両性具有者は実在するのか・有名人と遺伝子・妊娠について

両性具有と言うと、男女両方の性の性質を持ち合わせた存在をイメージする方も多いでしょう。動物などの中には両性具有の性質を持ち、有性生殖を行える種も存在します。しかし人間は人間以外の動物のように生殖を行える個体はほとんどいません。動物における両性具有の意味とは異なっています。

人間で言う場合の両性具有は、医学的に言えば性分化疾患に分類されます。簡単に言うと、さまざまな理由から性別を判断できない状態の人間を現代では両性具有と呼んでいると言う事です。割合としては1000人に一人とも言われており、両性具有者は決して少ない割合で存在している訳ではありません。

性別が分からない両性具有者は本当に存在しているのか疑問に思う方もいるでしょうが、両性具有者は先ほどでも紹介したように多い割合で存在しています。中には自分が両性具有者だと気づかずに生きている方も存在し、大人になって検査を受けるまで知らなかったと言う人もいます。

なぜ自らの異常に気が付かなかったと言うと、両性具有者は遺伝子・染色体・性腺・内性器・外性器に見られる疾患を合わせて両性具有と言うため、見た目だけでは判断がつかない状態の方もいるからです。幅広い性の疾患を総括して両性具有と言うため、該当者の存在は多くなっています。

モデル・スポーツ選手のような国民的・国際的に有名となっている人々の中にも、両性具有者は一定の割合で存在します。自らの顔や身体を武器に活躍するモデルやスポーツ選手と言った有名人の方々の多くは、自身の定まらない性別やそれによる困難に悩まされてきました。

特にスポーツの世界では、性別が明確でないと出場できない協議がほとんどです。男女混合の競技は数少ないため、現在競技前は遺伝子検査による厳正な性別検査が行われます。それが原因で性別判定不能を受けたスポーツ選手が競技出場停止やメダルはく奪などの悲しいでき事も起こっています。

中世的な顔つきと耽美ではかなげなオーラが全世界の人間を魅了するオーストラリア出身の男性モデル、アンドレ・ペイジックですが、そんな彼は両性具有者だと言われています。男性ファッションだけでなく女性ファッションも軽々と着こなしてみせてしまう彼のまわりでは、両性具有による偏見も少なからずありました。

しかし彼はそのような偏見はものともせず、むしろ二つある己の性の魅力を存分に楽しんでいます。時に華やかな女性としてランウェイを歩き、また時には男もののスーツを羽織り世の広告塔となる姿に、数々のメディアやファンたちが注目しています。性の在り方を根本から覆すモデルとして、現在も世界中から羨望のまなざしを受けています。

南アフリカの陸上選手であるキャスター・セメンヤ選手も両性具有者の一人として数えられています。彼女は逞しい身体に男のような顔つき、低い声、そして素晴らしい身体能力を持った選手として知られていましたが、その特徴が起因して男なのではないかと言う疑問が持たれていました。

幼少期から容姿の事でいじめられていたセメンヤ選手は、陸上の成績が伸びてきた頃に性別検査を受ける事になり、両性具有者だと言う事が判明しました。これにより他の選手からひどい差別を受ける事となりました。しかし男性ホルモンであるテストステロンの抑制剤などを飲むなどして努力をし、五輪大会で銀メダル入賞などの成績を残しています。

冒頭でも説明したように、人間の両性具有者は妊娠をする事はできません。両性具有者の多くは精巣と卵巣が混在した状態ではありますが、どちらとも遺伝子的な不備により性機能を失っているからです。

両性具有者の多くは不妊に悩まされています。どちらの性機能も失っているため妊娠する事・させる事が非常に難しくなっているため、不妊治療でも妊娠できるか分からないと言われています。戸籍上の問題などもあり、両性具有者の現代での性生活・日常生活は非常に困難となっています。

人間の遺伝子は元々XXかXYの染色体のどちらかによって性別が決まると言われています（XXは女、XYは男を表す）。これらによって性別が決まるのですが、人間の中にはこの2つが綺麗に分かれる事ができず、XXXやXXYなどと言った半端なものによって遺伝子が構築されてしまう個体も存在します。これが原因で両性具有となってしまうそうです。

中にはXXXのような超女性、巨人的高身長の原因となるXYYの組み合わせもあります。Xになりかけるもの、Yになりきれなかったもののような中途半端なものも性別や身体構造に影響し、人間の外見・内部にも影響を与えます。

世界には両性具有をテーマにした映画が存在しています。「PREDESTINATION（プレデスティネーション）」と言う映画もその一つです。両性具有者である男勝りな女の主人公が、とあるバーのバーテンダーに自分の踏んだり蹴ったりな人生を吐露する事によって運命を変える事になると言う完全フィクションのストーリーです。

本作はバックトゥザフューチャーのようなタイムトラベルものとなっていますが、映画前半の約半分を主人公の自分語りが占めています。一瞬つまらなさを感じますが、そこからの鳥肌を誘う伏線回収が見事だと言う意見が多く、隠れた名作の一つとしてマニアの間で語り継がれています。

古くから決められていた性別を超越した存在である両性具有者には多くの悩みがあります。日常生活はもちろん、外見と中身の不一致、戸籍上の問題など、さまざまな弊害が両性具有者を苦しめています。現代人はもっと両性具有に関して知識を広め、両性具有者のための法や性整備を整えなくてはなりません。

多くの国では、性別は生まれた時に決められます。見た目などを考慮して性別が判断されるため、内性器に問題があるるなどすると見落とされる場合があります。それが原因して性格と外性器の相違がトランスジェンダーと言った性別の不一致に悩む人々を生み出していると言えるでしょう。

世界でも内性器・外性器・性別の相違が起因してさまざまな障害が発生しています。そのため性別適合手術を受ける人も少なくありません。そのような問題や手間などを生まないよう、両性具有の赤ちゃんには性別を決定する猶予などを設ける必要があるでしょう。両親の決断が性別相違を生む可能性もあるので、厳重な法整備を整えるべきだと言われています。

両性具有者は、陸上競技のキャスター・セメンヤ選手のように、性別の不安定さが検査によって引っかかり、スポーツなどの競技に参加する事ができないと言った事例が起こる可能性があります。他の選手よりも圧倒的に優れている事は不平等にもつながりますが、両性具有者の人権を侵害しているのは間違いありません。

現在では男性・女性ホルモンの分泌を抑えて本来の性別に近づけようとする薬を飲む事によって参加を許されている選手がいます。個性とは言え不平等な身体能力によって競い合ってはいけないからです。

両性具有はなかなか存在しない人間の個性だと思われがちですが、実は数千人に一人の確率で生まれる存在でもあります。身近な存在として知られるようになった第三の性である両性具有についてもっとよく理解し、彼らと共存していくため法と環境を整えなくてはなりまん。

意外にも、調べてみれば自分も両性具有だったと言う事例もあります。それだけ身近な事柄として潜んでいると言う事です。まずは自分の性を理解し、両性具有と言う存在がこの世に多く存在しているのだと言う確信を持ちましょう。数奇な存在ではなくなった彼らに対する注目をもっと行っていかなくてはなりません。