2021年08月30日公開
2021年08月30日更新
イーナムクロー馬姦事件の概要・犯人と関連人物・その後
2005年中にもっとも多く読まれた記事の一つとなったイーナムクロー馬姦事件。あまりにも陰惨であったためシアトル・タイムズですら報道することをためらっていた。そんなイーナムクロー馬姦事件の概要とは。犯人はいったいどんな人物なのか。この事件が社会に与えた影響とは。
目次
イーナムクロー馬姦事件って知っていますか?
ちょっと説明しにくいのですが、もう事件の名前が物語っています。イーナムクロー馬姦事件とは、いわゆる獣姦事件です。獣姦とはつまり、通常は人間同士で行う性行為を動物相手にすること、となります。イーナムクロー馬姦事件の場合には、相手は馬です。では、イーナムクロー馬姦事件の概要について見ていきましょう。
イーナムクロー馬姦事件の概要
事件の発端
2005年7月2日、とある男性によって1人の患者が、ワシントン州キング群、イーナムクロー地域病院に運び込まれました。男は自分の名前を名乗りませんでしたが、医師は患者を診察室に寝かせます。その後すぐに患者の死亡が確認されましたが、彼を連れてきた男性はすでに姿を消していました。死亡した男性の所持していた運転免許証から、亡くなったのはケネス・ピニャンであると判明しました。
ケネス・ピニャン
イーナムクロー馬姦事件で病院に運び込まれ死亡が確認されたケネス・ピニャンは、ボーイング社のエンジニアでした。ボーイング社といえばアメリカの航空機メーカーとして有名で、日本でもボーイング〇〇機と名前のついた機体がよく飛んでいます。このボーイング社のエンジニアという経歴を持つ男性の死因は、「S状結腸の穿孔に起因する急性腹膜炎」でした。「S状結腸の穿孔」とは、大腸のS状結腸部分に穴が開いた状態ということです。ケネス・ピニャンは大腸に穴が開いた結果、急性腹膜炎となり死亡したのです。
姿を消した男の行方
警察は監視カメラの映像などを捜査した結果、ケネス・ピニャンと彼を運び込んだ男がやって来た場所を特定することに成功しました。それはイーナムクローの北西にあり、非法人地域にあるとある農場であり、捜査の結果、この農場においてしばしば獣姦系のポルノ撮影が行われていたことを突き止めました。イーナムクロー馬姦事件もまた、こうしたポルノ撮影の最中に起こった事故であることが発覚しました。
非法人地域とは、アメリカの市町村などの小さな地方自治体に属さない地域のことです。地方自治体には所属しませんが、州や群、場合によっては国に管轄されていることもあります。
死因
ケネス・ピニャンの部屋からは獣姦趣味のポルノがたくさん見つかったといいます。また、彼自身も多数の獣姦系ポルノに出演していました。彼は『Mr.Hands』という名義で多数のポルノを製造・販売していました。
イーナムクロー馬姦事件のときにも、ケネス・ピニャンと農場の隣のトレイラー・ハウスに住む男は馬を相手に獣姦する様子を撮影していて、S状結腸の穿孔、そして急性の腹膜炎を引き起こし、ケネスは死亡したのだと結論づけられました。ちなみに、馬の性器は直径35mm~50mm、長さも50cm~70cm(馬の体の大きさにもよりますが)はあるそうです。当初、この事件は内容があまりにも陰惨であるためにあまり報道されていなかったようです。
イーナムクロー馬姦事件の関連人物と行動
被害者
イーナムクロー馬姦事件で死亡したケネス・ピニャンは、被害者ではありますが同時に動物に対する虐待を行っていたのではないかという疑惑を持たれることになりました。しかし、警察がケネス・ピニャンが出演、製造していた獣姦系ポルノを調べましたが、彼らが相手をさせる動物に対して、明確に危害を加えている姿はついに見つけることができませんでした。
馬
イーナムクロー馬姦事件の当事者であり、被害者でもある馬は当時その農場にいたアラブ馬でした。その馬には、『ビッグ・ディック』というあだ名がつけられていました。イーナムクロー馬姦事件でケネス・ピニャンは死亡しましたが、このとき相手をさせられていた馬にはとくに怪我などはなかったようです。当時はこのために、警察は動物虐待の罪でケネス・ピニャンや他の仲間たちを捕まえることができませんでした。
犯人
イーナムクロー地域病院にケネス・ピニャンを連れて行ったあと、姿を消していた男ですが、警察は彼らへの対応に頭を悩ませることになりました。なぜなら、獣姦は犯罪ではなかったために獣姦罪に問うことができなかったからです。
しかし、一般人は知らないことでしたが、当時すでにその農場は獣姦プレイを求める人々に有名になってしまっていました。ケネス・ピニャンと彼の仲間たちはその農場でたびたび獣姦系ポルノを撮影していたのですが、動物を虐待した形跡がなく、また怪我をした動物も確認できなかったために、イーナムクロー馬姦事件が明らかになった後も、彼らに問える罪は農場への『不法侵入罪』くらいだったのです。
イーナムクロー馬姦事件のその後・影響
報道で明らかに
当初、イーナムクロー馬姦事件の起こったワシントン州、キング群の保安官事務所では、イーナムクロー馬姦事件について報道するつもりはなかったといいます。イーナムクロー馬姦事件で死亡したケネス・ピニャンの死因やその行為が陰惨なものであったこと、などが理由だったようなのですが、すでにこの地域の農場は獣姦プレイに興味を持つ人たちにとっては知っていて当たり前のような存在になっていました。
それを知り、すでに多くの人間が関わっていると判断したシアトル・タイムズはイーナムクロー馬姦事件の記事を書き、報道しました。そうして皮肉にも、イーナムクロー馬姦事件の記事は2005年に1番人に読まれた記事のひとつとなったのです。
当時、獣姦は合法だった
アメリカといえば、キリスト教徒たちの国、というイメージはありませんか?アメリカの大統領の、聖書に手をついて宣誓をする姿を見ることがあります。
実際には聖書である必要はないようで、たまたま聖書がなかったからとミサ典書で宣誓した大統領もいれば、セオドア・ルーズベルトのように聖書で宣誓しなかった大統領もいます。しかし、アメリカ人の80%はキリスト教徒であると言われています。キリスト教は、アメリカ社会に根付いているのでしょう。
そのキリスト教の聖書では、獣姦を禁じています。したがって、アメリカ人としての意識では獣姦に対して厳しい意見があるのに対し、獣姦を咎める法律がワシントン州になかったことが、イーナムクロー馬姦事件によってはからずも明らかになってしまいました。
イーナムクロー馬姦事件の判決
イーナムクロー馬姦事件以前に、獣姦系ポルノ撮影に関わった人物として死亡したケネス・ピニャンの他に少なくとも2人の男が関わっていたことが分かっています。亡くなっているケネス・ピニャンはともかく、彼の仲間だった当時54歳の写真家の男性ジェームズ・マイケル・タイトは、不法侵入罪で起訴されました。
この男は罪を認めたため、裁判官のデイヴィッド・クリスティによって1年の執行猶予と罰金300ドル、1日分の社会奉仕、2度と農場を訪れないことを約束させました。
もう1人、獣姦系ポルノ撮影に関わっていた男については、イーナムクロー馬姦事件当時のビデオにも映っておらず関与が確定しなかったため、起訴されることはありませんでした。
政治家の動き
ワシントン州で獣姦が合法になっていたことは、イーナムクロー馬姦事件が明らかになるまでまったく知られていないことでした。ワシントン州では、州議会議員でオーバーン出身の共和党員パム・ローチによって、ワシントン州において動物に対する『性的接触』を禁止する法案が提出されました。この法案は、動物に対して行われるあらゆる『性的な行為や性的な接触』、さらにそれらを撮影する行為を禁止するというものです。
現在、ワシントン州ではパム・ローチの上記の法案によって、獣姦の罪は5年以下の懲役刑という重罪になっています。2009年、イーナムクロー馬姦事件の関係者を含む3人の男性が、獣姦に参加したという罪でテネシー州モーリー郡の刑務所に収監されました。
動画の流出
イーナムクロー馬姦事件は、亡くなったケネス・ピニャンの名前を伏せて報道されていましたが、ケネスが出演した獣姦系ポルノ動画がインターネット上に流出し、現在でも探して見ることはできるでしょう。しかしおすすめできません。
映画製作
イーナムクロー馬姦事件は、長い間、実は獣姦という犯罪が見落とされ、合法扱いされていたことを明らかにするなど、世の中に多大な影響を与えました。そのため、2007年にはイーナムクロー馬姦事件の起こった農場周辺の人々を描いた『ZOO』という映画が作られています。
今でも起こっている獣姦事件
狂犬病に
2017年8月17日、モロッコにおいてヤギを獣姦していた青年たちが病院に担ぎ込まれるという事件がありました。当初の報道では、少年たち15人がロバを相手に性行為を行い、狂犬病に感染していたロバによって感染し、病院に運び込まれたというものでしたが、その後、狂犬病になったのは20歳以上の青年2人であったことが分かりました。
狂犬病は恐ろしい感染病です。このメスロバは青年たちに獣姦された後、投石や暴行で殺されていますが、狂犬病に感染し万が一発病すると、100%死亡すると言われています(感染した後で発症前に暴露後ワクチンを接種すれば助かることはできます)。獣姦事件には、こういった危険もひそんでいます。
他にも……
ケニアではヤギと性交した28歳の男性が、裁判を受けて10年間の懲役刑を受けています。イーナムクロー馬姦事件の起こったアメリカでも、牛との性行為を友人に撮影させていた男たちが逮捕されていますし、2015年6月には当時18歳の少女が、祖母の家で犬(ピットブル)と性行為を行ったとして獣姦罪で告発されています。
動物のことを考えよう
動物と性行為を行う人には、いろいろな理由があるといいます。まず、ペットなどを相手にする人はペットへの強い愛情からそのような行為にいたってしまうことがあります。あるいは、女性や男性の代わりのように動物と獣姦している場合もあります。
ペットを愛している場合にも、そのような行為が本当にペットのためになっているのかどうか、そんな行為をして危険はないのかなど考え直す必要があるでしょう。ただ単に欲求不満を動物にぶつけている場合には、もっと深刻です。人間に逆らえないように動物を押さえつけてそのような行為を行うことは、立派な動物虐待でしょう。
イーナムクロー馬姦事件では、行為を行っていた人物は不幸にもその行為によって死亡しました。獣姦事件が繰り返されないよう、私たちは動物と正しい距離感で付き合っていかなければならないのではないでしょうか。