2021年09月24日公開
2021年09月24日更新
ナマケグマって知ってる?ナマケモノに似ているかわいい熊の生態
みなさんはナマケグマを知っていますか?ナマケモノにそっくりな容姿から発見後しばらくナマケモノの仲間だと勘違いされたナマケグマとは一体どんな生態をしているのでしょうか?今回はナマケグマの生態や意外な凶暴性などについてご紹介していきたいと思います!
目次
ナマケモノそっくり?ナマケグマの生態とは
出典: https://ja.wikipedia.org
皆さんはナマケグマという生き物をご存知ですか?外見がナマケモノそっくりで、発見されてからしばらくの間ナマケモノだと勘違いされていたナマケグマ。では、実際のナマケグマの生態は一体どのようなものなのでしょうか?今回は、ナマケグマの生態や、インドで野生からペット化した事例、またかわいい外見に潜む凶暴性や日本での飼育などについてご紹介したいと思います!
ナマケモノそっくりのナマケグマとは
出典: http://biggame.iza-yoi.net
ナマケグマは体長が140~190cmで、体重は大きいオスの個体でも145kg、他の種類のクマの体長が2m程度、体重も400㎏であることを考えると、クマの中では比較小柄な種類です。更に、体に比べて頭が大きく体を黒く長い毛がびっしりと覆われており、胸にはツキノワグマと同じように白や黄色の三日月模様があるのも特徴です。
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子供をおんぶしているナマケグマ
写真を見ても分かるように、ナマケグマは他のクマに比べて鼻面が長く、足からは白く長い爪が伸びており、体毛も長いこともあって、その見た目は名前の由来にもなったナマケモノそっくりのかわいい顔をしています。また木登りも得意であり、長い爪を利用してナマケモノの様に木にぶら下がることもでき、それら全てがナマケモノの生態そっくりであったためナマケモノの一種だと勘違いされたようです。
全く怠けないナマケグマ
出典: http://blog.livedoor.jp
シロアリ
ナマケグマの主食は主にシロアリなどの昆虫や、動物の死骸、蜂蜜や果物など様々なものを食べるのですが、その中でも特にシロアリが大好物で、長い爪でシロアリの巣を壊して長い舌と口でゴミを吹き飛ばしてからシロアリを吸い込んで食べるのだそうです。
インドでの行動範囲は約100㎢
出典: http://tanitabi.blog.fc2.com
またナマケグマは昼夜動くことができますが、基本的に夜行性で、行動範囲は食料の状況などにもよりますが、インドなどでは100k㎡も動くことがあるのだそうです。こういった部分ではナマケモノとは正反対の生活をしているようです。
絶滅危惧種であるナマケグマ
出典: http://www.pz-garden.stardust31.com
ナマケグマの生息地は主にインドやネパール、スリランカで、湿度のある森林地帯から乾燥しているサバンナまで幅広く生息し、特に天敵となる外敵がいないにも関わらずどんどんその数を減らしており、現在は絶滅危惧種に指定されています。
出典: http://www.niwac.org
これは、ナマケグマの胆嚢が薬に、爪などが魔除けになると信じられているのに加えてナマケグマの子供に芸を仕込むために激しい乱獲を受けたことが原因だと言われています。また、近年ではナマケグマの生息地である森林が開拓され、自然破壊を受けたことにより食料が減っていること、また食料を求めて農作物に被害を出し害獣として駆除されてしまうことによる影響も大きいと考えられています。
インドでペットになった野生のナマケグマ
出典: http://www.kaixinfun.com
有名なナマケグマのエピソードに、インドで野生のナマケグマがペット化したという話があります。インドでは昔、ナマケグマの子供がとある危機に直面して野生動物の保護センターに保護されたことがありました。その後野生動物センターでお世話になった子供のナマケグマは時期が来て、自然に返されたそうです。
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しかし、ナマケグマは自然に帰りたくなかったようで、ある時インドのとある村にひょっこり顔を出したのだそうです。そのナマケグマは余りにもかわいい顔で人に懐いたため、すぐにインドの村人たちはナマケグマと打ち解け、そのままとある家庭に引き取られてペットになってしまったそうです。
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これは2012年に報道されたもので、ペットになったナマケグマが現在どうしているかは不明ですが、ナマケグマは動物園で飼育されると寿命が30~35年だと言われているため、ペットとなったそのナマケグマは現在もかわいいペットとして元気に過ごしているのではないでしょうか。
ナマケグマに潜む凶暴性とは?
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凶暴に見えないナマケグマ
ナマケモノのようなかわいい顔にインドでペット化したナマケグマのニュースを聞くと、ナマケグマは人懐っこくかわいい動物のように思えます。確かにナマケグマは基本的に餌を取る時もシロアリや蜂蜜が中心で、動物の死骸を食べることもありますが、基本的に生きている動物は襲いません。しかし、野生のナマケグマはいざとなるととんでもない凶暴性を秘めているのだそうです。
トラと対等な立場にいるナマケグマ
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ベンガルトラ
長年ベンガルトラの研究を続けているターパル氏によると、ナマケグマとトラは対等な関係にあるのだそうです。事実、「ランサンボール国立公園のトラ」というドキュメンタリーの中で、木の上からメスのトラを見つけたナマケグマがそのトラに突進し追い払うというシーンが流され、ナレーションでは「ナマケグマを恐れない動物はいない」とまで解説されていたそうです。
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また、先ほどのタパール氏によると、警戒態勢を取っているトラの目の前をナマケグマが悠然と通り過ぎていく場面を何度も目撃したのだそうです。また、どんな攻撃も恐れない勇敢なトラがナマケグマを襲ったこともあるようで、その時トラとナマケグマは前足同士で殴り合い、結果的にナマケグマがその場を退いたのだそうです。しかし、タパール氏は、トラとナマケグマは両者をお互いに尊重しているようだと語ったそうです。
いざとなると現れる凶暴性
出典: https://www.google.co.jp
トラとの関係以外にも、ナマケグマはヒョウやゾウなどとも並べられるほど危険で凶暴な動物として知られ、以前小熊を守るため、研究者を乗せたゾウに突進してきたこともあるのだそうです。また、近年ナマケグマの住む森林の開拓や自然破壊により、食料が得られなくなった影響か、ナマケグマが農作物を荒らし人間を襲うことなども増えてきているそうです。ある調査によると、1989~1994年の間にナマケグマに襲われた被害者の数は735人で、その内50人近くが致命傷を負いました。
ナマケグマはヒグマより強い?
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アムールトラ
それに対して、ヒグマはアムールトラと呼ばれるトラに定期的に捕食されていることが明らかとなっています。逆にヒグマがアムールトラを捕食した例というものは存在していないようで、アムールトラの餌になる動物の全体の割合の中で、ヒグマはクロクマを合わせると40%近くにも上り、ヒグマ単体でも18%を占めているのだそうです。
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ヒグマ
トラの種類が違うという事実はあるものの、ヒグマはトラと対等な立場にあるナマケグマよりも立場として弱く、ナマケグマはクマの中でもかなり凶暴で力が強い種類なのでは、という考え方も存在しているようです。
ナマケグマもトラの餌になることがある
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因みにヒグマが捕食される理由としてはヒグマが臆病な性格で、冬眠中に脂肪を蓄えこむことなどが原因ではないかとも言われているようです。ただし、ナマケグマを常食にしているトラも存在しているとの研究結果もあるため、真偽の程は定かではありません。
日本にも存在したナマケグマ
出典: http://www.wealthmastery.sg
残念
かわいい顔をしたナマケグマ、気になるのはこのナマケグマが日本の動物園で見られるかどうかですが、残念ながら現在日本の動物園にはナマケグマは存在していないようです。しかし、昔は日本の動物園にもいたことがあったそうです。
2015年に唯一のナマケグマ「ゴマキ」が死亡
出典: http://blog.goo.ne.jp
ナマケグマ ゴマキ
日本では1965年に初めてナマケグマの繁殖と飼育に成功、その後もいくつかの動物園で飼育されていたこともあるようです。しかし、2015年に国内唯一のナマケグマであった「ゴマキ」が無くなった事により、現在日本の動物園ではナマケグマは見ることができないようです。
出典: http://www.city.sapporo.jp
ゴマキ
ナマケグマの「ゴマキ」は1984年に静岡県の日本平動物園で誕生、その後ゴマキは2001年に北海道の札幌市円山動物園に移動しました。その後ゴマキは高齢になるにつれ食欲が低下するようになり、懸命の治療も及ばずゴマキは2015年に慢性心不全と胆嚢癌で亡くなりました。ゴマキは享年30歳、飼育下におけるナマケグマの寿命としては最高齢だったそうです。
ナマケグマまとめ
ナマケグマについて調べてみると確かに外見や木にぶら下がるところなどナマケモノにそっくりのかわいい動物であることが分かりました。しかし、その一方でクマらしくトラと渡り合うほどの凶暴性を持っていることも分かりました。現在日本の動物園でナマケグマを見ることはできませんが、もし機会があれば是非一度は直接姿を見てみたいものですね。