2021年07月21日公開
2021年07月21日更新
ミノムシが絶滅危惧種に!中身は幼虫?蓑虫の成長過程と生態まとめ
ミノムシ(蓑虫)は秋の風物詩として知られえている幼虫です。ミノムシは秋に蓑を作って越冬し成虫になりますが、蓑の中に入っている状態が最も有名です。そんなミノムシ(蓑虫)は絶滅危惧種と言われています。何故ミノムシは絶滅危惧種になってしまったのでしょうか?
目次
ミノムシ(蓑虫)について
出典: http://teishoin.net
ミノムシと言えば中身よりも蓑自体の方が有名です。
ミノムシ(蓑虫)は葉や木で出来た蓑の中から糸を垂らして木の枝にぶら下がっている昆虫です。小さくて色が地味なので見つけることは難しいですが、寒い季節になるとミノムシが木の枝のぶら下がっている姿を見かけることがあります。
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ミノムシの中身はどのように成長を遂げるのでしょうか?そもそもミノムシの成長した姿とはどんな姿なのでしょうか?
今回はそんなミノムシの生態と現状についてご紹介します。ミノムシはオスとメスで生態に大きな違いがあり、とても儚い一生を遂げる昆虫です。またミノムシは現在絶滅危惧種と言われていて見かけることが少なくなっていますので、その事情についてもご紹介します。
ミノムシ(蓑虫)の生態
ミノムシは蛾の幼虫ですが、一生のほとんどを蓑の中で過ごすことで有名です。
ミノムシ(蓑虫)は、ミノガ科(学名: Psychidae)のガの幼虫。一般には、その中でもオオミノガの幼虫を指す。 幼虫が作る巣が、藁で作った雨具「蓑」に形が似ているため、「ミノムシ」と呼ばれるようになった。
出典: http://blog.livedoor.jp
ミノムシは蓑の中で生活し成長を遂げるのでミノムシと呼ばれています。
ミノムシはミノガ科の幼虫で、幼虫の時期は蓑の中で過ごします。成虫になったら蛾になって空を飛びますが成虫の時期はとても短いです。そのためミノムシにはそれぞれの正式名称がありますが蓑の中に入って木の枝にぶら下がっている状態のことを「ミノムシ」と呼びます。現在日本には約15種類のミノガが生息しています。
ミノムシ(蓑虫)の幼虫の生態
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こちらがいわゆるミノムシの中身です。他の昆虫の幼虫と姿が似ているので蓑の外で活動している所を見かけたとしてもミノムシの幼虫と気付くのは難しいかもしれません。
ミノムシは母親が蓑の中に卵を植え付けて孵化する事で生まれます。蓑の中で生まれたミノムシの幼虫は外に出て粘着性の高い糸で葉っぱや小枝を集めて自分の蓑を作ります。幼虫の時期のミノムシはエサや蓑を補強するための資材を取りに行く時以外はずっと蓑の中で生活します。
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ミノムシは雑食性の強い昆虫なので葉っぱなら何でも食べます。そのため農家にとっては迷惑な存在とも言えます。
ミノムシのエサは木の葉ですが植物全般を食べると言われています。ミノムシは幼虫の状態で体が大きくなったらその体に合わせて自分の蓑も大きく作っていきます。
そして蛹(さなぎ)になることには大抵の雨風は凌げるほどに頑丈な蓑が出来上がっているので、それで越冬します。
ミノムシ(蓑虫)の成虫の生態
蓑の中で蛹になったミノムシは冬の季節を越えたら羽化します。しかしミノムシは成虫になった時にオスとメスで生態に大きな違いがあるのが特徴的です。
オスの成虫は蛾になる
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ミノムシのオスが成長した姿です。ミノムシは蛾の幼虫なのでオスの場合いかにも蛾らしい姿へ成長を遂げます。
まずミノムシのオスは蛹から浮かしたら羽と足が生えていわゆる蛾の形態になります。蛾となったミノムシのオスの成虫はメスを探して飛び回ります。メスを見つけたミノムシのオスは交尾して、その後程なくして死んでしまいます。また蛾となったミノムシのオスの成虫は成虫の時期がとても短いので食事をするための口が付いていません。
メスの成虫は幼虫のまま?
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ミノムシのメスが成長した姿です。一見すると幼虫のままの様に見えますがメスは成長しても蛾の様な姿にはなりません。
ミノムシのメスは成虫になっても羽も足も生えません。そのためミノムシのメスは成虫になっても幼虫の様な形態をしていて体もほとんど蓑の中に入った状態で過ごします。そのためミノムシのメスは中々人目につかない存在と言えます。ミノムシのメスは蓑の中でオスを惹きつける匂いを発しておびき寄せます。
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蛾となった成虫のオスが寄ってきたら交尾をしますが、交尾の最中もメスは交尾する部分を除いてほとんど蓑の中に入った状態です。そのためミノムシのメスは誰と交尾しているのか分からない状態で交尾します。
交尾が終わったら体内に2~3千個の卵を産卵します。そして卵が孵化する頃には命が尽きてしまいそのまま蓑から地面に落ちてしまいます。
ミノムシ(蓑虫)が生息する季節
ミノムシの季節は秋から冬
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ミノムシをよく見かける季節は秋から冬にかけての寒い時期です。ただし冬に入ったら蓑の中に籠りっぱなしなのでミノムシの中身を見かける季節は秋だけです。でも蓑は寒い季節を通してずっと見かけるので、ミノムシは中身よりも蓑自体の方が有名な珍しい昆虫と言えます。
ミノムシは昔から秋の風物詩と呼ばれていました。その名の通りミノムシの代表的な形態である蓑の中に入った状態の幼虫は秋から冬にかけての寒い季節に見かけます。その後夏の暑い季節が近づいてきたら成虫になりオスは蛾の姿になります。その後交尾したらほどなくしてオスもメスも死んでしまうのでミノムシの寿命は1年弱です。
ミノムシ(蓑虫)は絶滅危惧種!?
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秋の風物詩として知られているミノムシですが、実は現在ミノムシの数が激減していて絶滅危惧種であると言われています。その原因は中国からミノムシの天敵である昆虫が日本に来たことです。
ミノムシ(蓑虫)は天敵によって駆除されている
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ミノムシが絶滅危惧種となった所以は「オオミノガヤドオリバエ」という中国産の寄生蠅です。このオオミノガヤドオリバエが日本に来たことによって全国のミノムシの中身が食い荒らされていると言われています。
ミノムシの中身を食い破ったオオミノガヤドオリバエ
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オオミノガヤドオリバエは自分の子供にミノムシを駆除させることで子孫を繁殖させています。
オオミノガヤドオリバエは成虫が直接ミノムシを攻撃するわけではありません。オオミノガヤドオリバエはミノムシを発見すると周囲の葉っぱに自分の卵を植え付けます。そしてミノムシは卵の存在に気付かずに葉っぱを卵ごと食べてしまいます。ミノムシに食べられたオオミノガヤドオリバエの卵はミノムシの中身の体内で孵化して、ミノムシを体内から食い荒らしてしまいます。最終的には蓑の中身がオオミノガヤドオリバエの幼虫でいっぱいになってしまいます。
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こうやってミノムシは成す術無くオオミノガヤドオリバエに殺されてしまっているので絶滅危惧種となっています。ただしオオミノガヤドオリバエは寒さ位に弱い為、関東圏より南の地域にしか分布していません。そのため北陸地方であればまだミノムシを見つけることが出来るかもしれません。
ミノムシ(蓑虫)は害虫!?
現在オオミノガヤドオリバエによって生息数が激減しているミノムシですが、それまでは害虫として認識されていました。
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ミノムシが害虫として認識されている理由は幼虫の雑食性に関係しています。ミノムシはバラ科、カキノキ科、サツキ科などの植物を好んで食べますが基本的に植物であれば何でも食べます。そのため昔から農家や家庭菜園を行っている方からすれば害虫としてみなされていました。
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ミノムシによる被害は中国でも同じで、植物を見境なく食い荒らしていました。そんな害虫のミノムシを駆除するために、中国ではオオミノガヤドオリバエを利用して害虫駆除を行っていました。その害虫駆除の方法は数十年前から日本でも導入されたのですが、オオミノガヤドオリバエの勢いが強すぎたため多くのミノムシが駆除されてしまい逆に生息数が激減してしまいました。
3羽のカラスたちが、よってたかって樹についているミノムシをとって啄んでいたので追い払った。ミノムシも今や全国的に数を減らし絶滅危惧種に指定されているところもあるらしい。
— TheColaniLine (@TheColaniLine) September 16, 2017
ミノムシ(蓑虫)の実験
天敵によって駆除されていまや絶滅危惧種と言われているミノムシですが、昔はミノムシの生態を利用した子供向けの実験も行われていました。
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自然由来の物でなくても蓑にしてしまうというミノムシの生態を活かした実験です。
ミノムシの生態は木や葉っぱを集めて蓑を作ることが特徴的ですが、実は木や葉っぱ以外でも蓑を作ることが出来ます。その生態を利用してミノムシの近くに繊維や細かく切った紙などを置いておくとミノムシは見境なく捕まえて蓑にしてしまいます。
そのため様々な色の繊維や紙をミノムシの近くに置いておくととても色彩豊かな蓑が出来上がることがあります。
糸くずを使った実験
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ミノムシは葉っぱや木以外にも糸くずでも蓑を作ることが出来ます。実験に成功すればこの様に色鮮やかなミノムシの蓑を作ることが出来ます。
宝石を使った実験
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宝石を使った実験です。ミノムシは自分が持てる程度の小石であれば蓑にしてしまうので、綺麗な宝石でも実験を行うことが出来ます。
絶滅危惧種!ミノムシ(蓑虫)の生態と現状:まとめ
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いかがでしたでしょうか。ミノムシは蛾の幼虫の時期の総称ですが、蛾となるのはオスのみで両方ともに交尾を終えたら死んでしまうという儚い一生を遂げます。また最近はオオミノガヤドオリバエという天敵によって駆除されているので見かけることも少なくなってしまいました。見方によってはミノムシは害虫とも言えますので、大量に発生するのも考え物ですがいなくなってしまったらそれはそれで寂しいものです。