『アンタッチャブル』の意味や使い方を分かりやすく解説!

外来語の中には英語から日本語に訳されずにそのままカタカナ語として浸透している言葉が多くあります。「アンタッチャブル」もそんな言葉の一つです。ここでは「アンタッチャブル」という言葉の本来の意味や、意外な意味、語源、類義語、対義語などをご紹介します。

『アンタッチャブル』の意味や使い方を分かりやすく解説!のイメージ

目次

  1. 1知ってるようで知らない『アンタッチャブル』の意味とは?
  2. 2『アンタッチャブル』の語源とは?
  3. 3『アンタッチャブル』の使い方
  4. 4『アンタッチャブル』の類義語を紹介!
  5. 5『アンタッチャブル』の対義語を紹介!
  6. 6カードゲームでの『アンタッチャブル』の意味とは?
  7. 7【おまけ①】映画『アンタッチャブル』の紹介
  8. 8【おまけ②】お笑いコンビ『アンタッチャブル』の紹介
  9. 9正しい意味を理解して『アンタッチャブル』という言葉を使おう!

知ってるようで知らない『アンタッチャブル』の意味とは?

意味①「触れることができないもの」

アンタッチャブルの基本的な意味は「触れることができないもの」です。ここで言う「触れることができない」とは、物理的に接触できないという意味だけではなく、攻撃や批判ができない、関わることができない、といった意味も含まれます。「誰も対抗できないほど強力な無敵の存在」という意味にもなります。例えば、元WBC世界スーパーフライ級王者の川島郭志はその卓越した防御技術から通称「アンタッチャブル」と呼ばれていました。他にも、神聖不可侵なものを指すときなどにアンタッチャブルは使用できます。

意味②「アメリカの連邦捜査局員(FBI)」

アンタッチャブルには「アメリカの連邦捜査局員(FBI)」を指す意味もあります。禁酒法時代のアメリカでギャングを逮捕するFBIの捜査官が決して賄賂を受け取らなかったという事実が由来です。どんなことをしても「買収できない」つまり「(あいつらには)触れられない」という意味でギャングがFBI捜査官のことをこう呼んだと言われています。

FBIと言えば「羊たちの沈黙」や「Xファイル」など海外の映画やドラマでおなじみですが、実際のFBI捜査官は厳しい試験と研修を突破してきたエリートです。FBI捜査官のことをアンタッチャブルと呼ぶことは、高い倫理観を持ち、どんな妨害にも屈することなく操作をやり遂げる彼らに対する一種の尊敬の念が込められているというわけです。なお、FBI捜査官でけではなく、賄賂や裏金を送ることで便宜を図ってもらうことのできない相手に対して一般的に使用することもあります。

意味③「不可触民」

アンタッチャブルは「不可触民」のことを指す意味もあります。「不可触民」はあまり馴染みのない言葉ですが「不可触賤民」とも言い、インドのカースト制度において、身分階級の最下層のさらに下の地位であるとされた人達のことです。カースト制度にはヴァルナと呼ばれる身分制度があり、上位からバラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラと4つの階層に分かれています。アンタッチャブルは一番下のシュードラよりもさらに下の身分の人たちです。また、ヴァルナに属さない人たちを指すこともあります。

この4つの身分階級にはそれぞれ特有の社会的役割や従事できる職業がありますが、最下層にすら属していない人たちは汚物の処理など不浄な仕事に従事していました。このことから「汚くて触れられない」という意味でアンタッチャブルと呼ばれたといいます。「アンタッチャブル」以外に「アチュート」や「アウトカースト」なども類義語です。1950年に制定されたインド憲法において、カースト制度に基づく差別の禁止を宣言していますが、カースト制度はインド社会に根強く残っており、現在も約1億人の人々が不可触民としてインド国内で暮らしています。

『アンタッチャブル』の語源とは?

英語が得意な人であればアンタッチャブルの語源はご存知かもしれません。日本でカタカナ語として使用されているアンタッチャブルは英語で“untouchable”と書きます。否定(~できない)の意味を持つ“un”と、「触れる、接触する」という意味の“touch”と、「~できる」という意味の“able”を繋げた単語で、直訳すると「触れることができない」になります。語源としては分かりやすいので、アンタッチャブルという言葉を普段聞いたことがなくても英語の表記を見ればなんとなく意味はわかるかもしれません。

この語源である英語のuntouchableは、形容詞と名詞の両方の意味を持ちます。形容詞としての意味には「手を触れられない」のほかに、「禁制の」、「けがらわしい」、「疑う余地のない」などがあります。名詞としては「社会ののけ者」「非難の余地のない人」などの意味で使用されます。また、カタカナ語のアンタッチャブルとともに、語源であるuntouchableにも様々な類義語や対義語があります。

『アンタッチャブル』の使い方

アンタッチャブルは「触れることができないもの」に対して幅広く使用することができます。「アンタッチャブルな人」、「アンタッチャブルな話題」、「アンタッチャブルレコード」などです。語源である英語のuntouchableについても同様で、英語の新聞や記事をよく読む人であれば“untouchable issue”(触れてはならない問題)、“untouchable resources”(得ることができない資源)などいろいろな使われ方を目にしたことがあるかもしれません。

これらは「触れられない」という意味は共通していますが、その触れられない理由によって良い意味の使い方もあれば悪い意味の使い方もあります。他にも店の名前やドラマのサブタイトル、プロレスのチームの名前など、アンタッチャブルは様々なところで使用されています。

良い意味での使い方

先ほどのアメリカの連邦捜査局員(FBI)を指す言葉としてのアンタッチャブルは、FBI捜査官に対する尊敬の念が込められているので、良い意味の使い方と言えます。同様に、例えば強すぎて触れることもできないボクサーを表す時などもそのボクサーに対する尊敬が含まれているので、良い意味と言えます。

悪い意味での使い方

大っぴらに話題にするのを憚られることや、持ち出すと世間的・社会的に何らかの不都合が生じる可能性があることを指す時もアンタッチャブルを使用できます。例えば、「今回の事件の本質はアンタッチャブルなあの地域特有の問題にある」というような使い方です。この場合はどちらかというと、解決しなければならないけど誰も手が付けられない問題という意味なので、悪い意味での使用例と言えるでしょう。

また、「アンタッチャブルな記録」と言う場合、「誰も越えられない記録」という意味になりますが、ルールに則って実力で手にした偉大な記録を指すと同時に、ドーピングなど不正な手段を用いて出した記録に対しても使用することがあります。

『アンタッチャブル』の類義語を紹介!

アンタッチャブルという言葉は、その意味によって様々な類義語を持ちます。例えば「触れてはならない領域」という意味では、「聖域」、「禁断の領域」、「神聖不可侵の領域」などが類義語になります。「強すぎて触れられない、攻撃できない」という意味では、「手も足も出ない」や「雲の上の存在」などが類義語です。

「不可触民」の意味の場合は、「アチュート」や「アウトカースト」以外にも、「パリヤー」、「ハリジャン」、「チャンダーラ」などと言う場合もあります。英語のuntouchableであれば、例えば「攻撃するのが不可能な」という意味で用いる場合、類義語として“unassailable”が使用できます。

『アンタッチャブル』の対義語を紹介!

アンタッチャブルには対義語もあります。語源である英語のuntouchableで考えると、このuntouchableから否定の意味を持つ“un”を除いた「タッチャブル」“touchable”となります。意味としては「触れることができる」となります。アンタッチャブルとは異なり、タッチャブルという言葉を対義語としてそのままカタカナ語で使用することはあまりありません。「強すぎて触れられない」という意味で使用するアンタッチャブルであれば「手が届く範囲内の」や「到達可能な」などを対義語として使用するほうが多いでしょう。

なお、英語のuntouchableの対義語であるtouchableは使用される場面も多いです。例えば“touchable screen”は「タッチ操作可能な画面」のことを指します。他にも「感動させることができる」という意味もあります。ちなみに、不可触民を指すアンタッチャブルの対義語は可触民を意味する「スプリシュヤ」です。

カードゲームでの『アンタッチャブル』の意味とは?

アンタッチャブルはゲームでも使用されています。例えば「最もよく遊ばれているトレーディングカードゲーム」としてギネス世界記録に認定されている有名な「マジック:ザ・ギャザリング」でもアンタッチャブルは使用されています。トレーディングカードゲームとは、プレイヤーが収集したカードで作られた山札(デッキ)を使って行われるカード型対戦ゲームのことで、「マジック:ザ・ギャザリング」がその元祖と言われています。

このゲームでは大きく分けて土地 (Land) カードと呪文 (Spell)の2種類のカードを使用しますが、アンタッチャブルはカードやプレイヤーが「対戦相手の呪文や能力の対象にならない」ことを指す言葉として使用されています。

【おまけ①】映画『アンタッチャブル』の紹介

「アンタッチャブル」と聞くと映画を思い浮かべる人もいると思います。1987年に公開されたアメリカ映画で、パラマウント映画75周年記念作品として制作されました。禁酒法時代のアメリカ・シカゴを舞台に、酒の密売を繰り返すアル・カポネ率いるギャング集団と、アル・カポネの逮捕を目指すエリオット・ネスを中心としたアメリカ合衆国財務省捜査官達の戦いを描いた映画です。

この映画には、ケビン・コスナーやロバート・デ・ニーロをはじめ、アンディ・ガルシアやショーン・コネリーなど、現在のハリウッドを代表する大スターが出演しました。「アンタッチャブル」はケビン・コスナーやアンディ・ガルシアの出世作となり、ショーン・コネリーはこの映画で第60回アカデミー賞助演男優賞と第45回ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しています。

【おまけ②】お笑いコンビ『アンタッチャブル』の紹介

お笑いコンビの「アンタッチャブル」も有名です。山崎弘也と柴田英嗣の二人組で、NHK総合テレビで放送されていたお笑い番組「爆笑オンエアバトル」のチャンピオン大会や漫才ナンバー1を決定する「M1グランプリ」で優勝するなど輝かしい受賞歴を持つ知名度の高いコンビです。

かつては数々のバラエティー番組に出演していましたが、2010年に柴田が体調不良を原因として芸能活動を休止したことをきっかけに、コンビとしての活動も休止状態になります。その間、相方の山崎はそのずば抜けて明るく、ハイテンションなキャラクターが人気を博し、「ザキヤマ」の愛称とともにブレイクしました。現在は柴田も復帰していますが、コンビとしての活動は休止状態のままです。

正しい意味を理解して『アンタッチャブル』という言葉を使おう!

いかがでしたでしょうか。アンタッチャブルは馴染みのある言葉ですが、ここに挙げた例以外にも様々な場面で使用されています。これまでなんとなく理解していた言葉も正しい意味を理解すれば、使用できる場面が増えると思います。会話や文章を書くときに使ってみてはいかがでしょうか。

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この記事のライター
実紀貴祐規

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