『神妙な面持ち』の意味とは?使い方や例文も紹介!
神妙という言葉は古い文献に記載がある言葉で『神妙な面持ち』は難しい表情というだけではない背景も加味された言葉のようです。『神妙』『面持ち』の意味や由来、使い方例文や類語・英語での表現など、神妙な面持ちという言葉の意味について詳しくご紹介します。
目次
「神妙な面持ち」はどんな時になるの?
神妙な面持ちと言うと、何かしら騒動が起きている場面や負の感情にさらされている場面などが思い浮かびます。簡単に説明すると、真剣な表情+反省している表情+困惑している表情=神妙な面持ちという印象があります。
こちらから、神妙な面持ちの意味や由来や使い方例文、類語や英語での表現など、詳しくご紹介していきます。
「神妙な面持ち」の意味とは?
神妙な面持ちという言葉の意味を探るために『神妙』『面持ち』の2つの言葉の意味から探ってみます。言葉を深く理解するために、引用もそれぞれご参考にしてください。
「神妙」の意味
まず『神妙な面持ち』の『神妙』の意味についてご紹介します。
・物事や現象などが普通と違っていること
・行いなどが優れていて、褒めたくなるさま
・大人しくて人の言うことをよく聞くこと
神妙の意味は、普通と違って優れている様子や大人しい従順な様子を表しているようですね。神妙と言うと、誉めたくなるようなどちらかと言うとプラスのイメージのある言葉ということが分かりました。
「神妙な面持ち」の意味
次に『神妙な面持ちで~』で意味を調べてみた結果が下の引用です。
・おとなしく素直な表情のこと
・通常とは違う何事かを事情として抱えていそうな様子
『神妙な面持ち』という言葉になると、単語の『神妙』の意味の中でも『大人しい様子』を特に言い表すようです。また、『普段とは違う』とあるように、いつもにはない神妙な面持ちになる場面や状況にいるということがうかがえます。いつもは元気ではしゃいでいる人やクールに構えている人が神妙な面持ちになっていると、普段と違って困っていたり考え込んでいたり反省したりしている場面なのかもしれません。神妙な面持ちになってしまう状態というと、背景に何かが隠れていることがあるようですね。
「面持ち」と「表情」の違い
神妙な面持ちの『面持ち』は面という言葉が入っているので、面=顔=表情と結びつけて考えますが、わざわざ『面持ち』が使われていることに意味があるのでしょうか。『面持ち』と『表情』の意味の違いについては、下の引用もご参考にしてください。
■面持ちの意味
・人の顔によって伝えられる様子
・顔に表れる気持ち
■表情の意味
・身体的な見た目
・人の顔によって伝えられる様子
・顔に表れる気持ち
面持ちと表情の両方に類語としてそれぞれの単語も紹介されているので、意味はほぼ同じと考えて良いようです。ただ『表情』として表現すると『顔の作り』にクローズアップされ、『面持ち』になると心理も含めた様子を表している印象があります。受け取る印象として『神妙な面持ち』の方が心理的にもヘビーなイメージがあると言えます。面持ちを使うと文語的な印象もあるので、表情という言葉を面持ちの代わりに使っても問題はありません。
「神妙な面持ち」の由来とは?
『神妙な面持ち』に使われている『神妙』という言葉は、日本の古い文献にも使われている言葉です。その時代によって、意味が少し異なることもあります。こちらでは、古くから使われている神妙という言葉を由来の例文としてご紹介します。
■由来例文1:景時之思慮猶神妙之由、御感及再三云々
こちらは鎌倉時代にできた『吾妻鏡』という歴史書の一文です。意味は「(梶原)景時の配慮は神妙であると (頼朝は)感心されること再三だった」です。戦いの結果を知らせにきた3者の飛脚のうち、梶原景時の飛脚が持参した資料が急場にもかかわらずとても素晴らしいできだったという内容です。この由来文での神妙の意味は、『けなげ・感心・殊勝』となります。
■由来例文2:日来の契約をたがへず、まゐりたるこそ神妙なれ
こちらは『平家物語』の第2巻にあたる『烽火之沙汰』の一節です。意味は「日頃の契約を破ることなく参ったことは神妙だ」です。(真偽が分からない中でも)日頃からの約束事を守って招集に応じた家臣たちの様子を表した一文です。この由来例文での神妙の意味は由来例文1と同様に『けなげ・感心・殊勝』です。
■由来例文3:神妙(シンメウ)に学校へ帰った処が
こちらは19世紀の坪内逍遙著『当世書生気質』の一節です。「ヱム(かね)もないからだけれど。」という前文があり、前文をふまえて考えると「金もないから大人しく学校へ戻ったところ」という意味になります。この由来例文で神妙の意味は『大人しく・素直に』です。
由来例文3つの意味は、今でも使われている意味合いで使われている印象ですね。面持ちという言葉は芥川龍之介著作には出ていますので、少なくとも20世紀初頭には使われていた言葉と言えます。
「神妙な面持ち」の使い方を3つの例文で紹介!
例文1:お坊さんの唱えるお経を神妙な面持ちで聞いた
お盆や○回忌などお墓や仏壇でお経を唱えてもらっている場面での使い方ですね。亡くなった人を尊ぶ時間ですから、お経に耳を傾けて、静かに大人しくいつもより厳粛な気持ちが表情に出ているというイメージです。
例文2:社員Aが神妙な面持ちで上役に案件の相談をしている
何かしら手詰まりであったり自分では抱え切れない案件は上役へ報告・連絡・相談が一番です。親しい上司なら休憩中の話題から相談できますが、厳しい上司には粛々とお伺いを立てるような場面を迎えます。そんな深刻な案件などの相談をしている時の使い方です。
例文3:神妙な面持ちで彼女は真実を語りはじめた
刑事ドラマや小説の1シーンでよく見る使い方です。重い真実や今まで誰にも打ち明けられなかった事実を第三者に語るといったシーンでしょうか。語る人にとってはジャッジされる瞬間を迎えるわけです。とても真剣で悩ましい表情をしているでしょう。
「神妙な面持ち」はどんな時にする表情なのか?
例文にもありましたが『神妙な面持ち』は、真剣だったり深刻な考えごとやいつもと違う真面目な場面などでの使い方をされる言葉です。ポイントは、いつもと違うという場面や熟考しないといけない出来事に出くわした時やより深刻な時などでする表情です。
「神妙な面持ち」になる方法
周囲の人が神妙な面持ちになっている時は、自分もその悩みや出来事についてよく考えてみましょう。一緒になって考えていると、周囲の人と同じ神妙な面持ちになっているかもしれません。プロポーズを真面目にしようとすると神妙な面持ちになる人もいますし、どうしても言い出せないことをどうにか伝えようと相手の顔を見つめた時に神妙な面持ちになっている人もいるでしょう。
「神妙な面持ち」の類語4つ
こちらでは神妙な面持ちの類語を4つご紹介します。意味も簡単に説明しています。神妙な面持ちをより深く理解するために、類語をおさえておきましょう。
類語①神妙な顔
面持ち=表情ですから、それを『顔』で置き換えて使うこともできます。この表現だと口語での使い方もできますね。「あの人、神妙な顔してるね」の方が『面持ち』よりは聞き取りやすく理解しやすいイメージです。『神妙な顔』というと、表面的にだけ反省したり真剣に振る舞っているという解釈もあります。
類語②神妙な顔つき
『顔つき』になると『顔』よりも心情がプラスされた印象があります。神妙な顔つきの人は、何か深い悩みを抱えているイメージですね。『神妙な顔』より文学的な印象になります。
類語③神妙な表情
神妙な表情の人は考え事や悩み、またはこれから決行するぞという静かな闘志を燃やしているのかもしれません。心の中も含めて神妙になっているという印象も受けます。
類語④しおらしい顔つき
神妙の類語にしおらしいもあります。しおらしい顔つきというと、大人しく控えめな大和撫子的表情の人を連想します。または、とてもおっとりした人という印象もあります。
「神妙な面持ち」に似た言葉5つ
こちらでは神妙な面持ちと似た言葉をご紹介します。類語と違って少しニュアンスが違う使い方になることもありますが、神妙な面持ちという言葉を深く理解するための似た言葉5つを詳しく見ていきましょう。
意味深な
意味深の意味は『背景に深い事情が隠れているのがうかがえるさま』です。意味深な面持ちというと、表情だけじゃない他にも言いたいことや伝えたいことを隠している場面が浮かびます。神妙な面持ちにある真剣で素直な部分は減って、ミステリアスなイメージが上がる表現です。
遠慮がちな
遠慮がちの意味は『消極的な態度や姿勢のこと・自己主張しないこと』です。遠慮がちな面持ちというと、控えめで我がままを通したくないような表情という印象です。神妙な面持ちに意思が薄いというニュアンスがプラスされているイメージです。
謙虚な態度で
謙虚の意味は『柔和で尊大ではない』があります。謙虚な態度というと柔らかい物腰で相手を立てるような一歩後ろに下がっているような態度と言えます。神妙な面持ちとの違いは、表情だけじゃなく振る舞いなども控えめになっているというイメージです。
控えめな顔で
控えめな顔というと少し弱々しく表情に乏しい印象があります。あまり感情が顔に出ないタイプという印象もあります。また、顔の作り・見た目が控えめというイメージもあるので、感情も含めた表情にクローズアップしたいなら『顔』ではなく、表情や顔つきなどで代用した方が良い場合もあります。
物静かな
物静かは『凪いでいておしとやかで落ち着いた』という意味の言葉です。物静かな面持ちと言うと、何にも囚われない穏やかな表情を浮かべている人を連想します。神妙な面持ちとの違いは、案件や悩みなど無く心も凪いでいるイメージがあります。
「神妙な面持ち」の英語表現
類語や似た言葉で神妙な面持ちという言葉への理解が深まったところで、英語での表現をご紹介します。神妙を直訳すると"Godly"が出ますが『神』という言葉から『信心深い』がヒットしてしまうようです。神妙の意味にもある『普通と違っている現象・不思議な』では"spiritual"も使うことができますが、神妙な面持ちを英語で伝えるならどんな表現があるか見ていきましょう。
「厳粛な顔つき」の英語表現
■solemn expression(またはface)
英語"solemn"には厳粛・まじめなという意味があり、"expression"が表情("face"は顔)という意味があります。"solemn expression"には『もっともらしい顔』という意味があるので、真剣そうな表情とか神妙な顔といった意味での使い方ができそうですね。
「謙遜している」の英語表現
■humble
英語の"humble"は謙遜・控えめ・つまらない(へりくだって言う時に使う)という意味がある形容詞です。日本人気質を英語で説明する時にも使われる英語の1つです。
"a humble smile"は『つつましい笑顔』、"Don’t be humble"は『謙遜しないで』という意味での使い方があります。
「神妙な面持ち」は使う場面によって意味が異なる言葉
神妙には、神秘的で不思議なパワーという意味や、大人しい・控えめという意味など持つ言葉でした。『神妙』に『面持ち』という言葉が結びつくと、大人しく素直な表情だけじゃなく、裏に何か事情を秘めている様子も加味された言葉になりました。
その背景にある事情は、プロポーズ前で神妙な面持ちであったり、解決できない悩みで神妙な面持ちであったり、厳粛な雰囲気で神妙な面持ちであったりするので、少しずつ事情が違っています。神妙な面持ちに見えても、良いことが隠されているか悪いことが隠されているかはケースバイケースということですね。神妙な面持ちの知人友人がいたら話を聞いてみても良いかもしれません。