2021年05月20日公開
2021年05月20日更新
モンシロチョウの幼虫→さなぎ→成虫まで!青虫の飼い方・育て方まとめ
モンシロチョウを青虫(幼虫)からさなぎまでの育て方、またモンシロチョウの飼い方はご存知でしょうか。意外とさなぎや青虫(幼虫)のことは知られていない飼い方や育て方。それらを細かくご説明いたしますので、じっくりごらんください。
目次
- 1モンシロチョウを幼虫(青虫)からさなぎへと育てて観察してみよう!
- 2モンシロチョウの生息地
- 3モンシロチョウの特徴 オス・メス 見分け方
- 4モンシロチョウの幼虫(青虫)からさなぎへの飼い方・育て方の説明の前に!
- 5モンシロチョウの青虫(幼虫)を捕獲する前に、卵を探してみよう。
- 6モンシロチョウの卵を持ち帰る 飼い方・育て方
- 7飼い方・育て方をここからは順を追って説明します。
- 8モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 1
- 9モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 2
- 10モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 3
- 11モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 4
- 12モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 5
- 13モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 6
- 14モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 7
- 15モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 8
- 16モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 9
- 17モンシロチョウの飼育
モンシロチョウを幼虫(青虫)からさなぎへと育てて観察してみよう!
ひと昔に比べモンシロチョウ含め、昆虫の姿をあまり見かけなくなったような気がします。それは私たちが大人になり見る世界が変わってしまったのか、それとも環境汚染による昆虫自体の個体の減少が原因なのか。小学生の頃、クラスに一つは飼育係はありませんでしたか?昆虫やその他の生物の一生をみんなで観察して学ぶ。勿論寿命が来てしまい死んでしまいますが、幼心に「死んでしまった」という死生観が育ちます。モンシロチョウを青虫(幼虫)から育てて、成長する姿を見届けてみませんか?
モンシロチョウの生息地
全世界の温帯、亜寒帯に広く分布しており、成虫は3月~10月まで長い期間に渡って観察することが可能です。温暖な地域では年に7回発生し、蛹(さなぎ)になって越冬します。
平地に主に生息しており、日本は温帯地域の為にモンシロチョウがみられない地域はありません。
モンシロチョウの特徴 オス・メス 見分け方
個体によっては見分け方としてかなりわかりづらい個体もいますが、基本的にはメスの前翅は黒い色の範囲が広くなります。また、全体的に黄色がかった個体もいます。それがメスです。それに対しオスは黒色が広くはありませんが、前翅の黒がメスに比べてくっきりと現れています。オスメスの個体差による大きさに違いはそれほどありません。ちなみに「ハネ」という漢字ですが、鳥類などのハネは「羽」。昆虫等のハネは「翅」と表記しますが、一般的には「羽」で通用はします。
少し特殊な見分け方ですが、画像では、紫外線を照射することでオスとメスの判断は出来ます。実際モンシロチョウのオスの視界はこのように見え、オスとメスの判断をしています。こうみると、より前翅の黒い範囲の大きさの違いが良く分かりますし、翅自体の全く色が違いますね。
モンシロチョウの幼虫(青虫)からさなぎへの飼い方・育て方の説明の前に!
モンシロチョウをどの時点から観察・飼育するかを考えよう
モンシロチョウの卵を見つけてきて、家に持ち帰り孵化を待ちという育て方。モンシロチョウの成虫を捕獲してオスメスに交尾をさせて産卵をさせるという飼育方法もあります。後者の方が、見ていても楽しそうですが、これがなかなか至難の業‥‥。都合よくペアになってくれれば良いのですが、ペアになってくれないとモンシロチョウの寿命もあるので、ヤキモキしますよね。なので、前者の卵を見つけるという手法を取って説明していきます。
モンシロチョウの寿命
モンシロチョウの一生の寿命は、オスで10日程。メスが20日程です。寿命の差はメスは産卵を控えているのでその分長くなっています。更に寿命に差が出る場合は、さなぎになり越冬する分寿命が長くなります。
ただでさえ、モンシロチョウの一生の寿命は決して長くないので、飼育する際はモンシロチョウが寿命を全うできるように大事に育ててあげてください。
モンシロチョウの青虫(幼虫)を捕獲する前に、卵を探してみよう。
なぜ青虫(幼虫)ではなく、卵を探すのか
モンシロチョウの一生を見届けるというテーマなので、卵から成長させ飼育していくことが主眼です。ですが、もう一つの理由があります。
それは、青虫は非常に繊細で人間の指で掴むだけで、青虫の腹部にある気門が人間の油脂に塞がれ窒息死してしまうケースがあります。勿論、指で掴まなければ、問題なく捕獲できますが、今回はあえて卵を探すところから始めましょう。
こちらの画像は、モンシロチョウが産み付けた卵の全体画像です。
モンシロチョウの卵の見分け方
モンシロチョウの卵を取り放題だ!と息巻いてはいけません。この画像はオオモンシロチョウの卵であり、モンシロチョウは上の画像を見て頂くと分かるように密集して卵を産み付けることはしません。ポロポロと産み付けてあるものがモンシロチョウの卵であり、間違って持ち帰らないよう気を付けてくださいね。
卵の見分け方:モンシロチョウは密集して卵を産まない。
モンシロチョウの卵の大きさ
卵は画像のように薄い黄色で、長さ1㎜程のお米のような形をしています。
モンシロチョウの卵は一体どこを探せばいいの?
画像のようにキャベツの葉の裏側を覗いてみてください。特にキャベツ畑をモンシロチョウがヒラヒラと飛んでいれば、卵を産み付けている可能性がかなり高くなります。
キャベツ畑に無断で侵入すると大変なことになるので、管理している人に声掛け出来るのであれば、必ずするようにしてくださいね。
またこちらの画像のようにナズナ等に産み付けられていたり、アブラナ科の菜の花等にも産み付けられているので、観察してみてください。
モンシロチョウの卵を持ち帰る 飼い方・育て方
なるべく多めに持ち帰りましょう。
確実に孵化するという保証はないので、数を確保します。また、孵化を無事に終えたとしても青虫は非常に弱い生き物なので、うまく成長してくれるという保証もありません。
また、卵だけを持ち帰るのではなく、葉っぱごと持ち帰るようにしてください。
飼い方・育て方をここからは順を追って説明します。
ここまでくれば、後は青虫がどのように育ち、変化していくのか一生を見届ける用意をするだけです。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 1
卵は乾燥させないこと
卵は乾燥しすぎてしまうと、孵化ができなくなります。ですので、孵化するまでは、タッパーのようなものにいれ、空気乾燥を防ぐことを優先してください。孵化が近づくと、卵の色が濃くなってきます。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 2
青虫(幼虫)が育ちやすいストレスのない飼育環境作りをしてあげる。
用意するものは
・飼育ケース
大きさは捕獲してきた卵、青虫の量にもよりますが、魚の飼育用の大き目の水槽等であると、飼育環境としては、よりリアルな成長を見届けることが出来るでしょう。
・画像のように必須ではありませんが、さなぎになるための枝など置くとよりリアルなさなぎからの変化がみやすくなるかもしれません。
・卵を孵化させる為のタッパー
・筆
・ガーゼ ティッシュ等
・飼育ケースの大きさにもよりますが、ケースの中で飼育する青虫は大体2匹~3匹にするようにしてください。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 3
飼い方・育て方 青虫(幼虫)段階
卵から1週間程で、幼虫が孵化をすると、まず初めに口にする食べ物は自分の卵の殻です。タンパク質が豊富で非常に栄養があります。また画像のように孵化したばかりの幼虫の色は黄色がかっており、毛も体の各所に生え青虫というよりは毛虫に近い状態です。それから、葉を食べ始めた時点で体色も緑になり青虫と呼ばれる状態になります。
青虫(幼虫)だと思っていたら「ガ」の幼虫だった!見分け方
絶対的な明確な見分け方は残念ながらありませんが、ガの種類によっては明らかに青虫とは全く異なる大きさまで成長したり、育ち方がまるで違います。もう見分け方というレベルではなく、別物なのでもし発覚した場合は、外に逃がしてあげる等の措置をお願いします。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 4
糞尿の処理
当然、幼虫から青虫へ育ち、成長していく過程で糞尿が発生します。青虫がまだ成長しきっていない段階では、糞に水分が非常に含まれている為、飼育ケースの下にティッシュを敷くようにしてください。糞から発生するウイルスや細菌に感染することを防ぐためです。常に飼育ケースの中は清潔にするように心がけてください。
また、病気にかかったと思われる青虫が発覚した場合は他の飼育ケースに移動するなどの措置をしてください。元気な青虫に感染してしまうので成長の妨げとなってしまいます。
病気?様子がおかしい青虫(幼虫)の見分け方
身体の色がおかしかったり、液体をまき散らしていたり、うじ虫等に寄生されていた場合は、恐らく飼育ケースから隔離しても生存確率は低いので諦めましょう。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 5
飼育ケースの置き場所
飼育ケースの大きさによっては、置き場所に悩まれるかもしれませんが、直射日光の当たらない涼しい場所に設置するようにしてください。
モンシロチョウ自体は、暖かい場所を好みますが、青虫を飼育している時点では、食べ物自体の傷みも早くなってしまいます。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 6
青虫(幼虫)の食べ物
やはり王道はキャベツですが、キャベツの他に大根、カブの葉、ナズナ、ブロッコリーの葉、水菜等を食べ物とします。飼育ケースの大きさにより与える食べ物も変わってきますが、まずは手に入れやすいものを選ぶようにしましょう。
また、人間が食べるように買ってきた野菜が傷んだものを利用したくなりますが、傷んでいると青虫によくないので、新鮮なものを常に与えるようにしてください。
食べ物を与える際の注意点 1
スーパーで販売しているものは人間には安全量の農薬ですが、青虫にとっては致死量の農薬がついています。ですので、良く水洗いをしてから、与えるようにするか、極力外側の葉を与えないようにしてください。食べ物が食べ物ではなく毒物になってしまいます。
食べ物を与える際の注意点 2
青虫に与える食べ物は「葉物」なのですぐに枯れるか、しおれてしまいます。そうすると青虫にとって非常にマイナスなので、食べ物の芯を水に付けておくと長持ちします。ですが、その水が露出していると、青虫がその水に落下してしまい死んでしまうことがあるので、食べ物を水にさしておく場合は、落下防止としてラップやアルミホイルでカバーをするようにしてください。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 7
青虫(幼虫)の天敵 青虫への寄生
寄生蜂 アオムシサムライコマユバチ
この寄生蜂は、青虫の体内に約80個の卵を産卵します。卵を産み付けた後、約2週間で寄生している幼虫は青虫の体を食い破り、繭を作って孵化します。
それでは、なぜアオムシサムライコマユバチは青虫の居場所を的確に発見し寄生させることが出来るのでしょうか。
キャベツ等のアブラナ科植物は、青虫からの食害を感知すると揮発性のカイロモンという化学物質を放出します。このカイロモンを頼りにアオムシサムライコマユバチのメスは青虫の居場所を突き止めることが出来ます。
メス蜂が産卵をする際、寄生制御物質等を卵と共に青虫に注入し、青虫は寄生蜂の卵及び孵化した幼虫が、体内に寄生されていても異物として認識されることはないので、問題なく寄生することが出来ます。
寄生蜂の幼虫は、青虫の体液を吸収し成長し、青虫の体内で一度脱皮をし、寄生後約2週間で80匹が一斉に青虫の体を食い破って外部に出てきます。この時に最後の脱皮をしながら出てきて青虫の上で繭を形成します。
春の間は、この寄生蜂の個体数が多くない為、モンシロチョウの青虫が無事に育ち、成長してモンシロチョウとなることが出来ますが、夏ごろになると寄生蜂の個体数が一気に増える為、夏場は青虫の約90%近くが寄生されていると言われています。
余談にはなりますが、このアオムシサムライコマユバチの蛹に対する高次寄生蜂も存在しています。食物連鎖の世界がここにも存在します。
青虫を飼育している側からすれば、このアオムシサムライコマユバチはにっくき天敵ですが、彼らもまた生きる為に必要な行動なのです。
室内の飼育ケースの中で飼っていれば、寄生される可能性は低くなります。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 8
青虫(幼虫)の一生での脱皮回数
青虫での一生のうち4回の脱皮をします。
脱皮1回目での大きさ・・・約7㎜
成長幅約4㎜
脱皮2回目での大きさ・・・約11㎜
成長幅約7㎜
脱皮3回目での大きさ・・・約18㎜
成長幅約9㎜
脱皮4回目での大きさ・・・約27㎜
この脱皮した後の皮も全て食べて、敵に自らの存在を知られないようにしてる行動であると言われています。
脱皮をするタイミングの見分け方
育ちざかりの青虫は普段葉っぱををモリモリと食べていますが、食べ物を食べずにじっとしだす時があります。それが見分け方の1つです。まもなく脱皮の準備をしている可能性があります。
より確実な見分け方はこの画像のように「頭部の後ろがくびれてきて、動かない状態」になれば脱皮準備はほぼ整っています。
その時に、青虫に触って様子を見るなどしてしまうと脱皮に失敗してしまう恐れがあるので注意してください。脱皮に失敗してしまうと死んでしまします。
どれくらいの期間でさなぎへと進むのか
青虫がさなぎになるまでの期間は環境の温度に左右されます。温暖であれば約2週間で立派に育ち、さなぎになりますが、気温が16℃程であれば、育ちは遅く、約1カ月程必要となります。ですので、室内で飼育している場合は、育ちが早いので比較的早い段階でさなぎになることでしょう。
モンシロチョウの青虫(幼虫)→さなぎ→成虫まで!飼い方・育て方 9
さなぎになれば、それ以上何も育ちません。後は何もしません。飼育ケースの外から、ただ優しく見守ってあげてください。
羽化の見極めとしては、さなぎが透明になってきます。中身がほぼ透けてみえてくるので、羽化の瞬間を見逃さない為には毎日の観察が必要にはなります。羽化が始まると大体3時間程で完了し、翅が完全に乾けば、後は飛び立つのを待つだけです。
仮にこの翅がうまく広がらなかった場合は、残念ながら食料を確保できないので、餓死してしまうので、この羽化も命がけです。
モンシロチョウの飼育
モンシロチョウの一生を見届ける為の飼育ケース
画像のような広い飼育スペースを確保できるかごが望ましいです。壁もクッション性に優れていますので、モンシロチョウがケガをしてしまうことも防ぐことが出来ます。
モンシロチョウの成虫の餌は
・ポカリスウェットのようなものを2~3倍に希釈する。
・はちみつを8~10倍に希釈する。
・少し甘い程度の砂糖水を作る
これらをティッシュに含ませて飲ませると安定して育ちます。
モンシロチョウの一生
モンシロチョウの寿命は約2~3週間と前述しましたが、体力を消耗させないように低温、且つ暗い環境下で育ててあまり飛び回らせないと更に1カ月程寿命が延びるとされていますが、果たしてそれはモンシロチョウにとってその一生は幸せなことなのでしょうか。