2021年05月11日公開
2021年05月11日更新
1日200回!"イクイク病"と呼ばれる「持続性・性喚起症候群」どんな病気?
イクイク病と呼ばれる、持続性・性喚起症候群をご存知ですか。2001年に見つかったこの病気は未だに原因や治療法が見つかっておらず、その発症数の少なさと特殊な症状から「奇病」とも言われています。持続性・性喚起症候群(イクイク病)の症状を見ていきましょう。
目次
【持続性・性喚起症候群(イクイク病)とは】
持続性・性喚起症候群は自身の性的欲求、性欲に関係なく性的快感やオーガズムに達してしまう病気のことです。
通常の人であれば、セックス時や性的な雑誌・動画などを見たときに性的興奮を感じ、性的快感を覚えます。しかし、持続性・性喚起症候群は性的興奮する状況でないにもかかわらず性的快感を感じます。
持続性・性喚起症候群は英語の略称で、PSAS(persistent sexual arousal syndrome)またはPGAD (persistent genital arousal disorder)とも呼ばれます。また日本ではその症状からイクイク病とも呼ばれます。
報告されてる件数は女性が多く挙げられますが、男性の場合も報告されており、男性でも女性でも発症する可能性があります。日本国内ではあまり知られておらず日本人のほとんどが知らないでしょう。
【持続性・性喚起症候群(イクイク病)の症状】
持続性・性喚起症候群(PSAS)の症状は、自分の性欲に関わらず性的興奮が起きます。その性的興奮は強烈なもので、普段の日常生活に支障をきたしてしまうほどです。
外部からの小さいな刺激でも快感を感じてしまいます。
例えば、車、自転車などの運転、人によっては体を動かしたときに肌と服が擦れあうほんのわずかな刺激でも快感を感じることがあるようです。そのため、多い人は1日に数百回もオーガズムを迎えてしまう場合もあるようです
この症状によって、命に危険を及ぼすことはありません。
しかし、日常的な生活を送ることが困難になってしまうことや、何度もオーガズムを迎えてしまうことに嫌悪感を感じ、そのうちに性的興奮や快感そのものに嫌悪感を抱いててしまようになります。
この症状よりもこの症状によって起きる精神的苦痛が発症した人を苦しめているようです。
【持続性・性喚起症候群(イクイク病)実際の症例】
Gabi jonesさんの場合
アメリカ・コロラド州に住むGabi jonesさん(女性25歳)
彼女は基本的には、持続性・性喚起症候群の症状と同じように自分の性欲に関わらず性的興奮が発生します。
しかし、Gabi jonesさんの場合は、スナック、ピザ、アイスクリームなどの、カロリーの高い食品を食べるときにもオーガズムを迎えてしまうそうです。
10代の頃にアイスクリームを食べた時に、オーガズムを迎えたことがきっかけになったと話しています。
アイスクリームは誰でも食べるものですから、そのアイスクリームの成分が問題なのか、具体的な原因は分かっていません。
また彼女はこれら高カロリーの食品以外にも、生活の小さな刺激によって性的興奮をしてしまうことがあるようです。
彼女の場合、体への直接的な刺激にプラスして高カロリー食品を摂取することによって性的快感を感じるようです。
甘いものが好きな彼女にとってはとても辛い症状だと考えられます。
デール・デッカーさんの場合
デールデッカーさん(37歳 男性)は持続性・性喚起症候群を抱えており、男性でも発症する可能性があるということが分かります。
彼は、父親の葬儀中に何度も勃起してしまったり性的快感を得てしまったようです。性的興奮する状況で性的快感を覚えてしまう例の1つだと言えます。彼の場合、性的快感を得る際に勃起をともなっており、それが羞恥心をさらに強くしています。
以上のことから、彼は仕事ができない状況であり、妻の援助の下で生活をしています。
また、妻に心配や迷惑をかけてしまわないように別々の場所で眠るようになったために、夫婦間の性的な営みもままならない状況にあるようです。
そして、彼には2人の中学生頃の子どもがいます。彼らにどのようにして自分の病気や症状を伝えるのかも彼を悩ませています。
以下にデール・デッカーさんを取材した動画を載せます。
動画を見てみると分かりますが、取材中にも関わらず彼は性的快感を感じています。
動画を見る限りでは、この男性はこの性的快感を「快感」とは感じていないようです。
男性でも持続性・性喚起症候群を発症してしまう数少ない例の1つです。
動画の一部からも持続性・性喚起症候群(PSAS)の辛さが伝わってきます。
持続性・性喚起症候群(イクイク病)を抱える人の取材動画
言葉で説明するよりも実際に症状を発症している人を見た方がその辛さがより伝わるでしょう。
残念ながら日本人の取材動画は見つかりませんでした。しかし、このことは日本人が持続性・性喚起症候群(PSAS)についてまだ認知していないということの現れでもあるでしょう。
Amanda Gryceさんの場合
動画の中で彼女はマッサージをうけて治療しているのが見られます。
また、付き合っている男性の支援もあって病気に向き合っているようです。
持続性・性喚起症候群(PSAS)は周囲の人に相談し理解してもらうことが治療の第一歩ともいえるでしょう。
cara ayanaさんの場合
動画をみてもらうと分かりますが、読書をしていても性的快感を感じることがあるようです。
私生活にも大きく影響を与えていることが分かります。
動画の彼女から持続性・性喚起症候群(PSAS)の辛さが伝わってきます。
【持続性・性喚起症候群(イクイク病)になる原因は?】
結論から先に言うと、具体的な原因は特定されていません。
特定の食品の摂取、薬の影響、事故によって体を負傷したときに発症。など持続性・性喚起症候群を発症した理由は様々です。その多くは、後天的に発症するケースが多く見られます。
また報告件数は男性よりも女性のほうが件数が多くあります。
具体的な原因が分かっていないことで根本的な治療法もいまだ見つかっていません。
【精神的苦痛によって自殺をしてしまう場合も】
持続性・性喚起症候群(イクイク病)は性的欲求に関わらず、オーガズムに達してしまいます。何度も繰り返し続くので、動悸が激しい状態が続き、身体的にも苦しい状態が続きます。
そのように身体的な苦痛があるのはもちろんですが、特に辛いのが精神的苦痛です。
何度も政定期興奮を覚える自身に対しての嫌悪感・羞恥心などの精神的苦痛が発症した人を特に苦しめます。
何度も性的興奮をしてしまうことを繰り返す内に、性的興奮すること自体に嫌悪感を感じ始めセックスや自慰行為にも不快感や罪悪感を感じてしまいます。
人間の三大欲求の1つともいわれる「性欲」が適切に処理できないので、その苦痛も計り知れないことでしょう。
また働いたり普通の生活にも支障をきたすために他の人に頼らざるを得ないという罪悪感などの精神的苦痛も考えられます。
以上のような精神的苦痛から逃れるために自殺してしまうケースもあるようです。
持続性・性喚起症候群(イクイク病)の症状はその人の人生を丸ごと変えてしまう病気だと言えるでしょう。
医師も特に注意すべきなのは、この症状によって精神的に不安定な状態になって自殺することだそうです。
【認知されていない持続性・性喚起症候群(イクイク病)】
続性・性喚起症候群は2001年に報告されはじめて医学的に認知されました。
この症状を発症した人の特徴は、度重なる極端な性的興奮やオーガズムを迎えることによって自分に嫌悪感を感じたり、恥ずかしいという羞恥心を抱いています。
そのことによって1人で悩み、人に相談することや、病院に行くことが少ない傾向にあります。したがって、報告される件数が非常に少ないのが現状です。
日本人の発症は不明な状態であり、日本人がどのくらい持続性・性喚起症候群(PSAS)を抱えているのかがわかっていません。
特に日本国内では、新聞・テレビで公式に病気について発表されたケースはほぼないといっても過言ではなく、日本人、世間一般的にも非常に認知度の少ない症状です。
また、その症状の身体的、特に精神的苦痛が知られておらず、人々から好奇の目で見られることもしばしばあります。
【持続性・性喚起症候群(イクイク病)の治療法は未だにない】
持続性・性喚起症候群(PSAS)の研究は難航しています。
医学的に認知され十数年たったものの、残念ながら、原因の究明もできていないため、持続性・性喚起症候群の治療法は見つかっていません。
できるだけ、性的興奮をしないための対処法として、主に心理的な治療法やセラピーを受けて過度な性的興奮を避けることが実施されています。
また精神薬を飲んで性的興奮を抑えることができた例があるようです。しかし、ある程度性的興奮をおさえる程で、生活が困難な状況であることに変わりはないのが実情です。
根本的な治療法や治療薬が早く発見・解明されることを祈るばかりです。
【持続性・性喚起症候群(イクイク病)の問題点】
症例の報告が少ない
プライベートに関わる症状の為に、周囲の人に知られるのを恐れて医師や友人に相談する場合が少ない傾向にあると考えられています。
この症状は、自身のデリケートな部分に触れるために、羞恥心から病院に行く人が少なくしたがって報告件数も少ないのが実状です。
結果的に、充分な統計がとれておらず症状や原因、そして治療法・治療薬を見つけることが難しい状況にあるのが実情です。
持続性・性喚起症候群(イクイク病)が、発症する可能性がかなり低い病気にも関わらず、報告件数が少ないことがさらに研究を困難なものにしています。
特に国内では、日本人の報告件数がかなり少なく認知度も低い状況です。
持続性・性喚起症候群(イクイク病)の発症者に対する補助が確立されていない
持続性・性喚起症候群(PSAS)を発症した人は普通に働くことが困難な状況であり、経済的にも自立することが難しい状況にあります。したがって経済的な支援を必要としています。
しかし、最近になって報告された症状であり、海外・日本国内においても医療の保険や補助を受ける状況が確立されていません。また障碍者としても海外・日本ともに認定されていないため、金銭的な補助を受けることができません。
このように日本人・海外の人であっても、症状に悩まされ経済的な支援を必要としているのにもかかわらず、補助や支援を受ける体制がまだ整っていないことも問題点の1つです。
持続性・性喚起症候群(イクイク病)の問題点を解消するために】
まずはニュース・新聞などのメディアで公式に発表し、持続性・性喚起症候群(PSAS)が認知されることが必要になります。
認知度の低さから起きる問題点を改善するために、テレビ・新聞・インターネットを使用した解決策が考えられます。
今後はテレビ・新聞などのメディアから公式にこの病気や症状について世間に知らせることが必要になると考えられます。メディアを使って、持続性・性喚起症候群(イクイク病)の認知度を高めて症状を持つ人々に医師に相談することを促し、報告件数を増やし、研究の統計を高めること。
そして病気として認知されることによって、医療保険や障碍者として補助をしてもらえるようにしていくことが求められると考えられます。
【もし持続性・性喚起症候群(PSAS)が発症したら】
持続性・性喚起症候群(PSAS)の可能性を感じたら、一人で悩まず医師に相談しましょう。
生活のちょっとした刺激(車の運転・歩いたとき)に自分の性的欲求に関わらず、性的興奮を感じるような症状があれば、医師に相談することをお勧めします。
症例が少なく報告される件数も少ないことによって原因・治療法の解明に遅れていることが現状です。そのため、あなたが医師に相談し自分の症状を伝えることで原因や治療法が見つかる手がかかりになる可能性もあります。
また、医師の繋がりから自分と同じような症状の人を見つけ、自分の気持ちを理解してもらえる可能性もあります。
1人で悩まず医師に相談してみましょう。
1人で悩まず、まずは周囲の人に相談してみることから始めましょう。