『伽』の読み方や意味!子供の名前につけるのはNG?
皆さんは「伽」という言葉の正しい意味や語源、読み方は知っていますか?一部ではイメージが悪い言葉だと言われたり、子供の名前につけるのは注意が必要などと言われることも。「伽」という言葉の意味や語源を知って、正しく「伽」を使ってみましょう!
目次
『伽』の読み方・意味とは?
「伽」という言葉。皆さんどのくらい知っているでしょうか?
聞いたことはあるけどあまり見かけないし、たまに女性の名前で見るぐらいだなという方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、そもそも名前につけるのは注意が必要と言われていたり、女性にはイメージの悪い言葉だったりします。本当のところはどうなのでしょうか?類語や語源にも触れつつ、「伽」という言葉の意味をご紹介していきたいと思います。
ではまず、「伽」の読み方は何なのでしょうか?
「伽」の読み方は、音読みで「か」あるいは「が」や「きゃ」。後でご紹介する「伽藍(がらん)」や、黒い香木の一種を意味する「伽羅(きゃら)」などの言葉で使われています。
また、「伽」というのは少し中国語らしいイメージのある言葉ですが、訓読みもあるんです!訓読みでの読み方は「とぎ」。「お伽噺(おとぎばなし)」、「夜伽(よとぎ)」などの意味で使われていますね。
続いて、「伽」の意味をご紹介します!
「伽」という言葉には、「話し相手などをして相手を慰めること」や「退屈を紛らわせること」、「寝室での相手をすること」、「介護や看病をすること」、「お通夜」などの意味があります。
えっ、そんな意味が?と思われた方もいるかもしれませんね。そもそもは「退屈を紛らわせる」などの意味で使われており、夜の退屈な時間に話し相手になったり時間を潰したり……という意味であったことから、「寝室での相手をする」といった意味にも使われるようになったようです。現在は、「夜伽」というとこちらの意味を浮かべる方が多いかもしれませんね。
そして実は、昔のお通夜は亡くなった方と一晩ともに過ごすという形式で行われていたこともあり、「夜伽」としてお通夜を意味する言葉でもあるんです。
このように「伽」にはたくさんの意味がありますが、もともとの意味合いは共通しているんですね。
『伽』の語源について解説!
では、気になる「伽」の語源について解説します!
皆さんは「梵語(ぼんご)」はご存知でしょうか?梵語とは、古代のインドで使われていたサンスクリット語のことを意味する言葉。中国語や日本語では、サンスクリット語のことを梵語と呼んでいたそうです。
「伽」は、このサンスクリット語の音である「か」や「が」、「ぎゃ」を意味する、いわゆる表音文字というもの。あとでご説明しますが、昔は表音文字で漢字に音を当てており、音を表現するために使われていたんです。
『伽』の付く言葉10選!
「伽」の意味がわかったところで、「伽」のつく言葉や名前をご紹介していきます!
①伽藍
「伽藍(がらん)」という言葉は、僧侶の集まるお寺や修道院という意味です。特定のお寺などを意味するわけではなく、寺院などの門やお堂といった建物を全体的に意味する言葉となっています。こちらも中国語らしい響きの言葉ですが、実は梵語をもとにした言葉なんです。
②昌伽
「昌伽(しょうか)」は、主に名前に使われる言葉となっています。女性の名前にも男性の名前にも使われる「昌」という言葉には、「栄える」、「盛ん」という意味や、「明るく輝く」、「美しい」などの意味があります。
③僧伽
「僧伽」の読み方は、「そうぎゃ」。中国語や、どこかの外国語のような響きですね。意味の前に、そもそも聞いたことがないという方も多いかもしれません。
「僧伽」の語源は、サンスクリット語で「集団」などを意味する「サンガ」という言葉。仏教の修行を行う僧侶の集団、という意味なんです。
④愛伽
「愛伽」の読み方は、「まなか」「あいか」「とうか」など。主に女性の名前に使われる言葉です。
「愛」は、皆さんのイメージ通り「いとしさ」、「好きでたまらない」、「恵みの心」などの意味があります。漢字はやや珍しいですが名前の響きは柔らかいイメージを与え、まさに愛情たっぷりの意味を込めた女性らしい名前となっています。
⑤路伽
「路伽」の読み方は、「みちか」あるいは「ろっか」。主に子供の名前につけられる言葉です。「みちか」は女性の名前に、「ろっか」は男性の名前につけられることも多いようです。
「路」という言葉は、一般的な「人が通る通路」というの意味のほか、「目的地へたどる道」などの意味もあります。また、「人としての路」「夢路」といった意味でも使われますよね。「人を慰める」といった意味のある「伽」と組み合わせて、優しいイメージを与える名前になりそうです。
⑥何伽
「何伽」は「いずか」と読み、主に女性の名前として使われます。
「何」はみなさんが普段使っているイメージ通り、疑問や感嘆の気持ちを表す言葉です。少し珍しい響きと漢字を使った名前なので、特別感のある名前になりそうですね。
⑦紅伽
「紅伽」の読み方は「べにか」。こちらも女性の名前につけられる言葉です。
紅葉などの深い赤色をイメージさせ、桃色に近い赤という意味を持つ「紅」という言葉。女性の名前にぴったりです。名前自体の響きもかわいらしく、艶やかさやおしとやかな印象を与える名前ですね。
⑧伽弥
「伽弥」は「かや」と読む、女性の名前につけられる言葉です。
「弥」には「行き渡る」、「ますます」などの意味があります。また、転じて「いつまでも栄える」という意味や「衰えない」という意味もあるので、素敵な意味の名前になりますね。
⑨恋伽
「恋伽」は、「れんか」という読み方が一般的な、女性の名前につけられる言葉です。ほかにも「れか」や「こいか」などと読む場合もありますよ。
「恋」も、「愛」などと同じく「相手を好きな気持ち」を意味しますから、かわいらしい女性に育ってほしいときにしっくりきそうな名前です。
⑩一伽
「一伽」は「いちか」と読み、こちらも女性の名前につけられる言葉。
「はじめ」、「一番」などを意味する「一」は、いろんな名前につかわれるイメージの良い言葉ですから、優しげな印象となる「いちか」という響きと合わせて、女性の名前にぴったりな言葉と言えますね。
『伽』の類語を2つ紹介!
ここまでは「伽」の語源や意味のほか、「伽」を使った言葉をご紹介してきましたが、ここでは「伽」の類語を2つほどご説明したいと思います!
側仕え(そばづかえ)
「側仕え」とは、「主君などの側に仕えること」、「仕えている人」という意味。「話し相手になる」などの意味を持つ「伽」の類語となっています。また、「側近(そっきん)」や「侍従(じじゅう)」なども、「側仕え」の類語なんですよ。
侍する(じする)
「侍する」は、こちらも「高貴な人の側に仕えること」を意味する、「伽」の類語です。「側仕え」の類語としてもご紹介した「侍従」や、メイドさんなどのことを「侍女(じじょ)」というなど、「侍」には「仕える」といった意味があるんです。
『伽』を子供の名前につけるのは注意!
実は、「伽」を子供の名前につけるのはよくないとか、注意すべきという声も……。いったいどうしてなのでしょうか?
イメージがよくない
注意すべき理由としては、まず第一に「イメージがよくない」こと。「伽」には「お通夜」などの意味があるとご紹介しましたが、このせいでマイナスのイメージがついてしまうかも。
また、このような意味でつけられたのかはわかりませんが、ホラー映画「呪怨」に登場する幽霊「伽椰子」というキャラクターが有名ですね。もしかすると、漢字を見て真っ先にそちらが浮かんでしまうという人もいるかも……。
特に女性につけるならしっかり意味を理解すること
いくつか女性の名前として「伽」のついた言葉をご紹介しましたが、実は「伽」を女性の名前につけるときは、更にある意味から要注意!
「伽」の本来の語源としては「話し相手になる」、「退屈を紛らわせる」などの意味があります。これらは名前についていても問題はないように思えるのですが、先程述べたように「伽」には「夜のお相手」や「お通夜」などのイメージが……。名前の組み合わせによってはそのような意味でつけたのでは?と相手にとられてしまう可能性があるため、十分に注意が必要です。
「伽」という言葉の意味や組み合わせる言葉の意味をしっかり理解して、子どものために良いイメージの名前をつけてあげたいですよね。
『伽』を英語で言うと?
「伽」を英語でいうとどうなるのでしょうか?ここでは「伽」を英語で、つまり「伽」の意味である「話し相手をする」や「看病する」などをそれぞれ英語に訳してみましょう。
まず、「伽」の意味のひとつである「話し相手」は英語ではone's interlocutorといい、「話し相手になる」、「相手をする」ならplay with~などと表現したりすることも。なお、「看病をする」というニュアンスなら英語ではlook after~、あるいはこれらは英語でまとめてattendといいます。
また、「お通夜」は英語でwakeといい、「(女性が男性の)寝室の相手をする」なら、spend the night with a manとなります。
ちなみに、先程までに出てきた「伽藍」は寺院という意味なので、英語ではTemple buildingsといいます。また、「お伽噺」は英語ではa fairy taleというなど、また異なる単語となっていますので注意が必要です。
『伽』と中国の繋がりとは?
意味や語源のところでも少し出てきましたが、どこか中国語らしいイメージのある「伽」。中国語とのつながりはあるのでしょうか?
最初に、「伽」はサンスクリット語の音である「か」や「が」、「ぎゃ」を意味する表音文字であるとご説明しましたね。
実は古代インドで使われていたサンスクリット語を中国語に訳す際には、無理に意味を当てることはせず、もととなるサンスクリット語と音の近い言葉をそのまま当てていたそうです。これを表音文字と言うんです。つまり、「伽」はサンスクリット語の言葉でもあり、中国語に訳されたものでもある……ということですね!
『伽』を知って、知識を増やそう!
いかがでしたか?今回は、「伽」の意味や語源、類語などについてご紹介しました。
サンスクリット語から中国語に訳され、現在日本でも使われる「伽」。その正しい意味を理解していると、ちょっとかっこいいかもしれません。
ぜひ「伽」の意味を知って、日常生活でも使ってみましょう!