2021年05月20日公開
2021年05月20日更新
数の最大の単位「不可説不可説転」の大きさとは?その上は?
不可説不可説転という単位を知っていますか?多くの方は無量大数という単位を知っているかもしれませんが、無量大数とは比べ物にならないほど大きな単位です。この記事では不可説不可説転という単位の大きさについてと、それよりも大きな数についてご紹介します。
目次
漢字で書ける最も大きな単位「不可説不可説転」
出典: http://seiga.nicovideo.jp
あなたは数の最大の単位が何か考えたことはありますか?
日常ではせいぜい「兆」が最も大きな単位かもしれません。
ですが世界には、これの比にならないくらいのものすごく大きい単位が存在します。
漢字で書かれる単位で最も大きい単位は「不可説不可説転」になります。
1不可説不可説転とはおよそ「10の37澗乗」です。
「1澗(かん)」は1の後に0が36個続きます。
つまり、1不可説不可説転は1の後に37澗個の0が続きます。
こんな大きい数、想像できますか?
無量大数よりも大きい「不可説不可説転」と言う数がある。
— モフモフ太郎 (@baron5506) October 28, 2017
「不可説不可説転」と比べたら無量大数なんて大したことない?
出典: http://business.nikkeibp.co.jp
比較的有名な単位と言えば、算数の教科書にも載っている「無量大数」でしょうか?
万進(一万倍になるごとに単位が変わる)の場合、無量大数については0の数が68個です。
不可説不可説転は0が37澗個続くので、全く桁違いに大きいというのがわかっていただけますでしょうか?
万億兆などの数詞の一番大きいのが、無量大数だと思ってたけど、そのもっと上に、不可説不可説転というものがあるとは知らんかった。1不可説不可説転≒10の37澗乗。澗とは、10の36乗。紙に書くだけでも何年かかるんだろう。ちょーどーでもいい話でした。。
— 沼畑真 (@numahatamakoto) October 31, 2017
「不可説不可説転」をわかりやすく説明するのは可能なのか?①:無量大数を基準に考えてみた
試行①:1不可説不可説転を1無量大数で割ってみようとしたが・・・
出典: http://life.viet-jo.com
1不可説不可説転は10の37澗乗、1無量大数は10の68乗。
割るには37澗から68を引けばいいのですが、桁が違い過ぎるので引いても「およそ37澗」には変わりありません・・・。
試行②:1無量大数を何何乗したら1不可説不可説転になる?
出典: https://www.jeea.or.jp
結論から言いますと、これも全然ダメです。
無量大数をおよそ5400溝乗しないと不可説不可説転にはなりません。
やはり不可説不可説転はあまりにも違いすぎます。
無量大数を用いたわかりやすい説明は不可能のようです。
数学の授業中に2000!に並ぶ0の個数を求めよ。って出てきてついでに無量大数以上の数について調べたら異世界すぎてやばい。不可説不可説転とかいう10^37218383881977644441306597687849648128の数出てきた。なにあれ
— スコール (@SKAL_4210) September 27, 2017
不可説不可説転をわかりやすく説明するのは可能なのか?②:他のものと比べてみた。
試行③:お金で考えてみる
出典: http://gigazine.net
1無量大数を基準に考えても全然ピンと来なかったのにお金で考えたところで結果は変わらないと思いますが、一応考えてみます。
国税庁によると、日本人の平均年収は大体400万円くらい。
ありえないですが、日本で1億人がこの年収だったとして400兆円・・・。
この時点で桁違いすぎて、この方法も不可能だと思い諦めました。
ちなみに、地球上にあるお金の総量は17京6000兆円のようです。(全然足らない)
また、1万円札の厚さは0.1mmなので1不可説不可説転枚重ねたら・・・ほぼ不可説不可説転mになっちゃいますね。
不可説不可説転は桁が大きすぎるので何の説明にもならないですね。
外国為替市場での取引高の1日平均は約194兆円のようです。(2001年)
1年でおよそ7京円・・・これでも足らない。
日本円ではなくかつて異常なインフレを起こして廃止されたジンバブエドルで考えると、1円=300兆ジンバブエドル。
地球上のお金の総量は5280穣円になります。(1穣は1の後に0が28個)
やっぱり足りません・・・。
お金で考えてもわかりやすい説明は不可能のようです。
試行④:宇宙に存在する素粒子の数は?
出典: http://takashi1016.com
宇宙にある原子の総数は大体10の80乗個くらいのようです。
無量大数と比べたらこちらの方が大きいですが、やはり不可説不可説転には到底及ばない数です。
この世界にあるもので例えるのは不可能のようです。
不可説不可説転とか、何の役にも立たない巨数とか面白い
— むらしゅん (@murashun) October 16, 2017
不可説不可説転は仏教の言葉
出典: https://ja.wikipedia.org
では、なぜこんなにも大きい単位が存在するのか?
実はこの「不可説不可説転」という言葉は仏教の華厳経に書かれています。
内容としては、インドで伝えられてきた様々な経典が4世紀ごろに中央アジアでまとめられたもののようです。
華厳経に不可説不可説転について述べられていますが、これは日常で使うにはあまりにも大きな数を挙げることで悟りの大きさを表そうとしたものとされています。
つまりこの世界では必要ではない単位と言うことでしょうか。
仏教の世界観は凄いですね。
仏典のガチの命数法では不可説不可説転(10^37218383881977644441306597687849648128)とかありますが、これは仏の功徳をあらわすため定められるものなので自然界では必要ありません。
— くろさん(冬眠中) (@kazulack) October 3, 2017
不可説不可説転以外の日常では使わない単位
最も小さい単位は「涅槃寂静」
出典: http://iyakustat.info
画像は1から無量大数までの単位一覧です。
算数の教科書に載っていることもあり、無量大数を知っている方は比較的多いです。
そこで、逆に最も小さい単位はご存知でしょうか?
それは「涅槃寂静」と言い、10の‐24乗になります。
小数点以下に0が23個並びます。
日常で使う場面はなかなかなさそうですが、物理の世界ではフェムトメートル(fm)を使うことがあるので、そこまで桁外れな数値でもないようです。
ちなみに、原子の大きさは大体0.1~1nm程度です。
華厳経に書かれている他の単位(一部)
不可称(ふかしょう)
— ティン (@Tin_0i) October 10, 2017
不可称転(ふかしょうてん)
不可思(ふかし)
不可思転(ふかしてん)
不可量(ふかりょう)
不可量転(ふかりょうてん)
不可説(ふかせつ)
不可説転(ふかせつてん)
不可説不可説(ふかせつふかせつ)
不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)
こちらは華厳経に書かれている単位の中で最も大きい10個です。
全てを抜粋するとかなりの数になるので10個だけ書いてあるツイートを引用しました。
華厳経に書かれている単位は一つ下の単位の自乗になります。
例えば、不可称×不可称=不可称転になります。
不可説不可説転はこのように定義された単位の122番目になります。
この定義の出発点となる数字は100洛叉(1000万)です。
不可説不可説転よりは小さい単位「グーゴル」
出典: https://www.livescience.com
世界には「グーゴル」と言う単位が存在します。
「グーゴル」は、アメリカの数学者エドワード・ガスナーの甥(1920年当時9歳)による造語とのこと。
大きさは10の100乗になります。
無量大数と比べるとこちらの方が大きいですが、不可説不可説転よりは小さい値になります。
無量大数より大きい数1グーゴルは1のあとに0を手が疲れるほど書いた数で10の100乗になるぽい、インターネットの検索エンジンであるGoogleの名前は、命名者ラリー・ペイジによるグーゴル (googol) の綴り間違いに由来するぽい
— 雑学が大好きな夕立bot (@zatsu_yuudati) October 23, 2017
不可説不可説転を上回る「グーゴルプレックス」
出典: http://googology.wikia.com
不可説不可説転のさらに上を行く単位として「グーゴルプレックス」が存在します。
グーゴルプレックスとは「10の1グーゴル乗」を指します。
つまり1グーゴルプレックスは1の後に0が1グーゴル個並びます。
1不可説不可説転は10の37澗乗で、0が37澗個並びます。
グーゴルが10の100乗、澗が10の36乗なので、不可説不可説転のはるか上を行く単位になります。
しかもグーゴルプレックスの上が存在し、グーゴルプレックスプレックス(グーゴルデュプレックス)というものがあります。
これは「10の1グーゴルプレックス乗」の意味です。
1の後に0が1グーゴルプレックス個並びます。
グーゴルと言う単位はこれを繰り返すことでいくらでも大きな単位を作り出すことが可能です。
ここまで大きい数字の世界に入ると、もうイメージが追い付かなくなりますよね?
でも、この上を行く単位がまだあるのです。
ギネスブックにも載った「グラハム数」
出典: http://seiga.nicovideo.jp
やっぱり上には上がいるようです。
数学の世界は奥が深すぎます。
今まで紹介してきた単位は、まだ“桁数を把握できる”のでまだマシです。
次に紹介する数字は桁数の把握すらできません。
厳密には「単位」ではないのですが、グーゴルプレックスの比にならないくらい尋常じゃないので説明します。
グラハム数は、数学の証明で使われたことのある最大の数としてギネスブックにも載っています。(1980年)
画像に書いてある赤字のGがグラハム数のことです。
これだけだとほとんどの人はさっぱりわからないと思うので、簡単に説明してみます。
画像にたくさんの↑があると思いますが、これは「クヌースの矢印表記」における指数の表記です。
例えば「3↑3」は3の3乗で9。
「3↑↑3」は3の(3の3乗)乗で7625597484987(約7兆)になります。
「3↑↑↑3」は3の{3の(3の3乗)乗}乗になります。
実は「3↑↑↑3」の時点で実用的ではないとても巨大な数になります。
ですが画像の下には、もう1個↑を増やした「3↑↑↑↑3」が書いてありますよね?
実はグラハム数において「3↑↑↑↑3」という巨大な数字は、グラハム数を導出するのに必要な1要素でしかないのです。
「3↑↑↑↑3」という、桁数すらも良くわからない数の上に「3↑....↑3」がありますよね?
じつは、下から2番目の「3↑....↑3」は↑の数が「3↑↑↑↑3」個あります。
これを64層分計算して導かれた値がグラハム数になります。
全然イメージがつかめないかもしれませんが、この64層でやっていることは、ある層の↑の個数を下の層の数字で定義しているだけです。
ただ、最初っから桁数がよくわからないどでかい数字が来るので、このまま計算するのは得策ではありません。
数学に興味のない方は「こんな数字もあるんだな」程度の解釈で構いません。
グラハム数見たら階乗やグーゴルプレックスが可愛く見えてくるからダメ
— こるべん (@racemixture) August 4, 2017
最後に
出典: https://jp.sputniknews.com
いかがでしたか?
最後にグラハム数を紹介してしまったので、不可説不可説転やグーゴルプレックスがとても小さく見えてしまいますよね。
ましてや無量大数とは何だったのか・・・?
不可説不可説転は「漢字表記の単位の中で最も大きい単位」という認識で良いかと思います。
グーゴルプレックスについてはグーゴルプレックスプレックス(グーゴルデュプレックス)というように、どんどん上の数を定義していくことが可能ですので、事実上いくらでも大きな単位を作れます。
頭がパンクされているかと思いますが、日常でこんなに大きい数字を扱うことはまずないのでご安心ください。