとなります。
洒落怖は、そういった下地を踏まえてより自分たちの生活に密着した怖さを伝えられるようになりました。
誰もが気軽に、恐ろしい体験や怖い話を書き込めることにより、知らないことへの恐怖や知っていることに対する恐怖への理解を深めるために洒落怖は存在しているのかもしれません。
2chで起こった怖い話
こういった洒落怖や意味が分かると怖い話のように、専門的に怖い話をあつかうスレッドの立っている2chですが、2chの中でも恐ろしい出来事が起こることがあります。
代表例としては「きさらぎ駅」や「消えたとてうかぶもの」「おまいら、俺のアパートが祭りかもしれん」などです。
こういったスレッドは釣りなどが多いのですが、真相が分からないまま書き込みが途絶えてしまったりすることも多々あり、生々しいやり取りや困惑などを通じてスレッド主の怯えや恐怖が伝わってくるようです。
ありえない事とは言い切れないような出来事の前に沸き立つスレ民の不謹慎さと好奇心に共感する反面、どうか真実ではなければいいという気持ちもあります。
こういった形で誰かの怪異現象に関われるというのは、ある種現代ならではなのかもしれません。
鬼駅
はすみ、と名乗るスレ主が乗り合わせた電車で降りた駅。 はすみさんが普段乗っている路線にはその名前はなく、供述する時間内でいける駅の中にもない不可思議な駅です。 途中でスレ主が消えてしまい、きさらぎ駅は名実ともに都市伝説となりました。
消えたとてうかぶもの
スレッド主のかしましという方が非常に意味の分からない言葉を吐き続けており、考察などでは薬物常習者や精神疾患を持っていることが疑われています。 ネタバレになりますが途中(あ)という人格?か何かに切り替わったような供述がされており、かしましが立てたスレではないと主張してスレッドは落とされます。 このスレの恐ろしいところは、あくまでかしましが真剣であり、途中スレ民と電話するのですがその際もからかったりおどけたりする風はなく、不気味なほど真剣に電話していたということです。
都市伝説と怖い話
2chを発祥とした都市伝説というのは多く、前述した「八尺様」「くねくね」もその例に値します。
別作品を上げるのであれば「猿夢」や「鮫島事件」なども値します。
本来都市伝説というのは「友達の友達」などという特定できない遠い間柄から聞いた伝聞が伝言ゲームのように広がっていくものであり、真実性などもなく流布されるものです。
2000年代からはインターネットが普及して以降、都市伝説の媒介は徐々にネットに移しており、不特定多数に対して匿名で自由な情報を送れることから新たな都市伝説を生み出す最高の下地となっているようです。
特に2chのような、匿名で大型の電子掲示板は都市伝説を語るよい場所でありそこで肉付けされることによって発生する都市伝説が、世間を賑やかすこともあります。
猿夢
2chから都市伝説にもなった有名な悪夢の内容です。 ネタバレしますと、夢で見知らぬ電車に乗っている際に猿の乗組員がやってきて乗客を座席順に一人ひとり駅名にちなんだ殺害方法で殺していくという悪夢になります。 この夢をみた本人は、夢であろうと殺されたくないと必死に目を覚まそうとして、毎回危機一髪で目が覚めるのですが3度目にこの夢から目を覚ました際、耳元で誰かがこうささやくのです。 「次は逃がしませんよ」
鮫島事件
2chでよく名を挙げているタブーの一つに「鮫島事件を深く知ってはならない」というものがあります。 2001年5月に「伝説の鮫島事件について語ろう」というスレッドが立てられて有名になりました。 このスレッドに参加した人々が各々鮫島事件の断片的な情報を落としていき、このスレッドをはじめとした鮫島事件専用のスレッドが立てられるようになりました。
怖い話と時代の流れ
ターボばあちゃん
車より早く走る婆様の都市伝説のひとつです。 速度は脅威の140km以上で、基本的には車の運転手を驚かすだけの無害な怪異なのですが、中には「目が合うと首が動かなくなり事故を起こす」といったパターンもあるようです。
怖い話は時代の流れにより昔の怪談などに比べて話が複雑化していっている傾向があります。
1999年~2001年頃は、「ベッド下の男」や「ターボばあちゃん」など分かりやすくぞっとする話が好まれていましたが、2002年頃には前述したような2chでの実況形式のものが好まれるようになり、それ以降長文作品などがもてはやされるようになりました。
ネタバレや解説が必要な意味が分かると怖い話や、「リアル」のようにオチに落差を感じさせる作品など、かなり多種多様なバリエーションを増やしてきました。
また、「きさらぎ駅」や「くねくね」のように被害者が理不尽に巻き込まれるというものも2chの怖い話が多く「リアル」のように面白半分で儀式を行ったなど、被害者に過失のある作品と違い唐突に怪異により恐怖体験に巻き込まれるケースが増えました。
そして何よりも、「祓える人がいる」というモチーフが存在するようになりました。
「コトリバコ」や「リアル」「リゾートバイト」などにも登場しますが神社や寺に事情の詳しい人ないし祓い方を知っている人が登場することにより人間の悪意と、怪異の理不尽さを説明してくれる人が出てくれることによって、呪詛や被害者の怨みや祟りなど、人間の悪意を怪異化することに成功します。
時代の流れに沿うようにして、怖い話はその枝葉を伸ばし続け時代にあった恐ろしさを身に着けていっているのです。
洒落にならない怖い話まとめ
様々な2chでの怖い話をネタバレ込で紹介考察させていただきましたが、このネット社会に置いて匿名大型掲示板で話される様々な怖い話は一概に全て嘘、創作であるとは言えないのが現状です。
中にはオチすらないものや、ネタバレしようがないほど支離滅裂な作品もあり、それがまた怖い話の生々しさを駆り立てるようですらあります。
現代の怖い話としては、オチの秀逸さ、予備知識が必要なほど難解でありネタバレ解説が必要なほど話が複雑であるものが好まれる傾向にあるようです。
幽霊という正体が分からないものを認めないと解釈ができない怖さと、人間という正体が分かっているはずなのに底知れない狂気により理解ができなくなる怖さが混雑した2chの怖い話はいかがでしたでしょうか。
今こうしている瞬間も、怖い話は増え続けています。自分にとっての特別な怖い話を探してみてはいかがでしょうか。