バイスティックの7原則ってなに?具体例でわかりやすく解説!

バイスティックの7原則というのをご存知でしょうか?ソーシャルワーカーの対人援助技術の1つで、ケースワークの基本的な作法として認識されているものです。人と関わる際にはこのバイスティックの7原則は役に立つものです。今回はその7原則を具体例も交えながら解説します。

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目次

  1. 1バイスティックの7原則の起源とは?
  2. 2バイスティックの7原則とはどんな内容なのか?
  3. 3バイスティックの7原則はどんな時に役立つのか?
  4. 4バイスティックの7原則は対人関係にも役立つ作法
  5. 5バイスティックの7原則の具体例について
  6. 6バイスティックの7原則を実行に移すのは難しい?
  7. 7バイスティックの7原則から学ぶ、実務上の基本理念の重要性
  8. 8バイスティックの7原則はどうやって覚えればいい?
  9. 9日常生活ではバイスティックの7原則はどう役立つ?
  10. 10バイスティックの7原則に関するまとめ

バイスティックの7原則の起源とは?

1957年にアメリカで出版された本に記載

出典: https://www.amazon.co.jp


バイスティックの7原則についてですが、もともとは1957年にアメリカのケースワーカーで社会福祉学者であったフェリックス・P・バイスティックが執筆した本に、ケースワーカーの基本手法として記載されていたのが起源になります。「ケースワークの原則」というものですね。
バイスティックの7原則の起源は上記の本なのですが、もともとのケースワーカーの起源としては19世紀後半のイギリスまで遡ります。英国での慈善組織教会が貧困に苦しむ人々に対し、調査員を派遣して慈善活動を展開したのだが、その際調査員に対する訓練を通してケースワーカーが専門的な技法として確立しました。

バイスティックの7原則とはどんな内容なのか?

バイスティックの7原則とは一体どういう内容のものなのでしょうか?動画も用意しましたが、わかりやすく下記にまとめてみました。動画と合わせてご覧頂ければと思います。
以下の説明では援助する人物をワーカー、対象となる人物をクライエントとして説明します。

①個別化の原則

クライエントの抱える問題というものに同じものは1つとして存在しないという原則です。この原則にのっとれば、クライエントに対して環境や人物像、似たような問題に当てはめて同じ解決策をとる、という決めつけを排除し、クライエント個人の問題を個別化することができます。
具体例としては、クライエントを外見や性格、日常生活から「この人はこういう人物なんだ」「どうせやらないだろう」という決めつけをしたり、「以前自分が同じような体験をしたから同じ解決策で何とかなる」ということをしてはいけない、という事です。

②意図的な感情表現の原則

クライエントが自由に感情表現をすることを認める考え方です。特に抑圧されやすい否定的・独善的な感情を表に出させることで心の枷を取っ払い、クライエント自身の環境を俯瞰的に見れるようにすることが目的です。
これを実現するためには、話しやすい雰囲気を作れているか、リラックスできているか、聞かれた質問と閉じられた質問を意識できているか、といった要素があります。

③統制された情緒関与の原則

ワーカーがクライエントの感情表現に呑まれてしまわないようにする考え方です。ワーカー自身がクライエントの心を理解し、同時に自分の感情を統制して接していくことで、クライエントの問題を正確にかつ問題なく解決に導く手法です。
このためには、自身の現在の感情を自覚しているのか、目的を意識しながら反応できているか等自分を客観的に見れているかが重要になります。

④受容の原則

クライエントの考え方はクライエント自身の人物像を形成した個性であり、それを頭越しに否定せずにその考え方に至った経緯を理解する考え方です。これによって、クライエントの感情の否定や、直接的な命令を禁止します。
具体例としては、クライエントは彼女はいらない、必要ないという考え方だが、それをもったいない、彼女は作ったほうがいいといわずに、「どうしてそんな考え方に至ったのか?」を探ることでクライエントの個性を尊重するといったやり方ですね。

⑤非審判的態度の原則

出典: http://hacks.beck1240.com

ワーカーはクライエントの感情や思考について、善か悪かを判断しないという考え方です。あくまでもワーカーはアドバイスをする人であり、最終的にはクライエント自身で善悪を判断し、問題を解決するというスタンスを貫くというものです。
物事を別の見方できちんと見れているか、常識という枠組みにとらわれ過ぎていないか、という事が重要になります。

⑥自己決定の原則

出典: http://www.cscd.osaka-u.ac.jp

あくまでクライエント自身で行動を自己決定する事が大事であるという考え方です。問題に対して主体的に解決するのはクライエント自身とし、行動について自己決定することで、クライエントの成長を促すものです。
非審判的態度の原則と似ていますが、こちらは最終的な決断をするのもクライエントで自己決定をさせるという部分に関係する原則です。

⑦秘密保持の原則

出典: http://blog.goo.ne.jp

クライエントの個人的情報やプライバシーは絶対に漏らしてはならないという考え方です。2017年現在においては当然の考え方ですが、1957年当時はそこまで個人情報に関して緩い時代でした。

バイスティックの7原則はどんな時に役立つのか?

福祉・保育の仕事では必須と言ってもいい作法

出典: http://www.kasumigauracity-shakyo.or.jp

このバイスティックの7原則ですが、相手と信頼関係を構築するうえでとても重要な原則にあります。特に社会福祉士や社会保育士といった介護医療やリハビリテーション分野においては必須ともいえるべき手法です。
福祉や保育の場面では、試験でも必ず出てくるほど重要で、必要性も高いものです。わかりやすく覚えるためには、といった覚え方まであるほどです。

バイスティックの7原則は対人関係にも役立つ作法

出典: http://thinking-free.com

バイスティックの7原則は、相手と信頼関係を築くことができ、より良い関係になれるという教えでもあります。そのため、友人関係や恋人関係、果ては家族といった場面でも役に立つ手法です。これであなたは誰からも信頼されるような人物になれます。

バイスティックの7原則の具体例について

日常生活でよくあるケースを具体例として

出典: https://www.hivelocity.co.jp

日常生活でよくある具体例ですが、例えば「高齢者だから」「子供だから」という決めつけが、世の中にあふれてますが、それをやめることです。
すなわち、質問をするときは「~に困っていますね」という声かけではなく、「何に困っているのですか?」と質問したほうが相手の感情が出やすくなったりします。

バイスティックの7原則を実行に移すのは難しい?

1度習慣化してしまっている場合、実行に移すのは難しい

このバイスティックの7原則ですが、これらを実行に移す場合、もし今まで個別化できずに何かしら決めつけていたり、良かれと思って自分が相手の行動を決めてしまって相手の自己決定をさせていなかったりしてきた場合、基本的にそれが習慣化してしまっていると思います。そうなってしまうとなかなか実行に移すのは難しいでしょう。

バイスティックの7原則から学ぶ、実務上の基本理念の重要性

出典: https://career-fun.com

個別化は人間関係の基本です。
しかし、多くの事例を経験することで自分自身で注意していないと個別化は見失いがちです。意図的な感情表現については、原則というより具体的な手法です。
ただ、やり方を間違えると独善的な感情表現になるので、他者のチェックは必要でしょう。
統制された情緒関与については、一人の人間としても実行は難しいです。自分はもちろん他の人からのアドバイスも重要になってくるでしょう。
受容については、これは相性の問題もあります。そうなると、相性がもし合わなかった場合はその人に無理強いすることはできないでしょう。仕事上ではこの原則は場合によっては難しいことです。

非審判的態度ですが、一般的な価値基準に基づく一方的な判断をしてはいけないという事ですので、大切なのですがこれもまた難しい原則です。自己決定については、これは最終的な決断をするのがクライエントであるため、自己決定に導くためにワーカーが情報提供をするのは問題ないですね。

このように7原則について詳しく説明してきましたが、実行するのが難しい原則がいくつかありましたね。ですが、対人関係においてはとても重要なものなのです。

バイスティックの7原則はどうやって覚えればいい?

語呂合わせで覚えるのがわかりやすくて便利

出典: http://www.schoolpresenter.jp

福祉士や保育士において試験にも出るほど必須のこのバイスティックの7原則ですが、わかりやすくで便利なのが語呂合わせで覚える方法です。

バイスティックの7原則は、主に社会福祉士の分野で教育されたり実務の練習が行われます。 しかし、介護職員や介護支援専門員、リハビリテーション職、営業職、生活相談員、看護師など面談を通して何らかの援助を行う方は有効な原則であると言えます。 そこで覚え方としては、「恋とは慈悲慈悲」…こいとはじひじひ です。

この「恋とは慈悲慈悲」という覚え方ですが、順番としては個別化、意図的、統制、受容、非審判的、自己決定、秘密保持という順番になっています。なんだか例え方もわかりやすくて覚えやすそうですね。社会福祉士や社会保育士を目指す方ははしっかり覚えましょう。

日常生活ではバイスティックの7原則はどう役立つ?

友人・恋人関係の構築でも役に立つ

出典: https://googirl.jp

この原則ですが、福祉や保育の場面だけでなく、友人関係や恋人関係においても役に立つ原則です。
もとは対人における信頼関係構築を円滑にするためのものなので、それなら友人の悩みに乗ったり、恋人との良好な関係を築くためにも使えるはずですよね。

これであなたも信頼される人物になれます。

バイスティックの7原則に関するまとめ

社会福祉士や社会保育士は必須。そして対人関係で重要な原則

出典: https://www.suzukikenichi.com

ここまでバイスティックの7原則について説明してきましたが、よく社会福祉士や社会保育士といった介護・福祉・保育分野においては必須とさえる知識ですが、これは対人関係でも効果を発揮する原則となっています。

7原則についてですが、個別化、意図的、統制、受容、非審判的、自己決定、秘密保持の7つの原則になります。上記のツイートで面白おかしく覚え方を載せておりますので、参考にしてみて下さい。

覚えるのはわかりやすくて簡単でも実行は難し

出典: http://okutaro.jp

この原則ですが、わかりやすく覚える方法があります。
それが語呂合わせで「恋は慈悲慈悲」という覚え方です。個別化、意図的、統制、受容、非審判的、自己決定、秘密保持の順番になっています。
具体例や理念、重要性としては上記で説明しましたが、実際に実行に移すのは非常に難しいです。

出典: http://serendipity-japan.com

まとめの最後に


実行に移すのが難しいというのは、人にはどうしても相性や、決めつけを自然と優先してしまっている事が多いからです。
相性が悪ければ受容なんてできないでしょうし、決めつけをしてしまった時点で個別化できていないのです。
しかし、1つでも多く実行に移すことができたら、それは周りの人にとってあなたは信頼できる人物に1歩近づいていることを示しています。
この原則で、対人関係が円滑にいくといいですね。

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