2021年07月14日公開
2021年07月14日更新
【画像】特異な形のツノゼミのまとめ!生態や種類をご紹介
主に熱帯などに生息するツノゼミは世界に3000種類以上いると言われており、その一つ一つの種類の体が三日月のようであったりヘリコプターのようであったりと特徴的な形をしています。 今回はそんなツノゼミの生息分布や種類、生態などについてご紹介したいと思います!
目次
奇妙な進化を遂げた昆虫ツノゼミ
出典: http://www.pojihiguma.com
ヨツコブツノゼミの画像
ヨツコブツノゼミはヘリコプターのような形が特徴、生息分布は主に亜熱帯・熱帯
生息分布を主に亜熱帯・熱帯の他、日本などのアジアやオセアニアなどにおくツノゼミは世界で3000もの種類が存在しており、まだまだ新しい種類が発見されていると言います。ツノゼミは種類ごとに三日月のような体をしたミカヅキツノゼミやヘリコプターのような体をしたヨツコブツノゼミ(画像)など非常に独特な形をしています。
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ツノゼミ図鑑
日本初のツノゼミ図鑑だそうです
ツノゼミはその独特な体の形からファンも多く、日本からもたくさんの図鑑や本が出版されています。今回はそんなツノゼミの生息分布や種類、生態などについてご紹介したいと思います!
ツノゼミとは?
出典: http://www.pojihiguma.com
ミカヅキツノゼミの画像
ミカヅキツノゼミの生息分布は主に亜熱帯や熱帯です
ツノゼミとは、ツノゼミ科のカメムシ目に属している昆虫のことを指し、世界中で600属3200もの種類がいると言われています。因みに日本でも16種類ほどのツノゼミを見つけることができるそうです。またツノゼミはまだまだ他に新種がいると言われており、現在も新しい種類が発見されているそうです。
様々な形をしたツノゼミ
出典: https://ja.wikipedia.org
ほとんどの種類のツノゼミは、胸部背面に特徴的な形をした「ヘルメット」と呼ばれる構造を持っています。またそのヘルメットはどれも異様な形に進化を遂げていることでも有名です。
分類的にはヨコバイやセミの親戚にあたるそうです。
尚、ツノゼミと呼ぶ場合はツノゼミ科の昆虫を総称して読んでいる場合の他、ツノゼミ科に属しているツノゼミ(Butragulus flavipes)という昆虫を単純に読んでいることもあるそうです。
ツノゼミの生態①:ツノゼミの体の仕組み
出典: http://blog.goo.ne.jp
ミカヅキツノゼミ(画像右中央あたり)
見えにくいですが、画像の右にある植物のツルについている茶色い枯葉のような昆虫がミカヅキツノゼミ、図鑑ではズームされていますが、実際はこんなに小さい昆虫です。
ツノゼミの頭は垂直方向に平らで、単眼が2つあり、体長は1cm程度しかない小さな昆虫です。セミの親戚だけあって同様に短いですが触角も生えています。
ツノゼミ特有の「ヘルメット」は種類によって異様とも呼べる様々な形に進化していますが、これは前胸背部と呼ばれる部分が進化したものだと言われています。
ツノゼミは空を飛ぶのが下手
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ヨツコブツノゼミの図鑑画像
ヨツコブツノゼミは羽の位置や大きさなどがよく分かりますね
この前胸背部は昆虫の羽が収納されている部分と頭部の間にある体の部位であり、実はツノゼミにも羽があり空を飛ぶことはできます。しかしミカヅキツノゼミはその体の歪さから空を上手に飛ぶことができず、バランスを崩してひっくり返ったり、障害物にぶつかったりすることもよくあるそうです。
因みにミカヅキツノゼミが飛翔する様子は日本のNHK番組「ダーウィンが来た!」でも放送されました。
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こんな形では確かに飛ぶのは難しいですね・・・
ツノゼミの生態②:ツノゼミはどう進化した?
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先ほど説明したように、ツノゼミの異様な体の形は前胸が進化したことによって生まれたと言われていましたが、数年前、アメリカの科学雑誌「ネイチャー」が発表した論文で、現在の昆虫が進化する前に持っていたと言われる前胸にあった羽が進化したものではないかという仮説が立てられました。
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北海道大学農学部
しかし、昆虫の羽について研究をしている北海道大学の吉澤和徳さんは、その論文のデータの解釈の仕方に間違いがあり、よってこの仮説も間違いであると反論し、従来の前胸が進化したという説を支持したそうです。
また、その他にも前胸が進化する際に過剰進化してしまい今の歪な形になったのではないかとも言われているようです。飛ぶのが下手くそという話を聞くと説得力の出る話にも聞こえますね。
ツノゼミの生態③:ツノゼミの生活スタイル
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ミツカドツノゼミの図鑑画像
ツノゼミは先ほどの画像でも少し触れたように、基本的に植物の茎やツルの上、もしくは樹木の幹の上で生活しています。ツノゼミは植物の師管と呼ばれる栄養素を植物の体中に運ぶ管に流れている液体を主食としています。その液体を吸い余分な糖分や水分は甘露として排出しています。
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ツノゼミの幼虫から甘露をもらっているアリ
この甘露はアリの大好物であるため、ツノゼミは甘露をアリに提供する代わりにツノゼミの天敵から守ってもらっています。このようにツノゼミとアリはお互いに利益を与え合っている相利共生という関係で生活をしているのです。
ツノゼミの生態④:ツノゼミの生息分布
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熱帯雨林
ツノゼミ科はいくつかの亜科が存在しているのですが、その分類については未だに議論が続いており、現在の分類が間違っているという説もいくつか出ているようです。
ツノゼミの生息分布は基本的に中南米の亜熱帯や熱帯などで、亜熱帯や熱帯ではツノゼミの亜科の全ての種類が発見されています。
出典: http://tamenal.com
しかし、先ほども少し触れたように日本などのアジアやオセアニア、アフリカなどでもいくつかの種類は発見されているそうです。
日本でも10種類程度は発見されているため、植物や樹木の上を探せばツノゼミが見つかるかもしれません。
ツノゼミの生態⑤:ツノゼミと人間の関係
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ツノゼミの多くは人には無害な昆虫ですが、中にはムラサキウマゴヤシと呼ばれる多年草やリンゴ等の果樹を食害するツノゼミも存在しており、害虫として駆除されることもあるようです。
また、インドではOxyrachis tarandusと呼ばれる種類に関して、アシュワガンダというハーブを利用していることでも知られています。
ツノゼミの生態⑥:ツノゼミはなぜあんな形に進化した?
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ヨツコブツノゼミ
ヨツコブツノゼミの形は非常に不思議です
先ほども紹介したように、ツノゼミは前胸と呼ばれる部位が極端に進化したことによってあの異様な形になりました。では、なぜツノゼミはあのように進化してしまったのでしょうか?
これら形態は特に意味はなくただ進化の過程で過剰進化してしまったという説もありますが、ミカヅキツノゼミを例にしてそれ以外に考えられる説についてもご紹介します。
ツノゼミの進化説Ⅰ:求愛のため
出典: https://ameblo.jp
孵化したてのミカヅキツノゼミのオス
メスに比べてヘルメット部分が膨らんでいます
ツノゼミは基本的にオスがメスに対して求愛行動をすることで知られています。求愛の仕方は体を震わせることで音を出し、これを植物を介してメスに伝えます。
また、ミカヅキツノゼミはメスに比べてオスのヘルメットの先端が丸く膨らんでいます。これは丸く膨らんでいる部分をスピーカーのようにしてメスにより大きな音でアピールするためにこのように進化したのではないかと言われているようです。
他のツノゼミに関しても雌雄で形が異なっている種類はいるそうです。
ツノゼミの進化説Ⅱ:擬態のため
出典: https://ameblo.jp
パッと見は枯葉がくっついているようにしか見えません
こちらの説を主張している人も多いようですが、ツノゼミの生態①で紹介したミカヅキツノゼミを遠目から撮影した画像や上の画像を見て分かるように、ミカヅキツノゼミは一見すると枯葉や枝のように見えます。
特にメスはほとんど場所を移動せずにじっとしていることが多いため、パッと見で中々昆虫だと気づくことができまないので、敵の目をそらす役目もあるようです。
出典: https://ameblo.jp
Heteronotus maculatus
ハチそっくりです
またメスはオスの様に求愛をする必要もないためこのように進化したのではないかと言われているようです。
ツノゼミの中には上の画像の様な一見するとハチに見えるような種類もいて、こちらも自分の身を守るために擬態しているのではないかと考えられているそうです。
しかしツノゼミの中には擬態には見えない不可解な形をした種類が図鑑にもなるくらい多く存在しており、依然としてその理由については解明されていない部分が多く存在しています。
ツノゼミの生態まとめ
出典: http://moshikowa.blog.jp
さて、ツノゼミと呼ばれる昆虫についてその種類や生息分布、生態などについてご紹介しましたが、ツノゼミはヨコバイやセミの仲間でありながら、その多くがヨツコブツノゼミのような非常にユニークな形をしており、そのユニークさからツノゼミの図鑑が発売されているほどです。
出典: http://moshikowa.blog.jp
アリカツギツノゼミ
アリにそっくりです
しかもツノゼミはなぜそのような形に進化したのか、擬態という説や求愛のためという説などもありますが、その多くはまだ謎に包まれている不思議な昆虫であることが分かりました。
このツノゼミは日本でも10種類程度発見できるようですので、もし興味がある方は日本にどんなツノゼミがいるか探してみてはいかがでしょうか?