2021年08月02日公開
2021年08月02日更新
『ベニテングタケ』食べると味はうまいが幻覚でトリップ!?【画像/動画】
真っ赤な頭に白い斑点と、どこかで見た事のあるキノコ「ベニテングタケ」。毒キノコとして有名で、摂取すると幻覚症状が出るなどかなりの毒性を持った危険なこのキノコですが、実は食べる方法が存在するのです。そんな「ベニテングタケ」を安全に食べる方法を見てみましょう。
目次
- 1一度はどこかで見た事がある赤いキノコ「ベニテングタケ」
- 2食べる以上に数多くの人間に愛されたベニテングタケ
- 3毒性のベニテングタケを食べるとは
- 4おいしい毒キノコ?「ベニテングタケ」を食べる地域の存在
- 5食べるとおいしいベニテングタケ その理由とは
- 6ベニテングタケを食べた時 毒の危険性とその症状
- 7ベニテングタケを食べることへの好奇心
- 8ベニテングタケを食べた男の異変
- 9毒キノコを食べるということ
- 10ベニテングタケと似た症状を持つ「マジックマッシュルーム」
- 11ベニテングタケを食べるための毒抜き方法
- 12食べるだけじゃない歴史で見るベニテングタケ
- 13ベニテングタケだけじゃないその他の有毒キノコ ※食べるな危険
- 14食べる以上に遙か昔から親しまれてきたベニテングタケ
- 15まとめ
一度はどこかで見た事がある赤いキノコ「ベニテングタケ」
おもに北半球で多く見られるキノコ「ベニテングタケ」。赤い頭に白い斑点がトレードマークの非常に毒性の強い毒キノコです。「ベニテングタケ」は菌根という植物の根に菌を張り、その植物と共生する「菌根菌」というものに分類されます。
日本では別名「アシタカベニタケ」とも呼ばれ古くからその存在を確認されていました。
「ベニテングタケ」の存在は世界的にも有名で、このキノコの大きな特徴である、「赤い頭と白い斑点」がそれを表している。日本を発祥に世界的に有名な「スーパーマリオブラザーズ」に登場するキノコがこれ。そしてディズニーの「ファンタジア」など、誰もがこの魅力に取りつかれました。
その形は様々で傘の丸い物から広がった平らな物、一般的キノコのイメージである傘の形をした物まで存在する。いずれも赤い頭に白い斑点は共通しており、見た目にも分かりやすく毒キノコとしての認識は容易なものです。
出典: http://www.yomeishu.co.jp
学名: Amanita muscaria ハラタケ目テングタケ科テングタケ属「ベニテングタケ」
食べる以上に数多くの人間に愛されたベニテングタケ
その毒性から幻覚作用をもたらすこのベニテングタケ。かつてのシャーマン達はこの毒性を利用し、儀式に使ったとされています。さらにはその美しい見た目に魅了された者も数多く表れました。その代表的なものが上でも挙げた「スーパーマリオブラザーズ」、ディズニー「ファンタジア」です。
さらには日本でも有名な小林一茶も俳句の中で使っていることが明らかとなっています。
「天狗茸立てり魔所の入口に」
「化かされな茸も紅を付けて出てきた」
「うつくしやあらうつくしや毒きのこ」
ルイス・キャロル原作の「不思議の国のアリス」の中で、アリスの身体が大きくなったり小さくななったりするのもこのベニテングタケが由来とされています。
毒性のベニテングタケを食べるとは
摂取すると酷い時には幻覚作用をもたらすこのベニテングタケ。毒性が非常に高く危険視されているこのキノコを、「食べる」習慣がある地域も存在する。食べるとは言っても毒キノコ、その食べ方とはいったい何でしょうか。
キノコとは日本人にとっては切っても切れない関係で、古くから今に渡って食用として広く一般的です。そしてこのベニテングタケもキノコの一種。今では毒キノコとして有名ですが、実は味自体はなかなかに”おいしい”らしい。
健康状態ならば1本ぐらい食べる分には問題はないそうです。「問題はない」、いやいやこれは毒キノコではないのか。実はこのベニテングタケ、毒性自体はそこまでの物ではないようです。ではその実態とはいったいどんな物なのでしょう。
出典: https://illust-imt.jp
おいしい毒キノコ?「ベニテングタケ」を食べる地域の存在
昭和中期のベニテングタケの資料によると、その毒性はかなり危険度の高い物として書かれています。しかし一部の地方では食用として用いていることから、その毒性を強く書くことで事故を未然に防ごうとしているのでは考えられています。
日本でその食べ方として有名なのは長野県のベニテングタケの塩漬け。しかし詳細も不明瞭でなんとも言い難い。ある人物がその塩漬けを食べていたという男性と接触、インタビューをした記録がこちらです。
Q、どうやって食べるんですか? 「塩漬けだよ。茹でて塩漬けにするんさ。で、年取りの晩(=大晦日)に食うんだよ。採ってくる時、笠と柄をすぐ分けちゃうんだ。じゃないともろくてウチに着く前にバラバラになっちまう。茹でちまえばしっかりするんだけどな。」 Q、美味しいんですか? 「そりゃーむちゃくちゃうめぇよ。他のキノコなんかと比べもんになんねーな。」 Q、中毒になったりしないんですか? 「昔からずっと食べ続けてるけど、具合悪くなったことなんかねーよ。毒が蓄積するからあんまり食わねえ方がいいって言うけど、今のところ大丈夫だな。ただ、茹でてたお袋が具合悪くなったことがあったっけ。茹でるとき換気良くしねーと危ねえかもしんねーな。強者になると、生のまんま薄くスライスしてそのまんま食うって言うわ。口ん中がピリピリするけど、そりゃーうめぇらしい。俺はさすがにそこまではしねーけどな。」 Q、調理方法とか、微妙な手順とか配合とかあるんですか? 「んなもんねーよ。茹でてただ塩漬けにするだけ。とにかくバサバサ塩たくさん入れりゃいいんだよ。んでもって食べるときの塩抜きの加減で味を調整するんさ。」
一部の地域で特別な食べ方をする、というのは本当のようです。しかしあまりにも危険な食べ物、そしてその地域に根付いた物なので一般的には知られていません。もちろん今これを実践するのはとても危険なので、くれぐれも真似はしないように。
食べるとおいしいベニテングタケ その理由とは
食べた人の感想がことごとく「おいしい」となるのはその成分に由来しています。一般的に旨味とされるグルタミン酸、このグルタミン酸の10倍の旨味をもつ「イボテン酸」というものがベニテングタケに含まれているのです。
しかしこの旨味成分イボテン酸、ただおいしいだけではありません。ベニテングタケには別名ハエトリタケという名がついており、その名の通りハエが好んで寄ってきます。そして一舐めし死んでしまうのだそう、つまりそれだけの旨味と同時に毒性も持ち合わせているということです。
食べ方としては塩漬けという方法がありますが、これは毒を抜くという工程も含まれています。そして毒と共に旨味も抜かれる。つまり塩漬けより、生のまま、もしくは塩漬けをしない食べ方が一番おいしいのでしょう。もちろんかなりのリスクを生じることになります。
出典: http://seagull-house.air-nifty.com
食べ方はいくつか種類があるものの、下ごしらえとして「塩漬け」は必須のもよう。そして味も確かにおいしいらしい。
ベニテングタケを食べた時 毒の危険性とその症状
ベニテングタケに含まれる物質、イボテン酸。これが人体に大きく影響を与えることは既に研究で明らかにされています。ではこれを摂取した時、人体にどれほどの影響を与えるのか。そしてその量とはどれほどのものなのでしょうか。
イボテン酸がその毒性を最も上げる状況というのが存在します。それは「乾燥」。乾燥するとイボテン酸はムッシモールという物質に変化、それが脳の活動を劣らせることで幻覚症状などが現れるのです。
さらにアマトキシン類という猛毒も微量ながら含んでおり、多量の摂取で肝臓にも影響が現れます。
その他の症状としては、吐き気、発汗、健忘、さらに重い症状としては幻覚や昏睡などが挙げられます。そのほとんどが半日から24時間でおさまるとされていますが、根本的な解毒剤は存在しません。
ベニテングタケを食べることへの好奇心
人間は「危険」や「してはいけない」という言葉に弱いのか、やはり相手が毒キノコだろうと挑戦せずにはいられない者が出てくる。それが好奇心といってしまえばその通りなのだが、あまりにもリスクが高いため本当におすすめはできません。とはいえそれでも気になる、という方が少なからずいるのは事実。
そこで、実際に身をもって毒キノコ「ベニテングタケ」を食べたある人物の体験談を紹介します。ベニテングタケを食べたらどうなるのか、その事実をご覧ください。
ベニテングタケを食べた男の異変
"その人物は毒性の高い「ベニテングタケ」を食べることを目的に手に入れました。誰もが憧れる毒キノコ界の有名人。もはやキノコマニアだけならず、一般人にも広く知れ渡ったそのキノコを「おいしい」という噂を聞きつけ手に入れたのです。
一般的な旨味成分であるグルタミン酸の10倍の旨味成分。それは彼を奮い立たせます。しかしやはり相手は毒キノコ、少しの恐怖を感じていました。
ベニテングタケを持って家に帰った彼は早速調理を始めます。毒性を持ったベニテングタケ、食べ方としておすすめしたいのはきちんと毒を抜く塩漬けですがなんと彼はそのままアルミホイルに乗せトースターへと入れてしまいます。
こんがりと焼き上がったベニテングタケ、彼はまず汁を一舐めしました。その汁のおいしいことおいしいこと。「未だかつて味わったことがない」、そう彼は思います。そしてぺろりと1本完食。噂通りの旨味に感動します。
それから約30分後、彼の身体に異変が現れます。まず彼を襲ったのは「胃もたれ」でした。そこから「吐き気」へと変化、その後身体は熱を帯び始め大量の汗が発生します。それから視界は暗転、音もおかしくなりついに彼は横になってしまいます。
幸いすぐに体調は回復、その後の体調の悪化もなく事なきを得ました。"
毒キノコを食べるということ
この人物には報告されている「幻覚症状」はありませんでした。しかしその他の症状が立て続けに起きたことが分かります。今回この人物はそのまま焼くという食べ方を実践しましたが、それがどれだけ危険なものなのか分かったかと思います。
「焼く」という方法だけでは毒抜きは完全には出来ないのでしょうか。この調理方法に限っては信憑性のある報告が上がっていません。やはり長野に古くから伝わる「塩漬け」が一番安全なのかもしれませんが、それもまた詳細は分かっていないのが現状です。
もう一つ、身をもってベニテングタケに挑んだ男性の「動画」を紹介します。この動画でもまた悲痛な最後を迎えています。
ベニテングタケと似た症状を持つ「マジックマッシュルーム」
「マジックマッシュルーム」というものを一度は聞いたことがあるかもしれません。その名の通り、魔法のような効果をもたらすキノコの事です。これはつまり薬物のような効果「トリップ」と言われるもので、マジックマッシュルームを使用することで一時的な幻覚作用を起こしてしまいます。
厳密にはベニテングタケはこのマジックマッシュルームには該当しません。マジックマッシュルームとして挙げられるのはミナミシビレタケ、シロシベ・キアネセンス、ワライタケなどのシビレタケ属に属するもの、ベニテングタケは該当しないのです。
しかしその毒性から、ベニテングタケも似たような効果をもたらし使用を危険視されています。数多くの経験者からは多少ならば大丈夫、とされていますが、微小ながら影響をもたらすのは確かです。人間個人の差もベニテングタケの個体差にもよるので、使用には十分な注意が必要です。
ちなみにこのマジックマッシュルーム、数年前までは国内でも合法的に売られていたので、ご存じの方もいるかもしれませんが今では規制され使用は違法とされています。なので万が一見つけたとしても手を出してはいけません。
出典: http://www.magarisugi.net
ベニテングタケを食べるための毒抜き方法
「どうしても食べたい」「何としても味わいたい」と思う方は中にはいるかと思います。人間の好奇心というものはなかなかに排除することは難しいものです。ではたくさんの危険性があるという点を踏まえた上で、ベニテングタケの安全な食べ方の第一歩、「毒抜き」を紹介しようと思います。
安全な食べ方①
・「茹でる」。熱を通すと毒を抜くことが出来ますが、その際しっかりと換気することをおすすめします。湯気で気分が悪くなることもあるようです。
安全な食べ方②
・「塩漬け」。上でも紹介している通り、長野のある地域で古くからある食べ方の一つがこの塩漬け。実際に塩漬けとして作る際には、大量の塩を使うことからかなりの濃い味付けになるもよう。やはりこの塩漬けがベニテングタケの食べ方の中では一般的かもしれません。
安全な食べ方③
・「焼く」。熱を通すという意味では①と同じ食べ方。実際の体験談でもそのままトースターに入れ焼いていましたが、やはり完全には毒は抜けきれないようです。それでも少量ならまだ生よりは安全と言えるかもしれません。
いずれの食べ方も”完全な”毒抜きを出来るものではありません。多少なりとも影響が出ると思いますので、少しでも異変を感じたら即座に中止することをおすすめします。
出典: http://01.gatag.net
食べるだけじゃない歴史で見るベニテングタケ
今では毒性が高いとし危険視されているベニテングタケ。しかし遙か昔、中世ではまた特徴的な使用をされていました。
その昔、ヴァイキング達はベニテングタケを食べその力を強めたと言います。症状の一つ、幻覚作用などを使ったのでしょうか。さらにアメリカの民俗学者によると、ある部族が戦闘の前に食したと言います。部族の長がキノコを食し、その尿を他の人間が飲むことで皆にその効果をもたらしたとされています。
さらにベニテングタケのような毒性を持つ植物が民間療法に有効とされる例は多く残されています。鎮痛剤や止血剤、陣痛促進作用などをもたらすものもあり広く薬剤として使用されていました。今の医学が広く発達する前にはこうした有毒植物の存在が頼りにされていたのです。
他にも貴族の女性の間で美に対してや、媚薬に使われている記述もあるなどその用途は実に様々です。
宗教儀式から医療、そして女性の美など今では考えられないような多様な使い方をされたベニテングタケ及び有毒植物。ただの「危険な毒キノコ」の一言では言い表せられない歴史を感じることが出来ます。
ベニテングタケだけじゃないその他の有毒キノコ ※食べるな危険
おいしい毒キノコベニテングタケ。その他にも危険な毒キノコはたくさんあります。一部にはなりますがそのキノコを紹介します。決して安易に手を出してはいけません。
ドクツルタケ
出典: http://karapaia.com
毒キノコの中でも特に有名なもの。死者をだすほどの強力な毒、見た目に騙されてはいけません。
クサウラベニタケ
出典: http://karapaia.com
見た目の毒毒しさも皆無でさらに「ウラベニホテイシメジ」という食用キノコとの判断が難しいとされるキノコ。ベテランでもその判断が難しいと言います。
ツキヨタケ
出典: http://karapaia.com
ブナの木に生え、その生え方から椎茸と間違う人もいるのだとか。しかし正体は立派な毒キノコです。
カエンタケ
出典: http://karapaia.com
見た目のインパクトとその名前で一度は見聞きしたこともあるでしょう。見た目同様毒性はとても強く、最終的には後遺症をもたらすこともあるとか。分かりやすいだけに恐怖心も起こされます。
食べる以上に遙か昔から親しまれてきたベニテングタケ
毒キノコとして話題を呼んだベニテングタケ。遙か昔からたくさんの人達に愛されてきました。それは既に上でも挙げている通り、その上ルネッサンス期には絵画にも登場するなど広く親しまれてきました。中でもドイツでは「幸運のシンボル」として愛されているほど、その魅力は止まることはありません。
さらに現代ではその見た目の愛らしさから、いつからかグッズとしても登場。キーホルダーを始め、Tシャツの柄になったり置物になったりとさらに幅広く親しまれています。その商品をいくつか紹介します。
出典: http://www.geocities.jp
ベニテングタケの置物。ある地域では親しい人にお守りとしてキノコのグッズを送るのだとか。
出典: https://clubt.jp
シンプルなトートバッグ。トレードマークの赤い頭がよく映えます。
出典: http://ardourbook.exblog.jp
作りこまれたキーホルダー。質感までまるで本物のようです。
まとめ
歴史も古く長い間、現在にも渡って愛されるベニテングタケ。しかしれっきとした毒キノコで一度摂取すれば、短時間とはいえそれなりの症状をもたらします。そんな毒キノコも国内のある地域によっては古くから食べられるなど、一言で「危険だ」とも「おいしい」とも言い切れない不思議な魅力で溢れている。
好奇心で手を出すのはやめるべき、と言いたい所だがやはり興味から目を逸らすのは難しい。それならばここで紹介した安全な方法を徹底し、さらには健康である時に試してみればその被害は少なく済むのかもしれない。
もちろん全ては自己責任で。そしてトリップを期待するのはやめておいたほうがいいかもしれません。
安心安全で楽しいキノコライフをお過ごしください。