愛知県のブラジル「保見団地」の治安や事件まとめ

愛知県のブラジルと呼ばれる「保見団地」って知ってますか?愛知県豊田市はトヨタのお膝元ですが、そんな豊田市にある「保見団地」は、トヨタの自動車工場で働くブラジル人が急増し、日本で最もブラジル人が多い地域と言われています。

愛知県のブラジル「保見団地」の治安や事件まとめのイメージ

目次

  1. 1「保見団地」とは
  2. 2「保見団地」が愛知県のブラジルと呼ばれる訳
  3. 3「保見団地」で売春婦募集?
  4. 4「保見団地」が「ブラジル団地」と呼ばれるようになった経緯
  5. 5「保見団地」内のブラジル系スーパー「フォックスマート」
  6. 6「ブラジル団地」としての「保見団地」の問題が顕在化
  7. 7「保見団地」での事件や治安騒動
  8. 8「保見団地」の現状
  9. 9「保見団地」と写真家「名越啓介」
  10. 10写真家「名越啓介」の写真集
  11. 11「いちょう団地」とは
  12. 12まとめ

「保見団地」とは

保見団地は、「ほみだんち」と読み、日本を代表する自動車王国であり、トヨタ自動車のお膝元である愛知県豊田市保見ヶ丘に位置している大規模団地の名称です。

「保見団地」は、1972年(昭和47年)に開発造成がスタートした超大規模の団地で、その広さはなんと、東京ドームが約13個も入る程の広大な敷地を誇ります。

広大な敷地には60棟を超えるアパートなどが建てられていて、見る者を圧倒する壮観な景色が広がっていて、今でも昭和の高度成長時代の名残りを感じることができる"公団団地の遺産"としての側面も持ち合わせているような団地…それが「保見団地」です。

そんな昭和の高度成長時代の名残りのオーラを妖しく放ち、治安の不安も感じるスラム街?「保見団地」ですが、その一方で、「保見団地」がまだ現役の団地で、入居者の方も多く居られ、入居者募集も行われている点が特徴の1つになっています。

ちなみに、60棟を超え3900戸ものマンモス団地の供給元の内訳は、

・愛知県営(愛知県住宅供給公社)
・UR(UR都市機構、旧住宅・都市整備公団)
・分譲

に分類されます。

「保見団地」の地図

出典: https://www.ur-net.go.jp

UR(UR都市機構)の「保見団地」物件情報(参考)

「保見団地」は、(スラム街でもなんでもなく)まだ現在も入居者の募集がされています。

なので、「保見団地」に興味がある場合には住んでみるという選択肢も選ぶことができます。

参考までに、「保見団地」(UR都市機構)の物件情報を紹介します。

・家賃:39,100円~76,600円(敷金や礼金、更新料、保証人が不要)

・共益費:2,600円~4,400円

・間取り:2DK~5DK

・床面積:39㎡~94㎡

・戸数:978戸

・交通:名鉄「浄水」駅下車、とよたおいでんバス8分「東保見こども園前」停 徒歩1分

・住所:豊田市保見ヶ丘5-1-1 他

UR(UR都市機構)の募集ページの住まいリポート(抜粋)

・「保見」は愛知県豊田市にある、1000戸近い大団地です。
・「栄駅」まで48分、「豊田市駅」まで15分という立地。
・入口にある大きな案内板が目印。
・案内板の下には子どもたちが作ったお花のタイルが並んでいます。
・豊富なバリエーションで様々な家族構成に対応する団地です。
・団地内にはスーパーや診療所、郵便局など生活にかかせないものが揃っています。
・「Foxmart」には外国人向けの商品もたくさんあり、一瞬日本であることを忘れてしまいそうです。
・雰囲気も外国のスーパーのようなので、見ているだけでも楽しめます。

※UR賃貸ショップ星ヶ丘
連絡先 電話番号052-782-9716、営業時間9:30~18:00

「保見団地」が愛知県のブラジルと呼ばれる訳

「保見団地」がその名前を知られるようになった理由の1つに、外国人の入居者の割合が(ずば抜けて)高いことがあげられます。

今現在でも、60棟を超え3900戸もの規模を誇るマンモス団地「保見団地」の中では、約7000人の人々が生活して居られますが、その中のじつに半数近くが外国の人々という状況になっています。

その中でも、ブラジルの出身者は約3000人を数え実に85%~を占めていてブラジル人街化しています。

本来、日本人向けに建てられた「保見団地」ですが、入居者の半数近くが外国人(その多数がブラジル人)という状況になっていることから、いつしか周囲の人々から「ブラジル団地」と揶揄される存在になってしまいました。

そして、事件も発生…、治安の無法地帯…、危険なスラム街…、というイメージが先行しています。
 

「保見団地」で売春婦募集?

一時期の「保見団地」では、

・海賊版DVDが200円で売られていたり
・ポルトガル語フリーペーパーに売春婦募集の広告が掲載されていたり

という状況でした。

ポルトガル語で「売春婦募集」とはどう書くのか、さっぱり分かりませんが…日本人のほとんどがポルトガル語は分からないと思いますので、堂々とフリーペーパーに売春婦募集の広告が出たのだと思います。

ちなみに、グーグル翻訳で「売春婦募集」とインプットしたら「Buscadores de prostituição」と表示されました。

これが売春婦募集という意味になるのかな?

売春婦募集に成功したのかどうか、気になります…。

「保見団地」が「ブラジル団地」と呼ばれるようになった経緯

本来は、日本人の家族のために開発建設された「保見団地」が「ブラジル団地」と呼ばれるようになった経緯を、分かりやすく時系列的に列挙してみます。


・1972年、愛知県豊田市保見ヶ丘の"なだらかに広がる丘陵地"に「保見団地」の造成がスタートされる。

・豊田市屈指のビッグタウンとなった「保見団地」の最盛期には、約12000人余りの人々が暮らすようになった。

・しかし、「保見団地」は時代の経過(老朽化や設計の古さ…)とともに入居者が減りスラム街のような「空き部屋」が目立つようになりゴミ屋敷化した部屋も…。

・1990年、入管法の改正により日系人の単純労働が認められることに…。

・トヨタ自動車などの自動車関連工場での労働力として、多くの移民(南米人)が豊田市にやって来る。

・「空き部屋」の借り手がなくスラム街化して困っていたアパートを自動車関連企業が買い上げ、外国人労働者の社宅として利用されるようになる。

・入管法の改正の結果、群馬県の太田市や静岡県の浜松市、そして愛知県の豊田市など、ブラジル人が多く住む街が日本に出現した。

・いつしか「保見団地」は、周辺の人たちから「ブラジル団地」と揶揄され、治安の無法地帯…、スラム街…というイメージが先行。

「保見団地」内のブラジル系スーパー「フォックスマート」

出典: http://blog.goo.ne.jp

「保見団地」の中には、もちろんスーパーマーケットもあります。

でも、このスーパーがいろんな意味で凄い!と近隣住民はもちろん全国的に話題になって知られる存在になっています。

スーパーの名前は「フォックスマート」というお店で、店内照明が少し暗いという他は一見すると普通のスーパーマーケットなんですが、
店内に陳列されている商品が通常の日本ではあまり見かけないものが売られていて、プチ海外旅行した気分になれると、
ちょっとした人気になっています。

ちなみに、この「フォックスマート」がある場所には、もともと「名鉄パレ」という日本のスーパーがあったのですが、2005年に撤退。その翌年にブラジル資本で100%ブラジル人仕様の「フォックスマート」ができたとのことです。

そんな「フォックスマート」体験者の声をまとめてみると…

・「保見団地」内にあるフォックスマートというスーパーの品揃えは…まさに海外!
・見たこともないジュースが売っていますが賞味期限はしっかりチェックするのが必要なスーパーです。
・店内のいたるところにブラジルの旗があって、商品名も日本語とポルトガル語で書かれていてインパクトあります。
・フォックスマートまじで楽しいです!
・完全に外国に迷い込んだ感覚になれる。
・昔、タイでよく行ったスーパーの独特なにおいと同じにおいがした。
・肉類はイオンなどに比べ安いし、量も多いパッケージとなっている。
・ペルーの飲み物インカコーラも売っている。

※フォックスマートのデータ
・住所:愛知県豊田市保見ケ丘5-1
・営業時間:10:00~21:00
・休日:年中無休

出典: https://tabelog.com

出典: https://tabelog.com

「ブラジル団地」としての「保見団地」の問題が顕在化

豊田市では、1980年代の後半から自動車関連企業の工場などへ出稼ぎに来たブラジル人が目立つようになり、1990年の入管法の改正で日系人の単純労働が認められるようになると、さらに外国人労働者の数は増え続け、ブラジル人の他にもペルー人やボリビア人など南米出身者が多く「保見団地」に住むようになりました。

そして次第に、日本人と"言葉"や"ものの考え方"、"価値観"が異なる外国人である彼らとの間に、軋轢やトラブルなどの問題や事件が起きるようになっていきます。

はじめは、生活に関する取り決めや団地内のルールを守らないなど…のトラブルだったものが、ひいては犯罪や売春などの事件の多発化を招くことになってしまい、1990年代に入ると"右翼関係者"や"日本人住民"と外国人との対立が次第に事件にエスカレートして1999年(平成11年)には、ついに警察の機動隊が「保見団地」に出動するという、外国のスラム街のような暴動寸前の事件にまで発展してしまいました。

「保見団地」での事件や治安騒動

「保見団地」では、1990年代に入り右翼関係者の街宣車を多く見かけるようになり治安の問題が表面化、1999年には警察の機動隊が「保見団地」に出動するという、外国のスラム街のような暴動寸前の事態にまで発展します。

事件の発端は次のようなものでした。

多数の情報によると、騒ぎの発端は次のようであった。ラーメン販売車でラー >メンを食べていた日本人の一団が、たまたまそこを通りかかった数人のブラジ >ル人をからかった。数分後ブラジル人たちが現場に戻り、からかった日本人の >一人を殴った。さらに、ラーメン屋台の自動車を破壊した。 > > 翌日、鉄パイプ、棒、木刀で武装した日本人グループが、日本人を殴ったブ >ラジル人を捜し始めた。目指す相手は見つからなかったが、殴ったブラジル人 >の一人の物だと思われる車を滅多打ちにした。  次の個所では、事件の核心に触れる重要な点について、両新聞の報道内容に大きなずれがあります。 (中日) > 続いて今月五日午後八時ごろから、同じ右翼関係者のものとみられる街宣車 >と暴走族風のバイク約五十台が団地内の道路を流し「ブラジル人出てこい」と呼 >び掛けた。署員ら約三十人が警戒したが、外国人側に目立った動きはなかった。  (IP) > バス1台、乗用車10台、オートバイ72台から成る極右のコンボイが保見ケ丘 >に現われ、「ブラジル人は日本から出て行け」と叫んだ。 > 180人もの日本人が、手に手に鉄パイプ・木刀・ゴルフクラブ・野球バットな >どを持ち武装し、日本人を襲ったブラジル人の若者たちを捜して回った。 > 極右集団には、10台ばかりのパトカーと私服警察官が付き添っていた。 > 該当するブラジル人たちは、結局見つからなかった。  IPの報道に間違いが無いとしたら、極右集団は凶器準備集合罪で現行犯逮捕されねばならぬはず。冷静に考えれば確かに、何も持たずに襲撃をかけるとは考えづらい。凶器による犯行の実績もあった。愛知県警は一体、何の目的で現地に展開していたのでしょうか。  次の部分では、IPでは街宣車が燃やされた事実しか取り上げていないので、IP記事は省略します。 (中日) > しかし、六日午後十時二十分ごろ、一連の騒ぎに全く関係がなく、たまたま同 >団地に近い路上に駐車していた別の右翼団体の街宣車が何者かに放火され、 >全焼した。同団体の関係者十数人が付近に集まった一方、現場から北西約五百 >メートルのコンビニエンスストア駐車場に外国人たちが集まる騒ぎになったため、 >県警機動隊など警官約八十人が緊急出動。一部は明け方まで付近で警戒を続 >けた。

「保見団地」の現状

警察の機動隊が出動するという暴動寸前(治安無法地帯)の事態まで発生した「保見団地」の事件ですが、その後、この事件を受けて外国人向けの行政が大幅に見直し改善することになりました。

現在では、NGOなどが団地内での外国人住民への教育が実施され、日本人の住民との積極的な交流促進活動も行われるようになっています。

外国人と日本人の住民との軋轢や問題は、今も全部解消されたわけではないが、自治会や豊田市などが一丸となってブラジル人との共生に取り組んできた成果は確実に現れているようです。

じつは愛知県内でも、いまだに治安の問題があるヤバイ街というイメージがある「保見団地」ですが、実施に訪れてみると、現在は至って平穏な街というイメージがピッタリしています。

「保見団地」と写真家「名越啓介」

「保見団地」は、写真家の「名越啓介」さんが写真集にして紹介しています。

写真家「名越啓介」さんは、テレビ番組『クレイジージャーニー』に出演、司会の松本人志が「今までに出会ったなかで一番クレイジーだ」と称賛したカメラマンです。

●写真集「Familia 保見団地」(2016年11月25日発売)

写真家「名越啓介」氏が、実際に「保見団地」に3年間住み込みんで、団地で出会った人々の日常生活や成長の過程などが写真に写し込まれています。

写真家「名越啓介(なごしけいすけ)」氏の経歴
・1997年生まれ
・奈良県出身
・大阪芸術大学卒業
・19歳で渡米し、アメリカやカナダ、南米各地のスクワッター(廃ビルなどの無断居住者)と共同生活しながら彼らの日常の写真を撮影。
・有限会社コミューン所属

写真家「名越啓介」の写真集

写真家「名越啓介」氏は、「Familia 保見団地」の他にも以下の作品があります。
写真家としてモチーフの選択(スラムや治安無法地帯…)が独特で引き込まれます。

・「Familia 保見団地」(2016/11/26、名越啓介)

・「CHICANO チカーノ」(2008/7/18、名越啓介)

・「EXCUSE ME」(2006/9、名越啓介)

・「SMOKEY MOUNTAIN」(2011/4/15、名越啓介)

出典: https://www.amazon.co.jp

「Familia 保見団地」(2016/11/26、名越啓介)

出典: https://www.amazon.co.jp

「CHICANO チカーノ」(2008/7/18、名越啓介)

出典: https://www.amazon.co.jp

「EXCUSE ME」(2006/9、名越啓介)

出典: https://www.amazon.co.jp

「SMOKEY MOUNTAIN」(2011/4/15、名越啓介)

「いちょう団地」とは

「いちょう団地」は、神奈川県最大の公営住宅で、居住者の約2割が外国籍というマンモス団地である点が「保見団地」と似た状況にありますが、外国人が増えた背景は、「いちょう団地」と「保見団地」では異なる理由があるようです。

「いちょう団地」は、川を挟んで「横浜市」と「大和市」に分かれています。「いちょう団地」が建てられたのは、1971年(昭和46)年~とのことで、「保見団地」の1年前になります。

(この頃は、「いちょう団地」や「保見団地」など、全国的に公営(公団)団地の建設ラッシュの時代だったのかも知れません。)

「いちょう団地」では、外国人居住者に「暮らし方のマニュアル」を配ったりして細かに対応しています。

ちなみに、「いちょう団地」などの県営住宅の入居条件を紹介します。

1. 県内に6ヶ月以上居住していること
2. 月収が15万8千円以下であること(総収入ではなく、控除などを入れて計算したもの)
3. 住宅困窮度-「現在、他人の家に間借りしている」「住宅用でない建物に住んでいる」など。こちらは自己申告制だが、後日二次審査までに調査される。
 

まとめ

「保見団地」は、未来の日本の象徴という感じがします。

この先、ますます「勝ち組」「負け組」という二極化の進展に伴う、貧困化とグローバル化が進むであろうと想像される日本ですが…、そんな時代を底抜けの明るさとバイタリティで生き抜く彼らの姿勢は、日本人も見習うべきかもしれません。

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