関西弁『正味(しょうみ)』の意味や使い方を分かりやすく解説!
皆さんは『正味(しょうみ)』という言葉を知っていますか?身近に関西弁を使う人がいれば聞き慣れた言葉かもしれませんが、聞いてもピンとこない人もいると思います。今回は、この『正味』という言葉について意味を始め、いろんな場面での使い方や例文を紹介します。
目次
『正味』の意味は大きく分けて2つ!
『正味(しょうみ)』という言葉は、聞いたことがありますか?関西圏の人は聞き慣れた言葉かもしれませんが、馴染みがないと思われるかたもいるのではないでしょうか。この、『正味(しょうみ)』という言葉ですが、そもそもどういう意味なのかはご存知ですか?なんとなくニュアンスで使っているけど、実は意味はよくわからないという人も多いかもしれません。『正味』の意味は大きく分けると2つの意味があるようです。それぞれの意味を見て正しく会話に取り入れたいですね。
正味の本来の意味
それでは、『正味(しょうみ)』の本来の意味を解説します。『正味』という言葉は料理などの分量をあらわす時に使われる言葉ですが、実際にそのような場面で聞く機会も少ないかもしれません。『正味』の本来の意味は5つ程あるので下記をご覧ください。
- 余分なものを取り除いた本来の中身
- 実質的な数量
- 風袋を取り除いた商品のみの重さ
- 掛け値のない元の値段、仕入れ値
- 表面に出ていない、隠された本当の部分
5つの意味を見てみると、商売をする上では使う場面があるかもしれませんが、日常ではあまり馴染みのない言葉ですね。
関西弁としての正味の意味
『正味』のもう一つの意味は、関西弁としての意味になります。本来の意味と大きく違うわけではありませんが、関西弁としての『正味』は、“本当のところ、実際のところ”という意味で使われます。こちらの意味なら仕事以外の日常でも使い道がありそうですね。意識してみると、あなたの周りの関西弁で話す人が自然に使っているかもしれません。
『正味』は若者言葉としても使われている!
本来の意味に加えて、関西弁としての意味を持つ『正味(しょうみ)』という言葉ですが、最近では若者言葉としても使われているようです。若者言葉としての『正味』の意味は、関西弁の同じで“本当のところ”“実際のところ”といった意味で使われます。メールなどの場面では“しょうみ”“しょーみ”と平仮名で表記されています。関西弁の『正味』と同じように、日常の何気ない会話で使いやすいイメージですね。
「それな」も関西弁が元ネタ
関西弁が元ネタとなっている若者言葉と言えば、中学生から大学生の間でよく使われている『それな』もあげられます。若者言葉でなくとも、関西弁や関西弁がベースになっている方言の地域の方なら、特に珍しくなく、日常でも聞き慣れているのではないでしょうか。関西弁が元ネタである『それな』は、“共感する”“同意する”といった意味で使います。会話の中で相槌をうつような場面で使われます。
本来の意味での『正味』の使い方3つ!
それでは、3通りの『正味』の意味を知っていただいたところで、『正味』の使い方をご紹介します。まずは、本来の意味での使い方を3つご覧ください。
1:時間での使い方
本来の意味での『正味』の使い方、1つ目は、時間での使い方です。正味は実質的な数量という意味があるので、例えば勤務時間について、8時から17時まで勤務したとします。そのうち昼休憩が1時間あったとすると、9時間-1時間で、実質働いた時間が8時間という事になります。これが“正味8時間働いた”という意味になります。下記の使い方例文も参考にして下さいね。
- 例文1:朝の8時から夕方5時まで勤務して、休憩が1時間あったから正味8時間働いた。
- 例文2:午後5時から午後9時まで勉強していたが、途中1時間テレビを見ていたから正味3時間勉強した。
2:値段での使い方
本来の意味での『正味』の使い方、2つ目は値段での使い方です。正味の本来の意味には、掛け値のない値段という意味や表面に出さない隠された本当のところという意味もありました。商売において、掛け値のない値段、いわゆる仕入れ値に手数料や利益などが上乗せされて販売価格となるのは一般的なことです。こういった場面で使われる『正味』は値段での使い方に当てはまります。下記の使い方例文もご覧くださいね。
- 例文1:この商品は正味の値段が1200円だけど、送料など込みで2000円で売られている。
- 例文2:正味300円で仕入れた商品を、販売価格600円で売ろう。
3:重さでの使い方
本来の意味での『正味』の使い方、3つ目は重さでの使い方です。正味の本来の意味には、風袋を取り除いた商品だけの重量という意味もありました。例えば、スーパーなどで売られている精肉や鮮魚などはプラスチックのトレーにパックされていることが多いですね。このパックや外装フィルムなどの重量を引いたものが正味重量、いわゆる内容量となります。下記の例文も参考にして下さいね。
- 例文1:この国産牛は正味重量380gです。
- 例文2:正味100gのお菓子だが、立派な箱に入っているので総重量が200gもある。
関西弁としての『正味』の使い方4つ!
続いては、関西弁としての『正味』の使い方を紹介します。本来の使い方と違って、関西弁としての『正味』なら、日常会話で取り入れやすいですよ。また、関西弁が元ネタである若者言葉としての正味も同じような意味になるのでこちらを参考にして下さいね。
4:面倒な場面での使い方
関西弁としての『正味』の使い方、1つ目は面倒な場面での使い方です。その場のノリや雰囲気で幹事や依頼、役員などを引き受けてしまう場面があると思いますが、引き受けたものの実際は面倒くさいという時に使います。ですが、例え職場上での役割だとしても、上司など目上の人との会話にはNGです。気心の知れた人や同僚などとの会話に留めておきましょう。
- 例文1:忘年会の幹事、引き受けたけど正味めんどいわ。
- 例文2:話の流れであの人の仕事を代わりに引き受けたけど、正味めんどくさいわ。
5:真意を確かめる場面での使い方
関西弁としての『正味』の使い方、2つ目は真意を確かめる場面での使い方です。学生さんの間で、恋バナなどの場面で使われることが多いかもしれません。例えば、よくある女子同士での会話の中で、ある男子の話になったとします。どちらかがその男子のことを好きかもしれないという話の流れになった時に、本当に好きなのかどうか微妙な場合など、真意を確かめる質問をする時に使うことがあります。
- 例文1:正味な話、あの人のこと好きなん?
- 例文2:正味なとこ、あの上司嫌いなん?
6:値段交渉での使い方
関西弁としての『正味』の使い方、3つ目値段交渉での使い方です。商売をしている人や買い物をしたい人が、品物の値段を聞く時などに使う使い方です。商売上手でねぎるのも上手な関西人ならではの使い方かもしれませんね。身近な場面としては、フリーマーケットでの値段交渉で使われることがあるのではないでしょうか。
例文1:売値が○○円ていうのはわかったけど、正味なんぼなん?
例文2:それで、結局この商品は正味なんぼで売ってくれるん?
7:抽象的な使い方
関西弁としての『正味』の使い方、4つ目は抽象的な使い方です。「正味、ヤバない?」という言葉は、あまりにも抽象的な使い方ではありますが、関西弁や若者言葉としては最もよく使われる使い方ではないでしょうか。そもそも「ヤバい」という言葉自体が、文脈によっていろんな意味をあらわすので、幅広い場面で使われることがあるのでしょう。抽象的な表現とは言っても、『正味』の意味は「正直なところ」ということになるので本心の意見を求められていることになります。
関西弁の『正味』が広がった理由とは?
元々関西弁である『正味』という言葉は、地域や年齢を問わず、なぜ一般的な会話に使われる程広がったのでしょうか。それは、20世紀を代表する天才漫才師と言われるコンビ「やすしきよし」の横山やすしさんのネタから広がったと言われています。やすしきよしの漫才の中で、横山やすしさんがこの、『正味』という言葉を連発していました。時が経ち、これをダウンタウンの松本さんがバラエティ番組でパロディネタにしていたことで一気に『正味』という言葉が流行りました。
『正味』は場面を考えて使いましょう!
『正味』という言葉の意味や使い方はわかっていただけたでしょうか。自然にこなれた感じで使えるようになると、関西弁のようなイントネーションで楽しく会話ができそうですね。ですが、あくまで仲の良い気心の知れた人の前で使うようにしましょう。上司や先輩などの前で使うのには向いていない言葉です。