2021年08月19日公開
2021年08月19日更新
『カマキリモドキ』とは?種類・飼育・採取方法まとめ。スズメバチ×カマキリ
皆さんはカマキリモドキをご存知だろうか。スズメバチにも似ているが、『カマキリ』モドキだ。実は色々な種類がいて、ちょっと可愛いのである。幼虫はどんな姿なのか。どこに分布しているのか。採取は飼育はできるのか筆者が追ってみた。
カマキリモドキって何者?
出典: http://www.insects.jp
有名な種類 ヒメカマキリモドキ
カマキリモドキとは、脈翅目カマキリモドキ科に属した昆虫の総称。
中型で、前足がカマキリに似たような形をしているので、カマキリモドキとよばれている。
頭は幅が広く、単眼はないが複眼は突出している。触角は糸状で、カマキリよりは短めである。前胸はカマキリの特徴と同様で細長く、前足がその前胸につく(画像参照)。
後翅は前翅よりやや小さいが、翅は前後ともに同形で、細長い形状をしている。
おもに夏に出現し、バッタなどの昆虫を食べるが、街頭など明るい場所にも飛来する事が頻繁にある。
また、見た目がスズメバチに似ている事から、スズメバチに擬態してると思われる。
幼虫の時は、ハチの巣やクモの卵嚢等に寄生する。今は世界(主にコスタリカ)で250種類程度、確認ができている。
カマキリモドキの種類
出典: http://www.alltheanimalsintheworld.com
ヒメカマキリモドキ
比較的よく見るカマキリモドキの一種。
カマキリと似た姿をしており、色は若干スズメバチのようだ。
翅はスズメバチのようならしい透明な網目模様をしている。
ヒメカマキリモドキとよく似た種類で、キカマキリモドキがいる。
開張は30~50mmと、ヒメカマキリモドキよりもずっと大きい。
ヒメカマキリモドキは葉上等草木の周りで生活しているが、キカマキリモドキは地上にいることが多い。
ヒメカマキリモドキはエドコマチグモに寄生した後、エドコマチグモが産卵した卵のうに移動し、卵のうを食べて成長、成虫となる。
出典: http://www.museum.osakafu-u.ac.jp
キカマキリモドキ
キカマキリモドキの幼虫はクモ(主にヤチグモ)などに取り付き、クモが卵のうを作るときに卵のうに移動して卵のうを食べて成長するという。体調は20mm前後。
キカマキリモドキの姿は、スズメバチにそっくりである。
出典: http://www.g-hopper.ne.jp
オオカマキリモドキ
オオカマキリモドキの名前の由来は、日本の中では大きなカマキリモドキというなんとも単純な理由でつけられた。
オオカマキリモドキは夏の終わりから秋の始まりにかけて出現する。捕食対象はおもに昆虫で、街頭等の灯火にもいる。頭の色とお尻まわりのシルエットはスズメバチに非常に似ている。
幼虫はというと、クモの卵のうに寄生するらしいが、オオカマキリモドキの詳しい生態はまだわかっていない。
出典: http://moth2001.blog.fc2.com
ツマグロカマキリモドキ
ツマグロカマキリモドキは、非常に珍しい種類のカマキリモドキ。見られることはまりない。
スズメバチの一種であるアシナガバチにそっくりな見た目で、ツマグロカマキリモドキはそれに擬態しているといわれる。
花蜜を吸うこともあるようだが、カマキリのようにの前脚で昆虫を捕らえ て食べることもあるという。
ツマグロカマキリモドキは夜間になると街灯にも飛来する。幼虫は前述したカマキリモドキ同様、寄生性の可能性が高いが、どの虫に寄生するのかはまだわかっていない。
恐らくではあるが、前述したカマキリモドキ同様、クモの卵のうに寄生する考えられる。
日本に分布するカマキリモドキ
出典: http://kitaibaraki987.blog.fc2.com
日本では主に四国、九州に分布している
キカマキリモドキの分布:本州,四国,九州
ヒメカマキリモドキの分布:北海道,本州,四国,九州
オオカマキリモドキの分布:四国,九州
ツマグロカマキリモドキの分布:本州,四国,九州
ウスグロカマキリモドキの分布:本州
ツシマカマキリモドキの分布:対馬
外国では主にコスタリカに分布している。詳細は後述
外国に分布するカマキリモドキ
出典: http://ameblo.jp
コスタリカにも多く分布している。
コスタリカにもカマキリモドキは分布しているが、基本的に見かけることは少ないようだ。
灯火採集用のライトを夜につけると来ることがあるが、それ以外見かけることは基本的にない。
また、日本のカマキリモドキはスズメバチに擬態しているケースが多いが、コスタリカではクサカゲロウに擬態するものなど、スズメバチ以外に擬態している種類もいるようだ。
出典: https://www.flickr.com
コスタリカに分布するカマキリモドキ
新種生物の宝庫であるコスタリカ。なんと3年間で平均5000種程が発見されている。また、その多くが昆虫である。
また、コスタリカに分布する昆虫の数は30万~50万種にも及ぶといわれている。
コスタリカには日本にはいないような珍しい柄のカマキリモドキも多い。
多様な昆虫に魅せられコスタリカに移り住む日本人もいる。
代表者として、探検昆虫学者である西田賢司さんは、カマキリモドキだけではなく多くの昆虫をみつけるためにコスタリカで昆虫を探しているという。
カマキリモドキは採取できる?
出典: http://neptis.xsrv.jp
日本やコスタリカにに生息していることは間違いないのだが、採取どころか発見までが困難な道のりだ。
夏〜秋にかけて、街灯の周りや葉上で採取できるとされているが、見つけようとして簡単に見つかるものではない貴重な昆虫である。
小型ゆえに昼間見つけるのは大変なので、捕まえたいのであれば、日本でもコスタリカでも灯火採取を行うなど、本格的に機材を用意する必要がありそうだ。
カマキリモドキは飼育できる?
出典: http://outsvx.com
カマキリモドキを飼育していた前例は非常に少ない。コスタリカでは事例があるかもしれないが、あまりにも情報が少ないため飼育に関してのテンプレートがない。また、スズメバチに似ているが擬態しているだけなので、食事や生態はまったくの別物だ。
食事に関してはハエやバッタ等という、小昆虫ということが判明しているため、飼育自体は行えなくもなさそうだが、カマキリモドキの幼虫はクモ等に寄生するため、繁殖は困難を極める。
また、昆虫としても貴重な一種であり、みつける事自体も困難な事から、現時点で飼育の前例は報告されていない。
謎が多い昆虫だが、買っていたら昆虫マニアからは注目の的となることだろう。
九州や四国、コスタリカに多いカマキリモドキ。是非みつけたら飼育してみてはいかがだろうか。