2021年08月19日公開
2021年08月19日更新
チベットの鳥葬が奇妙!鳥に遺体を食べさせて故人を葬る儀式【動画あり】
人が亡くなった時に行う儀式「葬儀」ですが、世界には様々な葬儀文化があります。その中でもチベットを中心に行われている「鳥葬」は、非常に奇妙な風習として知られています。鳥葬とはいったい何なのか、動画や画像を交えてご紹介します。【※動画・画像は閲覧注意です】
目次
チベットで行われている奇妙な風習「鳥葬」
人が亡くなった時に、故人をを弔う儀式として行う「葬儀」があります。日本では現在「火葬」が一般的な葬儀の方法ですが、世界には様々な葬儀の方法があります。
火葬以外に知られる儀式では、例えばインドのガンジス河流域で行われているような「水葬」などが挙げられます。水葬は軍隊などで洋上での死亡者などにも行われていることもあるようです。
このように私たち日本人に馴染みのない葬儀・儀式は数多くあるのですが、その中でもひときわ奇妙でショッキングな葬儀の方法が、チベットで行われているという「鳥葬」の儀式です。
かなり日本人にとってはショッキングな葬儀方法で、関連した動画や画像・写真は「閲覧注意」と警告されることの多い儀式らしいのですが、一体どのような儀式なのでしょうか。本記事ではこの奇妙な儀式「鳥葬」について紹介していきます。
※後ほど実際に鳥葬の動画や画像を紹介しますが、ショッキングな映像になるため、動画や画像の閲覧は自己責任でお願いいたします
鳥葬とは?
まずは「鳥葬」とはどういうものかについて概要を説明していきます。
鳥葬とは葬儀の形式のひとつ、もしくは死体の処理方法のことを指します。その手法は文字の通り、死体の肉を鳥に食べさせるという方法です。
鳥葬はチベット仏教にて行われているのが良く知られています。この他にも「パールスィー」と呼ばれるインドのゾロアスター教においても鳥葬を行うようです。
ちなみに、鳥葬は国や地域によっては違法行為となる場合があります。もし日本で鳥葬を行った場合は、刑法190条の死体損壊罪に抵触する恐れがあるようです。
チベットの鳥葬の考え方は?
出典: http://sunsara.exblog.jp
鳥葬について概要を紹介したところで、一番有名なチベットの鳥葬文化について紹介していこうと思います。
【塔葬と鳥葬】塔葬について
出典: https://www.cango.com.tw
チベットの葬儀の方法は塔葬・火葬・鳥葬・水葬・土葬の5種類あるとされています。
火葬・水葬・土葬は葬儀の方法としては想像がつきますね。鳥葬については前述したように遺体を鳥に食べさせる葬儀の方法です。
鳥葬に続いて新たな馴染みの薄い葬儀方法が「塔葬」です。塔葬は一般的な葬儀、というよりチベット仏教ならではの葬儀方法です。塔葬は一般人には行われない葬儀方法であり、塔葬によって葬儀が行われるのは特別な高僧のみとなっています。具体的に言えば、チベット仏教の最高位であるラマ(師僧)が塔葬を行う対象にあたります。ニュースなどで一度は耳にしたことがあるであろう「ダライ・ラマ」はチベット仏教ゲルク派の高位のラマなので、もし亡くなられた際は塔葬が行われます。
ちなみに塔葬は鳥葬のように遺体を食べさせるのではなく、いわゆるミイラにして霊塔に保存されます。
【塔葬と鳥葬】鳥葬について
出典: http://hirokenji.com
高僧に行われる塔葬に対して、一般人は火葬・鳥葬・水葬・土葬の4つの方法で葬儀が行われますが、これらのうち最も一般的な方法が鳥葬です。
輪廻転生を説くチベット仏教においては、魂を解放した後の肉体は肉の抜け殻に過ぎないとチベット人は考えるため、鳥に食べさせることは魂の抜け出た遺体を天へと送り届けるための単なる手段なのです。
要するに「鳥葬」はそれ自体に宗教的な意味は大きくなく、身体を天に送るための単なる手段であるということです。そのような意味合いからか、日本では「鳥葬」という訳を採用していますが、中国語では「天葬」と訳されているようです。
「鳥葬」を行う意外な理由とは
出典: https://www47.atwiki.jp
前項に述べたように鳥葬それ自体に宗教的な意味合いは多く含まれてはいないのですが、それでも鳥葬がチベットで一般的に行われているのには意外ともいえる現実的な理由がありました。
チベットで鳥葬が行われるようになった原因には、チベットの「環境的要因」が大きかったとされています。
チベットは高地のため岩石や砂礫で覆われた土地が非常に多いです。そのため埋葬しようにもそのような固い土地を掘り下げることが厳しかったのです。
加えて高地は薪になるような木が少ないため火葬にするには材料が足らず、寒冷な土地であるため土葬をしようにも地中の微生物による遺体の分解が十分に行われないという問題もあり、結果として鳥葬という方法が取られるようになって行きました。
要するに、チベットという環境において一番理にかなっている埋葬方法が「鳥葬」だったわけです。
「鳥葬」はどのように行われているか
出典: http://sp.recordchina.co.jp
チベットでは、実際どのように鳥葬が行われているのでしょうか。
まず、人が亡くなった際には僧侶がやって来て読経をします。これで死者から魂を抜き取り、遺体を空の状態にします。その後、鳥葬に向けた死体の処理を行います。
出典: https://vajrayananow.wordpress.com
死体の処理は、鳥葬を執り行う専門の職人が行います。僧侶に魂を抜き取ってもらった遺体は、街はずれの山影などに設置してある鳥葬台というところに運ばれます。
上の動画にある台が鳥葬台です。鳥葬台に運ばれた遺体は職人によって細かく裁断されます。骨までしっかり鳥に食べさせるために骨も石で細かく砕いていきます。
出典: http://atithi.blog.fc2.com
そうした処理を行った後、ハゲワシ・ハゲタカなどの鳥が遺体を余すところなく食べてしまいます。職人による処理がきちんと行われているため、鳥に食べさせたあとにはほとんど何も残らないようです。
出典: http://culturaloddities.com
解体・断片化をほとんど行わない地域もあるようです。また、鳥葬の職人に処理を依頼するには多くのお金を支払う必要があるため、実際に職人に依頼できるのは一部の裕福層のみであり、お金を払うことが出来ない貧しい人々は遺体を岩の上に乗せるだけで、自然に遺体が処理させていくのを待ちます。
その場合は上の画像のように鳥に食べられた後もまるまる骨が残される場合もあります。その場合は骨は決まった場所に放置されるようです。
チベット以外にも「鳥葬」を行っている地域はある?
出典: http://blog.livedoor.jp
チベットに代表される奇習「鳥葬」ですが、チベット以外でも鳥葬が行われている国はあります。鳥葬はチベット仏教の伝播している地域で広く行われています。代表的なところで言えば、「ブータン」は鳥葬が行われている国の1つです。
ブータンは、ヒマラヤ山脈の東端にある仏教王国です。ブータンと言えば「世界一幸福な国」ということで日本のニュースにも度々取り上げられていますね。
ブータンは多民族からなる国家なのですが、実はその約8割をチベット系民族が占めています。ブータンの公用語もチベット語系のゾンカ語が公用語とされています。
そのため、ブータンにはチベット仏教・チベット文化圏に入るため、鳥葬の文化もブータンには浸透しています。
ブータンでは死後、遺体は火葬し遺灰は主に川に流すのが一般的ですが、もし乳幼児や子供、大人になっていない10代の少年少女が亡くなった場合には鳥葬を行うようです。
日本にも「鳥葬」と似たような風習があった?
出典: http://www.okinawa-holiday.net
実は日本においても昔は鳥葬に似たような風習があったそうです。
それは日本の沖縄・奄美地方で昔行われていた「風葬」という葬儀の方法です。風葬と遺体を風にさらし風化を待つ葬制のことで、これは沖縄・奄美に限らず世界各国で見られる方法だそうです。当然ながら現在は日本(沖縄・奄美)では実施されておりません。上の画像は沖縄にある風葬墓の写真です。現在も見ることが出来る場所があります。
沖縄・琉球地方の風葬には大きく分けて二通りの方法があったようです。ひとつは特定の洞窟や山林に遺体を安置してそのままその場所を共同墓所にする方法と、亀甲墓・破風墓という沖縄特有のお墓の中に棺を一定期間安置し、風化して白骨化した後に親族が洗骨し、改めて厨子甕と呼ばれる骨壺に納める方法です。
また、沖縄でも宮古島地方では沖縄本島から伝わる以前より屋根のない石囲いの中に遺体を葬る巨石墓(ミャーカ)という文化があり、これが風葬の代表的な例とされています。
沖縄や奄美で風葬が行われる考えとして、沖縄周辺の信仰では、マブイ(魂)は煙のようなものと考えられていて、風葬は魂を海の彼方のニライカナイに還すものという死生観からであるようです。
こうしてみてみると、チベットの鳥葬の観念と沖縄・奄美の風葬の観念は似ているような気がします。
【閲覧注意】鳥葬の写真
鳥葬について関連情報を紹介してきました。すでに何点か画像を紹介しましたが、ここでは様々な鳥葬に関係する写真を紹介していきます。
グロテスク・刺激の強い写真が多いですので、画像の閲覧にはご注意ください。
出典: http://blog.world-runner.net
鳥葬場に運び込まれた遺体の写真です。写真中央にある毛布の中に遺体が入っています。
出典: http://blog.world-runner.net
この写真には鳥葬の職人である「鳥葬師」が撮影されています。ハゲタカなどが噛み切ることが出来ない人間の皮を切っています。
出典: http://blog.world-runner.net
遺体がハゲタカに食べられている最中の写真です。たくさんのハゲタカが集まって遺体が隠れてしまっています。
出典: http://blog.world-runner.net
身がほとんど食べられて骨だけになった遺体を鳥葬師がハンマーをもって砕いています。細かく砕いて骨まで鳥に食べさせるようにします。
出典: http://jindream.blog.shinobi.jp
鳥たちが頭骸骨に群がっています。ちゃんとした葬儀の方法とはいえ、あまり見ていて気持ちのいいものではないですね。
出典: http://jindream.blog.shinobi.jp
頭から肩辺りまでの骨と思われます。鳥が食べやすいように身体があらかじめ分断されているのでしょうか。
出典: http://jindream.blog.shinobi.jp
鳥が食べ終わった後の鳥葬師です。この写真を見ると骨粉に近いくらいしっかり骨を砕いているのがわかります。
【閲覧注意】鳥葬の動画
写真以外にも実はいくつか動画もありますのでこちらも紹介します。ちなみに現在は鳥葬の撮影および見学は関係者以外禁止になっているようです。
写真よりも鳥葬のリアルな光景が見ることが出来ます。写真よりは直接的なグロテスクはないですが、閲覧にはご注意ください。
四川省カンゼ・チベット族自治州色達県にあるラルン・ガル・ゴンパで行われた鳥葬の様子です。ハゲワシの数もそうですが、観光客の数も多いです。葬儀なのに観光客が見ているという光景は非常に奇妙に映ります。
朗木寺(ラムス)というチベット族の村で行われた鳥葬の様子です。
こちらは解体から食べられるまでのかなり生々しい様子が見られますので視聴は十分に注意してください。
奇妙な風習「鳥葬」にはいろんな理由があった
出典: http://jindream.blog.shinobi.jp
いかがでしたでしょうか。日本人からすると非常に奇妙で残虐にも見える「鳥葬」ですが、それは宗教的な観念と地理的な要因から生まれたちゃんとした儀式であることがわかりました。
現在チベット自治区では鳥葬における撮影や見学・報道は禁止されていますので生で見ることは難しいですが、現在もこの風習は滅びることなく行われています。