2021年05月11日公開
2021年05月11日更新
分限免職とはどんな処分?クビになった公務員の退職金がヤバい…【事例】
分限免職処分をご存知でしょうか?免職ですのでクビであることはわかりますが、懲戒免職と何が違うのかきになりますよね。懲戒免職では退職金なども支給されませんが、分限免職処分ではどうなのでしょうか?気になる退職金などの違いをわかりやすく解説します。
目次
聞きなれない分限免職
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懲戒免職処分という言葉は、お聞きになったことはあると思います、分限免職処分というのはどうでしょうか?まったく聞いたことがない方もいれば、聞いたことはあるけど、いったい何なのかまではわからないという方がほとんどなのでしょうか。
懲戒免職処分と分限免職処分では、まったくもって違うというほどの違いがあります。国家公務員や地方公務員がクビになった点においては共通していますが、その違いはどこにあるのでしょうか。わかりやすく解説していきます。分限免職処分になった事例も紹介していきながら、分限免職処分と退職金・失業保険・年金など気になるお金にまつわる話をみていきましょう。
分限免職処分ってなに?
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さっそく、分限免職について見ていきましょう。聞きなれない言葉なので身構えてしまうかもしれませんが、難しい内容ではありませんので、ご安心ください。それでは、国家公務員や地方公務員のクビである分限免職について解説していきます。
分限免職処分はこんなクビ
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国家公務員であれば国家公務員法に、地方公務員であれば地方公務員法にそれぞれ、難しい表記によって書かれていることになりますが、ここではあくまで簡単な言葉で解説していきます。
公務員の身分保障とは、本人の意思ではない場合は、現在の地位が保障されているということです。この表現でも、まだしっくりこないかもしれません。もう少し違う表現をすれば、国家公務員であっても地方公務員であっても、本人が仕事を辞めたくないって思っているのであれば、基本的には今のままでいることができますよ!ということです。もっと、簡単に言えば、「基本的にはクビにならない」ってことですね。
意外と知らないことかと思いますが、公務員には労働三権が認められていません。団結権・団体交渉権・団体行動権の3つですね。中学校の社会の授業でならいましたが、懐かしいですね。これも、簡単に説明すると、職員みんなで集まって、給料を上げて欲しいと申し出たり、給料上げてくれないならストライキをしてやる!といった権利が認められていないのです。
民間の企業であれば、当たり前に認められている権利ですが、公務員には認められていないので、かわりに民間の企業よりはクビにされることは少なくしますよ!ということなんですね。
分限免職処分が言い渡される理由
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身分保障については、わかりましたね?それでは、限界とはどのような事例なのでしょうか?身分保障の限界の事例については、複数のパターンがあるようです。
分限免職が適用されるのは、「組織の能率的運営」のためになります。能率的な運営ができなくなった。だから限界が保障していられなくなりましたということですね。
まず、1つ目の事例では、財政が悪化したために人員の整理をしなくてはならなくなったケースがあります。民間企業でいうところのリストラにあたります。これは、雇っている側の理由による限界ですね。
そして、2つ目の事例は、国家公務員・地方公務員として働くのに適していない状況になったというケースです。大きくわけると、病気や事故によって仕事ができない状態になった場合と、勤務成績が悪いため、能力不足と判断された場合があります。
つまり、分限免職というのは、財政難による人員整理と能力不足による解雇と考えられることができます。財政難など本人の資質によらないクビの場合と、能力不足によるクビでは退職金や、失業保険や、年金には違いがあるのでしょうか?後ほどご紹介していきます。
分限免職処分が言い渡された事例
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ここで一度、分限免職処分が言い渡された有名な事例を取り上げます。国家公務員・地方公務員どちらにしても公務員はクビにならないと思いがちですが、実際にクビになっている事例を知ると、公務員も安泰ではないと実感できるでしょう。
日本年金機構への移行と分限免職
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2009年の12月で社会保険庁がなくなり、翌年2010年の1月4日から日本年金機構が発足しました。日本年金機構への移行のさいに、525人の職員が分限免職となっています。実際に報道された動画がありますのでご覧ください。社会保険庁側のコメントで、「再就職の支援を続けていく」とあり、分限免職でクビになった際も、再就職は厳しいと言えるでしょう。
社会保険庁時代に懲戒処分歴があるということで、公務員として適していないという理由での分限免職処分となっています。この525人のうち、29人は分限免職処分を取り消すように国を相手に訴訟を起こしており、そのほとんどが分限免職処分の取り消しにはなっていないません。取り消しを訴えているのは、およそ5.5%ほどですが、再就職の目処が立たない不安からと考えられます。社会保険庁は、再就職の支援を行っていく姿勢ですが、対応が不十分と解雇された側は感じていると言えます。
一度、処分が決定された場合にはなかなか処分が覆るケースはないようです。なかには処分取り消しにいたっている事例もあります。
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懲戒免職処分では退職金は支払われない
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懲戒免職処分は、ニュースや新聞などで聞いたり読んだりすることが多い言葉ですので、説明はあまり必要がないかもしれませんが、こちらに関してもわかりやすく解説をしていきたいと思います。
懲戒免職処分に使われる、「懲」という言葉は、「懲らしめる(こらしめる)」であり、「戒」という言葉は「戒める(いましめる)」です。読んで字のごとくですが、悪いことをした場合にとられる措置になります。
懲戒免職処分は、懲戒処分のなかで、最も重い処分にあたりますので、懲戒免職処分でクビにされた場合は、退職金が出ない場合もあります。退職金が出ない事例では、国家公務員と地方公務員では審査を行う機関が違いますが、審査の結果、退職手当を払わなくてもよいと認定された場合に、即クビとなり、退職金も受け取れなくなってしまいます。もちろん、失業保険もありません。
年金に関しても、部分的に減額となってしまいます。また、再就職においてもかなり不利になってしまいます。再就職の際に、履歴書に懲戒免職処分になってしまったことを書く必要があり、書かなければ法律で罰せられます。
懲戒免職処分では、退職金も受け取れず、年金は減額され、再就職も絶望的となるため分限免職処分にくらべて圧倒的に不利な退職の仕方となります。また、公務員は雇用保険に加入していないため、失業保険はありません。
もともと、身分が保証されておりますので、失業が想定されていないため失業保険が出ないことは妥当といえますが、懲戒免職で再就職がない上に失業保険が出ないことを考えると懲戒免職処分の重さが実感できます。
分限免職処分では退職金が支払われるのか?
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懲戒免職処分においては、退職金・失業保険はなく、年金は減額であることは説明しました。分限免職処分においては、それらはどのような扱いなるのでしょうか?懲戒免職処分と違って、分限免職処分は優遇されています。
身分を保証できなくなったという理由からの解雇のため、退職金に相当する退職手当が支給されますし、年金の減額もありません。ですが、失業保険に関しては、雇用保険に加入していないため、懲戒免職処分と同様に支給されません。
それでは、ここからは実際に分限免職処分になった事例を取り上げながら、退職金がどのくらい支払われているのかをみていきましょう。
違法でも退職金支給!分限免職処分で退職金1000万
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大阪市の職員(56)が退職金1000万円を支給されていたという事例です。この職員は1月から連絡が取れない状態が続き、3月に分限免職処分となっています。公務員の副業は法律において認められていないが、クラブを経営していた疑いがあり、かつ正当な理由なく21日以上の欠勤があるため、懲戒免職処分となる事例です。
この事例において、分限免職処分となった理由は、テナント料・ホステスの賃金の未払いで大阪市が訴訟を起こされるまでに発展したことによって、その支払いのために1000万円が退職金として支払われています。支払いに使われたのは、1000万円のうち約150万円です。
不適指導で分限免職でも退職金支給
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大阪市の教員の分限免職処分の事例です。この職員は特別支援学校に勤務しているときに、全盲の生徒に向かって「時計を見なさい」という無茶な発言をしたと報道されています。この事例においては、すぐに分限免職処分となったわけではなく、一度、研修を行ったが指導力が向上する様子が見られず、分限免職処分となっています。
両親や校長から、不適切な指導だと指摘があったとしても分限免職処分ですので、退職金は支払われております。また、年齢などの情報も非公表となっておりますので、再就職に関しても大きく影響はないと考えられます。
警察官の分限免職と退職金支給
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大阪府警の警察官の分限免職事例です。こちらの男性巡査部長(36)はパトロールなどを拒否する、事件現場から離れるなどして、分限免職処分となっています。「意味がない」などの発言をしており、公務員として適正がないとして処分された事例としては、1966年以降で初めてとなります。
また、署長の注意に対して「あなたに言われたくない」と反論して停職処分となっている過去もあります。このような業務に大して怠慢な姿勢を繰り返していても、退職金は支払われています。
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分限免職の退職金平均支給額
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分限免職になった事例をいくつか見てきましたが、どのような印象をもたれたでしょうか。個々の事例においての実際に支払われた正確な退職金に関しては、はっきりとわかりませんので平均支給額のを紹介していきます。
まず、全国平均に関してですが、全公務員の平均支給額は1250万円となっています。それに対して、大阪市や名古屋市など指定都市においては、平均支給額は1929万円です。市区町村においても、1834万円となっております。
人によって受け取り方は、様々であると思います。公務員の分限免職における退職手当は、民間企業の支給額と同等の金額を支給することになっておりますので、ご紹介した事例のように公務員として不適切であるという理由においても、同等の金額が支給されています。また、雇用保険に加入していないため、失業保険はありませんが、懲戒免職ではありませんので、年金の支給額に関しても減額はありません。
分限免職処分における退職金は高額
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聞きなれない分限免職処分についてどう思われたでしょうか?公務員としての適正がないという意味での処分は圧倒的に少ないのですが、退職金の支給額に関しては適正があろうとなかろうと、民間企業と同程度の支給ですから差はありません。
今回の記事では、びっくりするほど適正を欠いている事例もご紹介しましたが、こちらに関しても支給額に差はないことになります。受け取り方は人それぞれになりますが、多くの方が関心をもって考えてみるべき事例ではないでしょうか。