2019年03月19日公開
2019年03月19日更新
ペンシルハウスとは?住み心地やおすすめの間取りなど徹底解説!
都市部でよく見かけるペンシルハウス。購入にかかる費用が抑えられるため近年需要が高まってきているようです。ペンシルハウスというと狭い家というイメージもありますが実際の住み心地はどうなのでしょうか?メリットやデメリット、おすすめの間取りなどについて徹底解説します。
目次
ペンシルハウスって?住み心地はいいの?
主に土地単価の高い都市部で見かけることの多いペンシルハウス。ペンシルハウスとはいわゆる狭小住宅のことで、明確な定義はありませんが15坪以下の狭い敷地に建てられた3階建ての家のことを一般的にそう呼びます。
駅チカなどの立地の良いところでも安く建てられるということから近年人気があるようですが、ペンシルハウスというと「住み心地の悪い狭い家」というイメージを持つ方も多く、実際の住み心地が気になるところですよね。ペンシルハウスの住み心地やメリット・デメリット、おすすめの間取りなどについて詳しくご紹介するので、マイホーム購入を検討している方は参考にしてみてください。
そもそも「ペンシルハウス」の意味とは?
ペンシルハウスが狭小住宅の呼び名の一つであることをご紹介しましたが、ペンシルハウスの由来は一体何から来ているのでしょうか?なんとなく想像がつきますよね。
「ペンシルハウス」の由来
ペンシルハウスの由来はその名の通り、えんぴつです。ペンシルハウスは狭い土地で居住空間を確保するために3階建て以上の細長い家となるので、えんぴつのように細長いということからそう呼ばれるようになりました。
最近では屋根がフラットなタイプのペンシルハウスが人気ですが、日照権の関係や室内を広く見せる工夫として尖った三角屋根になっているペンシルハウスも多く、正面から見るとその姿はまさにえんぴつのようです。
ペンシルハウスに住むメリット5選!
近年ペンシルハウスのような狭小住宅がこれほど注目を集めているのには一体どんな秘密があるのでしょうか。ペンシルハウスに住むメリットについてご紹介します。
①都会に住宅を購入できる
都会は土地単価が高く、広い土地に家を建てるとなると庶民には中々手が出せませんよね。都会は土地があまり余っていないというのもあります。ですが狭い土地に高さを活かして居住空間を確保するペンシルハウスなら、土地の購入にかかる費用や建築費用を抑えることができるので都会にマイホームを建てることも夢ではありません。
どうせなら交通の便が良く商業施設が豊富な都会にマイホームを建てたいと憧れる人も多いはず。手の届く価格で都会にマイホームを購入できるのは、狭小住宅であるペンシルハウス最大のメリットと言えるでしょう。
②土地が狭くても建てられる
ペンシルハウスは縦に居住空間を確保するので、狭い土地にも建てることが出来ます。駅チカなどの人が密集する人気エリアは土地が狭いことが多いですよね。また、都心に近ければ近いほど住宅開発によって余分な土地が余らないように整理されているので、そもそも広い土地がない地域もあるようです。多少狭くても、便利な場所にマイホームを持ちたいという人にオススメです。
③手頃な価格でマイホームが買える
立地の良さを重視してマンションを購入する人も多いですが、間取りやデザインが自由に決められる注文住宅はやはり魅力的。狭い土地にも建てることのできるペンシルハウスなら、一般的なサイズの家と比べて土地購入にかかる費用や建築費用が少なく、条件さえ合えば都心のマンションより安くマイホームを手に入れることができます。
また、ペンシルハウスのような狭小住宅が建つ土地は、ただ単に狭いだけでなく変形地であることも珍しくありません。変形地を選べば更にマイホーム購入にかかる費用を抑えることができるでしょう。さらに、駅チカや都心の場合は狭い土地と言えども需要が高く、その資産価値も高いため、建物と比べて資産価値の落ちにくい土地を将来的に資産として遺すことができるのもメリットと言えます。
④各フロアで雰囲気を変えられる
ペンシルハウスのような狭小住宅では壁をあまり作らずに開放感を演出する設計がなされることが多く、各フロアで雰囲気を変えるなど、狭い空間を活かしたデザイン性の高いマイホームづくりが出来るのもメリットの一つです。
各フロアで雰囲気を変える他にも、段差をつけることでワンルームの空間を区切る「スキップフロア」や、各フロアをつなぐ中二階を取り入れてもフロアや家全体の雰囲気がガラッと変わって良いですね。広く見えるよう様々な工夫を取り入れて、他の家にはない面白さを味わえるのはペンシルハウスならではです。
⑤コンパクトに暮らせる
全体の面積が狭く、1フロアの部屋数が少ないのが特徴のペンシルハウスなら、毎日のお掃除に手間がかかりません。はたき掃除や掃除機掛けなどの簡単な掃除なら、家全体を掃除しても10分程度で済みます。収納スペースが限られるためあまり多くのものを置けませんが、かえって持ち物の管理が楽になったという人もいるようです。
また、手を伸ばせば必要なものに手が届くなどの、狭小住宅ならではの暮らしのメリットもあります。特にキッチンは冷蔵庫→シンク→作業台→コンロまで一歩も動かずに作業できるなど、狭いからこその使い勝手の良さがあります。
ペンシルハウスに住むデメリット6選!
意外にもメリットの多いペンシルハウスですが、もちろん気をつけるべきデメリットもいくつかあります。知らずに購入して後悔しないように、ペンシルハウスを検討している人は要チェックです。
①部屋が狭い
ペンシルハウスにおいてまず挙げられるデメリットが部屋が狭いということです。1フロアに一部屋、もしくは二部屋程度の間取りがほとんどですから、一般的なサイズの家に住み慣れている人や広いリビングに憧れている人には物足りないかもしれません。階段の広さによっては大型家具の搬入が難しいことも。
また、ペンシルハウスの場合は1階をガレージにする以外に駐車スペースを作れない、広い庭を持てないといったデメリットもあります。
②動線が長い
1フロアに部屋をまとめることができないペンシルハウスでは、上下階の行き来が多くなるため動線が長くなってしまいがちです。毎日頻繁に階段を上り下りしなければならないという点では、老後も気になりますよね。動線が長くなることで出てくる問題として、以下のデメリットが挙げられます。
・重い荷物や食料品を運び上げるのが大変
・各フロアを回ってゴミを集めるのが大変
・冬のお風呂上りはリビングもしくは寝室に行くまでに湯冷めしてしまう
・洗う→干す→しまうなど、洗濯一つでも各フロアを行き来しなくてはならない
これはペンシルハウスに良く見られる、1階に浴室などの水回りとガレージ又は小部屋、2階にリビングダイニング、3階に家族の個室という間取りにした場合のデメリットです。洗濯機などの家電置き場や間取りの工夫次第で解消できるものもありますが、住み心地が悪いと感じる部分はどうしても残るかもしれません。
③日当たりが良くない
同じようなペンシルハウスが所狭しと立ち並んでいる光景を見かけたことはありませんか?ペンシルハウスは狭い土地に建てられるため、隣の家との距離が近いことが多いです。そのため隣の家に日光が遮られて日当たりが悪くなりがちで、ひどい場合は昼間でも電気が必要なことがあります。
ペンシルハウスのような狭小住宅で採光を確保するためには、日中過ごすことの多いリビングを2階以上のフロアに配置したり、吹き抜けを活用したりすると良いでしょう。
④隣の家と近い
前述したように、ペンシルハウスは家と家が隣接するように建てられることも珍しくありません。そのため窓の位置に気をつけないとお互いの家の中の様子が丸見えになってしまうことも。他にも、人の出入りがすぐに分かってしまう、生活音が気になってしまうなど、プライバシーの面でのデメリットが多いです。
⑤家の修繕が大変
ペンシルハウスの場合、敷地が狭いために通常の工事より費用がかかったり工期が長かったりと、修繕工事が大変になるというデメリットもあります。具体的には以下のような問題点が挙げられます。
・修繕工事のための足場を組むのが困難
・工事車両の駐車スペースが確保できない
・大型トラックでの搬入が困難
・隣の家との距離が近いため騒音で迷惑をかけてしまう
家は建てて終わりではなく、必ずメンテナンスをしなければいけません。ペンシルハウスのような狭小住宅は、建築費は安く済んでも維持費にお金がかかる可能性があることを覚えておきましょう
⑥老後に使いにくい
3階建てで階段の上り下りが多いペンシルハウスでは足腰の負担が大きく、老後も住み続けることを考えるとかなり不便です。若いうちは平気でも年を取ってから後悔することも少なくないので、ペンシルハウスを建てる場合は老後も見据えた家づくりが大切になってきます。
一方で、普段から階段を上り下りした方が足腰が鍛えられて老後の健康に良いという考え方もあるので、階段が多いからと言ってデメリットだとは一概には言えないのかもしれません。
ペンシルハウスの間取りの特徴5選!
ペンシルハウスのような狭小住宅の場合、住み心地の良い便利な家にするためにはどのような間取りにするのがベストなのか悩まされますよね。ペンシルハウスに多く見られる一般的な間取りの特徴をご紹介しますので参考にしてみて下さい。
①リビングは2階にする
日当たりが悪くなりがちなペンシルハウスでは、採光を取るためにリビングを2階に配置するのが一般的です。なぜ最も日当たりの良い3階ではなく2階なのかというと、後ほど詳しくご紹介しますが3階には寝室を設けることが多いためです。また、1階に浴室や洗面室、2階にキッチンという配置にして水回りをまとめれば水道の配管類を一か所に集中させることができるため、工事費用を抑えることができます。
②1階に浴室を設ける
家同士が隣接し合うペンシルハウスの場合、1階が最も日当たりの悪いフロアとなります。そのため、採光の確保が重要なリビングや家族の個室と比べて優先順位の低い浴室を1階に設けることが多いです。ただし、1階に浴室を設けると日当たりが悪いことで結露やカビが発生しやすくなるので、乾燥機を設置するなどの工夫が必要です。
③寝室は3階がおすすめ
老後を見据えて1階に寝室を設けている間取りもペンシルハウスではよく見かけますが、プライベートを確保する意味では3階を寝室にするのがおすすめです。1階を寝室にしてしまうと、来客時に気になりますが、3階が寝室ならプライベートを保つことができます。
地上から離れている分道路からの騒音も抑えられるので睡眠環境にも良いですね。防犯の面からみても3階が寝室だと安心です。
④トイレは二か所以上設ける
水回りをまとめた方が効率が良いので、1階に浴室やトイレを設ける間取りが多いかと思います。しかしそうすると寝室が3階にある場合に夜中のトイレが不便になってしまいますよね。空間に限りのあるペンシルハウスでは、少しでも空間を有効利用しようとトイレは一つあれば十分と考える人もいるかもしれませんが、トイレは一帖あれば作れるので家全体で二か所以上設けた方が便利ですよ。
⑤畳の部屋を設ける
来客時の宿泊スペースにもなる和室。部屋数が限られていることからペンシルハウスでは和室を設けないことも多いですが、あるとやはり便利なので可能なら和室も一部屋作っておくことをおすすめします。
和室を設けるのが難しい場合はリビングの一画に畳コーナーを設けるのも良いでしょう。子どもが小さいうちは寝たり遊んだりするスペースにもなりますし、アイロンがけや洗濯物をたたむなどのちょっとした家事をするのにも使い勝手が良いですよ。
ペンシルハウスを購入して後悔しないためのポイント3選!
マイホームの購入は一生に一度とも言える大きな買い物ですから、なるべく後悔はしたくありませんよね。しかし一般的な家の購入においても後悔する点は多々あるもので、ペンシルハウスの購入の際は特に気をつけないとひどく後悔することもあるかもしれません。ここではペンシルハウスで後悔しないためのポイントをご紹介します。
①住み始めて後悔する人も多い
狭小住宅だと分かった上で購入しても、実際に住み始めてみると想像以上の狭さに住み心地の悪さを感じて後悔する人も多々います。特に、予算の都合で止む無くペンシルハウスを購入した人は後悔することが多いようですので、後悔の無いようにするには本当にペンシルハウスで良いのかを慎重に検討することが大切です。
少し立地は悪いけど広くて住み心地の良い家や、憧れの戸建マイホームではないけど立地の良いマンションなど、ペンシルハウスと同じ予算で購入できる家の選択肢はたくさんありますよ。
②デメリットな点をしっかり検討する
ペンシルハウスのような3階建ての狭小住宅においては気をつけるべきデメリットがいくつかありますが、特に想定しておきたいのが「動線の長さ」です。毎日の生活の負担ももちろんですが、一生住み続ける事を考えるとやはり老後の不安というのも出てくるでしょう。
ペンシルハウスで後悔しないためにはデメリットをしっかりと理解し、家族構成やライフスタイル、老後の計画まで含めて検討したうえで決断することが重要です。
③老後のこともしっかり考えよう
マイホームは大きな買い物ですから、一度購入したら一生住み続けるという人も多いかと思います。だからこそ、ペンシルハウスを購入する際は老後のことまでしっかり考えておく必要があります。
若いうちは1階から3階までの行き来に問題が無くても、老後に負担が大きくなるのは容易に想像できますよね。特に3階部分は滅多に行くことが無く、フロアが丸ごと物置と化してしまうことも考えられます。
このような老後の不安を解消するためには、ホームエレベーターの導入や将来的なリフォームを見越した家づくりをすると良いでしょう。また、老後はマンションに移り住むというのも一つの手ですね。
ペンシルハウスは住み心地をしっかり理解して購入しよう!
ネガティブなイメージの強いペンシルハウスですから、意外にもメリットが多いことに驚いた人もいるのではないでしょうか。特に、手の届く価格で都会にマイホームを持てるというのは魅力的ですよね。
しかし、もちろんイメージの通りデメリットもいくつかあり、住み始めてから後悔したという声も少なくありません。ペンシルハウスで満足のいく住み心地を手に入れるためには、デメリットや家族のライフスタイル、老後の計画までしっかりと検討することが重要です。