2021年09月24日公開
2021年09月24日更新
近江龍一らがR18小説を「有害」と断定したワケ【立命館大論文】
人工知能学会全国大会で発表された立命館の近江龍一氏の論文がインターネット上で猛烈な批判を浴びている騒動について。 なぜ立命館の論文が炎上しているのか。 著者の近江龍一氏らがR18小説を「有害」と断定したワケを紹介します。
目次
- 1立命館 近江龍一氏、西原陽子氏、山西良典氏の論文とは?
- 2立命館 近江龍一氏らの論文に使用された題材とは
- 3立命館論文の著者3人。近江龍一氏、西原陽子氏、山西良典氏とは?
- 4立命館 近江龍一氏の論文が何故炎上したか?
- 5立命館 近江龍一氏の論文は著作権違法なのか?
- 6pixivユーザーからはR18の小説は公開(公表)したものでは無いと反論の声も
- 7立命館では近江龍一氏の論文が炎上するかもしれないと誰も気づかなかったのか?
- 8情報理工学部でありながら、インターネット社会に適合出来ていないのでは?
- 9立命館 近江龍一氏論文炎上の幕引きとして、懸念されること。
- 10立命館 近江龍一氏の論文炎上に対してpixivユーザーへの呼びかけ。
- 11まとめ
立命館 近江龍一氏、西原陽子氏、山西良典氏の論文とは?
「ドメインにより意味が変化する単語に注目した猥褻な表現のフィルタリング」と題した論文が、立命館大学に所属する3人の研究者、
近江龍一氏、西原陽子氏、山西良典氏により5月に開催された人工知能学会全国大会で発表されました。
有害な情報を未成年に見せないように、年齢制限などフィルタリングされています。直接的な表現ならばそれをフィルタリングすれば済み
ますが、間接的(暗喩を用いて表現されている)な表現の場合判定が非常に困難であります。
「本研究では、ドメインや文脈により単語の意味が変化することに着目し、有害な表現を含む情報をフィルタリングする手法を新しく提案
する」
と言うもので、人工知能学会に提出する論文の分析結果を考慮するにあたり材料としてpixivのR18小説が使用されました。
立命館 近江龍一氏らの論文に使用された題材とは
立命館 近江龍一氏らの論文の研究対象とされたのは、性表現が多く含まれ、作者が「R18」にカテゴリーしていた小説で、その多くは「二次創作」
です。pixivでは閲覧制限の設定があり、「18歳以上?」「イエス」の人しか見れない設定です。
しかしながら、これはあくまでもユーザー側の任意の設定なので、会員になれば誰でも閲覧できると言えるのも全く無ではありません。
立命館論文の著者3人。近江龍一氏、西原陽子氏、山西良典氏とは?
近江龍一氏(立命館大学大学院情報理工学研究科)
西原陽子氏(立命館大学情報理工学部准教授)
山西良典氏(立命館大学情報理工学部メディア情報学科助教)
専門家であるはずなのに、なぜ炎上を予見できなかったのか?
本当に残念ですよね。
立命館 近江龍一氏の論文が何故炎上したか?
一つ目は、「インターネット上には未成年に対して有害な情報が溢れてる」から論文が始まり、「有害」「猥褻」
の言葉が繰り返し用いられていること。
二つ目は、「有害」「猥褻」についての定義がされていない。
三つ文目は、pixivに投稿された一般ユーザーの小説10作を分析する材料として扱ったこと。
四つ目は、pixiv投稿された一般ユーザーの文中で個別作品のURLや作者名も明示されていること。
(これはpixivが規約に抵触する行為との指摘があり、よってpixivがTwitterの公式アカウントにて
論文の発表元である立命館大学に対し、経緯と事実関係の確認および対象ユーザーとの問題解決
を要請していることを発表している。)
これらにより人工知能学会サイトで公開されていた論文が突如公開停止され「例外的に発表原稿を非公開としまし
た。」と記載されています。
立命館 近江龍一氏の論文は著作権違法なのか?
ユーザー側から批判された多くは、立命館の近江龍一氏の人工知能論文にpixivのR18の小説が「無断転載」または
「引用」されているというものです。
近江龍一氏の論文上ではR18の小説は引用はされてますが無断転載はされてません。
また引用は無断で行っても良いことになってます。
よって著作権法上まったく問題はありません。
法律上では近江龍一氏、西原陽子准教授、山西良典助教の論文は問題は無いと言うことです。
著作権48条においても十分にクリアしています。
転載と引用の違い
転載とは自身の著作物の「従たる範囲を超え」て、他人の著作物を複製・掲載すること。
引用とは自身で書く論文の中で、自説を補強し、または自説と対比させる目的で、他人の論文の一部を使用すること。
pixivユーザーからはR18の小説は公開(公表)したものでは無いと反論の声も
pixivユーザーからは投稿小説は公開したものでは無いとの声が上がってます。それはpixivは会員登録制だからです。
R18小説は18歳未満には見られないと設定されているからです。
しかしそれらの小説はユーザー登録し、または登録を変更さえすれば誰にでも見ることのできる状態であったことになるのではないのでしょうか?
この状態で公開ではないと言うのは少々無理がありますよね。
立命館では近江龍一氏の論文が炎上するかもしれないと誰も気づかなかったのか?
一般人からすれば、近江龍一氏の論文に対して、人工知能学会で発表する前に問題視されるかも?とどうして気づかなかったのかが疑問に思えます。
周りの人たちや、まして情報理工学部の准教授である西原陽子氏、情報理工学部の助教である山西良典氏が常にチェックしているはずですよね。
法的に引っかからなければ良し。と言う問題ではないのではないでしょうか。
pixivのR18小説を「有害」と言う言葉を使用することは、取り方によれば否定に聞こえてしまいます。
相手に対する配慮が欠けている。そのことがここまで大きな問題に発展してしまったように思えます。
山西良典先生の研究は
「人のココロをどのように理解し、どのように表現するのか」
ではないんですか?
情報理工学部でありながら、インターネット社会に適合出来ていないのでは?
情報理工学部であり、西原陽子准教授や山西良典助教の指導の下で作成されたはずなのに、インターネット社会に適合出来ていないのでは?との声も聞こえてきました。
最近、人工知能ブームのなか、人工知能の研究に携わっている人以外にも関心を集めています。
よって多くの人の目に触れる可能性が高くなってます。
またSNSの普及により、あらゆる分野の論文の資料となる題材が充実しています。
そのために著作権法、プライバシー等の問題に非常に繊細に扱う必要は誰しもが認識しているはずです。
立命館 近江龍一氏論文炎上の幕引きとして、懸念されること。
炎上の幕引きとして、立命館大学側や人工知能学会が、議論もなく全面謝罪して終止符を打つことです。
それは将来のSNSの研究ハードルが非常に高いものとなる可能性があり、研究の自由の可能性を狭めることに繋がります。
立命館 近江龍一氏の論文炎上に対してpixivユーザーへの呼びかけ。
今回研究対象となった投稿作品のほとんどが「二次創作」と呼ばれるものだそうです。それらのほとんどが原作者
の許諾を得ずに創っているものです。
二次創作はオタク文化の根幹をなす表現活動ですが、著作憲法的にはグレーの状況にあります。
趣味の範囲を超えた場合にはリスクが生じる可能性があり無視できません。
pixivユーザーが二次創作物の権利を主張し、相手の研究利用を強く批判するとした場合、著作憲法に厳格に適用
すれば、研究者側には問題がなく、
pixivユーザー側に問題が生じてしまいます。
目の前の権利を主張することが、最終的に自らの権利や立場を大きく損ねることになりかねないのでは?
この立命館の論文の件に対して、今一度冷静に考える必要があるのではないのでしょうか。
まとめ
5月に開催された、人工知能学会全国大会で発表された立命館大学大学院情報理工学研究科の近江龍一氏、立命館大学情報理工学部の西原陽子准教授、
立命館大学情報理工学部メディア情報学科の山西良典助教の3名によって著された論文がインターネット上で大炎上しました。
炎上の理由は、pixiv上のR18小説に「有害」「猥褻」のレッテル貼りを行ったとして、猛烈に批判を浴びてしまいました。
「インターネット上には未成年に対して有害な情報が溢れている。有害な情報とは法に触れるものや、差別に関するもの、アダルトに関するもの、出会い系
、グロテスクな表現と様々なものがある。例えば・・・・・・pixivがある。これらのサイトには有害な情報が掲載されることも少なくない。」
これは論文の最初に書かれてある文です。
では立命館の近江龍一氏はpixiv上のR18小説をただ単に「有害だ!」と言ったのではなく、未成年にとって有害な情報が少なくないと言っているそのことは
それは事実であると誰しもが納得しうることだと思います。
ある意味R18と言うフィルタリングをしてはいるものの、pixivユーザーが「18歳以上ですか?」「イエス」と答えれば、会員登録さえしていれば
誰にでも閲覧できるのも事実です。
一方でpixiv上のR18小説の人気のある10作を選んだのは、この論文のデーターを分析するのに間接的な表現が非常に豊かで、その表現力がとても
素晴らしかったからではないでしょうか?
pixivで発表した人たちが閲覧コントロールの中だけでの公表にしてると言うことは、多くの人の目に触れることを望んでいなかったのも事実です。
まさしく配慮に欠けた故の炎上だと思われます。
立命館大学や人工知能学会がこのまま風化を待つのではなく、この論文の件に関して何らかの意見を公表されることを望みます。