団地住まいは貧乏なの?貧乏くさいイメージはなぜ?治安が悪い理由も!
団地と聞くと貧乏くさいとか治安が悪いイメージがありますよね。でも、実際どうなんでしょうか?本当に貧乏なのか、そもそも団地って何なのか、イメージだけではわからない団地住まいのリアルを調べてみました。これから団地住まいを検討している方もぜひ参考にしてください。
目次
団地住まいの人のイメージって?
皆さんは、団地住まいにどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?
ボロボロの外観に、薄暗い蛍光灯の廊下、狭い部屋、貧乏そうな人たちと、なんとなく貧乏くさいイメージを持つ方がいらっしゃいますよね。確かに、周りには「貧乏だから団地に住んでいる」という人や、「団地には変な人が多い」という人もいます。また、ネットで検索すると「治安が悪い」「不正に安く入居している人がいる」といったような意見も見られます。
戦後日本の団地の歴史とは?
戦後、圧倒的な住宅不足に陥った日本を再生しようと、国はその後10年の間に住宅金融公庫法、公営住宅法、日本住宅公団法といった法案を次々と制定させました。
公営住宅、公団住宅、公社住宅といった共同住宅が次々と建設され、同じような棟が何棟も立ち並ぶいわゆる団地が乱立しました。戦後当時、家もなく貧乏に暮らす人々が多かった日本では、畳にちゃぶ台、寝るときはちゃぶ台をしまって居間で寝て、という平屋スタイルが一般的でしたが、団地では寝食を独立させたダイニングキッチン造り、さらに水洗設備の完備という最先端のスタイルが取り入れられたため、当時の人にとって団地住まいとは憧れの生活でした。
団地にはどんな人が住んでるの?
貧乏くさいイメージを持たれやすい団地に実際に住んでいる人や団地が実家の人は、どんな人が多いのでしょうか。ネットで噂になっている不正に住む人とは、本当にいるのでしょうか?不正とはどんなことかも調べてみました。
貧乏な人
団地の種類の中でも、都道府県などの地方自治体が運営する公営住宅は、収入が少なくて家を持つ・借りることが困難という貧乏な人に対して用意されている住宅です。ふつうに家を借りることができないほど収入が低い=貧乏なのは事実ですから、団地に貧乏な人が住んでいるイメージはあながち間違っていません。
お金を貯める目的で団地に住む人
公営住宅は基本的に礼金・仲介手数料・更新料が不要ですので、一般的なマンションやアパートを借りるよりも初期費用やランニングコストをぐっと抑えることができます。
貧乏な人、つまり一定以下の収入でないといけない、単身者はNGなどさまざまな制約はありますが、抽選に当たり申請が通ればお金を貯めるのには最適な住宅といえます。
不正に住んでいる人
たまに聞く「不正に団地に住んでいる人」という声。不正というのは、収入を偽って申請していることを指していることがほとんどだと思われます。
たとえば公営住宅では収入16万円以下などといった所得の制限がありますが、本当は妻と合わせると月16万円以上所得があるのに、妻は働いていないことにして不正に申請している人。入居当初は月収が少なかったけれど、年々昇給してお給料が上がっているにも関わらず、申告せず不正をしている人。そういう人たちがいるとどこかから噂が流れて、「不正に住んでズルをしている人がいる」と言われているようです。
団地住まいが貧乏くさい理由とは?
団地が貧乏の人のために建てられたといっても、当時はハイテク最先端の大人気物件でした。それが今はなぜか貧乏くさいと思われている。その理由はなんでしょうか。
建物の構造上の問題
団地は、間取りが少々狭い設計であったり、部屋の扉が昔ながらの引き戸で防音・温度管理の機能が低い傾向にあります。いわゆる団地間と呼ばれているのは、畳のサイズの中で最も小さなサイズのことで、団地はその団地間で設計されているのです。
隣の部屋の物音が聞こえたり、上階の足音が響いたりするのは実際に住んでいてよくあります。また、築年数が長い住宅が多いため、外観が劣化している建物も少なくありません。そのあたりも、団地=貧乏くさいと思われる原因の一つです。
「団地=貧乏」という先入観
戦後の復興時代はみんなが貧乏だったので、団地に住んでいてもある種「仕方ない」と思われていたかもしれません。しかし、復興が進むにつれて新しいマンションや一軒家に移り住む人々がいた一方で、いつまでも団地住まいの人々がいると、なんとなく「まだ貧乏、まだ団地住まい」というようなイメージが出来上がったのでしょう。
団地の敷地内で子供たちが遅くまで遊んでいるから
団地では夕方遅くになっても子ども達だけで遊んでいる様子をよく見かけます。それを見ると「子どもだけでこんな時間まで遊んでいるなんて。親はなにをしているのか」と思う人もいるでしょう。
実際、収入が少ない貧乏な家庭は共働き家庭が多く、同じ年齢層が集まりがちな団地内では同世代の子どもが多いことから、団地内で子どもを遊ばせておくのはよくあることです。「習い事をさせてあげたり、夜遅くまで放っておかないようにすればいいのに」という思いから、それができない=貧乏くさいイメージにつながるのかもしれませんね。
【種類別】貧乏くさいイメージの団地とは?
団地とひとくくりにしていますが、種類によって中身は異なってきます。公営住宅と言われる県営住宅・市営住宅と、旧公団住宅で現在はUR賃貸住宅(都市再生機構)とでは、いったい何が違うのでしょうか。実は、みなさんが思い描く貧乏くさい団地とは、ほとんどが公営住宅のものなのです。
県営住宅
県営住宅とは、都道府県が管理運営する団地のことをいいます。家賃は借主の収入に応じて決定され、その地域の相場よりも安いことが多いです。また、仲介手数料・更新料・礼金が不要で、とにかく貧乏な人、低所得者をサポートするための住宅です。ただし、多くは抽選方式ですので、入れるかどうかは運任せなところがあります。
市営住宅
市営住宅とは、市が管理運営する団地のことをいいます。上記の県営住宅と条件などはほぼ同じです。大きな違いとしては、県営住宅と比べて戸数が少ないこと、空きが出たタイミングで随時募集が行われること、貧乏とはいえ収入がない人は入居できないことです。
UR賃貸住宅
UR賃貸住宅の最大の特徴は、所得が一定以上ないと入居資格がないことです。公営住宅とは真逆です。また、礼金・仲介手数料・更新料が必要ないのは公営住宅と同じですが、保証人も無しでOK、家賃は一定金額が決められていて、収入に左右されません。
さらに、ファミリー層しか対象でない公営住宅に対し、URは単身者向けの物件も多く揃えられています。申し込み方法は先着順で、抽選式の公営住宅とこちらも異なります。
実家が団地だと貧乏決定なの?パターン別に解説!
たとえば実家が団地住まいの女性が、彼氏にそのことを告白できない、というようなお悩みを聞くことがあります。相手に貧乏くさいと思われたらショックですよね。実家が団地だとイコール貧乏なのでしょうか。
生まれも育ちも団地暮らし
実家が団地で、生まれも育ちも生粋の団地暮らし、と言われると、人によっては偏見を持つ人もいれば、「あ、そう」と何も思わない人もいます。確かに、団地によっては住んでいる人のガラが悪く、治安が良くないところもあります。それは完全に地域によって異なるので、一概に団地暮らしや貧乏そうだからといって、それだけでは判断できないところです。
被災して仮住まい
もともとは貧乏でなくても、特別な理由があって団地に住む人もいます。たとえば被災した人の仮住まいとして団地が提供されている場合もあります。ですので、一概に団地住まい=貧乏と決めつけるのは良くないですよね。
老後を無理なく生活したい
さらに、団地住まいからいつでも民間のマンションなどに移れるけれど、あえてそうしない人ももちろんいます。特に子どもが巣立った老後世代の人は、今からわざわざお金のかかる民間のマンションなどに移るよりも、今のまま金銭負担を抑えて生活することを好む人が多いでしょう。
団地住まいの人はみんな貧乏なのか?お金持ちもいるの?
一般的に貧乏な人が多く入居している団地ですが、すべての人が貧乏なわけではありません。公営住宅でも高齢者になると収入上限が引き上げられることもあり、団地に住みながらも高級外車を持っている住民もいたりします。
中には、住宅にかかる費用が抑えらている分、休日に旅行や趣味のためにお金をかける人も多くいます。何にお金を使い、人生においてどんなことを重要視するかは人それぞれ。住むところが団地だからといって、必ずしも貧乏で人生を楽しんでいないわけではありません。
団地の家賃相場はどのくらい?
それでは、実際の例を挙げて、団地の家賃相場を見てみましょう。
【県営住宅】3DKタイプ
一例として静岡県の県営住宅で見てみますと、とあるメゾネットの物件、3DKタイプのお部屋で、家賃は14,000~23,000円です。ちなみに単身者も入居可能だそうです。
一般的な団地は、住む人数によって収入上限が変わります。単身者ですと約296万円以下でないと入居資格がありません。また、一般的な4人家族では約447万円までが上限となっています。
【市営住宅】3DKタイプ
一例として兵庫県神戸市の市営住宅で見てみますと、とある5階建て物件の3DKタイプのお部屋で、家賃は28,500円~42,500円。こちらは2人以上入居者が必要な物件です。
給与所得の条件は、月収15万8千円以下であること。また、裁量世帯といって、たとえば60歳以上の高齢者や障がい者は収入上限が21万4千円に、中学生以下の子どもがいる世帯や若年世帯は25万9千円に引き上げられる制度があります。
【UR賃貸住宅】3DKタイプ
一例として福岡県福岡市の空き物件を参考にしてみましょう。12階建て物件の3DKタイプのお部屋で、家賃は70,000円となっています。こちらは単身者でも世帯でも入居できますが、世帯の場合は家賃金額の4倍の月収がないといけません。(単身者の場合は25万円以上です。)つまり、7かける4=28万円以上の月収が必要な物件です。
団地が治安が悪いと言われる理由とは?
団地に入居したいと考えたときに、不安なのはその場所の治安ですよね。団地は貧乏な人が多く、そのために治安が良くないと聞きますが、実際どうして治安が悪いと言われているのでしょうか。
育った環境の影響
団地で実際に多いトラブルのケースは、例えばゴミ出しのルールが守られていない、騒音トラブル、子どもが不良になる、などです。団地で育つ子どもは、そんな親世代のトラブルなどを当たり前の環境として育ちます。そうすると、そんな非常識な暮らしを非常識と思わない大人になってしまう、という悪循環ができてしまいますよね。
「お金がない=常識がない」というイメージ
所得と学歴はだいたいのところ比例するというのはよく知られていると思いますが、貧乏な人は大人になっても社会のルールや常識を軽視する人が多いのかもしれません。子どもを夜遅くまで放置してしまう共働きの親も、団地ではよく見られる、当たり前だという風潮があります。
ただ現実には、すべての団地が治安が悪いわけではありません。同じ地域に建つ団地でも、一つとなりに移るだけで雰囲気や治安はガラリと変わったりします。ですが、貧乏である=常識がないという世間のイメージで団地=治安が悪いと思われてしまっています。
建物が古く不気味
長く補修工事を行っていない団地は特にそうですが、建物自体が老朽化している場合、見た目の暗さ、雰囲気の悪さから、なんとなく治安が良くなさそうなイメージを持たれる場合もあります。夜、蛍光灯の灯かりが少ない、壁がボロボロ、廊下や階段に死角が多くて不気味、といった建物は、確かに治安が悪そうに見えますよね。
悪いイメージばかりじゃない!団地に住むメリット3つ!
ここまで団地の良くないイメージが多かったかもしれませんが、団地に住むというのはかなりのメリットがあります。特に、家賃を抑えたい、お金を貯めたい、外観より中身重視な人にはオススメです。
家賃を安く抑えられる
ともかく最大のメリットは家賃が安いことです。東京都心で平均家賃10万円以上もする土地でも、団地というだけで2~3万円で借りることができます。家賃はそこまで安くならないUR賃貸住宅でも、礼金や仲介手数料などの初期費用がかからないだけでも大分違いますよね。
古い団地は通風採光がいい
ちょっと意外に思うかもしれませんが、古い団地というのは広大な敷地の中に、建物をめいいっぱいゆとりを持たせて建てられているので、通風採光がバツグンなんです。一棟ごとに公園や緑地を挟んでいる団地が多く、間取りも風が抜けるように考えられて作られています。
利便性があり高環境である
団地は計画的に街を作るような感じで建てられたので、団地内には公園や緑があふれ、徒歩圏内にスーパーや病院、主要な駅があるのがほとんどです。小さな子どもがいる家庭が、そのまま歳をとって老後を迎えるころになっても住みやすい高環境が期待できます。
リノベーションしたキレイな団地もある!
見た目は普通の団地でも、一歩部屋に入ると部屋をぶち抜いた開放的なおしゃれなお部屋。しかも家賃は激安って、最高ですよね。一般的に公営団地は賃貸しかありませんが、中には昔の公団住宅のころに分譲として買い取った家主が、賃貸として貸し出しているケースがあります。そんな場合はDIYが無制限にオッケーなどといった条件で貸し出してくれる物件があったりしますので、穴場です。
団地住まいの人すべてが貧乏というわけではない!
実家が公団団地の筆者ですが、実は今まで団地=貧乏と思われていたことなど全く知りませんでした。周りにも割とそういう人が多く、地域によって団地の認識も本当にさまざまであると感じました。
世の中には実家などが団地=貧乏と考えている人も多くいることをきちんと認識したうえで、偏りのない心で接してくださったら嬉しいですね。団地住まいについて、みなさんの疑問解消につながりましたか?