2021年08月19日公開
2021年08月19日更新
羊たちの沈黙の蛾『クロメンガタスズメ』の生態。幼虫→蛹→成虫と飼育
皆さんはクロメンガタスズメをご存知でしょうか。羊たちの沈黙で有名なあの蛾です。不吉の象徴とされていますが、虫好きの人は自分で飼ってみたいと思いませんか?クロメンガタスズメの幼虫から成虫の成長過程と、飼育方法についてご紹介します。
目次
クロメンガタスズメって?生態はどうなってるの?
出典: https://blogs.yahoo.co.jp
クロメンガタスズメは、大型のスズメガの一種です。
幼虫かなり大型で、蛹になる前の時点で成虫と同程度の大きさになります。
幼虫はありふれたイモムシで、体色は緑・黄色・褐色などが多いです。
※幼虫はあとに画像を載せてますが、閲覧注意でお願いします。
羊たちの沈黙で有名なメンガタスズメ
出典: http://ch.nicovideo.jp
強烈なインパクトを持っているドクロ模様をもっている蛾で、かなりインパクトがありますね。
実はこの蛾はクロメンガタスズメではなく、サルバドール・ダリというアーティストのトリックアートなんです。
羊たちの沈黙にでてるのはドクロメンガタスズメ?クロメンガタスズメ?
ジャケットのドクロメンガタスズメは、どちらでもないヨーロッパメンガタスズメ
出典: http://lucanidae.blog.fc2.com
映画にでているメンガタスズメは「ドクロメンガタスズメ」と翻訳されていて、羊たちの沈黙のジャケットでもドクロ模様が印象的に作られているため、日本ではドクロメンガタスズメという呼称が広くしれわたっています。
しかしドクロメンガタスズメは架空の生き物です。
出典: http://www.plantdevbio.lif.kyoto-u.ac.jp
ゴッホが書いたヨーロッパメンガタスズメ
大人気映画である、羊たちの沈黙では、クロメンガタスズメの蛹が死体の口に押し込められていたり、重要なキーワードとなってました。
原作や映画の台詞で言及されているのはアジアにいるクロメンガタスズメですが、撮影等で実際に映画にでていたメンガタスズメはヨーロッパに生息するヨーロッパメンガタスズメです。
クロメンガタスズメの幼虫
出典: http://blog.goo.ne.jp
クロメンガタスズメの幼虫はノウゼンカズラ科やモクセイ科、ナス科等の植物の古い葉に、卵が産みつけられます。また、卵は複数ではなく一個だけのようです。
特にクロメンガタスズメはナス科の植物が好きで、プランター等でちょっとした家庭菜園をしているプチトマトなんかに産卵し、幼虫が孵化すると植物を食い散らかしてしまうこともあります。
クロメンガタスズメの幼虫が好む品種は主に農作物なので、人間には甚大な被害をもたらすことがあります。インドでは作物にクロメンガタスズメの幼虫が大量発生し、農家に打撃を与えます。
クロメンガタスズメの蛹
出典: https://www.youtube.com
他の蛾と同じく、冬を越す際は幼虫から蛹になります。
また、幼虫が大型なので、蛹も大型です。また、蛹の色は基本的に黒色が多いです。
この姿で冬を越し、成虫へとなります。
クロメンガタスズメの成虫
出典: http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp
クロメンガタスズメの成虫は蜂蜜を主に食べるので、蜂蜜を作る農家には常に害虫扱いされています。
クロメンガタスズメの成虫は、口吻(蜂蜜や花液を吸う器官)が異常に発達する生態をもっています。
他の蛾が持っている口吻は花液を吸うためにつくられており、長さはありますが触角のように柔らかいです。
しかし、クロメンガタスズメの成虫の口吻かなり固く強靭です。そのため、固いものに穴をあけることが容易にできます。
この口吻を使って蜜蜂の巣にある巣盤に穴をあけます。そしてクロメンガタスズメの成虫は、そこから蜜を飲み栄養としています。
当たり前ですがハチからしてみればクロメンガタスズメ脅威以外の何物でもないです
。しかしクロメンガタスズメには、ハチと同様のフェロモンをもる生態を持っています。
そのフェロモンを利用し、ハチにばれずに蜜を盗み飲むのです。
ハチもバカではありませんので、いくらフェロモンを放ってようとクロメンガタスズメが巣の中まで入過ぎるとさすがにハチにバレます。
大量のハチにやられたらさすがのクロメンガタスズメもひとたまりもありません。
そのまま巣の中で死んだクロメンガタスズメはハチがどけることもないのでそのまま蜂蜜漬けとなってしまいます。
外国の蜂蜜農家で、ハチの巣箱の掃除しているとたまにクロメンガタスズメの蜂蜜漬けが出てくるそうです。
クロメンガタスズメに限らず、メンガタスズメは害虫扱いされている
メンガタスズメは幼虫や成虫に関わらず駆除対象
出典: http://www.kincho.co.jp
※キンチョールはたぶんききません
蜂蜜農家の多い外国では、成虫が駆除対象とされていますが、日本では蜂蜜農家も個体数が少ないため、成虫が害虫として駆除された事例はあまりありません。
しかし幼虫がかなりの大きさのため、2~3匹の数でも甚大な被害を与えることが可能です。
例えば、クロメンガタスズメの幼虫が2~3匹がトマトやナス、ピーマンなどを家庭菜園サイズの畑にいた場合は、その畑は壊滅してしまうでしょう。
また、以前、タバコ畑やナス畑でクロメンガタスズメの幼虫が発見され(発見時は早急に駆除された)、発生予測注意報が勧告されました。
クロメンガタスズメを飼育してみよう
出典: http://blog.livedoor.jp
クロメンガタスズメは希少種なので、あまり見かけることがありませんが、幼虫を見つけたら飼育する虫好きの方もいらっしゃいます。
基本的な飼育方法は蛾と変わりませんが、クロメンガタスズメの幼虫は大型なので、大きめの虫カゴを縦にし、そこに餌になる野菜の枝を実ごといれて飼育していればどんどん食べて成長していきます。
また、蛹になる際は、土に潜り冬を乗り越え、成虫となります。
成虫になった後は餌が蜜となり、農家でない限り飼育が困難です。
そのため、成虫になったら逃がす人や、標本にする人もいます。
クロメンガタスズメは標本にする猛者も
出典: http://lalabaldo.blog48.fc2.com
羽化したクロメンガタスズメの成虫を標本にする猛者もいるようです。
標本の作り方は、蝶々や蛾の成虫と変わりがなく、頑丈な体毛があることでクロメンガタスズメを傷つけることなです。
成虫はほかの蛾より頑丈なので、比較的に標本が作りやすいです。